お金の基本

実感と統計がずれる理由

「物価は2パーセント」と聞いても、もっと上がっている気がする。そのずれには理由があります。理由が分かれば、統計も実感も両方が使えるようになります。

このページの要点

ずれの原因は、かごの中身の違い・買う回数の違い・値上げのほうが記憶に残ること。生鮮食品を除いた指数は傾向を読むための道具で、財布への効きを見るなら総合が近い。ずれは間違いではなく、自分の家計の特徴を教えてくれる情報。

最終更新 2026年8月31日 / 全 15 問 ・知る 4 ・わかる 3 ・見抜く 4 ・ケースで考える 2 ・判断する 2

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目次 全 15 問

知る 4 問

  1. コア指数
  2. 除く理由
  3. 品質の変化の扱い
  4. ずれは自然

わかる 3 問

  1. 実感のずれの原因
  2. 自分の物価の作り方
  3. 買う回数と記憶

見抜く 4 問

  1. 暮らし方ごとの効き方
  2. 記憶のかたより
  3. 自分の上昇率
  4. 指数の使い分け

ケースで考える 2 問

  1. 自分に効かない値上がり
  2. 記録から始める

判断する 2 問

  1. ずれを読む
  2. 実感と統計

知る

このテーマを理解するために必要な基本を押さえます。

天候で大きく動く生鮮食品を除いて計算した物価指数を、__指数といいます。

  • A コア 正解

    生鮮食品を除いて計算した指数のことです。

  • B 総合

    総合は、すべての品目を含めた指数です。

  • C 実質

    実質は、値段の変化を差し引いた見方のことです。

  • D 名目

    名目は、金額をそのまま見た値のことです。

生鮮食品を除いた指数を、コア指数といいます。

知るお金の基本★★

消費者物価指数

  • 総合(すべての品目)
  • 生鮮食品を除く(コア)
  • 生鮮食品とエネルギーを除く

野菜や魚の値段は、台風や不漁によって短期間に大きく動きます。その動きが混ざっていると、物価の水準がどちらへ向かっているのかが見えにくくなります。そこで、生鮮食品を除いた指数が併せて公表されます。除くのは「無視してよい」からではありません。傾向を見やすくするためです。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

物価指数から生鮮食品を除いたものが、併せて公表されるのはなぜですか。

  • A 天候などによる一時的な大きな振れを取り除いて、傾向を見やすくするため 正解

    一時的な振れを外して、傾向を読むためです。

  • B 生鮮食品の値上がりを、統計から隠すため

    総合の指数も同時に公表されており、隠してはいません。

  • C 生鮮食品は、家計の支出にほとんど含まれないため

    生鮮食品は、家計の支出にしっかり含まれています。

  • D 生鮮食品の値段は、調べる方法がないため

    生鮮食品の値段も、調査して集められています。

一時的な振れを取り除き、傾向を見やすくするためです。

知るお金の基本★★★

総合の指数

  • すべての品目を含む
  • 家計の実感に近い
  • 天候で大きく振れる

生鮮を除いた指数

  • 振れの大きい品目を外す
  • 傾向が読みやすい
  • 実感とはずれやすい

台風で野菜が急騰した月に総合の指数が跳ね上がっても、それは物価の水準が上向いたという意味ではありません。翌月には戻るかもしれない、一時的な動きです。傾向を読むには、そうした振れを外したほうが見やすくなります。除いた指数と、除かない総合の指数。両方が公表されているのは、目的によって使い分けるためです。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

値段が同じままで商品の性能が上がったとき、物価の統計ではどう扱われますか。

  • A 実質的な値下がりとして扱われる 正解

    同じ金額で、より良いものが手に入っています。

  • B 値段が同じなので、変化なしとして扱われる

    手に入るものが変わっているので、変化なしとはしません。

  • C 性能が上がったぶん、値上がりとして扱われる

    性能が上がるのは、買い手にとって有利な変化です。

  • D その商品は、統計から除かれる

    除くのではなく、品質の変化を調整して扱います。

同じ値段でより良いものが買えるので、値下がりとして扱われます。

知るお金の基本★★★
払う金額統計での扱い
性能が上がった同じ実質的な値下がり
内容量が減った同じ実質的な値上がり
見ているもの金額ではなく手に入るもの

5年前と同じ価格のパソコンが、いまは性能が大きく上がっている。払う金額は同じでも、手に入るものは増えています。物価は「同じものを買うのにいくらかかるか」を測るので、この場合は実質的に値下がりしたと扱われます。逆に、値段が同じで内容量が減っていれば値上がりです。前に見た内容量の話と、同じ考え方の裏表になります。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

