株式投資を判断する

株価が5分の1になったのに、損をしていない

同じ「株価が下がった」でも、値下がりと分割とではまるで違います。

このページの要点

日本取引所グループは、株式分割が行われても保有する株式全体の実質的価値に変化はなく、1株あたりの金額や投資単位(最低投資金額)は小さくなる、としています。株価2万円の株を100株持っている人が1株につき5株の分割を受けると、理論上の株価は4千円、保有株式数は500株になり、全体では2万円×100株=200万円のままです。東証での売買は100株単位なので、投資単位は200万円から40万円に下がります。東証は望ましい投資単位として50万円未満という水準を明示しており、2026年3月末時点で93.4%の会社がこ

最終更新 2026年9月10日 / 全 15 問 ・知る 3 ・わかる 2 ・見抜く 3 ・ケースで考える 5 ・判断する 2

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目次 全 15 問

知る 3 問

  1. 売買単位
  2. 株式分割
  3. 投資単位

わかる 2 問

  1. 株式分割
  2. 株式分割

見抜く 3 問

  1. 株式分割
  2. 株式分割
  3. 株式分割

ケースで考える 5 問

  1. 株式分割
  2. 投資単位
  3. 投資単位
  4. 投資単位
  5. 投資単位

判断する 2 問

  1. 株式分割
  2. 投資単位

知る

このテーマを理解するために必要な基本を押さえます。

東証で株式を売買する単位は、どれですか。

  • A 1株単位

    1株ずつ買える単位ではありません。

  • B 10株単位

    10株単位でもありません。

  • C 100株単位 正解

    正解です。100株単位です。だから最低投資金額が生まれます。

  • D 1,000株単位

    1,000株単位でもありません。

100株単位です。だから最低投資金額が生まれます。

知る株式投資を判断する★★
東証での売買は100株単位株価 × 100株 = 投資単位(最低投資金額)株価が高い会社ほど、投資単位も大きくなる

1株ずつ買う仕組みではない。

資料は「東証での売買は100株単位で行われる」としています。1株ずつ買えるわけではないので、株価に100を掛けた金額が、その銘柄を買うのに要る最低の金額になります。この金額を投資単位(最低投資金額)と呼びます。株価が高い会社ほど、この金額も大きくなります。分割の話が出てくるのは、この仕組みがあるからです。

出典 日本取引所グループ「株式分割」 / 2026年9月時点の情報

四つの言い分を、一つずつ確かめてください。

  • A 株式分割を行うと、その会社の資産が増える

    分割で会社に資産が入るわけではありません。

  • B 東証が望ましいとする投資単位は、100万円未満である

    50万円未満です。100万円未満ではありません。

  • C 株式分割をすると、1株あたりの金額は大きくなる

    大きくではなく、小さくなります。

  • D 分割が行われても、株式全体の実質的価値は変わらない 正解

    通ります。変わるのは、1株あたりの金額と投資単位です。

変わるのは、1株あたりの金額と投資単位です。

知る株式投資を判断する★★★

分割で変わるもの・変わらないもの

  • 変わらない:保有する株式全体の実質的価値
  • 変わる:1株あたりの金額(小さくなる)
  • 変わる:投資単位=最低投資金額(小さくなる)
  • 変わる:保有株式数(増える)

会社に新しい資産が入るわけではない。

資料は「株式分割が行われても、保有する株式全体の実質的価値に変化はありませんが、1株あたりの金額や投資単位(最低投資金額)は小さくなります」としています。分割は株を分ける手続きで、会社に資産が入るわけではありません。望ましい投資単位の水準は50万円未満です。そして1株あたりの金額は、大きくなるのではなく小さくなります。

出典 日本取引所グループ「株式分割」 / 2026年9月時点の情報

東証が望ましいとしている投資単位の水準は、_です。

  • A 10万円未満

    10万円未満ではありません。

  • B 50万円未満 正解

    正解です。50万円未満という水準が明示されています。

  • C 100万円未満

    100万円未満でもありません。

  • D 500万円未満

    500万円未満でもありません。

50万円未満という水準が明示されています。

知る株式投資を判断する★★
  1. 望ましい投資単位は50万円未満と明示されている
  2. 50万円以上で売買されている場合
  3. 事業年度経過後3か月以内に、引下げの考え方及び方針等を開示する義務

