学校でかかるお金はいくら?公立・私立の教育費目安と給食費・教材費の内訳を徹底解説

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はじめに

「公立の学校なら授業料はかからないから安心」

「教育費にお金がかかるのは、大学に入ってからだろう」

もしあなたがこのように考えているとしたら、少し注意が必要です。確かに現在、日本では公立の小中学校における授業料は無償化されており、高校においても「高等学校等就学支援金制度」によって実質無償化となる家庭が増えています。しかし、子供を育てる過程で発生するお金は「授業料」だけではありません。

毎月の給食費や教材費、入学時の制服代やカバン代、そして修学旅行の積立金など、学校生活を送るためには細々とした、しかし積み重なると大きな金額になる出費が数多く存在します。さらに、進路が公立か私立かによって、その総額は驚くほど変わってきます。

この記事では、文部科学省の最新調査データをもとに、幼稚園から高校までにかかる「リアルな教育費」の目安を解説します。授業料以外の「見えにくい費用」の内訳や、公立と私立の決定的な差、そして将来に向けてどのように備えるべきかについて、網羅的にお伝えします。これから進路を考える高校生や、将来の家計に不安を感じている社会人の方は、ぜひこの記事を参考にして、賢い資金計画の第一歩を踏み出してください。

教育費は「いつ」「いくら」必要かが比較的予測しやすい支出です。漠然とした不安を持つのではなく、具体的な数字を知ることで、早めの対策と安心を手に入れることができます。

教育費とは?授業料無償化でも発生する「学校教育費」の正体

まず、「教育費」という言葉が何を指しているのか、その定義を明確にしましょう。一般的に教育費とは、子供が教育を受けるために必要な費用の総称ですが、大きく分けて「学校教育費」「学校給食費」「学校外活動費」の3つに分類されます。

義務教育でも「タダ」ではない

日本の憲法では義務教育(小・中学校)の無償が定められていますが、これはあくまで「授業料」の話です。教科書代についても無償給与の対象となりますが、それ以外にかかる多くの費用は家庭が負担しなければなりません。これを「受益者負担の原則」と呼びます。

例えば、学校教育費には以下のようなものが含まれます。

  • 学用品・実験実習材料費: ノート、ドリル、図工の材料、リコーダーや習字道具など。
  • 教科外活動費: 遠足、社会科見学、移動教室にかかる交通費や施設入館料。
  • 通学関係費: 通学定期代、スクールバス代、自転車通学のためのヘルメットや保険代。
  • その他: PTA会費、卒業アルバム代、生徒会費など。

これらは一つ一つが数千円程度であっても、年間を通すと数万円から十数万円の出費となります。

「学校外活動費」も大きな割合を占める

学校に支払うお金だけでなく、放課後や休日にかかる費用も教育費の大きな要素です。

  • 補助学習費: 学習塾、家庭教師、通信教育の費用、参考書や問題集の購入費。
  • その他の学校外活動費: スイミング、ピアノ、英会話などの習い事、スポーツ少年団の活動費、楽器や用具の購入費。

文部科学省の調査によると、公立小学生の教育費総額のうち、約6割以上をこの「学校外活動費」が占めるというデータもあります。「学校が公立だからお金はかからない」と油断していると、塾代や習い事代で家計が圧迫されるケースは非常に多いのです。

授業料が無償でも、子供が充実した学校生活を送るためには様々なお金が必要です。「学校に通う=生活費の一部」と捉え、毎月の固定費として予算を確保しておく意識が大切です。

公立と私立でこれだけ違う!12年間の総額比較

次に、進路選択が家計にどれほどのインパクトを与えるかを見ていきましょう。公立と私立では、かかる費用に雲泥の差があります。ここでは、文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」のデータを基に、幼稚園(3歳)から高校(18歳)までの15年間における学習費総額を比較します。

幼稚園から高校までの総額比較

以下は、各段階ですべて公立に通った場合と、すべて私立に通った場合の学習費総額(学校教育費、給食費、学校外活動費の合計)の目安です。

進路パターン学習費総額の目安備考
すべて公立約574万円幼稚園(3年)~高校(3年)
すべて私立約1,838万円幼稚園(3年)~高校(3年)

その差は約3.2倍、金額にして1,200万円以上にもなります。これは地方の住宅が一軒買えるほどの金額差です。

段階別の平均年間費用

それぞれの学校段階で、1年間にかかる費用の平均を見てみましょう。

  • 幼稚園(3歳~)
    • 公立:約16.5万円
    • 私立:約30.9万円
    ※幼児教育・保育の無償化により、以前より差は縮まっていますが、私立は制服代や行事費などで依然として高額になる傾向があります。
  • 小学校(6年間)
    • 公立:約35.3万円
    • 私立:約166.7万円
    ※私立小学校は授業料が高額であることに加え、遠方への通学費や、充実したカリキュラムによる教材費などがかさみます。公立との差が最も開く時期です。
  • 中学校(3年間)
    • 公立:約53.9万円
    • 私立:約143.6万円
    ※公立中学では高校受験に向けた塾代(学校外活動費)が増加する傾向にあります。一方、私立中学は授業料が高いものの、中高一貫校などで塾に通わない場合、学校外活動費は公立より低くなるケースもあります。
  • 高等学校(3年間・全日制)
    • 公立:約51.3万円
    • 私立:約105.4万円
    ※公立高校でも授業料以外の費用がかかります。私立高校は就学支援金による補助があっても、施設設備費や修学旅行費などで公立の約2倍の費用がかかります。

