お金の土台を作る

月収は同じ30万円。なぜAさんだけ毎月5万円残る?

割合が同じでも、残る額まで同じとはかぎりません。

このページの要点

統計局はエンゲル係数を「食料/消費支出×100」としています。手取りが同じ300,000円でも、消費支出250,000円で食料50,000円のAさんと、消費支出300,000円で食料60,000円のBさんは、どちらも係数20.0%。ところが残る額は50,000円と0円です。さらにBさんの家賃だけ20,000円上がると、食費が同じでも係数は18.75%に下がり、収支は−20,000円になります。資料も2020年に「食料以外の支出の減少によるエンゲル係数の上昇」があったとしていて、動いているのは分母です。

最終更新 2026年9月10日 / 全 15 問 ・知る 3 ・わかる 2 ・見抜く 3 ・ケースで考える 5 ・判断する 2

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目次 全 15 問

知る 3 問

  1. 家計調査
  2. エンゲル係数
  3. 家計調査

わかる 2 問

  1. 支出構成
  2. 支出構成

見抜く 3 問

  1. エンゲル係数
  2. エンゲル係数
  3. エンゲル係数

ケースで考える 5 問

  1. エンゲル係数
  2. 収支差
  3. エンゲル係数
  4. 家計調査
  5. 支出構成

判断する 2 問

  1. エンゲル係数
  2. 支出構成

知る

このテーマを理解するために必要な基本を押さえます。

統計局は、家計調査の結果と記入の扱いをQ&Aで説明しています。

それぞれ、どう扱われますか。

答え エンゲル係数 … 食料を消費支出で割って100を掛けたもの/消費支出(家計調査の結果) … 1世帯当たりの平均値/電子マネーへのチャージ … 変化がないものとして、収入や支出に影響を与えない/割引された買い物 … 割引後の価格を消費支出として計上する

一つだけ、支出として数えないものがあります。

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もの扱い
エンゲル係数食料 / 消費支出 × 100
消費支出(家計調査の結果)1世帯当たりの平均値
電子マネーへのチャージ変化がないものとして、収入や支出に影響を与えない
電子マネーの利用支出に含まれる(現金での支出と区別できない)
割引された買い物割引後の価格を消費支出として計上

チャージは形が変わっただけ。使った時点で支出になる。

エンゲル係数は食料を消費支出で割った割合、家計調査の消費支出は1世帯当たりの平均値です。割引で買ったときは割引後の価格を消費支出に計上します。一方、現金を電子マネーに変えるチャージは、手元のお金の形が変わっただけなので、収入にも支出にも影響しません。使った時点で支出になります。

出典 総務省統計局「家計調査に関するQ&A」 / 2026年9月時点の情報

エンゲル係数は、食料を_で割って100を掛けたものです。

  • A 実収入

    実収入は、いわゆる税込み収入です。

  • B 可処分所得

    可処分所得は手取りで、分母ではありません。

  • C 手取りの月収

    手取りの月収でもありません。

  • D 消費支出 正解

    正解です。生活費の合計のほうです。

生活費の合計のほうです。

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エンゲル係数
  • 分子 → 食料
  • 分母 → 消費支出
  • × 100

分母が消費支出なので、食料が同じでも消費支出が動けば係数は動く。

統計局は「食料/消費支出×100」と書いています。分母は消費支出で、手取りや実収入ではありません。だから消費支出が増えれば、食料の金額が変わらなくても係数は下がります。分母に何を置くかを取り違えると、同じ家計でも違う数字が出ます。

出典 総務省統計局「家計調査に関するQ&A」 / 2026年9月時点の情報

四つの言い分を、一つずつ確かめてください。

  • A エンゲル係数は、食料の金額そのものを表している

    割合なので、金額そのものは分かりません。

  • B 家計調査の消費支出は、1世帯当たりの平均値である 正解

    通ります。総額でも、一つの世帯の額でもありません。

  • C 電子マネーへのチャージは、支出として計上される

    チャージは、収入や支出に影響を与えないとされています。

  • D 家計調査は、全国のすべての世帯を調べたものである

    無作為に選ばれた約9,000世帯が記入しています。

総額でも、一つの世帯の額でもありません。

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資料に書いてあること

  • エンゲル係数 = 食料 / 消費支出 × 100
  • 家計調査の消費支出は、1世帯当たりの平均値
  • 調査対象は学生の単身世帯等を除く全国の世帯(約5,270万世帯、全国の約94.4%)
  • 層化三段抽出法により、全国で約9,000世帯を無作為に抽出

