収入を管理する

昇給したら家賃も上げていい?

増えた収入は割れますが、上げた家賃は割れません。

このページの要点

増えた手取り20,000円の内訳が、昇給8,000円と残業代12,000円だったとします。家賃を20,000円上げたあとで残業が減ると、毎月12,000円足りません。2年で288,000円です。借地借家法第三十二条が借賃の増減を請求できる場合として並べているのは、租税その他の負担の増減、価格の上昇低下その他の経済事情の変動、近傍同種の建物の借賃との比較。借主の収入は入っていません。

最終更新 2026年9月11日 / 全 15 問 ・知る 3 ・わかる 2 ・見抜く 3 ・ケースで考える 5 ・判断する 2

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目次 全 15 問

知る 3 問

  1. 住居費
  2. 住居費
  3. 住居費

わかる 2 問

  1. 住居費
  2. 家計の余力

見抜く 3 問

  1. 固定費
  2. 住居費
  3. 可処分所得

ケースで考える 5 問

  1. 可処分所得
  2. 家計の余力
  3. 固定費
  4. 家計の余力
  5. 固定費

判断する 2 問

  1. 固定費
  2. 住居費

知る

このテーマを理解するために必要な基本を押さえます。

借地借家法の第三章は、建物の賃貸借についていくつかのことを定めています。

それぞれ、どう定めていますか。

答え 第二十六条 … 期間満了の一年前から六月前までに通知しなければ、同一の条件で更新したものとみなす/第二十七条 … 賃貸人が解約の申入れをした場合、六月を経過することによって終了する/第二十九条 … 期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがないものとみなす/第三十二条 … 借賃が不相当となったとき、当事者は将来に向かって増減を請求できる

期間と、借賃の増減が別に定められています。

知る収入を管理する★★★★
第二十六条 → 通知がなければ、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなす第二十七条 → 賃貸人の解約の申入れの日から六月を経過して終了第二十九条 → 一年未満の期間は、期間の定めがないものとみなす第三十二条 → 借賃が不相当となったとき、将来に向かって増減を請求できる

第三十条は、この節の規定に反する特約で賃借人に不利なものを無効としている。

第二十六条は更新、第二十七条は賃貸人からの解約、第二十九条は一年未満の期間の扱い、第三十二条は借賃の増減を請求できる場合。契約は放っておくと同じ条件で続く形になっていて、家賃の額を動かすには別の条文が要ります。

出典 e-Gov法令検索「借地借家法」 / 2026年9月時点の情報

四つの言い分を、一つずつ確かめてください。

  • A 借賃の増減を請求できるのは不相当となったとき 正解

    通ります。第三十二条にその場合が並んでいます。

  • B 賃貸人の解約申入れは三月で終了する

    六月を経過することによって終了します。

  • C 期間を一年未満とする賃貸借は有効な期間となる

    期間の定めがないものとみなされます。

  • D 借賃を増額しない特約があっても効力はない

    その定めに従う、と書かれています。

第三十二条にその場合が並んでいます。

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借地借家法 第三章で確かめたこと

  • 第二十六条 通知がなければ、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなす
  • 第二十七条 賃貸人の解約の申入れの日から六月を経過して終了
  • 第二十八条 賃貸人からの更新拒絶や解約には正当の事由が必要
  • 第二十九条 期間を一年未満とする賃貸借は、期間の定めがないものとみなす
  • 第三十二条 借賃が不相当となったとき、当事者は増減を請求できる

第三十二条には、増額しない旨の特約があるときはその定めに従うというただし書きがある。

第三十二条は、租税その他の負担の増減、価格の上昇低下その他の経済事情の変動、近傍同種の建物の借賃との比較で不相当となったときに増減を請求できるとしています。賃貸人の解約の申入れは第二十七条で「六月を経過することによって終了」。一年未満の期間は「期間の定めがない」とみなされ、増額しない旨の特約があるときは「その定めに従う」とされています。

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第三十二条では、建物の借賃が近傍同種の建物の借賃に比較して_となったときは、当事者は将来に向かって増減を請求することができる、とされています。

