投資初心者にロボアドがベストとは限らない理由。かわいさとサポート力抜群の「アルパカロボ」の口座を開設してみた

筆者はこのような仕事をしているにも関わらず、株式投資をした経験がありません。つみたてNISAは細々と始めようと準備していますが、株式投資となると「うーん、ハードルが高い」と身構えてしまいます。仕事柄、金融関連の話題に対してアレルギーがない筆者ですらこの有様です。

さて、そんな「投資に興味はあるけど、いきなり本格的に始めるのは怖い」という人におすすめの投資として、昨今、ロボアドバイザー(ロボアド)が注目されています。簡単に言うと「AIにお任せ」で投資ができるサービスですが、手放しでおすすめできない部分があるのも実情です。

しかし、ロボアドの中にも「AIは助言をしてくれるが、最終的な意思決定は自分で行うこと」を前提にしているタイプのものもあります。

今回、筆者はこのタイプのロボアドを利用した投資「アルパカロボ」の口座を開設してみることにしました。名前の通り、アルパカのキャラクターがとてもかわいいです。

ロボアドを手放しでおすすめできない理由と併せて、顛末をお伝えします。

投資初心者にロボアドがベストとは限らない理由

最初に

  • ロボアドってそもそも何なのか
  • ロボアドが「初心者にもおすすめ」と言われるのはなぜか
  • 筆者はなぜ「初心者に手放しでおすすめできるわけではない」と言うのか

の3点について整理しておきましょう。

ロボアドバイザー(ロボアド)とは?

ロボアドバイザー(ロボアド)とは

人工知能(AI)が投資家に対し、投資に関するアドバイス、ポートフォリオの提案、具体的な金融商品の買付・売却を代行して行うサービスのことです。

そして、ロボアドは「何をどこまでやってくれるか」によって

  • アドバイス型
  • 運用型(投資一任型)

の2つに分かれます。違いをまとめてみました。なお、リバランスとは「ポートフォリオを目標としている割合に戻すこと」を指します。

項目/型 アドバイス型 運用型(投資一任型)
運用先の資産配分提案 ロボアド ロボアド
投資商品提案 ロボアド ロボアド
投資判断・売買 投資家本人 ロボアド
リバランス 投資家本人 ロボアド

表からもわかる通り「ロボアド」と一口に言っても「アドバイスだけで、実際に投資をするのは自分」という「アドバイス型」と、「アドバイスはもちろん、実際の投資やリバランスもロボアドにお任せ」の「運用型(投資一任型)」に分かれるのが大きな特徴です。

そして「初心者でもお任せで投資ができる」というイメージに近いのは「運用型(投資一任型)」のロボアドと言って良いでしょう。

ロボアドが初心者にもおすすめと言われる理由

ロボアド(厳密には運用型のロボアド)はいわば「ほぼロボットにお任せで投資ができる」サービスです。簡単に始められることから、初心者にも人気があります。しかし、これだけでは説明としては不十分なので、初心者にとっておすすめできる理由をさらに掘り下げてみましょう。

インターネットで取引が完結する

従来、株式投資を含めた投資を行うには

  • 証券会社、信託銀行などの支店に出向き、口座を開設する
  • 売買の注文をする際は電話をする

など、証券会社や信託銀行の担当者とのやり取りをするのが基本でした。しかし、昨今ではインターネットの普及により、担当者との直接のやり取りをせずとも投資ができるようになっています。

ロボアドも例外ではなく、口座の開設から実際の売買まですべてオンラインで完結します。

家から一歩も出なくても、必要な書類とインターネット環境さえあれば大丈夫です。

投資目的・積立金額を設定すれば自動的に運用してくれる

ロボアドによる投資を始める際の流れを大まかにまとめると以下の通りです。

  1. ある程度の投資目的および毎月の積立金額を決めておく
  2. Webサイト上もしくはアプリ上に表示される簡単な質問に答える
  3. 質問への答えを元に、自分のリスク許容度や運用方針が決まる
  4. 投資目的・積立金額・リスク許容度・運用方針に基づき、ロボアドが最適な運用を行ってくれる

