お金の土台を作る

年3%と年4%。たった1%差でも30年なら気にするべき?

1ポイントの差は、30年では10年分の時間にあたります。

このページの要点

GPIFは実質的な運用利回り(スプレッド)を「名目の運用利回り-賃金上昇率」とし、長期的な運用目標を賃金上昇率+1.9%としています。元金5,000,000円なら、30年後は年3%で12,136,312円、年4%で16,216,987円。差は4,080,675円です。しかも年3%でこの額に追いつくのは40年目。1ポイントの差は、30年という長さでは10年分の時間にあたります。

最終更新 2026年9月10日 / 全 15 問 ・知る 3 ・わかる 2 ・見抜く 3 ・ケースで考える 5 ・判断する 2

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目次 全 15 問

知る 3 問

  1. 利回り差
  2. 複利
  3. 長期運用

わかる 2 問

  1. 利回り差
  2. 機会差

見抜く 3 問

  1. 利回り差
  2. 機会差
  3. 利回り差

ケースで考える 5 問

  1. 長期運用
  2. 将来価値
  3. 機会差
  4. 複利
  5. 将来価値

判断する 2 問

  1. 利回り差
  2. 長期運用

知る

このテーマを理解するために必要な基本を押さえます。

資料は、実質的な運用利回り(スプレッド)を、名目の運用利回り − _としています。

  • A 物価上昇率

    物価上昇率ではありません。

  • B 賃金上昇率 正解

    正解です。資産運用では一般的ではない、とも書かれています。

  • C 運用手数料

    運用手数料は、名目運用利回りを出すときに控除されています。

  • D 保険料率

    保険料率18.3%は、別の話として出てきます。

資産運用では一般的ではない、とも書かれています。

知るお金の土台を作る★★★★
言葉資料の説明
実質的な運用利回り(スプレッド)名目の運用利回り − 賃金上昇率
長期的な運用目標賃金上昇率 + 1.9%
2001年度以降25年間の名目の運用利回り年平均 4.62%
同じ期間の賃金上昇率の平均0.28%
同じ期間のスプレッド+4.33%

単年度ごとに1.9%を達成するよう求められているわけではない、と注記されている。

資料は「実質的な運用利回り(スプレッド)=名目の運用利回り-賃金上昇率」としています。そして「資産運用の世界では、運用目標に賃金上昇率が使われることは一般的ではありません」と断ったうえで、公的年金の保険料収入と年金給付が賃金水準の変化に応じて変動するからだと説明しています。

出典 GPIF「年金積立金の運用目標」 / 2026年9月時点の情報

資料の注記は、長期的な運用目標がこれまでどう定められてきたかを示しています。

それぞれ、どう定められていましたか。

答え 2006年度から2009年度まで … 名目賃金上昇率 +1.1%/2010年度から2014年度まで … 名目賃金上昇率 +1.6%/2015年度から2024年度まで … 名目賃金上昇率 +1.7%/2025年度から … 名目賃金上昇率 +1.9%

0.1ポイント単位で書き分けられています。

知るお金の土台を作る★★★★
2006年度から2009年度まで → 名目賃金上昇率 +1.1%2010年度から2014年度まで → 名目賃金上昇率 +1.6%2015年度から2024年度まで → 名目賃金上昇率 +1.7%2025年度から → 名目賃金上昇率 +1.9%

0.1ポイント単位で書き分けられている。この回で扱う1ポイントの差は、その10倍にあたる。

+1.1%、+1.6%、+1.7%、+1.9%と変わってきました。+1.6%から+1.7%への変更は0.1ポイントですが、それでも書き分けられています。国が長期の目標として置く率は、この単位で扱われているということです。この回で扱う1ポイントの差は、その10倍にあたります。

出典 GPIF「年金積立金の運用目標」 / 2026年9月時点の情報

四つの言い分を、一つずつ確かめてください。

  • A 実質的な運用利回りは、単年度ごとに達成が求められている

    単年度ごとに達成するよう求められてはいません。

  • B 運用目標は、これまで一度も変わっていない

    +1.1%、+1.6%、+1.7%、+1.9%と変わっています。

  • C 年金積立金の運用目標には、物価上昇率が使われている

    賃金上昇率が使われています。

  • D 25年間の名目の運用利回りは年平均4.62%だった 正解

    通ります。同じ期間の賃金上昇率の平均は0.28%です。

同じ期間の賃金上昇率の平均は0.28%です。

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資料に書いてあること

  • 長期的な運用目標は、賃金上昇率+1.9%
  • スプレッドは、名目の運用利回り − 賃金上昇率
  • 単年度ごとに1.9%を達成するよう求められているわけではない
  • 2001年度以降25年間の名目の運用利回りは年平均4.62%、賃金上昇率の平均は0.28%
  • 同じ期間のスプレッドは+4.33%

