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目次
はじめに
「この定期預金にお金を預けたら、いつになったら倍に増えるのだろうか?」
「老後までに資産を倍にするためには、年利何パーセントで運用すれば間に合うのだろうか?」
将来のために資産形成を始めようと考えたとき、あるいは銀行の窓口や証券会社のウェブサイトで金融商品を選ぶとき、ふとこのような疑問を持ったことはありませんか。
正確なシミュレーションを行うには、電卓を叩いたり、エクセルの複雑な関数を使ったりする必要があります。しかし、忙しい日常の中で、いちいち計算機を取り出すのは面倒なものです。
実は、もっと簡単に、暗算レベルで「お金が増えるスピード」を予測できる便利な公式が、金融の世界には存在します。それが「72の法則」です。
この法則を知っているだけで、金融商品のパンフレットを見た時や、怪しい投資話を持ちかけられた時に、瞬時にその商品の実力をジャッジできるようになります。それは単なる計算テクニックではなく、複利のパワーを肌感覚で理解し、長期投資のモチベーションを維持するための強力な羅針盤とも言えるツールです。
この記事では、「72の法則」の基本的な使い方から、実際に金利ごとの倍増期間をシミュレーションし、低金利時代の資産形成における現実的な戦略までを、約7,000文字にわたり徹底的に解説します。数字が苦手な方でも大丈夫です。この魔法の公式を味方につけ、あなたのマネーリテラシーを一段階レベルアップさせましょう。

金利が低いからこそ、手数料というコストをいかに削減するかが重要です。優遇条件を理解し、最もお得に使える方法を見つけることが、賢い金融生活の第一歩となります。
「72の法則」とは?複利の魔法を数字で掴む
「72の法則(Rule of 72)」とは、複利でお金を運用した際、元本が2倍になるまでにかかる「おおよその期間(年数)」を求めるための簡易的な計算式です。
この法則の起源は古く、15世紀のイタリアの数学者であり、「会計の父」とも呼ばれるルカ・パチョーリが1494年に著した『算術・幾何・比及び比例全書』の中で紹介されたのが最初と言われています。レオナルド・ダ・ヴィンチの友人でもあった彼が広めたこの知恵は、500年以上経った現代の金融界でも、投資家や金融マンの間で愛用され続けています。
公式は驚くほどシンプル
覚え方は非常に簡単です。以下の式に数字を当てはめるだけです。
72 ÷ 金利(年利%) = お金が2倍になる期間(年数)
例えば、年利3%で運用できる金融商品があったとします。この場合、
72 ÷ 3 = 24
となり、約24年で資産が2倍になることが瞬時にわかります。もし100万円預けていれば、24年後に200万円になるということです。
ポイントは「複利」であること
この法則が使えるのは、利息が利息を生む「複利(ふくり)」で運用した場合に限ります。
毎年一定額の利息しかつかない「単利(たんり)」の場合は、計算式が異なります(後ほど解説します)。
しかし、株式投資や投資信託、そして現在の多くの銀行預金は、基本的に「複利」で計算されるため、長期の資産形成においては、この「72の法則」が圧倒的に出番の多い公式となります。
なぜ「72」なのか?
数学的な詳細(対数計算など)は省きますが、「72」という数字が選ばれている理由は、約数(割り切れる数)が多く、暗算しやすいからです。
72は、1、2、3、4、6、8、9、12、18、24、36、72で割り切れます。様々な金利パターンで計算する際に、パッと答えが出しやすいという実用的なメリットがあるのです。
厳密な計算結果とは多少の誤差がありますが、一般的な資産運用の範囲(年利1%〜10%程度)であれば、実用上問題ない精度で計算できます。あくまで「ざっくりとした目安」を知るためのツールとして活用してください。

