経常利益と当期純利益の違いとは?財務諸表から企業の稼ぐ力を読み解く

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はじめに

企業の財務状況を把握する上で、損益計算書は非常に重要なツールです。損益計算書には、売上高から始まり、最終的な利益である当期純利益まで、企業の経営成績が段階的に示されています。中でも、経常利益当期純利益は、企業の収益性を評価する上で特に重要な指標です。しかし、これらの違いを正確に理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。

この記事では、経常利益と当期純利益の違いについて、高校生や新社会人の方にもわかりやすく解説します。それぞれの定義、計算方法、そして企業分析における重要性について、具体的な例を交えながら掘り下げていきます。この記事を読めば、財務諸表から企業の本当の稼ぐ力を読み解くことができるようになるでしょう。

この記事を通じて、「営業利益」に利息などの損益を加えた「経常利益」と、最終的に会社に残る「当期純利益」の違いを理解し、企業分析に役立てていきましょう。

企業の財務諸表を読むことは、まるで企業の健康診断の結果を見るようです。どの項目が重要で、何に注意すべきかを知ることで、より深く企業を理解できます。

経常利益とは?企業の総合的な収益力を把握しよう

経常利益は、企業の通常の事業活動全体で得た利益を示す指標です。これは、本業である営業活動による利益(営業利益)に、本業以外の活動から生じる収益と費用(営業外損益)を加味したものです。つまり、経常利益を見ることで、企業が本業だけでなく、財務活動や投資活動など、すべての活動を通じてどれだけ稼ぐ力があるのかを総合的に判断できます。

具体的には、以下の計算式で求められます。

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 – 営業外費用

例えば、あるアパレル会社の場合を考えてみましょう。その会社の本業である衣料品の販売による利益(営業利益)が1億円だったとします。さらに、銀行預金の利息として100万円の営業外収益があり、借入金の利息として500万円の営業外費用があった場合、経常利益は以下のように計算されます。

経常利益 = 1億円 + 100万円 – 500万円 = 9600万円

この例からわかるように、経常利益は、企業の総合的な収益力を示す重要な指標なのです。

経常利益を知ることで、企業の「通常の事業活動全体(本業+本業以外)」での儲けを知ることができます。これは、営業利益(本業の儲け)だけでなく、受取利息や支払利息なども含めた、企業全体の収益力を測る上で不可欠な情報となります。たとえば、本業が不調でも、投資による収益で経常利益を確保している企業も存在します。

企業を評価する際、経常利益は「企業の体質」を見る上で非常に役立ちます。一時的な要因に左右されにくい、企業の本来の収益力を知ることができるからです。

営業外損益とは?受取利息と支払利息を理解しよう

営業外損益とは、企業の本業以外の活動から生じる収益と費用のことです。これは、企業の財務活動や投資活動など、営業活動以外の活動によって得られるものです。営業外損益は、経常利益を計算する上で重要な要素となります。

営業外収益の主な例としては、以下のものがあります。

  • 受取利息: 銀行預金や貸付金などから得られる利息
  • 受取配当金: 株式や投資信託などから得られる配当金
  • 有価証券売却益: 保有する有価証券を売却して得られる利益
  • 為替差益: 外貨建ての資産や負債の為替レート変動によって生じる利益

一方、営業外費用の主な例としては、以下のものがあります。

  • 支払利息: 借入金や社債などに対する利息
  • 有価証券売却損: 保有する有価証券を売却して発生する損失
  • 為替差損: 外貨建ての資産や負債の為替レート変動によって生じる損失

ここで、クイズの問題を振り返ってみましょう。「営業外費用に含まれる支出として、最も典型的なものは次のうちどれか?」という問いに対して、正解は「銀行への支払利息」でした。これは、借入金への利息支払いが、本業の営業活動以外にかかる費用(営業外費用)の典型例だからです。

営業外収益と営業外費用は、企業の財務戦略や資金調達方法によって大きく変動します。例えば、多額の借入金がある企業は、支払利息が大きくなり、経常利益を圧迫する可能性があります。逆に、豊富な資金を運用している企業は、受取利息や受取配当金が多くなり、経常利益を押し上げる効果があります。

