家計を整える

昇給した1万円。そのまま全部先取り貯蓄に回す?

昇給分から、先に物価上昇分を引きます。

このページの要点

昇給10,000円を全部先取りに足すと40,000円で貯蓄率は約12.9%。ただし生活費に残るのは270,000円のままで、物価上昇後の278,000円に8,000円足りません。先に生活費を引くと 310,000 − 278,000 = 32,000円。増やせるのは2,000円(昇給の20%)で、貯蓄率は10.0%から約10.3%です。

最終更新 2026年9月25日 / 全 15 問 ・知る 3 ・わかる 2 ・見抜く 3 ・ケースで考える 5 ・判断する 2

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目次 全 15 問

知る 3 問

  1. 昇給
  2. 昇給
  3. 昇給

わかる 2 問

  1. 貯蓄率
  2. 生活水準

見抜く 3 問

  1. 先取り額
  2. 生活水準
  3. 昇給

ケースで考える 5 問

  1. 先取り額
  2. 昇給
  3. 家計余力
  4. 貯蓄率
  5. 家計余力

判断する 2 問

  1. 生活水準
  2. 先取り額

知る

このテーマを理解するために必要な基本を押さえます。

JILPTの資料は、毎月勤労統計調査の2023年度分結果確報を伝えています。

就業形態計の現金給与総額は、いくらとされていますか。

  • A 43万8,696円

    43万8,696円は一般労働者の額です。

  • B 10万5,989円

    10万5,989円はパートタイム労働者の額です。

  • C 33万2,533円 正解

    正解です。資料は33万2,533円としています。

  • D 32万5,504円より低い

    32万5,504円は所定内給与のほうです。

資料は33万2,533円としています。

知る家計を整える★★★
区分現金給与総額前年度比
就業形態計33万2,533円+1.3%
一般労働者43万8,696円+1.7%
パートタイム労働者10万5,989円+2.4%
一般労働者の所定内給与32万5,504円+1.8%
パートの時間当たり給与1,294円+3.5%

JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」(2023年度分結果確報)から。

資料は「現金給与総額は33万2,533円で前年度から1.3%上昇した」としています。43万8,696円は一般労働者、10万5,989円はパートタイム労働者の額で、就業形態計の33万2,533円はそのあいだにあります。32万5,504円は一般労働者の所定内給与で、就業形態計より低い額です。どの区分の数字かを合わせて読みます。

出典 JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」 / 2026年9月時点の情報

「名目の賃金が上がっているなら、実質の賃金も上がっている」と考えました。

資料で見ると、どうですか。

  • A 両方上がっている

    実質は低下しています。

  • B 両方下がっている

    名目は上昇しています。

  • C 名目が下がって実質が上がった

    名目が下がったとはされていません。

  • D 名目は上昇、実質は低下 正解

    正解です。名目は+1.3%、実質はマイナス2.2%です。

名目+1.3%、実質はマイナス2.2%です。

知る家計を整える★★★★

生活費を先に引いて、残りを先取りに足す

昇給額をそのまま先取りに足して、生活費はあとで考える

そのまま足すと、生活費が8,000円足りなくなる。

資料は「現金給与総額は33万2,533円で前年度から1.3%上昇したものの、物価の変動を考慮した実質賃金では2.2%の低下となった」としています。上がった数字と、残った数字が別なのです。開きは 1.3 − (−2.2)= 3.5ポイント。しかも「実質賃金での低下はこれで2年連続」と書かれています。

出典 JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」 / 2026年9月時点の情報

四つの言い分を、一つずつ確かめてください。

  • A 実質賃金は2023年度に2.2%上昇した

    2.2%の低下です。

  • B 一般労働者の現金給与総額は43万8,696円 正解

    通ります。資料のとおりです。

  • C 実質賃金の低下は3年連続である

    2年連続とされています。

  • D パートタイム労働者の時間当たり給与は1,000円である

    1,294円とされています。

資料は43万8,696円としています。

知る家計を整える★★★★

2023年度の前年度比

  • 現金給与総額(名目)+1.3%
  • 一般労働者(名目)+1.7%
  • パートタイム労働者(名目)+2.4%
  • 実質賃金(就業形態計)マイナス2.2%