次の説明は、統計と実感の関係として正しいですか。

  • A 統計と実感がずれるのは自然なことで、どちらかが間違っているとは限らない 正解

    測っているかごが違うので、ずれるのが自然です。

  • B 実感とずれる統計は、計算が間違っている

    ずれの原因は、計算の誤りではありません。

  • C 統計が正しいのだから、実感のほうを直すべきである

    実感は、自分のかごで測った正しい情報です。

  • D 統計と実感は、常に一致するように作られている

    一致するようには作られていません。

どちらかが間違っているわけではありません。

知るお金の基本★★★

統計が答える問い

  • 世の中はどちらへ動いたか
  • 平均的な家計のかご
  • 比べられる形にそろえる

実感が答える問い

  • 自分はどうなったか
  • 自分のかご
  • そろえる必要はない

統計は平均的な家計を代表するかごで測り、実感は自分のかごで測っています。中身が違えば、答えが違うのは当たり前です。統計は「世の中がどちらへ動いたか」に答え、実感は「自分がどうなったか」に答えている。問いが違うので、答えが違ってもどちらも正しい。この整理ができると、数字を疑うのではなく使えるようになります。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

わかる

仕組みや計算のしかたを確かめます。

それぞれの説明が、統計と実感がずれる原因として正しいかどうかを判定してください。

  • A かごの中身、買う回数、値上げのほうが記憶に残ること。この3つが重なるため 正解

    3つが同じ向きに働くと、実感は高く出ます。

  • B 統計が、値上がりを小さく見せようとしているため

    総合の指数も公表されており、小さく見せてはいません。

  • C 実感は気分の問題であって、値段とは関係がないため

    実感は、自分が買うものの値段に根ざしています。

  • D 指数が、数年に一度しか公表されないため

    指数は、毎月公表されています。

かごの中身、買う回数、記憶の3つが重なります。

わかるお金の基本★★★
実感と統計のずれ
  • かごの中身の違い
  • 買う回数の違い
  • 記憶の残り方

1つ目は、統計のかごと自分のかごの中身が違うこと。2つ目は、買う回数が多いものほど値上がりが目につくこと。3つ目は、値上げは覚えていても値下げは覚えていないこと。この3つが同じ向きに働くと、実感は統計より高く出ます。原因が分かれば、実感を否定せずに、統計と並べて使えます。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

自分にとっての物価を出す手順を、正しい順に並べてください。

答え 自分の支出を、大きい順に並べる → 上位のものの値段を、1年前と比べる → 支出の割合で重みをつけて足す

支出順に並べ、上位を1年前と比べ、割合で重みをつけて足します。

わかるお金の基本★★★
  1. 支出を大きい順に並べる
  2. 上位のものを1年前と比べる
  3. 割合で重みをつけて足す

統計がやっていることを、自分のかごでなぞるだけです。支出の大きいものから並べるのは、そこが自分の物価をいちばん動かすからです。全部を調べる必要はなく、上位のいくつかで十分に形が見えます。最後に割合で重みをつけて足すと、自分にとっての上昇率が出ます。統計の数字と並べれば、差の理由も見えてきます。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

毎日買うものと、年に一度だけ買うもの。値上がりの実感が強く残りやすいのはどちらですか。

  • A 毎日買うもの。値上がりに触れる回数が多いから 正解

    触れる回数が多いほど、記憶に強く残ります。

  • B 年に一度買うもの。1回の金額が大きいから

    金額が大きくても、触れるのは一度だけです。

  • C どちらも同じ。値上がり幅だけで決まるから

    実感は、値上がり幅だけでは決まりません。

  • D どちらも残らない。実感は値段とは関係がないから

    実感は、自分が払った値段に根ざしています。

毎日買うものです。触れる回数が多いためです。

わかるお金の基本★★★
家計への効き方実感への残り方
毎日買うもの割合しだい強く残る
年に一度のもの金額が大きければ効く一度だけ
決めているもの値上がり幅×割合触れた回数

家計への効き方は「値上がり幅×支出の割合」で決まりますが、実感のほうは「触れた回数」に強く引きずられます。毎日買うパンが10円上がれば毎日気づき、年に一度の買い物が1,000円上がっても気づくのは一度だけです。だから、支出の割合が小さいものが実感を大きく動かすことがあります。実感が悪いのではなく、そういう仕組みだと知っておきます。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

