お金の基本

お金が役割を果たせなくなるとき

お金の3つの役割は、物価と信用が安定していることを前提にしています。その前提が崩れると何が起きるのかを押さえます。

このページの要点

お金は絶対のものではなく、物価と信用の安定という条件の上に立っている。物価が激しく動けば尺度と保存が弱まり、信用が失われれば交換の手段そのものが働かなくなる。

最終更新 2026年8月31日 / 全 15 問 ・知る 4 ・わかる 3 ・見抜く 4 ・ケースで考える 2 ・判断する 2

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目次 全 15 問

知る 4 問

  1. インフレ
  2. デフレ
  3. 急激な物価上昇
  4. 役割の崩れ方

わかる 3 問

  1. 2年後に必要な額
  2. 実質価値
  3. 信用の喪失

見抜く 4 問

  1. インフレと借金
  2. デフレの問題
  3. 決済の停止
  4. 物価の安定

ケースで考える 2 問

  1. 役割と壊れる原因
  2. 物価が2倍になったとき

判断する 2 問

  1. 備えの確認
  2. お金の前提

知る

このテーマを理解するために必要な基本を押さえます。

インフレ(インフレーション)の説明として最も適切なものはどれですか。

  • A ものやサービスの価格が全体として上がり続け、お金の買える量が減っていくこと 正解

    全体として値段が上がり、購買力が落ちる状態です。

  • B 特定の商品の価格だけが一時的に上がること

    一部の商品の値上がりは、インフレとは区別されます。

  • C お金の額面が自動的に減っていくこと

    額面そのものが減ることはありません。減るのは買える量です。

  • D 給与だけが上がり続けること

    給与の動きだけを指す言葉ではありません。

ものの値段が全体として上がり、同じ金額で買える量が減ることです。

知るお金の基本★★
  • 1年前に買えた量
  • 物価上昇後

同じ金額で買える量が減る

大事なのは「全体として」という点です。1つの商品が高くなっただけならインフレとは呼びません。物価全体が上がると、手元の金額は変わらないのに買える量が減ります。額面ではなく購買力が落ちる、という形で影響が出ます。日本銀行は消費者物価の前年比上昇率2パーセントを物価安定の目標としています。

出典 日本銀行「教えて!にちぎん」 / 2026年8月時点の情報

物価が全体として下がり続ける状態を__といいます。

  • A デフレ 正解

    物価が全体として下がり続ける状態のことです。

  • B インフレ

    インフレは、物価が上がり続ける状態です。

  • C スタグフレーション

    スタグフレーションは、景気が悪いのに物価が上がる状態です。

  • D デノミネーション

    デノミネーションは、通貨の呼び方の単位を切り下げることです。

物価が全体として下がり続ける状態をデフレといいます。

知るお金の基本★★

インフレ

  • 物価が上がる
  • 買える量が減る

デフレ

  • 物価が下がる
  • 買える量が増える

デフレでは同じ金額で買える量が増えるため、一見すると良いことに思えます。しかし値下がりを待って買い控えが起き、企業の売上が減り、給与も下がるという流れになりやすいという問題があります。また借金の実質的な重さは増します。物価はどちらへ大きく動いても、お金の働きを乱します。

出典 日本銀行「教えて!にちぎん」 / 2026年8月時点の情報

次の説明は、物価が短期間で何倍にもなるような状況について正しいですか。

  • A お金をとっておく意味が薄れ、受け取った側もすぐ手放そうとする 正解

    とっておく不利が大きくなり、手放す動きが強まります。

  • B 物価が上がるほど、お金をとっておく動きが強まる

    価値が目減りする状況では、とっておく動きは弱まります。

  • C 物価が上がっても、お金の役割には影響がない

    3つの役割すべてに影響します。

  • D 物価が上がるのは、お金の量が減ったときだけである

    物価の動きには複数の要因があり、1つに限られません。

とっておくほど買える量が減るため、早く手放そうとする動きが強まります。

知るお金の基本★★★
  1. 通常とっておける
  2. 急な上昇早く手放そうとする

普段は、受け取ったお金をとっておいて、必要なときに使えます。ところが物価が短期間で何倍にもなる状況では、持っているだけで買える量が減っていきます。すると誰もが早くものに換えようとし、その動きがさらに物価を押し上げます。「価値の保存」が働かなくなると、「交換の手段」まで揺らぐという連鎖が起きます。

