先取り貯金は手取りの何%が正解?無理なくお金が増える「黄金比率」の決め方

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はじめに

「先取り貯金が良いことはわかったけれど、具体的にいくら設定すればいいの?」

「毎月3万円貯金しているけれど、これで十分なのか不安」

「貯金を頑張りすぎて、毎月の生活が苦しい」

貯金を始めようとしたとき、あるいは家計を見直そうとしたとき、多くの人がぶつかる壁が「金額設定」です。

目標額が高すぎれば日々の生活が圧迫されて続きませんし、逆に低すぎれば将来必要な資金が確保できません。自分にとっての「ちょうどいい金額」を見つけることは、資産形成を長く続けるための生命線とも言えます。

実は、貯金の設定額には「絶対的な正解」はありませんが、多くのファイナンシャルプランナーや資産家が推奨する「黄金の目安」が存在します。それが「手取り月収の10%~25%」という数字です。

この記事では、なぜその割合が良いとされるのか、自分の収入やライフステージに合わせてどう調整すればいいのかを、具体的なシミュレーションを交えて解説します。

単なる「金額」ではなく「割合(貯蓄率)」で考える思考法を身につければ、収入が増減しても迷うことなく、着実に資産を築いていけるようになります。さあ、あなたの家計に最適な「黄金比率」を見つけに行きましょう。

貯金の金額設定で迷うのは、自分の家計の「体力」を把握できていないからです。無理な全力疾走ではなく、一生走り続けられるペース配分を見つけることが、資産形成というマラソンを完走する秘訣です。

貯蓄率とは?資産形成のスピードを決める最重要指標

貯金の話をするとき、私たちはつい「毎月〇万円」という「金額」に目を向けがちです。しかし、家計の健全性や資産形成のスピードを測る上で、より重要な指標があります。それが「貯蓄率」です。

貯蓄率の定義と計算式

貯蓄率とは、あなたの収入のうち、何%を貯蓄(貯金や投資)に回せたかを示す割合のことです。計算式は非常にシンプルです。

貯蓄率(%) = 毎月の貯蓄額 ÷ 毎月の手取り収入 × 100

ここで重要なのは、「手取り収入」を分母にすることです。

会社員の場合、給与明細には「額面(総支給額)」が記載されていますが、そこから所得税、住民税、社会保険料などが引かれます。私たちが実際に生活や貯蓄に使えるのは、口座に振り込まれた「手取り額(可処分所得)」だけです。

額面で計算してしまうと、実際に使えるお金の感覚とズレが生じ、無理な計画を立ててしまう原因になります。必ず「手取り」を基準にしましょう。

なぜ「金額」より「率」なのか

例えば、「毎月3万円貯金している」というAさんとBさんがいるとします。

  • Aさん:手取り15万円(貯蓄率 20%)
  • Bさん:手取り30万円(貯蓄率 10%)

金額は同じですが、家計の引き締まり具合や努力の度合いはAさんの方が圧倒的に高いと言えます。また、収入が増えた時に「金額」で目標を立てていると、「給料が増えたから貯金は3万円のままで、残りは全部使おう」となりがちです。

一方、「率」で管理していれば、収入アップに合わせて自然と貯金額も増えていきます。自分の家計力を客観的に把握し、成長させるためには、この「貯蓄率」という物差しを持つことが不可欠です。

「隣の人は月5万円貯めている」といった他人との比較には意味がありません。見るべきは他人の財布ではなく、自分の収入に対する貯蓄の「比率」です。この数字こそが、あなたの家計の通信簿となります。

理想の黄金比率は「10%~25%」!無理なく続けるための設定目安

では、具体的に何%を目指せばよいのでしょうか。一般的に、健全な家計の目安とされるのが「手取りの10%~25%」という範囲です。

初級者:まずは「10%」からスタート

これまで貯金の習慣がなかった人や、社会人になりたてで収入が少ない人は、まず「手取りの10%」を目標にしましょう。

これは、古今の名著『バビロンの大富豪』でも語られている「収入の十分の一を自分のために取っておく」という教えに通じます。

手取りが20万円なら、2万円です。

「たった2万円?」と思うかもしれませんが、年間で24万円になります。何より重要なのは、「収入の1割がなくても生活できる」という自信と習慣を身につけることです。10%なら、外食を数回減らす、スマホプランを見直すなどの工夫で、生活水準を大きく落とさずに捻出できるラインです。

中級者:目指すべきスタンダード「15%~20%」

10%の貯金に慣れてきたら、あるいはある程度家計管理ができている人は、「15%~20%」を目指します。

手取り20万円なら、3万円~4万円。

手取り30万円なら、4万5千円~6万円です。

このレベルを継続できれば、数年で生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分)が貯まり、将来のための投資(NISAやiDeCo)にも資金を回せるようになります。多くのファイナンシャルプランナーが推奨する、理想的なバランスです。

