お金の土台を作る

預金100万円は10年後も100万円。同じ価値と言える?

同じ倍率を、割る向きで使うと減って見えます。

このページの要点

日本銀行は2013年1月の金融政策決定会合で、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を導入しました。もし年2%ずつ10年続いたとすると、いま1,000,000円で買えるものは10年後に1,218,994円必要になります。裏返せば、10年後の1,000,000円はいまの820,348円分。残高は1円も減っていないのに、買えるものは179,652円分減ります。20年なら672,971円分です。

最終更新 2026年9月10日 / 全 15 問 ・知る 3 ・わかる 2 ・見抜く 3 ・ケースで考える 5 ・判断する 2

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目次 全 15 問

知る 3 問

  1. インフレ
  2. 購買力
  3. インフレ

わかる 2 問

  1. 名目金額
  2. インフレ

見抜く 3 問

  1. 名目金額
  2. 購買力
  3. 名目金額

ケースで考える 5 問

  1. 物価上昇率
  2. 実質価値
  3. 購買力
  4. 実質価値
  5. 物価上昇率

判断する 2 問

  1. 実質価値
  2. 購買力

知る

このテーマを理解するために必要な基本を押さえます。

日本銀行は2013年1月の金融政策決定会合で、消費者物価の前年比上昇率_%の「物価安定の目標」を導入しました。

  • A 2 正解

    正解です。前年比の上昇率で定められています。

  • B 0

    0%ではありません。

  • C 5

    5%でもありません。

  • D 10

    10%でもありません。

前年比の上昇率で定められています。

知るお金の土台を作る★★★
項目資料の記述
物価安定の目標消費者物価の前年比上昇率2%
導入した時期2013年(平成25年)1月の金融政策決定会合
点検で重要な指標消費者物価指数(総合)
物価の安定の定義物価水準の変動に煩わされることなく意思決定ができる状況

「目標」であって、毎年必ずその率になるという意味ではない。

資料は「日本銀行は、2013年(平成25年)1月の金融政策決定会合で、消費者物価の前年比上昇率2%の『物価安定の目標』を導入しました」としています。使われているのは消費者物価で、企業物価ではありません。また「目標」であって、毎年必ずその率になるという意味ではありません。

出典 日本銀行「物価の安定についての考え方および物価安定の目標」 / 2026年9月時点の情報

資料は、物価の安定についての考え方と、目標の中身を示しています。

それぞれ、どう書かれていますか。

答え 物価の安定の定義 … 物価水準の変動に煩わされることなく意思決定ができる状況/物価安定の目標 … 消費者物価の前年比上昇率2%/導入した時期 … 2013年(平成25年)1月の金融政策決定会合/点検で重要な指標 … 消費者物価指数(総合)

定義に「上がる」「下がる」は出てきません。

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物価の安定 → 物価水準の変動に煩わされることなく意思決定ができる状況物価安定の目標 → 消費者物価の前年比上昇率2%導入した時期 → 2013年(平成25年)1月の金融政策決定会合点検で重要な指標 → 消費者物価指数(総合)

資料は、物価の安定は「持続可能なものでなければならない」ともしている。

資料は物価の安定を「財・サービス全般の物価水準の変動に煩わされることなく、消費や投資などの経済活動にかかる意思決定を行うことができる状況」としています。物価が上がることでも下がることでもなく、変動に振り回されない状況を指しています。そのうえで、目標の率として消費者物価の前年比上昇率2%が置かれています。

出典 日本銀行「物価の安定についての考え方および物価安定の目標」 / 2026年9月時点の情報

四つの言い分を、一つずつ確かめてください。

  • A 物価安定の目標は、企業物価指数の前年比上昇率で定められている

    消費者物価の前年比上昇率で定められています。

  • B 物価情勢を点検する際、消費者物価指数(総合)は重要である 正解

    通ります。速報性を備えている点が挙げられています。

  • C 物価安定の目標は、2013年1月より前から導入されていた

    2013年1月の金融政策決定会合で導入されました。

  • D 物価の安定とは、物価水準が上がり続ける状況をいう

    変動に煩わされない状況、とされています。

速報性を備えている点が挙げられています。

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資料に書いてあること

  • 物価の安定は、物価水準の変動に煩わされることなく意思決定ができる状況
  • 物価の安定は、持続可能なものでなければならない
  • 物価情勢の点検では、家計が消費する財・サービスを包括的にカバーした指標が基本となる
  • 速報性を備えている消費者物価指数(総合)は重要である
  • 2013年1月の金融政策決定会合で、消費者物価の前年比上昇率2%の目標を導入した