見抜く

誤解しやすい点や、見落としがちなリスクを見抜きます。

それぞれの暮らし方と、重く効く値上がりを対応させてください。

答え 車で毎日通勤している人 … ガソリンの値上がりが重く効く/毎日自炊している人 … 食料の値上がりが重く効く/借家に住んでいる人 … 家賃の値上がりが重く効く

支出に占める割合が大きい品目が、その人に重く効きます。

見抜くお金の基本★★★★

暮らし方で変わる効き方

車で通勤
ガソリンが重い
毎日自炊
食料が重い
借家住まい
家賃が重い

同じ物価上昇率でも、効く場所は人によって違います。効き方を決めるのは、自分の支出のうちその品目が占める割合です。だから「物価が2パーセント上がった」というニュースは、自分にとっての2パーセントを意味しません。自分の支出の内訳が分かっていれば、どの値上がりのニュースを重く受け取るべきかも、自分で決められます。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

実感が統計より高く出やすい理由の1つに、記憶のかたよりがあります。それはどのようなものですか。

  • A 値上がりは覚えているが、値下がりには気づきにくい 正解

    上がったほうが強く残るため、実感は高く出ます。

  • B 値下がりのほうが、強く記憶に残る

    値下がりのほうが、記憶には残りにくいものです。

  • C 値段そのものを、まったく覚えていない

    よく買うものの値段は、かなり覚えているものです。

  • D 記憶は、統計とはまったく関係がない

    記憶のかたよりが、統計とのずれを生んでいます。

値上がりは覚えていても、値下がりには気づきにくいものです。

見抜くお金の基本★★★★

上がったものと、下がったものを両方数える

目についた値上がりだけで、全体を判断する

値上がりは「損をした」という形で意識に残りますが、値下がりは「得をした」で終わり、記憶に残りにくいものです。同じ幅の変化でも、残り方が違います。統計は上がったものと下がったものを同じ重さで足しますが、記憶はそうではありません。ここに差が生まれます。実感が高いときこそ、下がったものも数えてみると景色が変わります。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

支出のちょうど半分が食費で、その食費だけが1年で10パーセント上がりました。ほかの支出の値段が変わっていないとき、自分にとっての物価の上昇率は何パーセントですか。

答え 5%

10% × 0.5 = 5パーセントです。

見抜くお金の基本★★★★
  • 10%食費の値上がり
  • 半分支出に占める割合
  • 5%自分の上昇率

値上がり幅に、支出の割合を掛ける。これが重みづけです。食費が10パーセント上がっても、それが支出の半分なら、全体への効きは5パーセントになります。この計算ができると、「あれが2割上がった」というニュースを自分の数字に翻訳できます。統計がやっていることも、品目の数が数百に増えただけで、中身は同じ掛け算と足し算です。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

自分の財布への効き方を知りたいとき、総合の指数と生鮮食品を除いた指数の、どちらを見るのが近いですか。

  • A 総合の指数。生鮮食品も、実際に買っているから 正解

    実際に買っている以上、総合のほうが近くなります。

  • B 生鮮食品を除いた指数。振れが小さくて読みやすいから

    読みやすさは、傾向を見たいときの利点です。

  • C どちらでも同じ。2つに違いはないから

    含んでいる品目が違うので、動きも違います。

  • D どちらも見なくてよい。家計とは関係がないから

    どちらも、家計を考えるための材料になります。

実際に買っている以上、総合のほうが近くなります。

見抜くお金の基本★★★★
向いている目的理由
総合の指数財布への効き方実際に買うものを全部含む
生鮮を除いた指数傾向を読む一時的な振れが小さい
使い分け目的で選ぶどちらかが正しいのではない

生鮮食品を除いた指数は、傾向を読むための道具です。しかし家計は生鮮食品も買っているので、財布への効き方を知りたいなら総合のほうが近くなります。逆に、物価が今後どちらへ向かうのかを考えたいときは、除いた指数のほうが読みやすい。目的が違えば、見る指数も変わります。使い分けができれば、どちらも味方になります。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