営業外損益は、本業以外の収益や費用であり、受取利息、受取配当金、支払利息、為替差損益などが含まれます。これらは、企業の財務戦略や資金調達方法によって大きく変動し、経常利益に影響を与えます。

営業外損益は、企業が本業以外でどれだけ上手くお金を管理・運用しているかを示すバロメーターです。ここをチェックすることで、企業の隠れた強みや弱みが見えてくることもあります。

当期純利益とは?最終的な会社の儲けを把握しよう

当期純利益は、企業の1年間のすべての活動を通じて最終的に得られた利益を示す指標です。これは、経常利益から、特別損益法人税等を差し引いたものです。つまり、当期純利益は、企業が1年間にどれだけ純粋に儲けたのかを示す、最も重要な指標の一つと言えるでしょう。

具体的には、以下の計算式で求められます。

当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 – 特別損失 – 法人税等

特別損益とは、通常の事業活動とは異なる、臨時的な事象によって生じる損益のことです。例えば、固定資産の売却益や災害による損失などが該当します。法人税等は、企業の利益に対して課せられる税金のことで、法人税、住民税、事業税などが含まれます。

当期純利益は、企業の株主にとって非常に重要な指標です。なぜなら、当期純利益は、株主への配当金の原資となるからです。また、当期純利益は、企業の将来の成長のための投資にも利用されます。したがって、当期純利益が高い企業は、株主にとって魅力的な投資対象となります。

ここで、クイズの問題を振り返ってみましょう。「当期純利益が経常利益より大幅に低い場合、財務諸表のどの項目をチェックすべきか?」という問いに対して、正解は「特別損益と法人税等」でした。これは、経常利益から特別損益を加減し、法人税等を引いたものが当期純利益であるため、差が大きい場合はこれらをチェックする必要があるからです。

当期純利益は、経常利益から特別損益・税金を引いた額であり、最終的に会社に残る純粋な儲けです。これは、株主への配当金等の原資となり、企業の将来の成長のための投資にも利用されます。当期純利益を知ることで、企業の最終的な収益力を把握することができます。

当期純利益は、企業が一年間頑張った結果の通信簿のようなものです。ただし、特別な出来事が大きく影響することもあるので、一概に良い悪いを判断するのではなく、その背景を理解することが大切です。

特別損益と税金:当期純利益に与える影響

特別損益は、企業の通常の事業活動とは異なる、臨時的な事象によって生じる損益です。これは、毎期継続的に発生するものではなく、一時的・例外的に発生するものです。特別損益は、当期純利益を計算する上で重要な要素となります。

特別利益の主な例としては、以下のものがあります。

  • 固定資産売却益: 土地や建物などの固定資産を売却して得られる利益
  • 投資有価証券売却益: 長期保有目的の有価証券を売却して得られる利益
  • 保険差益: 災害などによる損害保険金を受け取って得られる利益

一方、特別損失の主な例としては、以下のものがあります。

  • 固定資産売却損: 土地や建物などの固定資産を売却して発生する損失
  • 投資有価証券売却損: 長期保有目的の有価証券を売却して発生する損失
  • 災害による損失: 地震や台風などの自然災害によって発生する損失
  • 減損損失: 固定資産の価値が著しく低下した場合に計上する損失

法人税等は、企業の利益に対して課せられる税金のことで、法人税、住民税、事業税などが含まれます。法人税等は、当期純利益を計算する上で重要な要素となります。法人税等の金額は、企業の利益の額や税率によって変動します。

特別損益と法人税等は、当期純利益に大きな影響を与えます。例えば、特別損失が発生した場合、当期純利益は大幅に減少します。また、法人税等の税率が上昇した場合も、当期純利益は減少します。

ここで、クイズの問題を振り返ってみましょう。「ある会社の営業利益が10億円、受取利息が1億円、支払利息が2億円だった。経常利益はいくらか?」という問いに対して、正解は9億円でした。経常利益は「営業利益+受取利息-支払利息」で計算します。10億円+1億円-2億円=9億円です。