日本銀行は、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することを理念としている。

資料は「速報性を備えている消費者物価指数(総合)は重要である」としています。目標は消費者物価の前年比上昇率2%で、企業物価指数ではありません。導入は2013年1月の金融政策決定会合。物価の安定は「物価水準の変動に煩わされることなく…意思決定を行うことができる状況」で、上がり続ける状況ではありません。

出典 日本銀行「物価の安定についての考え方および物価安定の目標」 / 2026年9月時点の情報

わかる

仕組みや計算のしかたを確かめます。

Aさんの預金は1,000,000円です。10年後も1,000,000円のままでした。「1円も減っていないのだから、同じ価値だ」と考えました。

物価が年2%ずつ上がっていたとすると、どうですか。

  • A 残高が同じなら同じ

    残高は同じですが、買えるものが変わります。

  • B 銀行が減らしている

    銀行が減らしているのではありません。

  • C 物価は関係しない

    物価が上がれば、同じ額で買えるものは減ります。

  • D 買えるものが減る 正解

    正解です。いまの820,348円分にあたります。

いまの820,348円分にあたります。

わかるお金の土台を作る★★★

残高で見たとき

  • いま 1,000,000円
  • 10年後 1,000,000円
  • 変わらない

買えるもので見たとき

  • いま 1,000,000円分
  • 10年後 いまの820,348円分
  • 179,652円分 減る

物価が年2%ずつ10年上がったと置いた場合の計算。

10年後に1,000,000円で買えるものは、いまの820,348円分です(1,000,000 ÷ 1.2189944200)。残高の欄は1円も動いていませんが、その1,000,000円で手に入るものは179,652円分少なくなります。減ったのは残高ではなく、買えるものの量です。

出典 日本銀行「物価の安定についての考え方および物価安定の目標」 / 2026年9月時点の情報

資料は「物価の安定」を定義しています。

それは、どんな状況だとされていますか。

  • A 物価が毎年上がっていく状況

    上がっていく状況とは書かれていません。

  • B 物価がまったく動かない状況

    まったく動かない状況とも書かれていません。

  • C 変動に煩わされない状況 正解

    正解です。意思決定ができる状況、と続きます。

  • D 金利が一定に保たれる状況

    金利についての定義ではありません。

意思決定ができる状況、と続きます。

わかるお金の土台を作る★★★★
項目資料の記述
理念物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること
物価の安定の定義物価水準の変動に煩わされることなく、経済活動にかかる意思決定を行うことができる状況
条件経済の持続的な成長と整合的で、持続可能なものでなければならない
目標の率消費者物価の前年比上昇率2%(2013年1月導入)

定義には「上がる」「下がる」という言葉が入っていない。

資料は「家計や企業等の様々な経済主体が、財・サービス全般の物価水準の変動に煩わされることなく、消費や投資などの経済活動にかかる意思決定を行うことができる状況」としています。上がることでも、まったく動かないことでもありません。しかもその状況は「持続可能なものでなければならない」とされています。

出典 日本銀行「物価の安定についての考え方および物価安定の目標」 / 2026年9月時点の情報

見抜く

誤解しやすい点や、見落としがちなリスクを見抜きます。

この資料から言えるのは、どれでしょう。

答え 物価安定の目標は、消費者物価の前年比上昇率2%である/物価情勢を点検する際、消費者物価指数(総合)は重要である/物価安定の目標は、2013年1月の金融政策決定会合で導入された

残高と買える量は、別の数字です。

見抜くお金の土台を作る★★★★

残高のほかに、その残高で買えるものの値段も見る

残高が減っていないことだけを見て、同じ価値だと考える

物価が年2%ずつ10年続いたと置くと、買えるものは179,652円分減る。

目標の率、点検で重要な指標、導入の時期は、いずれも資料に書かれています。一方この回では、残高が1,000,000円のままでも買えるものは179,652円分減りました。また物価の安定は「物価水準の変動に煩わされることなく…意思決定を行うことができる状況」で、上がり続ける状況ではありません。

出典 日本銀行「物価の安定についての考え方および物価安定の目標」 / 2026年9月時点の情報

「残高が減っていないから、心配はいらない」と考えました。

この考え方は、どうですか。

  • A 残高が同じなら安心

    残高は同じですが、買える量は変わります。

  • B 金利で取り戻せる

    この回では金利を置いていません。

  • C 物価は関係しない

    物価が上がれば、買える量は減ります。

  • D 買える量が減る 正解

    正解です。10年で179,652円分減りました。

10年で179,652円分減りました。

見抜くお金の土台を作る★★★★
  • いま買えるもの(円分)
  • 10年後に買えるもの(円分)
  • 20年後に買えるもの(円分)