義務付けられているのは開示。分割そのものではない。

資料は「東証では、個人投資家が投資しやすい環境を整備するために、望ましい投資単位として50万円未満という水準を明示しています」としています。さらに50万円以上で売買されている会社には、事業年度経過後3か月以内に、50万円未満へ移行するための考え方及び方針等を開示するよう義務付けています。義務付けられているのは開示であって、分割そのものではありません。

出典 日本取引所グループ「投資単位の引下げ」 / 2026年9月時点の情報

わかる

仕組みや計算のしかたを確かめます。

1株につき5株の分割で、株価は2万円から4千円に、保有株式数は100株から500株になりました。

保有する株式全体の実質的価値は、どうなりますか。

  • A 5倍になる

    株数だけが5倍で、単価は下がっています。

  • B 変わらない 正解

    正解です。2万円×100株も、4千円×500株も、200万円です。

  • C 5分の1になる

    単価はそうですが、株数が5倍になります。

  • D 半分になる

    半分になる要素はどこにもありません。

2万円×100株も、4千円×500株も、200万円です。

わかる株式投資を判断する★★★
  • 分割前(2万円×100株)
  • 分割後(4千円×500株)

単価は5分の1、株数は5倍。掛けた答えは動かない。

分割前は 20,000円 × 100株 で200万円。分割後は 4,000円 × 500株 で、やはり200万円です。単価が5分の1になり、株数が5倍になるので、掛けた答えは動きません。資料も「保有する株式全体では実質的価値に変化はありません」としています。株価の表示だけを見ると大きく減ったように見えますが、減っていないのです。

出典 日本取引所グループ「株式分割」 / 2026年9月時点の情報

株価2万円・100株保有の株が、1株につき5株に分割された場合です。

それぞれ、分割の前後でどう動きますか。

答え 1株あたりの理論上の株価 … 2万円 → 4千円/保有株式数 … 100株 → 500株/投資単位(最低投資金額) … 200万円 → 40万円/株式全体の実質的価値 … 200万円 → 200万円

三つは動き、一つだけ動きません。

わかる株式投資を判断する★★★
項目分割前分割後
1株あたりの理論上の株価2万円4千円
保有株式数100株500株
投資単位(最低投資金額)200万円40万円
株式全体の実質的価値200万円200万円

動かないのは、いちばん下の一つだけ。

1株あたりの理論上の株価は2万円から4千円へ、保有株式数は100株から500株へ、投資単位は200万円から40万円へ動きます。動かないのは、株式全体の実質的価値だけです。三つの数字が派手に動くので何かが起きたように見えますが、いちばん大事な一つが動いていない。分割を読むときは、どれが動いてどれが動かないかを分けて見ることになります。

出典 日本取引所グループ「株式分割」 / 2026年9月時点の情報

見抜く

誤解しやすい点や、見落としがちなリスクを見抜きます。

この資料から言えるのは、どれでしょう。

答え 東証は望ましい投資単位として50万円未満を明示している/2026年3月末時点で、93.4%の会社が50万円未満である/株式分割で、1株あたりの金額は小さくなる

義務付けられているのは、開示のほうです。

見抜く株式投資を判断する★★★★

50万円以上なら、引下げの考え方と方針を開示する義務がある

50万円以上なら、株式分割をする義務がある

分割については、要請と検討のお願いにとどまる。

望ましい投資単位が50万円未満であること、2026年3月末時点で93.4%の会社がその水準にあること、分割で1株あたりの金額が小さくなることは、いずれも資料に書かれています。一方、分割で全体の実質的価値は「変化はありません」とされており、増えるとは書かれていません。そして義務付けられているのは、引下げの考え方及び方針等を開示することです。分割するかどうかは、要請にとどまります。

出典 日本取引所グループ「投資単位の引下げ」 / 2026年9月時点の情報

株式分割をすると、その会社の価値は増えますか。

  • A 増えない。分け方が変わるだけ 正解

    正解です。同じものを、細かく分けているだけです。

  • B 増える。株数が5倍になるから

    株数は増えますが、1株あたりは小さくなります。

  • C 増える。買いやすくなるから

    買いやすさと、会社の価値は別のことです。

  • D 増える。資本金が5倍になるから

    分割で資本金が増えるわけではありません。

同じものを、細かく分けているだけです。

見抜く株式投資を判断する★★★★
株式分割で起きること
  • 買う側:投資単位が下がり、購入しやすくなる
  • 持っている側:株数が増え、1株あたりが下がる
  • 会社:新しい資産が入るわけではない