つまり、自分でやらなくてはいけないのは「ある程度の投資目的および毎月の積立金額を決めておく」「Webサイト上もしくはアプリ上に表示される簡単な質問に答える」の2つだけなので、とても簡単です。初心者であっても、十分にこなせるはずなので、始める上でのハードルは極めて低いでしょう。

投資資金が少なくても始められる

「投資を始めたいけど、お金がないし」と思う人にも、ロボアドはおすすめです。その理由を「他の投資を行う場合、どれだけ資金が必要なのか」という視点から説明しましょう。

株式投資を例に出します。日本の会社の株式の場合、売買単位が100株に統一されているため、1つの会社の株式を買うだけでも、それなりにまとまったお金が必要になります。

例えば、塩野義製薬(株式コード4507)の株を買おうとする場合

6,536円(※)×100株=653,600円

が必要になる計算です(なお、株価は2021年8月13日の終値を使用しています)。

出典:【塩野義製薬】[4507]株価/株式 日経会社情報DIGITAL | 日経電子版

なお、証券会社によっては、単元未満株の取引(100株未満で売買をすること)ができるケースもありますが、すべての証券会社が対応しているわけではありません。

しかし、ロボアドの場合、1万円~10万円程度が最低投資金額として設定されていることが多いです。そのため、「今はそこまで投資にお金は使えないけど、まずはどんなものか試してみたい」という人でも、気軽に始められるのは大きなメリットでしょう。

ロボアドが初心者にベストとは限らない理由

ここまで説明してきた通り、ロボアドの良さは「お金・知識の両方の面で、初心者でも気軽に投資が始められること」です。しかし、人によってはこれが仇になることが考えられます。

「自分で考えて買う」のは難しい

株式や投資信託に限らず、資産運用で長期的に資産を増やしていくためには「自分で投資対象に関する情報を収集し、情報を吟味した上で意思決定を行う」ことがやはり不可欠です。

しかし、ロボアド(運用型)の場合「基本、全部お任せ」であるため「自分で考える」という体験がしにくいという欠点があります。

また、ロボアドはAIが過去のデータや現在の市況と照らし合わせて判断をし、アドバイスや売買の代行、リバランスまでを行ってくれますが「AIの判断が絶対に正しい」とは限らないのです。

「AIのアドバイスは聞いてみたいけど、最後は自分で判断したい」という人には、同じロボアドでもアドバイス型を利用することを前提に考えた方が良いでしょう。

かわいさとサポート力が自慢!「アルパカロボ」ってなんだ?

アドバイス型のロボアドについて知らなかった筆者は「えーと、それってどこでできるの?」と疑問を覚えました。

そこで調べたところ、2021年8月から本格的にスタートしたアドバイス型のロボアドサービスを見つけたので、ご紹介します。それが「アルパカロボ」です。

「アルパカロボ」での運用の仕方

アルパカロボは

  • 株式会社Fan(金融商品仲介業者)
  • AlpacaJapan株式会社(金融商品取引業者、ブランド名は「アルパカ証券」)
  • SBI証券(ネット証券大手)

の3社が協同で開発した、アドバイス型のロボアド(および当該ロボアドを利用した株式取引ができる口座)です。

実際に売買を行うのは自分自身

出典:Alpaca ROBO(アルパカロボ) | 株式投資にAIを。

基本的な利用の流れは、以下の通りです。

  1. 強気シグナル(買い時と判断された銘柄)を参考に銘柄を選び、購入する
  2. 保有している銘柄の中で弱気シグナル(売り時と判断された銘柄)が出たら、アラートで知らせてくれる
  3. 弱気シグナルが出た銘柄を売却し、強気シグナルとサイズバランス診断を元に、配分の見直しを検討する

こちらの流れからもわかる通り、アルパカロボは「情報提供はしてくれるが、最後は自分自身で売買の判断、実行を行う」のが基本です。

出典:Alpaca ROBO(アルパカロボ) | 株式投資にAIを。

「アルパカロボ」の4つのスゴさ

次に、アルパカロボのメリットとして

  1. 無料で簡単に口座開設できる
  2. AIが毎日買い時と売り時を教えてくれる
  3. 「追加で買うなら」を提案してくれる
  4. IFAにリアルタイムで相談OK