上級者:加速して資産を築く「25%以上」

早期リタイア(FIRE)を目指す人や、明確な目標(数年後にマイホーム購入など)がある人は、「25%以上」にチャレンジします。

手取りの4分の1を貯蓄に回すということは、残りの75%で生活するということです。これには家賃などの固定費の見直しや、確固たる予算管理が必要になりますが、資産形成のスピードは劇的に上がります。

日本の「蓄財の神様」と呼ばれる本多静六博士も、「月給4分の1天引き貯金」を実践し、莫大な富を築きました。

手取り別・先取り貯金額の早見表

以下は、手取り月収ごとの貯金額の目安です。自分がどのあたりを目指すべきか確認してみましょう。

手取り月収10%(初級)15%(標準)20%(理想)25%(加速)
15万円15,000円22,500円30,000円37,500円
18万円18,000円27,000円36,000円45,000円
20万円20,000円30,000円40,000円50,000円
25万円25,000円37,500円50,000円62,500円
30万円30,000円45,000円60,000円75,000円

この表の数字はあくまでスタートラインです。まずは低いハードルから始め、「これならいける」と感じたら少しずつパーセンテージを上げていくゲーム感覚を持つことが、長続きのコツです。

ライフステージで貯蓄率は激変する!「貯め時」を逃さない戦略

「目安は10%~25%」とお伝えしましたが、これは一生涯ずっと固定しなければならない数字ではありません。人生には、お金が貯まりやすい時期(貯め時)と、どうしても出ていく時期(使い時)があります。

自分のライフステージに合わせて、柔軟に貯蓄率を変動させることが重要です。

1. 独身・実家暮らし(最強の貯め時)

  • 目標貯蓄率:30%~50%

家賃や光熱費、食費などの負担が少ないこの時期は、人生で最大の貯め時です。家に数万円を入れているとしても、手取りの半分近くを貯蓄に回すことも不可能ではありません。「結婚資金」や「将来の種銭」を作るなら今しかありません。ここで生活レベルを上げすぎないことが、将来の明暗を分けます。

2. 独身・一人暮らし

  • 目標貯蓄率:10%~20%

家賃や生活費がすべて自己負担になるため、貯蓄のハードルは上がります。しかし、自分の裁量ですべてコントロールできる時期でもあります。まずは10%を死守し、固定費を見直して率を上げていきましょう。

3. DINKS(共働き・子どもなし)

  • 目標貯蓄率:20%~30%

「ダブルインカム(2人の収入)」であるこの時期も、第二の貯め時です。お互いに収入があるため、気が大きくなって外食や旅行、高級マンションなどで散財しがちですが、ここでしっかり貯めておくと、その後の出産・育児期の家計が非常に楽になります。二人の手取り合計の2割~3割を目指しましょう。

4. 子育て期・教育費ピーク

  • 目標貯蓄率:0%~10%

子どもが生まれ、教育費がかさむ時期は、貯蓄率が下がって当然です。特に高校・大学の進学時期は、貯蓄を取り崩す時期(マイナス)になることもあります。この時期に「20%貯めなきゃ」と無理をすると家計が破綻します。「赤字にならなければ御の字」「ボーナスだけは貯金する」と割り切り、貯蓄率が下がっても自分を責めないことが大切です。

5. 子育て終了~定年前(ラストスパート)

  • 目標貯蓄率:30%~40%

教育費がなくなり、収入もピークを迎えるこの時期は、老後資金を作る最後のチャンスです。生活水準を現役時代のまま維持できれば、一気に貯蓄を増やすことができます。

人生は平坦な道ではありません。上り坂もあれば下り坂もあります。今は貯蓄率が低くても、それは「そういう時期」なだけかもしれません。長い目で見て、トータルで資産を築く視点を持ちましょう。

目標は「貯蓄率UP」:収入が増えた時こそが最大の勝負所

先取り貯金を続けていると、昇給や転職で収入が増えるタイミングが訪れます。この時、あなたがどう行動するかで、その後の資産規模が大きく変わります。

昇給時の「パーキンソンの法則」対策

多くの人は、手取りが2万円増えると、無意識に支出も2万円増やしてしまいます。「頑張ったご褒美にいい車を買おう」「広い部屋に引っ越そう」。これが前回の記事でも触れた「パーキンソンの法則(支出は収入の額まで膨張する)」です。これでは、いつまで経っても貯蓄率は上がりません。