電卓を取り出す前に、頭の中で「72」を割ってみましょう。その瞬時の計算ができるだけで、金融商品の良し悪しや、目標達成までの距離感がクリアに見えてきます。それは、怪しい投資話から身を守る盾にもなるのです。
使い方①:お金が2倍になる「期間」を求めるシミュレーション
では、具体的な金利を当てはめて、お金が2倍になるまでの期間を計算してみましょう。
この計算をすることで、現在の日本の超低金利環境がいかに厳しいか、そして投資の力がどれほど大きいかが、数字としてリアルに実感できます。
ケース1:大手銀行の普通預金(金利 0.001%)
まずは、私たちが普段生活費を入れているメガバンクなどの普通預金です。金利は年0.001%程度が一般的です。
これを72の法則に当てはめてみます。
72 ÷ 0.001 = 72,000
答えは 7万2000年 です。
今から7万2000年前といえば、ホモ・サピエンスがアフリカから世界へ拡散し始めた頃でしょうか。銀行に預けておくだけで資産を倍にするには、人類の歴史レベルの時間が必要になります。
これは、事実上「銀行に預けているだけでは、生きているうちにお金が増えることはない」ということを示しています。預金は「増やす場所」ではなく「しまっておく場所」なのです。
ケース2:定期預金(金利 0.01%〜0.2%)
次に、少し金利の良いネット銀行の定期預金などを想定してみましょう。キャンペーン金利などで0.2%程度つく場合もあります。
- 金利 0.01%の場合:
72 ÷ 0.01 = 7200年 - 金利 0.2%の場合:
72 ÷ 0.2 = 360年
360年前といえば江戸時代初期です。これでもまだ、自分の寿命の範囲内での達成は不可能です。預金だけで資産を倍増させることが、いかに困難なミッションであるかが浮き彫りになります。
ケース3:個人向け国債(金利 0.5%前後 ※変動あり)
安全資産として人気の個人向け国債(変動10年)はどうでしょうか。金利は変動しますが、仮に平均0.5%で推移したとします。
72 ÷ 0.5 = 144
答えは 144年 です。
まだ長生きしても届かない数字ですが、360年に比べれば半分以下になりました。孫の代なら受け取れるかもしれません。
ケース4:堅実な投資信託(期待リターン 3%)
ここからは「投資」の領域に入ります。世界中の債券や株式に分散投資するバランスファンドや、保守的な運用をした場合の期待リターンを3%と想定します。
72 ÷ 3 = 24
答えは 24年 です。
ついに現実的な数字が見えてきました。
30歳で投資した100万円が、54歳で200万円になります。これなら、老後資金の準備として十分計算に入れられる期間です。預金の「数千年」とは次元が違います。
ケース5:株式投資(期待リターン 5%〜7%)
S&P500(米国株式)や全世界株式(オール・カントリー)などのインデックスファンドに長期投資した場合、過去の実績から見て年平均5%〜7%程度のリターンが期待できると言われています。
- 金利 5%の場合:
72 ÷ 5 = 14.4年 - 金利 7.2%の場合:
72 ÷ 7.2 = 10年
答えは 約10年〜14年 です。
約14年で資産が倍になります。さらに続けていけば、約29年後には4倍(2倍の2倍)、約43年後には8倍(4倍の2倍)になります。
30歳で投資した100万円が、44歳で200万円、58歳で400万円、72歳で800万円になる計算です。これが、アインシュタインが絶賛した「複利の爆発力」です。
ケース6:怪しい投資話(月利 10%など)
最後に、詐欺まがいの投資話の検証に使ってみましょう。「月利10%(年利換算120%以上)」といった話がSNSなどで流れてくることがあります。
もし年利100%だとしたら、72 ÷ 100 = 0.72年(約8ヶ月半)で倍になります。
もし月利10%(年利約213%の複利)なら、もっと早くなります。
そんな魔法のような話が本当にあれば、世界中の富裕層が独占しているはずです。72の法則を使って計算してみることで、「あまりに現実離れしている」と冷静に判断する材料になります。