  • A 不相当 正解

    正解です。条文の言葉は「不相当」です。

  • B 不均衡

    条文では使われていない言葉です。

  • C 高額

    高いか安いかだけの話ではありません。

  • D 同額

    同額とは書かれていません。

条文の言葉は「不相当」です。

知る収入を管理する★★★
第三十二条が挙げる場合中身
租税その他の負担の増減土地や建物にかかる負担が増えたり減ったりしたとき
価格の上昇若しくは低下土地や建物の価格が動いたとき。その他の経済事情の変動も含む
近傍同種の建物の借賃比較して不相当となったとき
ただし書き一定の期間増額しない旨の特約があるときは、その定めに従う

借主の収入が増えたこと、減ったことは、ここに並んでいない。

第三十二条は「近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったとき」に、当事者が将来に向かって増減を請求できるとしています。比べる相手は近くの同じような建物の借賃であって、借主の収入ではありません。ここが、収入と家賃が連動しない理由になります。

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わかる

仕組みや計算のしかたを確かめます。

Aさんは「手取りが20,000円増えたから、家賃も20,000円高い部屋にしよう」と考えました。

どう考えますか。

  • A 20,000円まるごと上げてよい

    続かない分まで含めることになります。

  • B 続く分がどれかを見る 正解

    正解です。20,000円のうち12,000円は残業代の分です。

  • C 家賃は上げられない

    上げられないわけではありません。

  • D 手取りと家賃は無関係

    家賃は手取りから出ていきます。

20,000円のうち12,000円は残業代の分です。

わかる収入を管理する★★★

続く見込みの分を土台にして、上げる額を決める

増えた手取りの合計をそのまま家賃の上げ幅にする

増えた20,000円のうち、続く見込みは8,000円。

家賃は契約で決まり、毎月同じ額が出ていきます。一方、残業代は働いた時間で変わります。続かないかもしれない分まで含めて家賃を決めると、その分が減ったときに差が残ります。上げられないわけではなく、どこまでを土台にするかという話です。

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毎月12,000円の不足が2年続くと288,000円になりました。

この288,000円は、何を表していますか。

  • A 引っ越し前の家賃の2年分

    引っ越し前の家賃の額は、この回では出していません。

  • B 2年で足りなくなる額 正解

    正解です。家賃の増加と続く増収の差の分です。

  • C 昇給による分の2年分

    昇給による分は2年で192,000円です。

  • D 残業代の2年分

    残業代の分は、減ったほうです。

家賃の増加と続く増収の差の分です。

わかる収入を管理する★★★★

上げた家賃 月20,000円

  • 続いている増収 月8,000円(昇給による分)
  • 残業代の分 月12,000円(なくなった)
  • 毎月の不足 12,000円
  • 1年で144,000円/2年で288,000円

支出の側は契約で決まった額のまま動かない。

家賃の増加20,000円と、続いている増収8,000円の差12,000円を24か月ぶん積んだ額です。引っ越し前の家賃の2年分ではありません。昇給による分は月8,000円で2年なら192,000円、残業代の分は月12,000円ですが、こちらは減っています。

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見抜く

誤解しやすい点や、見落としがちなリスクを見抜きます。

この資料とこの回の計算から言えるのは、どれでしょう。

答え 通知がなければ、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなされる/借賃の増減を請求できる場合に、借主の収入は挙げられていない/増えた手取りの中には、続かない分が混ざっていることがある

家賃は20,000円のままでした。

見抜く収入を管理する★★★★

収入の側と支出の側で、動き方が違うことを先に見ておく

増えた手取りと同じだけ家賃を上げて、あとは同じだと考える

この回では収入の増加だけが8,000円に戻り、家賃は20,000円のまま。

更新のみなしも、第三十二条の並びも条文のとおりです。この回では手取りの増加が20,000円から8,000円に戻る一方、家賃の増加は20,000円のまま。第二十九条では、一年未満の期間は「期間の定めがない建物の賃貸借とみなす」とされています。