資料の挙げる効果は、すべて買う側の入りやすさ。

分割は、いまある株を細かく分ける手続きです。会社に新しいお金が入るわけでも、資産が増えるわけでもありません。資料が挙げている効果は「購入しやすくなる」「少額で分散投資ができるようになる」「NISAに組み入れやすくなる」の三つで、いずれも買う側にとっての入りやすさの話です。会社の中身が良くなる、とは書かれていません。

出典 日本取引所グループ「株式分割」 / 2026年9月時点の情報

分割の翌日、A社の株価の表示が2万円から4千円になっていました。

この変化を、どう見ますか。

  • A 分割による、理論上の変化 正解

    正しい見方です。手元の株数も5倍になっています。

  • B 5分の1の値下がりが起きた

    値下がりなら、株数は増えません。

  • C 会社の業績が悪化したしるし

    業績とは関係のない手続きです。

  • D 保有する価値が5分の1になった

    株数が5倍になるので、価値は減っていません。

手元の株数も5倍になっています。

見抜く株式投資を判断する★★★★

値下がりの場合

  • 株価が下がる
  • 株数は変わらない
  • 全体の価値が減る

分割の場合

  • 株価が下がる
  • 株数が増える
  • 全体の価値は変わらない

見分けるなら、株数を見る。

株価の表示だけを見れば、たしかに5分の1です。けれども同時に保有株式数が100株から500株になっているので、掛けた答えは200万円のまま変わりません。値下がりなら株数は増えませんから、株数を見れば区別がつきます。同じ「株価が下がった」という表示でも、値下がりと分割とではまるで違うことが起きています。

出典 日本取引所グループ「株式分割」 / 2026年9月時点の情報

ケースで考える

具体的な条件のもとで考えます。

Mさんは、株価2万円のA社の株を100株持っています。A社が1株につき5株の割合で株式分割を行うことになりました。

分割後の理論上の株価は、いくらですか。(単位:円)

答え 4000円

20,000円 ÷ 5 で、4,000円です。

ケース株式投資を判断する★★
20,000円÷54,000円

1株が5株に分かれるので、1株あたりの金額は5分の1になります。20,000円 ÷ 5 で4,000円。資料も「理論上の株価は5分の1(2万円⇒4千円)になります」としています。「理論上の」と付いているのは、実際の取引でこの値段になると決まっているわけではないからです。分割そのものが持つ意味は、ここまでです。

出典 日本取引所グループ「株式分割」 / 2026年9月時点の情報

分割後の理論上の株価は4,000円です。東証での売買は100株単位です。

分割後の投資単位(最低投資金額)は、いくらですか。(単位:円)

答え 400000円

4,000円 × 100株 で、400,000円です。

ケース株式投資を判断する★★★
  • 200万円(2万円×100株)分割前の投資単位
  • 40万円(4千円×100株)分割後の投資単位
  • 200万円のまま全体の価値

入口の金額だけが下がる。

分割前は 20,000円 × 100株 で200万円でしたから、5分の1になりました。資料も「投資単位(最低投資金額)は200万円(2万円×100株)から、40万円(4千円×100株)となります」としています。全体の価値は変わらないのに、これから買う人にとっての入口の金額だけが下がる。分割が「投資単位を引下げるために」行われる、というのはこの意味です。

出典 日本取引所グループ「株式分割」 / 2026年9月時点の情報

東証の資料には、2026年3月末時点で93.4%の会社が投資単位50万円未満となっている、とあります。

投資単位が50万円以上の会社は、何%ですか。(単位:%・小数第1位まで)

答え 6.6%

100 − 93.4 で、6.6%です。

ケース株式投資を判断する★★★
  1. 2022年10月27日投資単位の引下げに係る検討を要請
  2. 2026年7月28日改めて、株式分割の検討を要請
  3. 2026年3月末時点93.4%の会社が50万円未満(50万円以上は6.6%)

高投資単位会社の割合は、近年10%を下回る水準。

投資単位が50万円以上の会社は「高投資単位会社」と呼ばれ、資料は「近年10%を下回る水準で推移」しているとしています。2026年3月末時点では6.6%。9割以上の会社は、すでに50万円未満で買える水準にあります。東証は2022年10月27日と2026年7月28日の二度、50万円以上の会社に引下げの検討を要請しています。