「72000年」と「14年」。この圧倒的な時間の差を生むのが「金利(利回り)」の違いです。わずか数パーセントの違いが、人生の時間をどれだけ節約してくれるか、この法則は残酷なまでに教えてくれます。
使い方②:目標達成に必要な「金利」を求める
72の法則は、期間を求めるだけでなく、逆算にも使えます。
「いつまでに資産を倍にしたいか」という目標期間(ゴール)が決まっている場合、それを達成するために必要な利回り(金利)を求めることができるのです。
72 ÷ 目標期間(年数) = 必要な金利(%)
この式を使うことで、自分が取るべきリスクの大きさを測ることができます。
シミュレーション:老後までに倍にしたい
現在30歳の方が、手元の資金を60歳の定年までに2倍にしたいとします。運用期間は30年です。
72 ÷ 30 = 2.4
答えは 2.4% です。
つまり、年利2.4%以上で運用できる商品を探せば良いことになります。
年利2.4%であれば、ハイリスクな個別株で一発逆転を狙わなくても、比較的安全性の高いバランス型の投資信託や、債券を多めに組み込んだファンドなどで十分達成可能な数字だと分かります。
「無理にリスクを取らなくても目標は達成できる」という安心感を得ることができます。
シミュレーション:10年で倍にしたい
もう少し早く、10年で資産を倍にしたい場合はどうでしょうか。
72 ÷ 10 = 7.2
答えは 7.2% です。
年利7.2%を安定して出し続けるというのは、プロの投資家でも容易ではありません。株式100%のポートフォリオで、かつ市場環境が良い時期でないと難しい数字です。
この計算結果から、「10年で倍にするには、かなり高いリスク(元本割れの可能性)を受け入れる必要がある」ということが理解できます。
もし「元本保証で10年で倍になります」という商品があったら、それは72の法則と金融の常識に照らし合わせて、明らかに「詐欺」であると見抜くことができます。
シミュレーション:5年で倍にしたい
さらに短く、5年で倍にしたい場合。
72 ÷ 5 = 14.4
答えは 14.4% です。
ウォーレン・バフェットの長期的な平均リターンが20%程度と言われています。年利14.4%を目指すというのは、投資の神様に迫るパフォーマンスを出し続けるということです。
一般人が目指すには、あまりに無謀な目標であることがわかります。
このように、目標から逆算することで、自分が商品選びにおいて「高望みしすぎていないか」「適切なリスクを取れているか」を客観的にチェックすることができるのです。

目標から逆算することで、自分が取るべきリスクの大きさが分かります。無理な高金利を狙わず、必要十分な金利を目指すことが、失敗しない投資のコツです。72の法則は、欲望にブレーキをかける安全装置でもあります。
単利では使えない?「100の法則」との比較
冒頭で「72の法則は複利専用」とお伝えしました。では、利息を元本に組み込まない「単利」の場合はどうなるのでしょうか。
単利の場合は、より単純な「100の法則」を使います。
単利の場合: 100 ÷ 金利(%) = 2倍になる期間
複利と単利のスピード競争
年利5%で運用した場合の、倍になるまでの期間を比較してみましょう。
- 複利(72の法則):
72 ÷ 5 = 14.4年 - 単利(100の法則):
100 ÷ 5 = 20年
複利なら14.4年で達成できることが、単利だと20年かかります。
その差は 5.6年。
金利が高くなればなるほど、この差は開いていきます。例えば金利10%なら、複利は7.2年、単利は10年です。
この数年の差は、人生において非常に大きな意味を持ちます。
資産形成においては、いかに早く資産を増やし、その資産が生み出す収益で生活できるようになるか(経済的自由)が重要です。
5年早く目標を達成できれば、5年早くリタイアできるかもしれません。あるいは、その5年でさらに資産を増やし、より豊かな老後を送れるかもしれません。
「単利か複利か」という選択は、単なる計算方法の違いではなく、「時間を買う」選択でもあるのです。