この計算からわかるように、営業利益に営業外損益を加味することで、より企業の全体的な収益力を把握することができます。

特別損益は一時的・例外的な損益であり、税金(法人税、住民税、事業税)は当期純利益に大きな影響を与えます。これらの要素を理解することで、企業の最終的な収益力をより正確に把握することができます。

特別損益は、企業の決算書における「サプライズ」のようなものです。予想外の利益が出たり、思わぬ損失が発生したり。企業の将来を予測する上で、これらの情報を見逃さないようにしましょう。

投資家が重視する利益:安定した稼ぐ力を見抜く

投資家や銀行は、企業の安定した稼ぐ力を重視するため、経常利益営業利益を特に重視します。当期純利益は最終的な儲けですが、特別損益や税金の増減で大きく変動することがあり、純粋な事業の実力把握には注意が必要です。

経常利益は、企業の通常の事業活動全体で得た利益を示すため、企業の総合的な収益力を評価する上で非常に役立ちます。営業利益は、本業である営業活動による利益を示すため、企業のコアビジネスの収益力を評価する上で重要です。

当期純利益は、企業の最終的な儲けを示すため、株主への配当金の原資となる重要な指標です。しかし、当期純利益は、特別損益や税金の増減によって大きく変動する可能性があるため、企業の事業の実力を正確に反映しているとは限りません。

ここで、クイズの問題を振り返ってみましょう。「企業の実力や安定性を判断する上で、投資家が最も重視する傾向にある利益はどれか?」という問いに対して、正解は「経常利益」でした。当期純利益は一時的な特別損益や税金で変動しやすいため、安定した実力を見るには経常利益が適しています。

投資家が企業を評価する際には、単に当期純利益だけでなく、経常利益や営業利益など、さまざまな指標を総合的に判断することが重要です。また、企業の財務諸表だけでなく、企業のビジネスモデルや業界の動向なども考慮に入れることが重要です。

投資家や銀行は、企業の「安定した稼ぐ力」を重視するため、経常利益と営業利益を特に重視します。当期純利益は最終的な儲けですが、特別損益や税金の増減で大きく変動することがあり、純粋な事業の実力把握には注意が必要です。企業の継続的な収益力を見るためには、経常利益に着目することが重要です。

投資家は、企業の「今」だけでなく「未来」を見ています。だからこそ、一時的な利益よりも、安定して稼ぐ力があるかどうかを重視するのです。経常利益は、その判断材料として非常に重要な情報を提供してくれます。

まとめとやるべきアクション

この記事では、経常利益と当期純利益の違いについて解説しました。経常利益は、企業の通常の事業活動全体で得た利益を示す指標であり、営業利益に営業外損益を加味したものです。当期純利益は、企業の1年間のすべての活動を通じて最終的に得られた利益を示す指標であり、経常利益から特別損益と法人税等を差し引いたものです。

経常利益と当期純利益は、企業の収益性を評価する上で重要な指標ですが、それぞれの意味を正確に理解し、適切に活用することが重要です。投資家や銀行は、企業の安定した稼ぐ力を重視するため、経常利益と営業利益を特に重視します。当期純利益は最終的な儲けですが、特別損益や税金の増減で大きく変動することがあり、純粋な事業の実力把握には注意が必要です。

財務諸表を読むことは、企業を理解するための第一歩です。今回学んだ経常利益と当期純利益の違いを理解することで、企業の収益性をより深く分析し、投資判断やキャリア形成に役立てることができます。

今話題の企業の決算短信で、営業利益、経常利益、当期純利益の3つが、それぞれどのような金額になっているか確認してみましょう。実際に数字を見ることで、より理解が深まるはずです。

財務分析は、まるでパズルを解くようなものです。一つ一つのピース(指標)を理解し、組み合わせることで、企業の全体像が見えてきます。この記事が、皆さんの金融リテラシー向上のための第一歩となることを願っています。

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