ケースで考える

具体的な条件のもとで考えます。

Gさんは車を持っておらず、通勤は徒歩です。ニュースでは、ガソリンの大幅な値上がりが物価を押し上げていると伝えられていました。

Gさんは、このニュースをどう受け取るのが適切ですか。

  • A 世の中の物価は上がっているが、自分の支出にガソリンは無いので、直接の効きは小さい 正解

    支出に無い品目は、直接の効きが小さくなります。

  • B 物価が上がったのだから、自分の生活も同じだけ苦しくなる

    効き方は、自分の支出の内訳によって変わります。

  • C 自分には関係がないので、物価のニュースは見なくてよい

    回り回って効くことがあるので、見る価値はあります。

  • D ガソリンが上がったのだから、ほかの値段も同じだけ上がっている

    品目ごとに、値動きは大きく違います。

自分の支出に無い品目は、直接の効きが小さくなります。

ケースお金の基本★★★★
ガソリンの値上がり
  • 直接の効き:支出に無ければ小さい
  • 回り回る効き:輸送費から食料などへ

統計は世の中の平均であって、自分の家計ではありません。ガソリンの割合がゼロなら、その押し上げは自分にはほとんど直接効きません。ただし、輸送費を通じて食料など他の値段に回ってくることはあるので、無関係とまではいえません。「自分の支出にあるか」で直接の効きを判断し、回り回って効く道すじにも目を向ける。この2段で受け取ります。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

Hさんは、自分にとっての物価がどれだけ上がったのかを、数字で出してみることにしました。

この手順として適切なものを、すべて選んでください。

答え 直近1か月のレシートから、支出の大きい順に並べる/上位のものについて、1年前の値段を調べる/値上がり幅に、支出の割合を掛けて足す

支出順に並べ、1年前と比べ、割合を掛けて足します。

ケースお金の基本★★★★

自分のかごを作る3つ

  • レシートから支出順に並べる
  • 上位のものを1年前と比べる
  • 割合を掛けて足す

統計と同じことを、自分のかごでやるだけです。レシートを使うのは、記憶ではなく記録から始めるためです。記憶から書き出すと、値上がりしたものばかりが並び、実感どおりの高い数字が出てしまいます。記録から始めて、割合で重みをつける。この2つを守れば、自分の数字は統計と並べて使えるものになります。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

判断する

実際の場面で、何を確認すべきかを判断します。

統計の数字と自分の実感が食い違ったとき、どうするのが適切ですか。

  • A どちらも捨てず、かごの中身の違いから、なぜ食い違うのかを見る 正解

    食い違いの理由に、自分の家計の特徴が表れます。

  • B 統計が正しいのだから、実感のほうを捨てる

    実感は、自分のかごで測った正しい情報です。

  • C 実感が正しいのだから、統計のほうを捨てる

    統計は、世の中の向きを知るための材料になります。

  • D 食い違ったときは、どちらも見ないことにする

    どちらも、判断に使える材料です。

捨てずに、食い違う理由のほうを見ます。

判断お金の基本★★★★
統計の数字自分の実感が分かる食い違いの理由

食い違いは、自分の家計の特徴を教えてくれる

食い違いは、間違いのしるしではなく情報です。自分のかごに何が多く入っているのか、どの品目が重く効いているのか。それが分かるのは、食い違ったときだけです。統計で世の中の向きを知り、実感で自分の位置を知る。両方あって初めて、次に何をすべきかが決まります。捨てるのは、いちばんもったいない選択です。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

この回で身につけた見方を、ひとことでいうと何になりますか。

  • A 統計と実感はかごが違うのでずれる。ずれの理由を見れば、自分の家計の特徴が分かる 正解

    ずれを読むことで、自分の家計の特徴が分かります。

  • B 統計は当てにならないので、実感だけで判断すればよい

    統計は、世の中の向きを知る材料になります。

  • C 実感は当てにならないので、統計だけを見ればよい

    実感は、自分のかごで測った正しい情報です。

  • D 物価の話は難しいので、考えないほうがよい

    手順は単純で、自分でも数字を出せます。

かごが違うからずれる。ずれの理由に、自分の特徴が出ます。

判断お金の基本★★★★★

2つを並べて、差の理由を読む

どちらかを捨てて、片方だけで判断する

統計のかごは平均、自分のかごは自分。中身が違えば答えは違い、それは当たり前のことです。ずれの大きさや向きを見れば、自分の支出のどこが重いのかが分かります。数字を疑うのでも、実感を疑うのでもなく、2つを並べて差を読む。次回は、この物価の動きと自分の給料の関係を、正面から見ていきます。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

読んだら、解いて確かめる

会員登録をすると、経験値と連続学習日数が記録され、間違えた問題だけをあとで解き直せます。

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