出典 日本取引所グループ「投資単位の引下げ」 / 2026年9月時点の情報

投資単位が200万円の会社が、東証の望ましい水準である50万円未満に収めたいと考えています。

少なくとも、どの割合の分割が必要ですか。

  • A 1株につき2株

    100万円で、まだ水準を超えています。

  • B 1株につき3株

    約66.7万円で、まだ超えています。

  • C 1株につき4株

    ちょうど50万円です。「未満」には入りません。

  • D 1株につき5株 正解

    正解です。4株では50万円ちょうどで、「未満」に入りません。

4株では50万円ちょうどで、「未満」に入りません。

ケース株式投資を判断する★★★★
  • 分割なし
  • 1株につき2株
  • 1株につき3株
  • 1株につき4株
  • 1株につき5株

単位は万円。50万円ちょうどは「未満」に入らない。

200万円を割ると、2株で100万円、3株で約66.7万円、4株でちょうど50万円、5株で40万円です。水準は「50万円未満」なので、ちょうど50万円では入りません。境目がどちら側かで、必要な分割が一段変わります。「以上」「未満」という言葉は、こういうところで効いてきます。

出典 日本取引所グループ「投資単位の引下げ」 / 2026年9月時点の情報

同じ会社の株について、分割の割合を変えて考えます。

分割後の投資単位が大きい順に、並べてください。

答え 分割をしない → 1株につき2株の分割 → 1株につき5株の分割 → 1株につき10株の分割

分ける数が大きいほど、投資単位は小さくなります。

ケース株式投資を判断する★★★
  • 200万円分割をしない
  • 100万円1株につき2株
  • 40万円1株につき5株
  • 20万円1株につき10株

株価2万円の例で計算した場合。分ける数と投資単位は逆向き。

分割の割合が大きくなるほど、1株あたりの金額は小さくなり、投資単位も小さくなります。だから「分割をしない」がいちばん大きく、10株に分けたものがいちばん小さい。分ける数と投資単位は、逆向きに動きます。株価2万円の例なら、順に200万円、100万円、40万円、20万円です。

出典 日本取引所グループ「株式分割」 / 2026年9月時点の情報

判断する

実際の場面で、何を確認すべきかを判断します。

株式分割の発表を見たときのことです。

確かめておくのは、どれでしょう。

  • A 発表された時刻はいつか

    時刻は、割合を教えてくれません。

  • B 発表した会社の社名の由来

    社名の由来も、関わりません。

  • C 何株が何株になる分割か 正解

    正解です。割合が分かれば、あとの数字はそこから出ます。

  • D その日の相場の全体の動き

    相場全体の動きは、この分割の中身とは別です。

割合が分かれば、あとの数字はそこから出ます。

判断株式投資を判断する★★★★

まず「1株につき何株か」を読む

株価の表示の変化だけを見て、上下を判断する

割合が分かれば、株数も投資単位も決まる。

1株が何株になるのかが分かれば、1株あたりの金額も、株数も、投資単位も、そこから決まります。逆にこれが分からないと、株価の表示がどれだけ変わるのかも読めません。時刻も、社名の由来も、その日の相場全体の動きも、この割合を教えてくれません。発表文には、たいてい「1株につき◯株の割合をもって分割」と書かれています。

出典 日本取引所グループ「株式分割」 / 2026年9月時点の情報

投資単位が50万円以上の会社について考えます。

資料から確かめられるのは、どれですか。

  • A その会社が必ず分割を行うこと

    分割は要請であって、義務ではありません。

  • B 引下げの方針が開示されているか 正解

    正解です。義務付けられているのは、開示です。

  • C その会社の株価が今後どこまで上がるか

    株価の先行きは、この資料の外の話です。

  • D その会社の配当が増えること

    配当についても、資料は述べていません。

義務付けられているのは、開示です。

判断株式投資を判断する★★★★

メリット

  • 望ましい投資単位は50万円未満と明示されている
  • 50万円以上なら、引下げの考え方及び方針等の開示が義務
  • 開示は東証上場会社情報サービスで確認できる

デメリット

  • 分割を行うことは義務付けられていない
  • 株価や配当の先行きは、この資料には書かれていない

制度が保証している範囲を、そのまま読む。

資料は、50万円以上で売買されている会社に「投資単位の引下げに関する考え方及び方針等を開示するよう義務付けています」としています。つまり確かめられるのは、その方針が示されているかどうかです。分割を必ず行うとは書かれていませんし、株価や配当の先行きについては、この資料は何も述べていません。制度が保証している範囲と、そうでない範囲を分けて読むところです。

出典 日本取引所グループ「投資単位の引下げ」 / 2026年9月時点の情報

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