名目と実質の開きは3.5ポイント。低下は2年連続とされている。

資料は一般労働者の現金給与総額を43万8,696円としています。実質賃金は2.2%の「低下」で上昇ではありません。低下は「2年連続」で3年連続ではありません。パートタイム労働者の時間当たり給与は1,294円で1,000円ではありません。上がったのか下がったのか、何年続いたのかを一つずつ資料に戻して確かめます。

出典 JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」 / 2026年9月時点の情報

わかる

仕組みや計算のしかたを確かめます。

資料の区分と、その金額を組み合わせてください。

答え 就業形態計の現金給与総額 … 33万2,533円/一般労働者の現金給与総額 … 43万8,696円/パートタイム労働者の現金給与総額 … 10万5,989円/パートタイム労働者の時間当たり給与 … 1,294円

一つだけ単位が違います。

わかる家計を整える★★★

資料で確かめたこと

  • 現金給与総額は33万2,533円で前年度比+1.3%
  • 実質賃金は前年度比マイナス2.2%
  • 実質賃金での低下は2年連続とされている
  • 一般労働者は+1.7%、パートタイム労働者は+2.4%
  • 4月分の実質賃金は25カ月連続でマイナスとされている

数字は2023年度のもの。いまの状況を示すものではない。

資料では就業形態計が33万2,533円、一般労働者が43万8,696円、パートタイム労働者が10万5,989円、パートタイム労働者の時間当たり給与が1,294円です。最後だけは月ではなく1時間あたりの額なので、ほかと同じ列に並べて比べることはできません。438,696 − 105,989 = 332,707円という開きがあります。

出典 JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」 / 2026年9月時点の情報

資料から読み取れるものを、すべて選んでください。

答え 現金給与総額は前年度比1.3%の増加とされている/実質賃金は前年度比2.2%の低下とされている/実質賃金の低下は2年連続とされている

資料は賃金の統計の記事です。

わかる家計を整える★★★★

資料が示していること

  • 現金給与総額と前年度比
  • 就業形態別・産業別の上昇率
  • 実質賃金の低下と、それが2年連続であること

資料が示していないこと

  • 昇給分の配分のしかた
  • 先取り貯蓄の額
  • 個人の昇給がいくらになるか

数字は2023年度のもの。いまの状況を示すものではない。

資料が示しているのは、現金給与総額が前年度比1.3%増えたこと、実質賃金が2.2%低下したこと、その低下が2年連続であることです。昇給分をどう配分すべきかや、先取り貯蓄の額は書かれていません。この回の配分はこちらで置いた例です。資料の数字は全国の平均で、個人の昇給を示すものでもありません。

出典 JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」 / 2026年9月時点の情報

見抜く

誤解しやすい点や、見落としがちなリスクを見抜きます。

昇給10,000円のうち、貯蓄に増やせるのは_です。

  • A 100%

    生活費が上がらない場合の話です。

  • B 80%

    80%は生活費の上昇に行く割合です。

  • C 20% 正解

    正解です。2,000 ÷ 10,000 = 0.20です。

  • D 50%をこえる

    半分にもなりません。

2,000 ÷ 10,000 の分です。

見抜く家計を整える★★★★
昇給 10,000円→生活費の上昇 8,000円(80%)→貯蓄に増やせる額 2,000円(20%)→年では 120,000円のうち24,000円

生活水準を上げたのではなく、同じ生活を続けるために消えている。

2,000 ÷ 10,000 = 0.20なので20%です。80%は生活費の上昇に行く8,000円のほうの割合で、20 + 80 = 100になります。100%にするには生活費が上がらない場合しかありません。昇給の額をそのまま貯蓄に足せると考えると、8,000円足りなくなります。

出典 JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」 / 2026年9月時点の情報

手取りが10,000円増えました。

昇給額だけでは分からないのは、どれですか。

  • A 増えた額

    増えた額は記録から分かります。

  • B 生活費の増え方 正解

    正解です。生活費は給与の記録にありません。

  • C 手取りの額

    手取りの額も記録にあります。

  • D 昇給した月の日付

    日付も記録にあります。

生活費は給与の記録には出てきません。

見抜く家計を整える★★★★

手取り300,000円から10,000円昇給したAさん

昇給前
先取り30,000円・生活費270,000円(10.0%)
全部貯蓄に回す
先取り40,000円・生活費270,000円(8,000円不足)
生活費を先に引く
先取り32,000円・生活費278,000円
増やせる額
2,000円(昇給の20%)
貯蓄率
10.0% → 約10.3%