の4点について解説します。

1.無料で簡単に口座開設できる

「今すぐは始めないけど、後々のために口座開設をしておこうかな」という人に朗報です。アルパカロボを使うための口座開設は、無料でできます。もちろん、配信される情報を見るのも無料です。その他の手数料の種類と金額については、以下の表にまとめたので参考にしてください。

料金種別 手数料
取引手数料 約定代金の0.5%(税込0.55%)
※1回の約定代金が、3,000万円~5,000万円の場合0.45%(税込0.495%)、5,000万円超の場合0.35%(税込0.385%)
口座管理料 無料
入金手数料 即時入金:無料
振込専用口座入金:ATMなどの振込手数料はお客様負担
出金手数料 無料
振替出庫手数料 1銘柄1単元あたり1,000円(税込1,100円)
1銘柄あたり最大10,000円(税込11,000円)
単元未満株買取請求手数料 1銘柄あたり500円(税込550円)
新株予約権行使請求手数料 1銘柄あたり1,500円(税込1,650円)
各種証明書等書面交付手数料 1通毎に1,500円(税込1,650円)

2.AIが毎日買い時と売り時を教えてくれる

アルパカロボでは、搭載されているAI(Alpaca AI)が日本株個別銘柄の「強気シグナル(買い時)」「弱気シグナル(売り時)」を毎営業日ごとに知らせてくれる仕組みになっています。

簡単に言うと、これを参考に「今、どの株を買う(売る)べきか」を考えて、動くことができます。

Alpaca AIが基本的な仕組みとして「日本株の流動性上位2000銘柄の10年分のデータを学習・分析し、ディープラーニングで期待収益率の高さを客観的に予想する」を用いているため、このようなことができるのです。

出典:Alpaca AIの仕組み | Alpaca ROBO(アルパカロボ)

ディープラーニングって?

ちなみに、ディープラーニングとは

人間の脳の情報伝達の仕組みをモデルにした、人間が自然に行う行動をコンピュータに学ばせる技術のこと

です。

日本語では深層学習と言います。「何のことだかさっぱりわからない」という人もいるはずなので、説明しましょう。

これまでにも、社会の様々なところでAIを使って業務を効率化すること自体は幅広く行われてきました。その際に用いられてきたのが「機械学習」という技術です。

これは

入力された大量のデータから機械が自ら法則性や関連性を学習し、未知のデータに対する判断・予測をすること

を指します。

しかし、実際にこれをやろうとすると、まず人間が入力したデータから答えに至るまでの条件・法則を決め、AIに学習させなくてはいけません。そのため、膨大な量の情報や条件、分岐が必要となる複雑かつあいまいな問題には対処しきれませんでした。

しかし、ディープラーニングを用いれば、「人間の脳の情報伝達の仕組み」をモデルにしているため、人間が行うのと同様に、複雑かつあいまいな問題にも対応できます。

わかりやすい例として「動物の写真を見せて、猫かどうかを判断させる」のを想定しましょう。従来の機械学習では、以下の図のようにまず「猫とはどんなものか」を定義するために、特徴のパラメータ(例:耳がある、しっぽがあるなど)を人がAIに教えなくてはいけませんでした。

しかし、ディープラーニングでは「猫とはどんなものか」を定義するために、特徴のパラメータを教える代わりに、大量の猫の写真を読み込ませて、AIが自分で特徴を見つけ、法則性を学習できるようにします。その結果として、これまでに出てきていない猫の写真を見せても「これは猫である」と判断できるようになるのです。

バックテストでは平均15.6%の収益を達成

アルパカロボでは、ディープラーニングの技術を用いて、株の値動きを予想することで「この銘柄が今、どのような状態にあるのか」を判断してくれます。実際には、以下の図にもあるように、日本株の流動性上位(よく売買されている銘柄)2000銘柄について、AI予報としてシグナルを出してくれる仕組みです。