増えた分を「なかったこと」にする

資産家になるための鉄則は、「収入が増えても、生活水準(支出)を上げない」ことです。

例えば、手取りが20万円から23万円に増えたとしましょう。

ここで、生活費は20万円時代のままキープし、増えた3万円をまるごと先取り貯金に追加します。

すると、生活の満足度は変わらないまま、毎月の貯金額だけが増え、結果として「貯蓄率」が跳ね上がります。

  • Before: 手取り20万、貯金2万(貯蓄率10%)
  • After: 手取り23万、貯金5万(貯金2万+増額3万)→ 貯蓄率約21.7%

このように、昇給のタイミングこそが、痛みを感じずに貯蓄率を大幅アップさせる千載一遇のチャンスなのです。「ベースアップの半分は貯金、半分は生活費」というようにマイルールを決めておくのも有効です。

生活レベルを一度上げると、下げるのは至難の業です。昇給した時に「贅沢をする」のではなく「自由への切符(貯蓄率)を買う」という選択ができる人が、真のお金持ちへの道を歩めます。

節約より「先取り」:20%を確保する方が楽な心理的理由

貯蓄率20%(手取り20万円で4万円貯金)を目指すとき、二つのアプローチがあります。

A. 「毎月の支出を16万円に抑えよう(節約アプローチ)」

B. 「最初に4万円を先取りしてしまおう(先取りアプローチ)」

計算上の結果は同じですが、成功率が高いのは圧倒的にBの「先取りアプローチ」です。

「引き算」ではなく「枠組み」で考える

Aの節約アプローチは、「あれも我慢、これも我慢」という引き算の思考です。常に「使いたいけど使えない」というストレス(我慢)がつきまとい、意志力を消耗します。

一方、Bの先取りアプローチは、「今月使えるのは16万円」という「枠」を最初に決める行為です。人間は不思議なもので、最初から「予算はこれだけ」と決められると、その範囲内でどう楽しむかという工夫(パズル)を始めます。

「4万円も貯金するのはキツイ」と感じるかもしれませんが、実際に先取り設定をしてしまうと、意外なほどすんなりと「残りの80%」での生活に慣れてしまうものです。これは行動経済学でも証明されている人間の適応能力です。

まずは勇気を出して設定してしまうこと。それが、心理的負担を最小限にして貯蓄率を高めるコツです。

予算配分の目安(50:30:20ルール)

残りの80%のお金をどう使うか迷ったら、アメリカの上院議員エリザベス・ウォーレンが提唱した「50:30:20ルール」を参考にしてみましょう。

  • Needs(必需品):50% 家賃、光熱費、食費(自炊)、日用品など、生きていくのに不可欠な支出。
  • Wants(欲しいもの):30% 外食、趣味、被服、旅行など、人生を楽しむための支出。
  • Savings(貯蓄):20% 貯金、投資、借金返済など、未来のための支出。

このバランスを目指して家計を調整すると、無理なく貯蓄率20%を達成できます。

「節約」は苦しい行為ですが、「予算内でのやりくり」はゲームになります。先取り貯金によって強制的に予算制限を作ることで、あなたの家計管理スキルは磨かれ、より少ないお金でも満足度の高い生活が送れるようになります。

まとめとやるべきアクション

今回は、先取り貯金の「目安となる割合(貯蓄率)」について詳しく解説しました。

  • 基本指標: 「金額」ではなく「貯蓄率(貯蓄額÷手取り収入)」で管理する。
  • 黄金比率: 一般的な目安は手取りの「10%~25%」。
  • ステップ: 初心者は10%から始め、慣れたら15%、20%へと段階的に引き上げる。
  • 変動: ライフステージ(独身、子育て、老後前)によって「貯め時」を見極め、率を調整する。
  • 鉄則: 昇給しても生活レベルを上げず、増えた分を貯蓄に回して率を高める。
  • 思考法: 「節約して残す」のではなく「先取りして残りで暮らす」方が、心理的に楽で成功しやすい。

「手取りの20%なんて無理だ」と最初から諦める必要はありません。まずは今の現状を知り、1%でも上げられないか検討する。その積み重ねが、将来の大きな資産となります。

今すぐやるべきアクション

記事を読み終えたら、以下の手順であなたの「現在の貯蓄率」を計算してみましょう。

  1. 直近の給与明細を用意する(または通帳を見る)。
  2. 「手取り支給額(振込額)」を確認する(A)。
  3. 毎月の「先取り貯金額(積立額)」を確認する(B)。 ※「残ったら貯金」は含めず、確実に積み立てている額のみ。
  4. 電卓を叩く: B ÷ A × 100 = ??%

もし計算結果が「0%」や「5%以下」だった場合は、まずは「10%」を目標に、銀行の自動送金や積立NISAの設定額を変更してみましょう。

もし「20%以上」だったなら、あなたは素晴らしい家計管理能力の持ち主です。その調子で継続し、さらに投資の割合を増やすなどのステップへ進みましょう。

数字は嘘をつきません。現状の貯蓄率という「現実」を直視し、理想の数字に近づけるための具体的なアクションを起こしましょう。今日計算したその数字が、あなたの未来を変える起点になります。

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