増えた額10,000円も、昇給後の手取り310,000円も、昇給した月も、給与の記録から分かります。分からないのは生活費がいくら増えたかです。8,000円増えていれば貯蓄に回るのは2,000円、増えていなければ10,000円。同じ昇給でも、貯蓄に回る額は生活費のほうで決まります。資料の実質賃金も、物価を合わせて見て初めて出てきます。

出典 JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」 / 2026年9月時点の情報

資料の名目の上昇率を、大きい順に並べてください。

答え +7.7%(パートタイム労働者・金融業、保険業) → +6.6%(就業形態計・不動産・物品賃貸業) → +2.4%(パートタイム労働者の現金給与総額) → +1.3%(就業形態計の現金給与総額)

産業をしぼった数字のほうが大きくなります。

見抜く家計を整える★★★★
  1. パート・金融業、保険業+7.7%
  2. 計・不動産・物品賃貸業+6.6%
  3. パートの現金給与総額+2.4%
  4. 計の現金給与総額+1.3%

いずれも名目の前年度比。実質は就業形態計でマイナス2.2%。

+7.7%(パートタイム労働者の金融業、保険業)、+6.6%(就業形態計の不動産・物品賃貸業)、+2.4%(パートタイム労働者の現金給与総額)、+1.3%(就業形態計の現金給与総額)の順です。産業をしぼると大きな数字が出ますが、全体でならすと1.3%。どの範囲を切り取ったかで見える数字が変わります。

出典 JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」 / 2026年9月時点の情報

ケースで考える

具体的な条件のもとで考えます。

昇給して手取りが310,000円になりました。物価が上がって、生活費は278,000円かかります。

無理なく回せる先取り額は、いくらですか。

答え 32000円

310,000 − 278,000 の分です。

ケース家計を整える★★★
  • 310,000円昇給後の手取り
  • 278,000円物価上昇後の生活費
  • 32,000円無理なく回せる先取り
  • 30,000円昇給前の先取り

金額はこちらで置いた例。昇給1万円はミッションの指定額。

310,000 − 278,000 = 32,000円です。昇給前の先取りは30,000円でしたから、増やせるのは2,000円です。先に生活費を引いてから残りを先取りにする、という順序で出しています。逆に先取りを先に決めると、生活費が足りるかどうかは月末まで分かりません。

出典 JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」 / 2026年9月時点の情報

手取り300,000円が310,000円になりました。

昇給の率は、どれですか。

  • A 約3.3% 正解

    正解です。10,000 ÷ 300,000 ≒ 0.033です。

  • B 約3.2%

    昇給後の額を分母にしています。

  • C 約1.0%

    約1.0%になる割り算はありません。

  • D 約30倍になる

    割る向きが逆になっています。

10,000 ÷ 300,000 の分です。

ケース家計を整える★★★
10,000÷300,000×100=約3.3%

10,000 ÷ 300,000 = 0.0333…なので約3.3%です。約3.2%は昇給後の310,000円を分母にした場合(10,000 ÷ 310,000)で、上がる前を分母にするのが約束です。約1.0%になる割り算はありません。約30倍は割る向きを逆にした場合。資料の賃金の上昇率も、前年度を分母にした前年度比で書かれています。

出典 JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」 / 2026年9月時点の情報

無理なく回せる先取りは32,000円で、昇給前は30,000円でした。

増やせるのは、いくらですか。

答え 2000円

32,000 − 30,000 の分です。

ケース家計を整える★★★★
  1. 昇給後の手取り(310,000円)
  2. 物価上昇後の生活費(278,000円)
  3. 無理なく回せる先取り(310,000 − 278,000 = 32,000円)
  4. 昇給前の先取り(30,000円)
  5. 増やせる額(32,000 − 30,000 = 2,000円)

昇給10,000円のうち8,000円は生活費の上昇に行く。

32,000 − 30,000 = 2,000円です。昇給は10,000円ありましたが、貯蓄に回るのはそのうち2,000円だけ。残りの8,000円は生活費の上昇に消えています。生活水準を上げたわけではなく、同じ生活を続けるために必要になった額です。昇給の額と、貯蓄に回る額は別のものになります。