記入期間は6か月間(単身世帯は3か月間)。

資料は「家計調査の消費支出は、1世帯当たりの平均値であって」と書いています。エンゲル係数は割合なので、金額そのものは表しません。電子マネーへのチャージは変化がないものとして扱われ、収入にも支出にも影響しません。調査対象は学生の単身世帯等を除く全国の世帯で、そこから無作為に選ばれた約9,000世帯が記入しています。

出典 総務省統計局「家計調査に関するQ&A」 / 2026年9月時点の情報

わかる

仕組みや計算のしかたを確かめます。

Bさんも手取り300,000円です。消費支出は300,000円、そのうち食料は60,000円で、エンゲル係数は60,000 ÷ 300,000 × 100 = 20.0%。Aさんと同じ係数です。

残る額も、Aさんと同じですか。

  • A 残る額は違う 正解

    正解です。Aさんは50,000円、Bさんは0円です。

  • B 残る額も同じになる

    同じにはなりません。分母の額が違います。

  • C 食費が同じなら同じ

    食費は50,000円と60,000円で、同じではありません。

  • D 割合が同じなら同じ

    割合が同じでも、残る額は決まりません。

Aさんは50,000円、Bさんは0円です。

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Aさん

  • 手取り 300,000円
  • 消費支出 250,000円
  • 食料 50,000円
  • エンゲル係数 20.0%
  • 残る額 +50,000円

Bさん

  • 手取り 300,000円
  • 消費支出 300,000円
  • 食料 60,000円
  • エンゲル係数 20.0%
  • 残る額 0円

係数は同じ。残る額は50,000円ちがう。金額はこの回で置いた例。

手取りから消費支出を引くと、Aさんは 300,000 − 250,000 = 50,000円、Bさんは 300,000 − 300,000 = 0円です。エンゲル係数はどちらも20.0%ですが、残る額は50,000円と0円で、まったく違います。割合は消費支出の中での配分を表すもので、手取りのうちどれだけ残るかは表していません。

出典 総務省統計局「家計調査に関するQ&A」 / 2026年9月時点の情報

Bさんの家賃が20,000円上がりました。食料は60,000円のままです。

エンゲル係数は、どうなりますか。

  • A 上がる

    上がるのは、分母が減ったときです。

  • B 変わらない

    分母が変わるので、変わらないということはありません。

  • C 下がる 正解

    正解です。分母が増えたぶん、割合は小さくなります。

  • D 判断できない

    分子と分母が分かっているので、判断できます。

分母が増えたぶん、割合は小さくなります。

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  • 家賃が上がる前の係数(%)
  • 家賃が上がったあとの係数(%)

食料は60,000円のまま。収支は +0円 から −20,000円 になっている。

消費支出が300,000円から320,000円に増え、食料は60,000円のままなので、係数は20.0%から18.75%に下がります。ところが収支は 300,000 − 320,000 = −20,000円で、家計はむしろ苦しくなっています。係数が下がったことと、家計が楽になったことは別です。

出典 総務省統計局「家計調査に関するQ&A」 / 2026年9月時点の情報

見抜く

誤解しやすい点や、見落としがちなリスクを見抜きます。

この資料から言えるのは、どれでしょう。

答え エンゲル係数は、食料を消費支出で割った割合である/食料以外の支出が減っても、エンゲル係数は上がる/家計調査の消費支出は、1世帯当たりの平均値である

資料は、水準の目安を示していません。

見抜くお金の土台を作る★★★★

係数が動いたら、分子と分母のどちらが動いたかを見る

係数の上がり下がりだけで、家計の良し悪しを決める

資料は2020年に「食料以外の支出の減少によるエンゲル係数の上昇」があったとしている。

資料は算式を示し、2020年には「食料以外の支出の減少によるエンゲル係数の上昇」が見られたとしています。分母が動けば係数は動く、ということです。一方、係数が下がれば余力ができるとは書かれていません。家賃が上がって分母が増えても係数は下がります。望ましい水準についても、資料は何も定めていません。