出典 日本銀行「教えて!にちぎん」 / 2026年8月時点の情報

それぞれの説明が、物価が激しく動いたときに起きることとして正しいかどうかを判定してください。

  • A 値段が目安として働かなくなり、とっておく意味も薄れる 正解

    尺度と保存が同時に弱まり、やがて交換の手段にも影響します。

  • B 3つの役割のうち、影響を受けるのは価値の尺度だけである

    尺度だけでなく、保存にも影響が及びます。

  • C 物価が動いても、お金の役割はまったく変わらない

    物価はお金の役割に直接影響します。

  • D 物価が動くと、お金の額面そのものが書き換えられる

    額面が書き換えられることはありません。変わるのは買える量です。

尺度としての働きも、保存としての働きも同時に弱まります。

知るお金の基本★★★
物価が激しく動く
  • 値段が目安にならなくなる
  • とっておく意味が薄れる

値段が毎週変わる状況では、200円という数字が何を意味するのか分からなくなります。これは価値の尺度が働かなくなった状態です。同時に、とっておくほど買える量が減るため、価値の保存も弱まります。1つの役割だけが壊れるのではなく、連鎖して崩れていくのが特徴です。

出典 日本銀行「教えて!にちぎん」 / 2026年8月時点の情報

わかる

仕組みや計算のしかたを確かめます。

いま10万円で買えるものがあります。物価が毎年10パーセント上がった場合、2年後に同じものを買うにはいくら必要ですか。

答え 121000円

100,000 × 1.1 × 1.1 = 121,000円が必要になります。

わかるお金の基本★★★★
100,000円×1.1 × 1.1121,000円

上がった価格に、さらに上がる

1年目で110,000円、2年目はその110,000円がさらに10パーセント上がって121,000円です。単純に20パーセントを足した120,000円ではありません。物価の上昇は、前の年に上がった価格に対してかかるためです。手元の10万円は変わらないのに、必要な額だけが積み上がっていきます。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

手元の金額が変わらないまま物価が上がったとき、何が減っていますか。

  • A 実質的な価値(買える量) 正解

    買える量のことを実質的な価値といいます。

  • B 名目の金額

    名目の金額は変わりません。

  • C 口座の残高

    口座の残高という数字は変わりません。

  • D 手数料の額

    手数料は物価とは別の話です。

減るのは実質的な価値、つまり買える量のほうです。

わかるお金の基本★★★
1年前いま
手元の金額10万円10万円
買える量10091
実質的な価値10091

通帳に記された10万円という数字は名目の金額で、これは動きません。動くのは、その10万円で何がどれだけ買えるかという実質のほうです。ニュースで「実質賃金」という言葉が使われるのも同じ考え方で、金額そのものではなく物価を差し引いた後の姿を見ています。名目だけを見ていると、減っていることに気づけません。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

あるお金の信用が失われていくとき、起きることを順に並べてください。

答え 受け取ってもらえるか不安になる → 早く手放そうとする人が増える → そのお金の価値がさらに下がる

不安、手放す動き、さらなる下落、という順に進みます。

わかるお金の基本★★★★
  1. 受け取ってもらえるか不安になる
  2. 早く手放そうとする人が増える
  3. そのお金の価値がさらに下がる

お金の価値は、次の人も受け取ってくれるという共通の期待に支えられています。その期待が揺らぐと、早く手放そうとする動きが起き、それ自体がさらに価値を下げます。つまり信用の低下は、自分で自分を加速させる性質を持っています。だから中央銀行は、物価の安定を通じて信用を保つことを役割としています。

出典 日本銀行「教えて!にちぎん」 / 2026年8月時点の情報

見抜く

誤解しやすい点や、見落としがちなリスクを見抜きます。

物価が上がっているとき、固定金利で借りているお金の返済はどうなりますか。

  • A 返す金額は同じだが、その金額の重みが軽くなるため、借りた側に有利に働く 正解

    金額は変わらず、その重みだけが変わります。

  • B 返す金額そのものが、物価に合わせて増える

    固定金利であれば、返す金額は変わりません。

  • C 物価と借金の返済は、まったく関係がない

    実質的な負担を通じて、はっきり関係します。

  • D 返す金額が減るため、貸した側に有利に働く

    有利になるのは借りた側です。

返す金額は同じでも、その金額の重みが軽くなります。

見抜くお金の基本★★★★

貸した側

  • 返る金額は同じ
  • 買える量は減る

借りた側

  • 返す金額は同じ
  • 負担は軽くなる

毎月10万円の返済は、物価が上がっても10万円のままです。しかし物価が上がった後の10万円は、以前ほどの価値を持ちません。借りた側は実質的に軽い負担で返せることになり、貸した側は実質的に目減りしたお金を受け取ることになります。「価値の保存が弱まる」ことは、立場によって有利にも不利にも働きます。