出典 e-Gov法令検索「借地借家法」 / 2026年9月時点の情報

「収入が減ったのだから、家賃も下げてもらえるはずだ」と考えました。

条文で見ると、どうですか。

  • A そのとおり下げてもらえる

    収入を理由とする定めはありません。

  • B 収入は理由に入っていない 正解

    正解です。第三十二条に並んでいるのは別の事情です。

  • C 家賃は下げられない

    減額の請求そのものはできます。

  • D 契約はいつでも終えられる

    いつでも終えられるとは書かれていません。

第三十二条に並んでいるのは別の事情です。

見抜く収入を管理する★★★★

収入の側

  • 昇給による分 8,000円は続く見込み
  • 残業代の分 12,000円は月ごとに変わる
  • 増えた分を二つに割れる

家賃の側

  • 契約で決めた額が毎月出ていく
  • 増減の請求ができる場合は条文に並んでいる
  • 借主の収入はその中に入っていない

割れる側と、割れない側がある。

第三十二条が挙げているのは、租税その他の負担の増減、土地や建物の価格の上昇低下その他の経済事情の変動、近傍同種の建物の借賃との比較です。減額を請求できないわけではありませんが、その理由として借主の収入は挙げられていません。契約の終わり方も、条文と契約の定めによります。

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この回では、増えた手取り20,000円を8,000円と12,000円に割りました。

それは、なぜですか。

  • A 続かない分があるから 正解

    正解です。残業代は働いた時間で変わります。

  • B 手取りの桁が大きいから

    桁の大きさの話ではありません。

  • C 明細の行が多いから

    行の数は、計算に入ってきません。

  • D 家賃の名前が違うから

    名前は、計算に入ってきません。

残業代は働いた時間で変わります。

見抜く収入を管理する★★★★
8,000円(続く見込みの分)÷20,000円(増えた手取り)×10040%

20,000円という合計のままでは、来月も同じかどうかが分かりません。割ってみると、続く見込みは8,000円で全体の40%。家賃のほうは契約で決まった額が毎月出ていくので、割れません。割れる側だけを割っておくと、差がどこから出るかが見えます。

出典 e-Gov法令検索「借地借家法」 / 2026年9月時点の情報

ケースで考える

具体的な条件のもとで考えます。

Aさんの手取りが月20,000円増えました。明細を見ると、そのうち12,000円は残業代が増えた分でした(この2つの額は、明細に書かれていた額としてこちらで置いた仮の数字です)。

昇給による分は、いくらですか。(単位:円)

答え 8000円

20,000 − 12,000 で、8,000円です。

ケース収入を管理する★★★
  1. 増えた手取り 20,000円
  2. うち残業代が増えた分 12,000円
  3. 昇給による分 8,000円
  4. 続く分は全体の40%

内訳の額は、明細に書かれていた額としてこちらで置いた仮の数字。

増えた20,000円は、続く見込みの8,000円と、働いた時間で変わる12,000円に分かれます。割合でいえば、続く分は40%。この40%の中で考えるか、20,000円全部で考えるかで、決められる家賃の額が変わります。

出典 e-Gov法令検索「借地借家法」 / 2026年9月時点の情報

引っ越して家賃を20,000円上げた数か月後、残業が減って残業代の分12,000円がなくなりました。手取りの増加は、昇給による8,000円だけになります。

毎月いくら足りなくなりますか。(単位:円)

答え 12000円

20,000 − 8,000 で、12,000円です。

ケース収入を管理する★★★
  • 20,000円上げた家賃
  • 8,000円続いている増収
  • 12,000円毎月の不足
  • 40%続く分でまかなえる割合

減った残業代の分が、そのまま不足額になっている。

家賃の増加20,000円に対して、続いている増収は8,000円。差の12,000円は、ほかのところから回すことになります。減ったのは残業代の分ちょうどですから、消えた12,000円がそのまま不足額になりました。

出典 e-Gov法令検索「借地借家法」 / 2026年9月時点の情報

残業代の分12,000円がなくなりました。家賃は引っ越したときに決めた額です。

家賃は、どうなりますか。

  • A 家賃も自動で12,000円下がる

    自動で下がる定めはありません。

  • B 契約が自動で終わる

    自動で終わる定めもありません。

  • C 家賃は半分になる

    半分になる定めもありません。

  • D 家賃は20,000円高いまま 正解

    正解です。収入と連動する定めはありません。

収入と連動する定めはありません。

ケース収入を管理する★★★★
残業代の分12,000円がなくなった
  • 手取りの増加 → 20,000円から8,000円へ
  • 家賃の増加 → 20,000円のまま動かない
  • 毎月の差 → 12,000円が残る