これらは過去の実績で、将来を示すものではない。

資料は「2001年度以降、2025年度までの年金積立金の名目の運用利回りは年平均で4.62%でした」としています。スプレッドについては「単年度ごとに1.9%を達成するよう求められていない」と注記があり、運用目標は+1.1%から+1.9%まで何度か変わっています。使われているのは賃金上昇率で、物価上昇率ではありません。

出典 GPIF「年金積立金の運用目標」 / 2026年9月時点の情報

わかる

仕組みや計算のしかたを確かめます。

「年3%と年4%。たった1%の差だから、気にしなくていい」と言われました。

30年で見ると、どうですか。

  • A 1%なので小さな差といえる

    額にすると4,080,675円の差になります。

  • B 額は同じままで変わらない

    期間が延びるほど、差は広がります。

  • C 30年で10年分にあたる 正解

    正解です。年3%では40年目に追いつきます。

  • D 期間には関係しない差だ

    10年では681,640円、30年では4,080,675円です。

年3%では40年目に追いつきます。

わかるお金の土台を作る★★★

年3%

  • 10年後 6,719,581円
  • 20年後 9,030,556円
  • 30年後 12,136,312円
  • 40年後 16,310,188円

年4%

  • 10年後 7,401,221円
  • 20年後 10,955,615円
  • 30年後 16,216,987円

元金5,000,000円。年4%の30年後に、年3%が追いつくのは40年目。

年4%の30年後は16,216,987円。これに年3%で追いつくのは40年目です。額で見れば差は4,080,675円ですが、時間で見れば10年分。同じ額にたどり着くのに10年余計にかかる、という言い方もできます。

出典 GPIF「年金積立金の運用目標」 / 2026年9月時点の情報

年4%で30年かかる額に、年3%では40年かかりました。

1ポイントの差は、30年という期間では何年分の時間にあたりますか。

  • A 3年分

    3年分ではありません。

  • B 10年分 正解

    正解です。40年 − 30年 の答えです。

  • C 20年分

    20年分ではありません。

  • D 30年分

    30年分でもありません。

40年 − 30年 の答えです。

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見方1ポイントの差の大きさ
額で見る(30年)4,080,675円(元金5,000,000円の8割超)
時間で見る10年分(年3%なら40年、年4%なら30年)
額で見る(10年)681,640円
額で見る(20年)1,925,059円

同じ1ポイントの差を、二通りの言い方で表したもの。

同じ額にたどり着くのに、10年余計にかかります。額の差4,080,675円を「大きい」と感じるかどうかは人によりますが、「10年」という言い方にすると、大きさが別の形で見えてきます。率の差は、額にも時間にも読み替えられます。

出典 GPIF「年金積立金の運用目標」 / 2026年9月時点の情報

見抜く

誤解しやすい点や、見落としがちなリスクを見抜きます。

この資料から言えるのは、どれでしょう。

答え 実質的な運用利回りは、名目の運用利回りから賃金上昇率を差し引いたものである/長期的に確保するよう求められているスプレッドは、年平均で1.9%である/運用目標は、これまでに何度か変わっている

長期的に、という言い方がついています。

見抜くお金の土台を作る★★★★

率の差を、自分の元金と期間で額に直してから比べる

率の差の数字が小さいことだけを見て、影響も小さいと決める

1ポイントの差が、30年で4,080,675円、時間にすると10年分にあたった。

スプレッドの定め方、目標が年平均1.9%であること、目標が何度か変わってきたことは、いずれも資料に書かれています。一方、資料は「単年度ごとに1.9%を達成するよう求められていないことに留意が必要です」と注記しています。また使われているのは賃金上昇率で、物価上昇率ではありません。

出典 GPIF「年金積立金の運用目標」 / 2026年9月時点の情報

「1%の差なんて小さいから、どちらでも変わらない」と考えました。

この回では、どうでしたか。

  • A 1%なのでほとんど変わらない

    額にすると、元金の8割を超える差になります。

  • B 額の差は期間で変わらない

    10年・20年・30年で、差は大きく変わります。

  • C 30年で408万円ちがう 正解

    正解です。元金5,000,000円の8割を超えます。

  • D 短い期間ほど差が開く

    長い期間ほど開きます。

元金5,000,000円の8割を超えます。

見抜くお金の土台を作る★★★★
  • 10年での差(円)
  • 20年での差(円)
  • 30年での差(円)