出典 総務省統計局「家計調査に関するQ&A」 / 2026年9月時点の情報

「エンゲル係数が下がったから、家計は楽になった」と考えました。

この考え方は、どうですか。

  • A 下がれば楽になった

    下がっても、楽になったとはかぎりません。

  • B 係数だけで分かる

    係数だけでは分かりません。

  • C 分母でも動く 正解

    正しい見方です。家賃が上がっても、係数は下がります。

  • D 食費が減ったしるし

    食費が減っていなくても、係数は下がります。

家賃が上がっても、係数は下がります。

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分子が減って下がる

  • 食料が減る
  • 消費支出は変わらない
  • 家計は楽になっているかもしれない

分母が増えて下がる

  • 食料は変わらない
  • 家賃が上がって消費支出が増える
  • 家計はむしろ苦しくなっている

同じ「係数が下がった」でも、中身は逆になりうる。

Bさんは家賃が20,000円上がって消費支出が320,000円になり、係数は20.0%から18.75%へ下がりました。食費は60,000円のままで、収支は−20,000円です。係数が下がったのに、家計は苦しくなっています。分子が減って下がったのか、分母が増えて下がったのか。同じ「下がった」でも中身が違います。

出典 総務省統計局「家計調査に関するQ&A」 / 2026年9月時点の情報

資料は、2020年にエンゲル係数の上昇が見られたと書いています。

その理由として挙げられているのは、どれですか。

  • A 食料の支出が増えた

    食料が増えたからだ、とは書かれていません。

  • B 食料以外の支出が減った 正解

    正解です。分母が小さくなって、割合が上がりました。

  • C 調査世帯の数が減った

    世帯数の話は、係数の上昇の理由として挙げられていません。

  • D 算式が変わった

    算式は「食料/消費支出×100」のままです。

分母が小さくなって、割合が上がりました。

見抜くお金の土台を作る★★★★
食料以外の支出が減る → 消費支出(分母)が小さくなる分母が小さくなる → エンゲル係数は上がる食料の金額は増えていなくてもよい

資料が2020年について挙げている理由。物価変動や生活スタイルの変化も要因として挙げられている。

資料は「2020年には、新型コロナウイルス感染症の拡大によって様々な行動制限があったため、食料以外の支出の減少によるエンゲル係数の上昇も見られました」としています。食料が増えたからではなく、食料以外が減って分母が小さくなったための上昇です。この回のBさんとは逆向きですが、動いているのはどちらも分母です。

出典 総務省統計局「家計調査に関するQ&A」 / 2026年9月時点の情報

ケースで考える

具体的な条件のもとで考えます。

Aさんは手取り300,000円で、消費支出が250,000円、そのうち食料が50,000円でした。統計局はエンゲル係数を「食料/消費支出×100」としています。

Aさんのエンゲル係数は何%ですか。(単位:%)

答え 20%

50,000 ÷ 250,000 × 100 で、20%です。

ケースお金の土台を作る★★
50,000円÷250,000円×10020.0%

割るのは手取りではなく消費支出です。ここを取り違えると、50,000 ÷ 300,000 で16.7%という別の数字が出ます。統計局は分母を消費支出と決めていて、家計調査では用途分類の各結果表で公表しているとしています。金額は、この回で置いた例です。

出典 総務省統計局「家計調査に関するQ&A」 / 2026年9月時点の情報

Aさんは手取り300,000円で、消費支出が250,000円でした。

毎月いくら残りますか。(単位:円)

答え 50000円

300,000 − 250,000 で、50,000円です。

ケースお金の土台を作る★★
  • Aさんの残る額(円)
  • Bさんの残る額(円)

エンゲル係数はどちらも20.0%。それでも残る額は50,000円ちがう。

残る額は、手取りから消費支出を引いた差です。エンゲル係数のような割合とは、まったく別の数字になります。Aさんは50,000円、Bさんは0円。係数はどちらも20.0%なので、係数だけを並べても、この50,000円の差は現れません。割合と金額は、いつも両方見ることになります。

出典 総務省統計局「家計調査に関するQ&A」 / 2026年9月時点の情報

Bさんの家賃が20,000円上がり、消費支出は320,000円になりました。

この消費支出でエンゲル係数が20.0%になるとき、食料はいくらですか。(単位:円)

答え 64000円

320,000 × 0.20 で、64,000円です。

ケースお金の土台を作る★★★
  • 320,000円家賃が上がったあとの消費支出
  • 64,000円係数が20.0%になるときの食料
  • 60,000円実際の食料
  • 18.75%実際のエンゲル係数

食費は変えていない。分母が増えたので係数が下がった。

係数を先に決めて、分母から分子を出す形です。実際のBさんの食料は60,000円のままなので、64,000円より少なく、係数は20.0%を下回ります。計算すると 60,000 ÷ 320,000 × 100 = 18.75%。食費を1円も減らしていないのに、係数だけが下がります。動いたのは分母のほうです。