出典 JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」 / 2026年9月時点の情報

昇給後の手取りは310,000円で、先取りは32,000円にしました。

貯蓄率は、どれくらいですか。

  • A 約10.3% 正解

    正解です。32,000 ÷ 310,000 ≒ 0.103です。

  • B 約12.9%

    約12.9%は40,000円にした場合です。

  • C 約10.0%

    約10.0%は昇給前の貯蓄率です。

  • D 約16.0%をこえる

    16.0%にはなりません。

32,000 ÷ 310,000 の分です。

ケース家計を整える★★★★
  • 昇給前の貯蓄率(%)
  • 昇給後の貯蓄率(%)

昇給は約3.3%あったが、貯蓄率は0.3ポイントしか上がらない。

32,000 ÷ 310,000 = 0.10322…なので約10.3%です。昇給前は 30,000 ÷ 300,000 = 10.0%でしたから、0.3ポイントしか上がりません。約12.9%は昇給分を全部足して40,000円にした場合ですが、そのときは生活費が8,000円足りません。数字が上がっても、続けられなければ意味が変わります。

出典 JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」 / 2026年9月時点の情報

毎月2,000円ずつ先取りを増やせるとします。

1年で増える貯蓄は、いくらですか。

答え 24000円

2,000 × 12 の分です。

ケース家計を整える★★★★
  • 昇給の年額(円)
  • 生活費の上昇の年額(円)
  • 貯蓄が増える年額(円)

120,000 − 96,000 = 24,000 で確かめられる。

2,000 × 12 = 24,000円です。昇給は年でいえば 10,000 × 12 = 120,000円ありますが、生活費の上昇 8,000 × 12 = 96,000円が先に出ていきます。120,000 − 96,000 = 24,000円で、確かめが合います。昇給の年額と、貯蓄が増える年額は5倍近く違います。

出典 JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」 / 2026年9月時点の情報

判断する

実際の場面で、何を確認すべきかを判断します。

昇給で10,000円増えましたが、物価が上がって生活費も増えました。

次に確かめるのは、どれでしょう。

  • A 生活費がいくら増えたか 正解

    正解です。ここで回せる額が決まります。

  • B 去年の手取りとの差

    去年との差は昇給額のことです。

  • C 同年代の平均昇給額

    平均では判断できません。

  • D いちばん昇給が多かった年

    過去の年でも判断できません。

貯蓄に回せる額は、そこで決まります。

判断家計を整える★★★★
昇給10,000円と物価上昇が同時に来る
  • 生活費を先に引く → 増やせるのは2,000円
  • 昇給分を全部足す → 生活費が8,000円足りない
  • 生活費を確かめない → 月末まで分からない
  • 年で見る → 120,000円のうち24,000円が残る

金額はこちらで置いた例。

生活費が8,000円増えていれば、先取りに増やせるのは2,000円。増えていなければ10,000円です。同じ昇給でも、貯蓄に回る額は生活費のほうで決まります。去年の手取りとの差は昇給額そのもの、同年代の平均や過去にいちばん昇給が多かった年からは、今月いくら回せるかは出てきません。

出典 JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」 / 2026年9月時点の情報

「1万円昇給したから、先取りも1万円増やせるでしょう」と聞きました。

確かめるのは、どれでしょう。

  • A 昇給額だけ

    昇給額だけでは分かりません。

  • B 去年との差

    去年との差でも分かりません。

  • C 貯蓄率だけ

    貯蓄率だけでも分かりません。

  • D 生活費の増え方 正解

    正解です。生活費の増え方を見ます。

昇給分から、先に生活費の上昇を引きます。

判断家計を整える★★★

メリット

  • 生活費を先に引けば、増やせる額が数で出る
  • 年で見れば、昇給と貯蓄の増え方の違いが分かる

デメリット

  • 昇給額をそのまま足すと、生活費が足りなくなる
  • 貯蓄率の数字は上がっても、続けられないことがある

いくら回すべきかは、この回では決めない。

生活費が8,000円増えていれば、増やせるのは2,000円です。昇給額を見ても、貯蓄率を見ても、去年との差を見ても、その8,000円は出てきません。資料でも名目は+1.3%なのに実質はマイナス2.2%でした。上がった数字と残った数字は別です。いくら回すべきかは人によって違うので、ここでは決めません。

出典 JILPT「実質賃金が2年連続で前年度比マイナス」 / 2026年9月時点の情報

読んだら、解いて確かめる

会員登録をすると、経験値と連続学習日数が記録され、間違えた問題だけをあとで解き直せます。

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