収入の側は月ごとに動くが、家賃は契約で決まっている。

第三十二条が増減を請求できる場合として並べているのは、租税その他の負担の増減、価格の上昇低下その他の経済事情の変動、近傍同種の建物の借賃との比較です。借主の収入が減ったこと自体は、そこに書かれていません。契約も、通知がなければ同一の条件で更新したものとみなされます。

出典 e-Gov法令検索「借地借家法」 / 2026年9月時点の情報

毎月12,000円足りない状態が、12か月続くとします。

1年では、いくら足りなくなりますか。(単位:円)

答え 144000円

12,000 × 12 で、144,000円です。

ケース収入を管理する★★★
  • 1か月の不足(円)
  • 1年の不足(円)

家賃の増加20,000円は、契約が続くあいだ毎月出ていく。

月では12,000円でも、1年では144,000円になります。家賃は毎月同じ額が出ていくので、この不足も毎月やってきます。残業がまた増えれば埋まりますが、それは月ごとに変わる分です。埋まるかどうかを毎月確かめることになります。

出典 e-Gov法令検索「借地借家法」 / 2026年9月時点の情報

Aさんの契約の期間は2年です(この期間は、この回でこちらが置いた設定です)。毎月12,000円足りない状態が続くとします。

2年では、いくら足りなくなりますか。(単位:円)

答え 288000円

12,000 × 24 で、288,000円です。

ケース収入を管理する★★★
  • 1年の不足(円)
  • 2年の不足(円)

通知がなければ、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなされる。

1年の144,000円を2倍しても同じ額になります。第二十六条では、期間の満了の一年前から六月前までに通知がなければ、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなされます。放っておけば同じ条件で続く形なので、期間が終わったら自動で軽くなるわけではありません。

出典 e-Gov法令検索「借地借家法」 / 2026年9月時点の情報

判断する

実際の場面で、何を確認すべきかを判断します。

この回では、増えた手取りの内訳・上げた家賃・契約の期間を並べました。

不足が出るかどうかを出すとき、役に立たないのはどれですか。

  • A 増えた手取りの内訳

    続く分と続かない分に割れます。

  • B 上げた家賃の額

    毎月出ていく額です。

  • C 部屋の窓の向き 正解

    正解です。窓の向きは、計算に入ってきません。

  • D 契約の期間

    不足が何か月ぶん積むかを決めます。

窓の向きは、計算に入ってきません。

判断収入を管理する★★★
増えた手取り → 20,000円(8,000円+12,000円)上げた家賃 → 20,000円残業代が減ったあと → 毎月12,000円の不足契約の期間 → 2年で288,000円

第三十二条の増減請求の理由に、借主の収入は挙げられていない。

この回の計算に入ってきたのは、増えた手取りの内訳8,000円と12,000円、上げた家賃20,000円、そして契約の期間でした。どれか一つが変われば、不足の額も変わります。部屋の窓がどちらを向いているかは、そのどこにも入ってきません。家賃が高いか安いかより先に、続く収入で払えるかを見る形になります。

出典 e-Gov法令検索「借地借家法」 / 2026年9月時点の情報

昇給を受けて、家賃を上げるかどうか考えています。

確かめるのは、どれでしょう。

  • A 続く分だけで払えるか 正解

    正解です。続かない分は、当てにできません。

  • B 同僚の家賃を聞く

    他人の家賃は、自分の内訳を教えてくれません。

  • C 手取りの合計だけ見る

    合計には、続かない分が混ざっています。

  • D 駅からの距離を測る

    距離は、計算に入ってきません。

続かない分は、当てにできません。

判断収入を管理する★★★

引っ越しを考えているAさん

増えた手取り
20,000円
うち続く見込み
8,000円(40%)
上げた家賃
20,000円
残業代が減ったあとの不足
毎月12,000円
2年では
288,000円

内訳の額は、明細と契約に書かれていた額としてこちらで置いた仮の数字。

この回では、増えた20,000円のうち続く見込みは8,000円でした。20,000円で決めると、残業が減ったときに毎月12,000円の差が残ります。家賃は契約で決まった額が毎月出ていき、第三十二条の増減請求の理由に借主の収入は挙げられていません。

出典 e-Gov法令検索「借地借家法」 / 2026年9月時点の情報

読んだら、解いて確かめる

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