出典 総務省統計局「家計調査に関するQ&A」 / 2026年9月時点の情報

ニュースで「消費支出は1世帯当たり◯◯円」と紹介されていました。

家計調査の消費支出は、何を表していますか。

  • A 1世帯当たりの平均値 正解

    正解です。ならした数字で、誰かの家計ではありません。

  • B 全世帯の支出の合計額

    合計額ではありません。

  • C 調査した世帯の中央値

    中央値ではなく、平均値です。

  • D 国全体の消費の総額

    総額を推計しているのは、国民経済計算のほうです。

ならした数字で、誰かの家計ではありません。

ケースお金の土台を作る★★★

家計調査の消費支出

何の数字か
1世帯当たりの平均値
誰が記入するか
無作為に選ばれた約9,000世帯
どのくらいの期間
6か月間(単身世帯は3か月間)
対象
学生の単身世帯等を除く全国の世帯(約94.4%)

自分の家計と一致しなくても、おかしなことではない。

資料は「家計調査の消費支出は、1世帯当たりの平均値であって」と書いています。無作為に選ばれた約9,000世帯が6か月間(単身世帯は3か月間)記入した結果をならしたものです。だから自分の家計と一致しなくても、おかしなことではありません。国全体の総額を推計しているのは国民経済計算のほうだと、資料は説明しています。

出典 総務省統計局「家計調査に関するQ&A」 / 2026年9月時点の情報

支出の割合を見ていくときの順序です。

正しい順に、並べてください。

答え 割合の分子と分母が、それぞれ何かを確かめる → 分母の金額を書き出す → 分子の金額を書き出す → 手取りから消費支出を引いて、残る額を出す

何を何で割った数字かが先です。

ケースお金の土台を作る★★★
  1. 割合の分子と分母が、それぞれ何かを確かめる
  2. 分母の金額を書き出す
  3. 分子の金額を書き出す
  4. 手取りから消費支出を引いて、残る額を出す

割合だけを先に比べると、同じ数字で止まってしまう。

まず分子と分母が何かを確かめないと、同じ「20%」でも比べられません。次に分母、分子の順に金額を書き出し、最後に手取りから消費支出を引いて残る額を出します。割合と金額の両方が並んで初めて、AさんとBさんの50,000円の差が見えます。割合だけを先に比べると、同じ数字にたどり着いて止まってしまいます。

出典 総務省統計局「家計調査に関するQ&A」 / 2026年9月時点の情報

判断する

実際の場面で、何を確認すべきかを判断します。

「食費の割合が20%だ」と聞きました。

確かめておくのは、どれでしょう。

  • A 数字の書体

    書体は、中身と関わりません。

  • B 分母がいくらか 正解

    正解です。同じ20%でも、金額は違います。

  • C 小数点の桁数

    桁数も、関わりません。

  • D 発表された時刻

    時刻も、関わりません。

同じ20%でも、金額は違います。

判断お金の土台を作る★★★

割合を聞いたら、分母の金額と残る額もそろえて見る

割合が同じだから、家計も同じようなものだと読む

AさんとBさんは同じ20.0%で、残る額は50,000円と0円だった。

AさんとBさんはどちらも20.0%でしたが、食料は50,000円と60,000円、残る額は50,000円と0円でした。割合だけでは、金額も余力も決まりません。だから分母がいくらかを聞いておくことになります。数字の書体も、小数点の桁数も、発表された時刻も、その違いを教えてくれません。

出典 総務省統計局「家計調査に関するQ&A」 / 2026年9月時点の情報

同じ手取りの人と、残る額が大きく違うと分かりました。

並べて見るのは、どれですか。

  • A 相手の家計簿の表紙

    表紙は、支出構成と関わりません。

  • B 記録している紙の色

    紙の色も、関わりません。

  • C 書いている字の大きさ

    字の大きさも、関わりません。

  • D 何にいくら使ったか 正解

    正解です。費目ごとの金額が、差を作っています。

費目ごとの金額が、差を作っています。

判断お金の土台を作る★★★★
手取り 同じ → 差は生まれないエンゲル係数 同じ → 差は見えない消費支出 250,000円 と 300,000円 → 残る額に50,000円の差家賃が20,000円上がる → 収支は −20,000円へ

費目ごとの金額を並べないと、差の出どころが分からない。

AさんとBさんは手取りも係数も同じでしたが、消費支出が250,000円と300,000円で、その差がそのまま残る額の差になっていました。さらに家賃が20,000円上がれば、収支は−20,000円に変わります。どの費目にいくら使ったかを並べないと、差の出どころが分かりません。表紙も、紙の色も、字の大きさも、そこは教えてくれません。

出典 総務省統計局「家計調査に関するQ&A」 / 2026年9月時点の情報

読んだら、解いて確かめる

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