残高はどれも1,000,000円のまま。物価が年2%ずつ続いたと置いた場合。

残高が減っていないのは本当です。ただし物価が上がれば、同じ額で買えるものは少なくなります。この回の計算では、10年で179,652円分、20年なら327,029円分減りました。「減っていない」のは名目の額のほうで、実質の価値のほうは別に確かめる必要があります。

出典 日本銀行「物価の安定についての考え方および物価安定の目標」 / 2026年9月時点の情報

同じ1,000,000円に、二つの言い方が出てきました。

名目の額と実質の価値を分けて見るのは、なぜですか。

  • A 額が同じでも買える量が変わるから 正解

    正解です。同じ倍率を、割る向きで使います。

  • B 銀行が額を変えるから

    銀行が残高を変えるのではありません。

  • C 金利が毎年変わるから

    この回では金利を置いていません。

  • D 通貨が入れ替わるから

    通貨が入れ替わるという話ではありません。

同じ倍率を、割る向きで使います。

見抜くお金の土台を作る★★★★
物価の倍率 1.2189944200
  • 掛ける向き → いま1,000,000円のものが10年後に1,218,994円必要
  • 割る向き → 10年後の1,000,000円はいまの820,348円分

同じ一つの倍率。使う向きが違うだけ。

残高という数字は、円という単位で数えたものです。買えるものの量は、値段で割ったものです。値段が1.2189944200倍になれば、同じ1,000,000円で買えるものはその分だけ少なくなります。掛ける向きで見れば1,218,994円必要になり、割る向きで見れば820,348円分。どちらも同じ倍率から出ています。

出典 日本銀行「物価の安定についての考え方および物価安定の目標」 / 2026年9月時点の情報

ケースで考える

具体的な条件のもとで考えます。

いま1,000,000円で買えるものがあります。物価が年2%ずつ10年上がったと置いて計算します。1.02の10乗は1.2189944200です。円未満は切り捨てます。

10年後に同じものを買うには、いくら必要ですか。(単位:円)

答え 1218994円

1,000,000 × 1.2189944200 で、1,218,994円です。

ケースお金の土台を作る★★★
  • いまの値段(円)
  • 10年後に必要な額(円)

年2%は日本銀行の「物価安定の目標」の率。毎年必ずそうなるという意味ではない。

218,994円多く必要になります。年2%という数字は、日本銀行が2013年1月に導入した「物価安定の目標」の率です。毎年必ずそうなるという意味ではありませんが、この回ではその率を10年当てはめて計算しています。

出典 日本銀行「物価の安定についての考え方および物価安定の目標」 / 2026年9月時点の情報

10年後の預金残高は1,000,000円のままです。物価は年2%ずつ10年上がったと置きます(1.02の10乗は1.2189944200)。円未満は切り捨てます。

この1,000,000円は、いまの何円分にあたりますか。(単位:円)

答え 820348円

1,000,000 ÷ 1.2189944200 で、820,348円です。

ケースお金の土台を作る★★★★
  1. 物価の倍率 1.02の10乗 = 1.2189944200
  2. 1,000,000 ÷ 1.2189944200 = 820,348.3… → 820,348円
  3. 確かめ 1.21899442 × 0.8203483 = 1.0000000
  4. 残高は1,000,000円のまま。買えるものはいまの820,348円分

同じ倍率を、掛ける向きで使うと1,218,994円、割る向きで使うと820,348円になる。

さきほどは掛け算で1,218,994円を出しました。今度は同じ倍率で割ります。1,000,000 ÷ 1.2189944200 = 820,348.3…。値段が1.219倍になった世界で1,000,000円しか持っていないので、買えるものはいまの820,348円分にとどまります。同じ倍率を、掛けるか割るかで向きが変わります。

出典 日本銀行「物価の安定についての考え方および物価安定の目標」 / 2026年9月時点の情報

10年後の1,000,000円は、いまの820,348円分にあたります。

買えるものは、いくら分減りましたか。(単位:円)

答え 179652円

1,000,000 − 820,348 で、179,652円です。

ケースお金の土台を作る★★★
  • いま1,000,000円で買えるもの(円分)
  • 10年後の1,000,000円で買えるもの(円分)

物価が年2%ずつ10年上がったと置いた場合。残高はどちらも1,000,000円。

残高の欄には1円の減りも出ていません。それでも買えるものは179,652円分少なくなります。通帳を見ているだけでは、この減り方は見えません。減っているのは残高ではなく、その残高で手に入るものの量です。