率の差はどれも1ポイント。元金5,000,000円。

30年で4,080,675円の差がつきました。元金5,000,000円の8割を超える額です。しかも10年では681,640円、20年では1,925,059円と、期間が延びるほど差は広がります。短い期間ほど開くのではなく、その逆です。

出典 GPIF「年金積立金の運用目標」 / 2026年9月時点の情報

名目の運用利回りは年平均4.62%、賃金上昇率の平均は0.28%でした。単純に引くと4.34%ですが、資料はスプレッドを+4.33%としています。

それは、なぜですか。

  • A 引き算ではなく割り算で出すから 正解

    正解です。注記に、式が書かれています。

  • B 端数を切り捨てているから

    端数の処理だけでは、この差になりません。

  • C 手数料を引いているから

    手数料は、名目運用利回りを出すときにすでに控除されています。

  • D 25年で割っているから

    25年間の平均は、それぞれの率を出すときの話です。

注記に、式が書かれています。

見抜くお金の土台を作る★★★★★
名目 4.62% と 賃金上昇率 0.28%
  • 単純に引く → 4.62 − 0.28 = 4.34%
  • 注記の式で出す → 1.0462 ÷ 1.0028 × 100 − 100 = 4.3278…% → 4.33%

資料は「実質的な運用利回り(スプレッド)=名目の運用利回り-賃金上昇率」と書きつつ、注記では割り算の式を示している。

資料の(注1)は「実質的な運用利回りは{(1+名目運用利回り/100)/(1+名目賃金上昇率/100)}×100-100で算出しています」としています。1.0462 ÷ 1.0028 = 1.043278… なので4.3278…%、四捨五入して4.33%。引き算に見える言葉でも、実際には割り算で出しています。率どうしを比べるときは、どう組み立てるかで答えが変わります。

出典 GPIF「年金積立金の運用目標」 / 2026年9月時点の情報

ケースで考える

具体的な条件のもとで考えます。

元金5,000,000円を、年3%の複利(年1回)で30年間置きます。1.03の30乗は2.4272624715です。円未満は切り捨てます。

30年後は、いくらになりますか。(単位:円)

答え 12136312円

5,000,000 × 2.4272624715 で、12,136,312円です。

ケースお金の土台を作る★★★★
  • 元金(円)
  • 年3%で30年後(円)

年3%はこの回で置いた例。複利は年1回として計算した。税や手数料は考えていない。

ふえた分は7,136,312円で、元金の1.4倍を超えます。この回では、これと年4%で置いた場合を並べます。率の差は1ポイントだけですが、30年という長さでどれだけ開くかを見ていきます。

出典 GPIF「年金積立金の運用目標」 / 2026年9月時点の情報

同じ元金5,000,000円を、年4%の複利(年1回)で30年間置きます。1.04の30乗は3.2433975112です。円未満は切り捨てます。

30年後は、いくらになりますか。(単位:円)

答え 16216987円

5,000,000 × 3.2433975112 で、16,216,987円です。

ケースお金の土台を作る★★★★
  1. 1.04の10乗 = 1.4802442851
  2. 1.04の20乗 = 1.4802442851 × 1.4802442851 = 2.1911231436
  3. 1.04の30乗 = 2.1911231436 × 1.4802442851 = 3.2433975112
  4. 5,000,000 × 3.2433975112 = 16,216,987.56 → 16,216,987円

年3%の30年後は12,136,312円。倍率の差は 3.2433975112 − 2.4272624715 = 0.8161350397。

年3%のときは12,136,312円でしたから、差は4,080,675円。元金5,000,000円の8割を超える額です。率の差は1ポイントしかありませんが、30年掛け合わせると倍率の差は0.816になり、元金を掛けるとこの額になります。

出典 GPIF「年金積立金の運用目標」 / 2026年9月時点の情報

30年後は、年3%で12,136,312円、年4%で16,216,987円です。

二つの差は、いくらですか。(単位:円)

答え 4080675円

16,216,987 − 12,136,312 で、4,080,675円です。

ケースお金の土台を作る★★★
  • 年3%で30年後(円)
  • 年4%で30年後(円)