なお、アルパカロボに用いられているAlpaca AIのアドバイスに基づき投資を行った場合、どれだけの収益が得られるかのシミュレーション(バックテスト)では、対象となった期間の平均収益率が15.6%というなかなかの好成績を残しました。

出典:Alpaca AIの仕組み | Alpaca ROBO(アルパカロボ)

3.「追加で買うなら」を提案してくれる

アルパカロボでは、運営元の1社・アルパカ証券が扱っている銘柄のサイズ分類をもとにした「小型株2:中型株1:大型株1」という割合(ポートフォリオ)で保有することが推奨されています。

そのため、ある銘柄の株式を売却した際は、推奨される割合に基づいて選ばれた別の銘柄の株式が、次に買う際におすすめの銘柄として提案される仕組みです。

出典:Alpaca ROBO(アルパカロボ) | 株式投資にAIを。

4.IFAにリアルタイムで相談OK

「うーん、精度の高いAIなのかもしれないけど、そればかりを当てにするのも嫌だな」と思う人もいるかもしれません。

アルパカロボを使っている場合は、運営元の1つである資産運用アドバイス会社・Fanに所属するIFA(資産運用アドバイザー)にチャットで相談できます。

また、株式投資以外にも、投資信託・債券・各種制度を活用した資産運用について聞きたい場合は、店舗やオンラインで無料相談もできるので、必要に応じて使いましょう。

せっかくなので筆者も口座を開設してみました

実は筆者は、2021年8月上旬に行われた報道関係者向け発表会に参加することができました。そのため、他のメディアでもアルパカロボはたくさん取り上げられています。

筆者よりはるかに金融やテクノロジーに関する知見がおありの記者の方が沢山参加なさっていたはずなので、より専門的なことを知りたいなら、そのような方が書いた記事を読んだ方が良いでしょう。「どちらかと言えば金融にはまったく詳しくない人」である筆者にそんな記事は書けません。

逆に「口座開設ってそんなに難しくないんだね」と実感してもらうために、今回はあえて口座開設をしてみた顛末を紹介します。

20分もあればできました

結論から言うと、20分もあればできました。大まかな流れを実際の画面(のスクリーンショット)とともに紹介します。なお、個人情報に関する部分はモザイクをかけてありますので、あらかじめご了承ください。

指示に従って必要事項を入力するだけでOK

まず、トップページにアクセスし「無料 簡単口座開設する」をクリックします。画像内の赤枠で囲った部分です。

すると、次のような画面に移り替わります。アルパカロボはすでに触れた通り、Alpaca Japan株式会社と株式会社Fanとの協同プロジェクトでもあるため、このような説明書きになっています。

先に進むと、このような表示が出てきます。すべてにチェックを入れて「同意して次へ」をクリックしましょう。

口座開設の流れが表示されます。よく読み、内容が理解できたら「口座開設を始める」をクリックしましょう。

名前や生年月日、メールアドレスなどの基本情報を登録します。

すべて登録すると、一番下の「確認画面へ」が赤くなり、次に進める仕組みです。進むと確認用に入力した情報が表示されます。問題がなければ「登録する」をクリックしましょう。

正常に処理されると、案内メールが送信されます。

登録に使ったメールアドレスの受信箱を見ると、このようなメールが届いています。「パスワードを登録する」をクリックしましょう。

パスワードを設定します。

正常に完了すると、このような表示に切り替わります。

改めて、ログインして登録手続きの続きを行いましょう。口座開設に必要な本人の情報を入力します。

必要な情報を全部入力したら「次へ」をクリックしましょう。確認用の画面が表示されます。

問題がなければ「確認して申し込む」をクリックします。すると、本人確認書類(筆者はマイナンバーカードを使いました)の画像がアップロードできる仕組みです。

画像が正しければ「確定」をクリックすると、一連の流れが完了します。

なお、口座開設は「アルパカロボ」の公式Webページからできます。「おうち時間も長そうだし、何か新しいこと始めてみようかな」と思う人や、「ロボアドってどんなものだか試してみたい」と思う人は、まずは口座開設から始めてみてくださいね!

「アルパカロボ」公式Webページはこちら

FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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