出典 日本銀行「物価の安定についての考え方および物価安定の目標」 / 2026年9月時点の情報

残高は1,000,000円のままで、物価が年2%ずつ10年上がったとします。

減ったのは、どれですか。

  • A 口座の残高の額

    残高は1,000,000円のままです。

  • B 預金の金利

    この回では金利を置いていません。

  • C 買えるものの量 正解

    正解です。残高の欄は動いていません。

  • D 銀行の手数料

    手数料も置いていません。

残高の欄は動いていません。

ケースお金の土台を作る★★★
  • 1,000,000円(変わらない)10年後の残高
  • 1.2189944200倍物価の倍率
  • いまの820,348円分買えるもの
  • 179,652円分減った分

金利も手数料も置いていない。動いたのは物価だけ。

残高は1,000,000円のままで、1円も減っていません。この回では金利も手数料も置いていません。動いたのは物価のほうで、その結果として同じ1,000,000円で買えるものが179,652円分少なくなりました。名目の額と、実質の価値を分けて見る必要があります。

出典 日本銀行「物価の安定についての考え方および物価安定の目標」 / 2026年9月時点の情報

同じ計算を20年でしてみます。1.02の20乗は1.4859473960です。残高は1,000,000円のままとします。円未満は切り捨てます。

20年後の1,000,000円は、いまの何円分にあたりますか。(単位:円)

答え 672971円

1,000,000 ÷ 1.4859473960 で、672,971円です。

ケースお金の土台を作る★★★★
  1. いま1,000,000円で1,000,000円分のものが買える
  2. 10年後残高1,000,000円/買えるのは820,348円分(−179,652円分)
  3. 20年後残高1,000,000円/買えるのは672,971円分(−327,029円分)

物価が年2%ずつ続いたと置いた場合。残高は一度も動いていない。

10年で820,348円分、20年で672,971円分。減った分は179,652円と327,029円で、期間が2倍になると減り方も大きくなります。残高の欄は20年間ずっと1,000,000円のままです。通帳を見ているだけでは、この20年で何が起きたのかが分かりません。

出典 日本銀行「物価の安定についての考え方および物価安定の目標」 / 2026年9月時点の情報

判断する

実際の場面で、何を確認すべきかを判断します。

通帳の残高を見ました。減っていません。

あわせて確かめるのは、どれでしょう。

  • A よく買うものの値段 正解

    正解です。減るのは、残高ではないほうです。

  • B 通帳の記帳の回数

    記帳の回数は、買える量と関わりません。

  • C 口座を開いた年月

    口座を開いた年月も関わりません。

  • D 支店の名前

    支店の名前も関わりません。

減るのは、残高ではないほうです。

判断お金の土台を作る★★★

残高のほかに、その残高で買えるものの値段も見る

残高が減っていないことだけを見て、同じ価値だと考える

残高1,000,000円のままで、買えるものは10年で179,652円分減った。

この回では、残高が1,000,000円のままでも、買えるものは10年で179,652円分、20年で327,029円分減りました。残高の欄を見ているだけでは、この減り方は出てきません。記帳の回数も、口座を開いた年月も、支店の名前も、買えるものの量を教えてくれません。

出典 日本銀行「物価の安定についての考え方および物価安定の目標」 / 2026年9月時点の情報

「同じ価値か」を決めようとしています。

確かめるのは、どれですか。

  • A 金融機関が設立された年

    設立年は、買える量と関わりません。

  • B 買えるものの値段 正解

    正解です。値段が変われば、同じ額の中身が変わります。

  • C 契約した曜日

    曜日も関わりません。

  • D 通帳の記帳回数

    記帳回数も関わりません。

値段が変われば、同じ額の中身が変わります。

判断お金の土台を作る★★★★
残高 1,000,000円 → 10年後も1,000,000円(変わらない)物価の倍率 → 1.2189944200倍(年2%を10年当てはめた場合)買えるもの → いまの820,348円分(179,652円分減る)

2%は日本銀行の「物価安定の目標」の率。毎年必ずそうなるという意味ではない。

この回では、同じ1,000,000円が「1,000,000円分」から「820,348円分」に変わりました。動いたのは値段のほうです。設立年も、曜日も、記帳回数も、その変化を教えてくれません。円という単位で数えた額と、買えるものの量は別の数字です。

出典 日本銀行「物価の安定についての考え方および物価安定の目標」 / 2026年9月時点の情報

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