「時は金なり」と言いますが、投資の世界では「時は金を生む種なり」です。時間をかければかけるほど、複利という肥料が効いて、資産の大樹は大きく早く育ちます。単利という痩せた土壌ではなく、複利という肥沃な土壌を選びましょう。
「72の法則」の限界と注意点
非常に便利な72の法則ですが、万能ではありません。使う際に知っておくべき注意点や限界があります。ここを押さえておかないと、計算結果を過信して計画が狂う可能性があります。
1. あくまで「近似値」である
72の法則は、数学的な近似式です。正確な計算結果とは多少のズレがあります。
特に金利が高くなるほど、誤差は大きくなります。
例えば金利が50%の場合、72の法則では 72 ÷ 50 = 1.44年 ですが、実際には約1.7年かかります。
通常の資産運用の範囲(1%〜10%程度)であれば誤差は小さいので問題ありませんが、「だいたいの目安」であることを忘れないでください。
2. 税金や手数料は考慮されていない
これが最も重要な点です。
72の法則は、「額面上の利回り」だけで計算しています。しかし、現実の投資では、利益に対して約20%(20.315%)の税金がかかります。また、信託報酬などの手数料も引かれます。
例えば、年利5%で運用できたとしても、税金を引かれた後の「手取り利回り」は約4%になります。
- 税引前(5%):
72 ÷ 5 = 14.4年 - 税引後(4%):
72 ÷ 4 = 18年
税金を考慮すると、倍になる期間は3年以上も延びてしまいます。
ここで重要になるのが、「NISA(少額投資非課税制度)」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などの非課税制度です。
これらの制度を使えば、税金がゼロになるため、額面の利回りがそのまま手取りとなり、72の法則通りのスピードで資産を増やすことが可能になります。
72の法則のパワーをフル活用するためにも、非課税制度の利用は必須条件と言えるでしょう。
3. 「借金」にも適用される恐怖
複利の力は、資産を増やす時だけでなく、借金が増える時にも働きます。
クレジットカードのリボ払いや消費者金融のカードローンは、多くの場合「複利」で利息がつきます。しかも金利は年15%〜18%と非常に高額です。
年利18%で借金をした場合、72の法則を当てはめると、
72 ÷ 18 = 4
なんと、返済をしなければ たった4年で借金が倍 になります。
資産を倍にするには何十年もかかるのに、借金はあっという間に膨れ上がります。アインシュタインの言葉通り、「知らない人は利息を払う」側になり、破産への道を転がり落ちることになります。
72の法則は、借金の恐ろしさを知るための警告としても使えるのです。
応用編:「115の法則」で3倍を知る
ついでに覚えておくと便利なのが「115の法則」です。これは資産が 3倍 になる期間を求める式です。
115 ÷ 金利(%) = 資産が3倍になる期間(年数)
年利5%なら、115 ÷ 5 = 23年 で資産が3倍になります。
2倍(14.4年)から、さらに9年弱で3倍になる計算です。
このように、目標に応じて「72」と「115」を使い分けると、より長期的な視点を持つことができます。

道具は使い手次第で薬にも毒にもなります。72の法則は、資産形成の強力な武器になりますが、リスク(借金や税金)を見積もるための探知機としても機能します。正しく理解し、賢く使いこなしましょう。
まとめとやるべきアクション
72の法則について、その仕組みから活用法、注意点まで解説してきました。要点を整理します。
- 法則: 「72 ÷ 金利(%) = 資産が倍になる年数」という魔法の計算式。複利専用。
- 現実: 預金(0.001%)で倍にするには7万年以上かかる。生きている間には不可能。
- 希望: 投資(3%〜7%)なら10年〜24年で倍にできる可能性がある。
- 活用: 目標期間から必要な利回りを逆算し、適切な商品選びやリスク管理に役立てる。
- 注意: 税金の影響を避けるためにNISAなどを活用する。借金の膨張スピードを知る警告としても使う。
この法則をポケットに入れておけば、金融商品の見え方が変わります。
「年利○%」という無機質な数字の裏にある「時間の重み」や「自由への距離」を感じ取ることができるようになるからです。
今すぐやるべきアクション
この記事を読み終えたら、以下のステップで実際に計算し、自分の資産計画を見直してみてください。
- 自分の預金金利を確認する: メインバンクの普通預金金利を調べてください(多くの場合は0.001%です)。
- 72の法則で絶望(そして希望へ):
72 ÷ その金利を計算し、預けっぱなしで倍になる年数を出してみてください。その非現実的な数字を見て、「預金だけではダメだ」と実感することがスタートです。 - 目標を設定して逆算: 「この資産を何年後までに倍にしたいか」を考え、
72 ÷ 年数で必要な利回りを計算してください。例えば20年なら3.6%です。 - 商品の検討: その利回りを達成できそうな金融商品(インデックスファンドなど)が何か、リサーチを始めてみましょう。そして、NISA口座の開設がまだなら、すぐに申し込みましょう。
電卓を叩いて出たその数字が、あなたの背中を押し、資産形成という長い旅路の第一歩を踏み出させるきっかけになるはずです。

数字は嘘をつきません。72の法則が示す現実は厳しいものかもしれませんが、同時に「どうすればいいか」という明確な道筋も示してくれています。知識を武器に、賢い選択を積み重ねていきましょう。あなたの未来は、計算通りに変えることができます。
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