元金5,000,000円。10年のときの差は681,640円、20年では1,925,059円。

元金5,000,000円の8割を超える額です。10年のときの差は681,640円でしたから、期間が3倍になって差は約5.99倍になりました。率の差は1ポイントのまま動いていません。

出典 GPIF「年金積立金の運用目標」 / 2026年9月時点の情報

差は10年で681,640円、20年で1,925,059円、30年で4,080,675円でした。

期間が3倍になると、差は何倍になりますか。

  • A 約6倍 正解

    正解です。4,080,675 ÷ 681,640 の答えです。

  • B 約3倍

    3倍では足りません。

  • C 約9倍

    9倍にはなりません。

  • D 約12倍

    12倍にもなりません。

4,080,675 ÷ 681,640 の答えです。

ケースお金の土台を作る★★★
  • 681,640円10年での差
  • 1,925,059円20年での差
  • 4,080,675円30年での差
  • 約5.99倍10年 → 30年

率の差は1ポイントのまま。変えたのは期間だけ。

約5.99倍です。期間が3倍でも、差は3倍では止まりません。倍率どうしを掛け合わせていく形なので、後ろに行くほど開き方が大きくなります。ただし9倍にも12倍にもなりません。差の広がり方には、期間なりの形があります。

出典 GPIF「年金積立金の運用目標」 / 2026年9月時点の情報

年4%で30年後は16,216,987円です。同じ元金5,000,000円を年3%で置いて、この額に追いつくのは何年目でしょうか。39年後は15,835,134円、40年後は16,310,188円です。

追いつくのは、何年目ですか。(単位:年)

答え 40年

39年ではまだ届かず、40年で超えます。

ケースお金の土台を作る★★★★★
  1. 年4%・30年後16,216,987円
  2. 年3%・39年後15,835,134円(まだ届かない)
  3. 年3%・40年後16,310,188円(初めて超える)

元金5,000,000円。1ポイントの差は、30年では10年分の時間にあたる。

年4%なら30年で届く額に、年3%では40年かかります。差は10年。額で見れば4,080,675円ですが、時間で見れば10年分です。1ポイントという小さく見える差が、30年という長さの中では10年分の時間に相当することになります。

出典 GPIF「年金積立金の運用目標」 / 2026年9月時点の情報

判断する

実際の場面で、何を確認すべきかを判断します。

利回りに1ポイントの差があると聞きました。

大きさを知るために、するのは。

  • A 額か時間に直す 正解

    正解です。4,080,675円、あるいは10年分です。

  • B 桁数を数える

    桁数からは、大きさが出ません。

  • C 曜日を確かめる

    曜日も関わりません。

  • D 名前を覚える

    名前も関わりません。

4,080,675円、あるいは10年分です。

判断お金の土台を作る★★★

率の差を、自分の元金と期間で額に直すか、何年分かに直す

率の差の数字が小さいことだけを見て、影響も小さいと決める

1ポイントの差が、30年で4,080,675円、時間にすると10年分。

この回では、同じ1ポイントの差が、30年では4,080,675円にも10年分の時間にもなりました。率のままでは「1%」としか言えません。桁数も、曜日も、名前も、その大きさを教えてくれません。自分の元金と期間を当てはめれば額になり、追いつくまでの年数を出せば時間になります。

出典 GPIF「年金積立金の運用目標」 / 2026年9月時点の情報

率の差だけでは、大きさが決まりませんでした。

あわせて確かめるのは、どれですか。

  • A 金融機関の設立年

    設立年は、差の大きさと関わりません。

  • B 契約した曜日

    曜日も関わりません。

  • C 率の小数点以下

    桁数も関わりません。

  • D 置ける期間 正解

    正解です。10年と30年で、差が6倍ちがいました。

10年と30年で、差が6倍ちがいました。

判断お金の土台を作る★★★★
1ポイントの差 × 10年 → 681,640円1ポイントの差 × 20年 → 1,925,059円1ポイントの差 × 30年 → 4,080,675円(時間にすると10年分)

率の差はどれも同じ。変えたのは期間だけ。元金5,000,000円。

この回では、同じ1ポイントの差が10年で681,640円、30年で4,080,675円になりました。約5.99倍です。設立年も、曜日も、小数点以下の桁数も、その広がり方を教えてくれません。率と期間の両方がそろって、初めて差の大きさが決まります。

出典 GPIF「年金積立金の運用目標」 / 2026年9月時点の情報

読んだら、解いて確かめる

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