出典 日本銀行「教えて!にちぎん」 / 2026年8月時点の情報

次の説明は、デフレについて正しいですか。

  • A 買える量は増えるが、買い控えが起きやすく、借金の実質的な重さは増す 正解

    良い面と悪い面が同時に出るのがデフレの難しさです。

  • B 物価が下がるだけなので、問題は何も起きない

    買い控えや給与の低下といった問題が生じます。

  • C デフレでは、借金の実質的な負担が軽くなる

    軽くなるのはインフレのときです。デフレでは逆に重くなります。

  • D デフレは、お金の役割にはまったく影響しない

    価値の保存や交換の動きに影響します。

買える量は増えますが、買い控えと借金の重さという問題が生まれます。

見抜くお金の基本★★★★
デフレ
  • 買い控えが起きやすい
  • 借金の実質的な重さが増す

値下がりが続くと分かっていれば、いま買う理由が弱まります。買い控えが広がれば企業の売上が減り、給与も下がります。同時に、返す金額は変わらないのに、その金額を用意することが難しくなるため、借金の実質的な重さは増します。物価はどちらに大きく動いてもお金の働きを乱す、というのがここでの見方です。

出典 日本銀行「教えて!にちぎん」 / 2026年8月時点の情報

大規模な通信障害や停電が起きたとき、お金の役割はどうなりますか。

  • A 交換の手段としての働きが一時的に失われ、使える手段が限られる 正解

    価値は残りますが、渡す手段が使えなくなります。

  • B お金の価値そのものが下がる

    障害によってお金の価値そのものが下がるわけではありません。

  • C 記録が残っているので、何も起きない

    記録が残っていても、渡す手段が動かなければ支払えません。

  • D 額面が書き換えられる

    額面が書き換えられることはありません。

価値は変わりませんが、渡す手段が使えなくなります。

見抜くお金の基本★★★

決済が止まる原因

  • 通信の障害
  • 電源の喪失
  • システムの不具合

口座に残高があっても、通信が止まればカードもアプリも動きません。価値そのものは失われていないのに、渡す方法が無いために支払えない状態になります。物価によって壊れるのが「価値の保存」だとすれば、こちらは「交換の手段」が止まる形です。少額の現金を併せて持つ意味は、ここにあります。

出典 日本銀行「教えて!にちぎん」 / 2026年8月時点の情報

中央銀行が物価の安定を目指しているのは、なぜですか。

  • A 物価が安定していないと、値段が目安として働かず、とっておくこともできなくなるから 正解

    お金が役割を果たすための土台が、物価の安定です。

  • B 物価が下がり続けることが、経済にとって最も望ましいから

    下がり続ける状態にも問題があります。

  • C 物価を完全に固定することが、法律で義務づけられているから

    固定ではなく、安定を目指しています。

  • D 物価が上がるほど、国民の生活が豊かになるから

    物価が上がることそのものが豊かさを意味するわけではありません。

物価が安定していてはじめて、お金は役割を果たせるからです。

見抜くお金の基本★★★★

物価が安定しているから、値段が目安として働く

物価は動かないものだと考える

日本銀行法は、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することを理念として定めています。値段が目安として働き、とっておいた価値が保たれるためには、物価が安定している必要があります。つまり物価の安定は、お金が3つの役割を果たすための土台です。目指しているのは固定ではなく、緩やかで予測しやすい状態です。