「私立理系」大学の費用はさらに高額

高校卒業後、大学に進学する場合はさらに大きな費用がかかります。

  • 国立大学:4年間で約242万円(入学金+授業料)
  • 私立文系:4年間で約408万円
  • 私立理系:4年間で約551万円

すべて公立・国立のコースと、すべて私立(理系大学まで)のコースを比較すると、総額の差はさらに広がります。進路選択は、子供の希望だけでなく、家計の長期的なプランニングが不可欠な重要事項なのです。

「公立か私立か」の選択は、家計における最大の分岐点です。将来の可能性を広げるためにも、早いうちから「もし私立に行くとしたら」というシミュレーションをしておくことが、リスク管理に繋がります。

意外とかかる「授業料以外」の費用内訳

ここでは、公立学校に通う場合でも毎月発生する、あるいは入学時にまとめて必要となる具体的な費用の内訳を掘り下げます。「何に」「いくら」かかるのかを知ることで、家計簿の予算立てがスムーズになります。

給食費

公立小中学校では、多くの自治体で給食が提供されています。

  • 小学校:月額約4,000円~5,000円(年間約4.5万~5万円)
  • 中学校:月額約5,000円~6,000円(年間約5万~6万円)

これは食材費の実費負担分です。近年では物価高騰を受け、自治体によっては給食費の無償化や補助を行っている場合もありますが、基本的には毎月の固定支出として計上しておく必要があります。お弁当を持参する場合でも、食材費としてのコストは発生します。

教科書・教材費

義務教育期間中の教科書は無償ですが、それ以外の副教材は有料です。

  • ドリル、ワークブック
  • 地図帳、資料集
  • 実技教科の材料セット(裁縫セット、彫刻刀、絵の具セットなど)

これらは学期の始まりや、授業の進行に合わせてその都度購入案内が来ます。一つ数千円ですが、重なると月に1万円近くになることもあります。

制服・指定用品代(入学時の大きな壁)

特に中学校、高校への入学時に家計を直撃するのが「制服代」や「指定用品代」です。

  • 制服一式(冬服・夏服):5万円~10万円
  • 指定ジャージ・体操服:1万~2万円
  • 指定カバン・通学靴:1万~2万円
  • 上履き、体育館履き:数千円

公立中学であっても、入学準備だけで10万円〜15万円程度の出費になることは珍しくありません。また、成長期の子どもは在学中にサイズアウトして買い替えが必要になることも考慮しておく必要があります。

PTA会費・生徒会費

学校によりますが、PTA会費や生徒会費、後援会費などが徴収されます。

  • 月額数百円~数千円程度

多くの場合、給食費や教材費と一緒に学校指定の口座から引き落とされます。金額は小さいですが、これも「学校教育費」の一部です。

給食費や教材費は、いわば子供の「生活費」の一部です。家計簿をつける際は、これらを「教育費」という特別な枠で管理するのも良いですが、「食費」や「日用品費」の一部として捉えると、家計全体のバランスが見えやすくなります。

要注意!家計を圧迫する「見落としがちな費用」

毎月の決まった支出以外に、突発的あるいは一時的に発生する「見落としがちな費用」があります。これらは金額が大きくなる傾向があり、事前の準備がないと家計が急に苦しくなる原因となります。

修学旅行費・校外学習費

最も大きな一時的支出が修学旅行です。

  • 小学校(1泊2日程度):約2万円~3万円
  • 中学校(2泊3日程度):約5万円~7万円
  • 高校(3泊4日~、海外含む):約8万円~15万円以上(私立や海外行きの場合はさらに高額)

多くの学校では、毎月の給食費などと一緒に「積立金」として徴収されますが、一括払いや分割払いを選択する場合もあります。また、修学旅行以外にも、林間学校、スキー教室、移動教室などの宿泊行事があり、その都度数万円の費用がかかります。

さらにお小遣いや、旅行準備のためのバッグや衣類の購入費も別途必要になります。

部活動にかかる費用

中学生・高校生になると部活動が始まりますが、所属する部活によって費用は天と地ほどの差があります。

  • 運動部: ユニフォーム、スパイク、ラケットなどの用具代、遠征費、合宿費、部費。強豪校や活動が活発な部活では、年間10万円以上かかることも珍しくありません。野球部や吹奏楽部などは特にお金がかかる傾向にあります。
  • 文化部: 楽器代、美術材代、発表会の衣装代など。

卒業アルバム・記念品代

最終学年になると、卒業アルバム代や卒業記念品代の徴収があります。

  • 1万5,000円~2万円程度

アルバム代は高額になりがちですが、一生の記念となるものなので削ることは難しい支出です。

通学定期代(高校生以上)