出典 日本銀行法 第2条(通貨及び金融の調節の理念) / 2026年8月時点の情報

ケースで考える

具体的な条件のもとで考えます。

Lさんは、お金の3つの役割がそれぞれどう壊れるのかを整理しています。

それぞれの役割と、それが壊れる原因を対応させてください。

答え 交換の手段 … 受け取ってもらえなくなる/価値の尺度 … 物価が激しく動いて目安にならない/価値の保存 … とっておくと買える量が減る

受け取られない、目安にならない、買える量が減る、の3つです。

ケースお金の基本★★★★
役割壊れる原因
交換の手段受け取ってもらえない
価値の尺度物価が激しく動く
価値の保存買える量が減る

3つの役割は、それぞれ違う原因で壊れます。信用が失われれば受け取ってもらえず、物価が激しく動けば値段が目安にならず、物価が上がり続ければとっておく意味が薄れます。ただし実際には連鎖します。保存が壊れれば人は早く手放そうとし、その動きが信用をさらに揺さぶり、交換の手段まで届きます。

出典 日本銀行「教えて!にちぎん」 / 2026年8月時点の情報

Kさんは現金100万円を手元に置いていました。1年のあいだに物価が2倍になりました。

この1年について、正しい説明はどれですか。

  • A 額面は100万円のままだが、買えるものの量はおよそ半分になっている 正解

    守られるのは額面だけで、買える量は物価に応じて減ります。

  • B 額面が50万円に減っている

    額面そのものが減ることはありません。

  • C 額面が200万円に増えている

    額面が勝手に増えることもありません。

  • D 物価が上がった分、買えるものの量も増えている

    物価が上がれば、買えるものの量は減ります。

額面は変わらず、買える量がおよそ半分になっています。

ケースお金の基本★★★★

Kさん

手元
現金100万円
1年後の物価
2倍
額面
100万円のまま
買える量
およそ半分

100万円という数字はそのままです。しかし1個100円だったものが200円になっていれば、買える数は1万個から5千個に減ります。これは「価値の保存」が最も強く壊れた形です。ここまでの5回で見てきた「額面は守られても購買力は守られない」ということが、極端な形で現れた状態だといえます。

出典 総務省統計局「消費者物価指数」 / 2026年8月時点の情報

判断する

実際の場面で、何を確認すべきかを判断します。

お金の前提が崩れる場面に備えて、確認すべきことをすべて選んでください。

答え 支払い手段を複数持っているか/物価に対して目減りしない置き場所も持っているか/すぐ使えるお金と、当分使わないお金を分けているか

手段を複数持つ、目減りしない置き場所も持つ、使う時期で分ける、の3つです。

判断お金の基本★★★★

備えとして確認する

  • 支払い手段を複数持っているか
  • 目減りしない置き場所も持っているか
  • 使う時期でお金を分けているか

決済が止まる場面には手段を複数持つことが、物価が上がる場面には目減りしない置き場所を持つことが備えになります。そして両方に効くのが、使う時期でお金を分けておくことです。すぐ使うお金は取り出しやすさを、当分使わないお金は目減りしにくさを優先する。枚数を数えることや、他人と同じにすることは備えになりません。

出典 日本銀行「教えて!にちぎん」 / 2026年8月時点の情報

ここまで見てきたことを踏まえ、お金との付き合い方として最も適切なものはどれですか。

  • A お金は、物価と信用が安定している前提の上に立つ道具であり、その前提が崩れる場合に備えて持ち方を分けておく 正解

    前提を理解したうえで、持ち方を分けるという結論になります。

  • B お金は何があっても価値が変わらないので、持ち方を考える必要はない

    前提が崩れる場面がある以上、持ち方は考える必要があります。

  • C お金は信用できないので、できるだけ持たないほうがよい

    持たないという選択は、日々の支払いを成り立たなくします。

  • D 現金だけを大量に持っておけば、どんな場合にも対応できる

    現金だけでは、物価上昇と紛失・災害の両方に弱くなります。

お金は前提の上に立つ道具です。だから持ち方を分けておきます。

判断お金の基本★★★★★

お金は前提の上に立つ道具。だから持ち方を分ける

お金は絶対のもの。持ち方を考える必要はない

お金は、交換の手段・価値の尺度・価値の保存という3つの役割を果たします。ただしそれは、物価と信用が安定していることが前提です。前提が崩れれば役割も崩れます。だからこそ、支払い手段を1つに寄せず、使う時期でお金を分け、目減りしない置き場所も持つ。この6回で見てきたことは、すべてこの1点につながります。

出典 日本銀行「教えて!にちぎん」 / 2026年8月時点の情報

読んだら、解いて確かめる

会員登録をすると、経験値と連続学習日数が記録され、間違えた問題だけをあとで解き直せます。

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