義務教育の小中学校は徒歩圏内が基本ですが、高校からは電車やバスでの通学が増えます。

  • 6ヶ月定期:数万円~

公立高校であっても、自宅から遠い学校に通う場合、3年間で数十万円の交通費がかかることになります。自転車通学の場合でも、高性能な電動自転車の購入(10万円~)が必要になるケースも増えています。

修学旅行や部活動の遠征費は、「急に言われても困る」出費の代表格です。入学時に配られる年間行事予定表などを確認し、大きな出費がありそうな月をあらかじめマークしておくことが、慌てないための秘訣です。

将来を見据えた教育費の計画と準備

教育費は、子供が生まれた瞬間から「いつ」「どのくらい」必要になるかがある程度予測できる支出です。だからこそ、行き当たりばったりではなく、長期的な視点での計画と準備が可能です。

ライフプランとキャッシュフロー表

まずは、子供が何歳の時に、どの学校段階(小・中・高・大)にいるかを可視化しましょう。

特に注意すべきは、教育費のピークとなる「大学在学中」です。もし子供が2人以上いる場合、それぞれの大学在学期間が重なる時期が、家計にとって最も厳しい「魔の時期」となります。

この時期に家計が赤字にならないよう、子供が小さく(小学校低学年まで)、教育費があまりかからない「貯めどき」に、しっかりと貯蓄をしておくことが重要です。

進路によるシミュレーション

「すべて公立で行く場合」と「中学から私立に行く場合」など、いくつかのパターンで総額を計算してみましょう。

  • パターンA(節約コース): 小中高すべて公立 + 大学は国立(自宅通学)
  • パターンB(標準コース): 小中高すべて公立 + 大学は私立(自宅外通学)
  • パターンC(充実コース): 中学から私立 + 大学は私立理系

このシミュレーションを行うことで、「今の貯金ペースで間に合うのか」「奨学金を検討すべきか」といった判断が早期にできるようになります。

児童手当は「全額貯金」が鉄則

教育費準備の強い味方が、国から支給される「児童手当」です。

所得制限や制度改正などがありますが、3歳未満は月額1万5,000円、3歳以上は月額1万円(第3子以降は増額)が支給されます。

これを生活費に使ってしまわず、すべて教育費として貯金するだけで、1人あたり約200万円~250万円(制度により変動あり)の資金を作ることができます。これは、私立大学の初年度納入金や、高校までの塾代などをカバーする大きな原資となります。

つみたてNISAなどの活用

教育費が必要になるまで10年以上の期間がある場合は、預貯金だけでなく「つみたてNISA(新NISA)」などを活用した運用も検討に値します。インフレ(物価上昇)によって将来の学費が上がるリスクに備えるためにも、長期・分散・積立投資でお金を増やす努力も選択肢の一つです。ただし、大学入学時など、使う時期が決まっているお金なので、リスク管理には十分注意が必要です。

教育費の準備は、マラソンのようなものです。ゴール(入学時期)は決まっています。スタート直後に全速力で走る必要はありませんが、一定のペースでコツコツと走り続けることが、最も確実にゴールにたどり着く方法です。

まとめとやるべきアクション

教育費は、子供の未来を切り拓くための「投資」です。しかし、無計画な支出は家計を破綻させ、結果として子供の選択肢を狭めてしまうことにもなりかねません。

  • 授業料以外にもお金はかかる: 公立でも給食費、教材費、制服代、修学旅行費などが発生する。
  • 公立と私立の差: 12年間で約3倍(574万 vs 1838万)の差がある。
  • 隠れコスト: 部活動費や塾代などの「学校外活動費」が意外と重い。
  • 事前の把握: 大きな出費(入学時、修学旅行)は予測できるので、積立などで備える。
  • 長期計画: 児童手当の貯蓄やライフプランの作成で、教育費のピークに備える。

「なんとかなる」ではなく、「なんとかなるように計画する」こと。これが教育費と向き合う上での正しい姿勢です。

今すぐやるべきアクション

1. 教育費の「見える化」リストを作成する

現在、または将来子供が通う予定の学校について、以下の項目をリストアップし、概算金額を書き出してみましょう。自治体のホームページや、先輩ママ・パパからの情報が役立ちます。

  • 毎月の引き落とし額(給食費、PTA会費など)
  • 制服・ジャージ代(入学時)
  • 修学旅行の積立金
  • 部活動にかかりそうな費用
  • 通学定期代

2. 児童手当専用の口座を作る

もし児童手当が生活費口座に振り込まれ、そのまま消費されているなら、今すぐ「児童手当専用の貯蓄口座」を作り、振込先を変更するか、支給月に全額を移動させる仕組みを作りましょう。これだけで、将来の安心感が劇的に変わります。

見えないお化けは怖いですが、正体がわかれば対策が打てます。教育費という「見えない出費」をリストアップして可視化することで、漠然とした不安を具体的な「目標」に変えていきましょう。

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