家電・家具の費用を住宅ローンに組み込むのは基本NG。代わりに使えるローンは?

マイホームを取得する際、意外にかかるのが「家を買うため以外の費用」です。たとえば

  • 不動産会社に支払う仲介手数料
  • 不動産取得税などの税金
  • 印紙税
  • ローン借り入れ費用
  • 新居に置く家電・家具などの購入代金

などが考えられます。特に、マイホームに引っ越すのをきっかけに、家電や家具を一気に新調しようと考えている場合、かなりの出費が見込まれます。

「せっかくだから、その費用も住宅ローンに含めて借りられないかな」と思うかもしれませんが、それはできません。理由と代わりに使えるローンについて、今回は解説しましょう。

家電・家具の費用を住宅ローンに組み込めない理由

家を建てることに直接関係はないから

そもそも、住宅ローンは「契約者自身が住む家を取得することを想定したローン商品」です。人が生きていく上では、家は欠かせません。

欠かせないものである以上、通常のローンに比べて金利を低くするなど、少しでも契約者が利用しやすい条件で貸付を行っているのです。

しかし、新しく建てた家に置く家電・家具は、極論すればなくても生きていけます。つまり「それがないと家が建てられない」という性質のものではないため、家を建てることに直接関連する費用ではないとみなし、住宅ローンからこれらの費用を捻出することはできない仕組みになっているのです。

住宅に組み込むタイプの家具・家電であれば可能

逆に、家電や家具であっても「家を建てることに関係するもの」であれば、住宅ローンに組み込む余地があります。例えば

  • クローゼット
  • 組み込み式のエアコン
  • 組み込み式のオーブンレンジ、食器洗い洗浄機

などを新居に取り付けたい場合、機材の代金および取り付け費用を含めた金額で、住宅ローンの借り入れを行うことは可能です。

割高になりがちなので注意

ただし、この方法を使う場合、注意すべきことがあります。住宅に組み込むタイプの家電・家具の場合、メーカーから工事業者を通じて取り寄せ、実際に建築現場に搬入しないといけません。また、取り付けが必要になると、それだけ工事期間も長くなる上に、対応に当たる工員が必要になります。

自分たちで家電や家具を購入して、完成後の家に設置する場合に比べると、総じて割高になりがちなことに注意が必要です。

金融機関側の判断でNGになるケースも

また、住宅に組み込むタイプの家電・家具を勘案した金額で住宅ローンを組むこと自体は法的には可能ですが、実際に融資を実行できるかどうかは金融機関の判断にゆだねられています。

  • 家の規模の割に組み込みタイプの家具・家電の金額が高い
  • 組み込みタイプの家具・家電の分も上乗せした金額では返済を続けるのが難しい

と判断された場合、審査に通らないことは十分あり得る点に注意しましょう。

家電・家具の費用をまかなうために使えるローンは?

諸費用ローンとは

新居に置く予定の家電・家具の費用を賄うために住宅ローンを利用するのは、現実的にはかなり厳しいと言わざるを得ません。

しかし、家電・家具の費用を含め、マイホームを取得する際の諸費用を賄うためのローンとして「諸費用ローン」を提供している金融機関もあります。

なお、マイホームを購入する際の流れは、通常の買い物とは全く違います。不動産取得税などの税金を支払わなくてはいけないし、登記も行わなくてはいけません。さらに金融機関からはローン借入費用を請求されます。

ここでは、一般的に住宅を購入する際に、物件価格以外にかかる費用(諸費用)をまとめました。

頭金

物件価格のうち、購入時に現金で支払う分のことを「頭金」といいます。

一般的には物件価格の2割が相場です。近年では頭金がゼロでも住宅ローンを組めることは増えてきていますが、毎月の返済負担額が増えることを考えると、なるべくなら頭金を用意して臨んだほうがいいでしょう。

住宅購入に関わる諸費用

マイホームを購入する際は、住宅ローンの借入費用、不動産登記にかかるお金、家具購入や引っ越し代金など、様々な初期費用が発生します。

どんなお金が必要になるのかは、事前に覚えておくといいでしょう。
不動産購入所得に関わる費用
申込証拠金 新築マンション・一戸建てなどの購入を申し込む際に、不動産会社に支払う。その後、正式契約を行う場合は、手付金の一部に充当される。相場は2 ~ 10万円程度。中古住宅の場合は必要ないケースが大半。
手付金 売買契約時に売主に支払うお金のこと。購入代金の5% ~ 10%程度が一般的であるが、売主・買主の合意により決まるのでこれより多いケースもある。最終的に代金の一部に充当される。なお、契約を破棄する場合は返金されないことに注意。
印紙税 売主とかわす売買契約書に印紙を貼る形で支払う。契約金額によって金額が違うので注意。
仲介手数料 中古物件、一部の新築一戸建てなど、仲介会社を通じて物件を購入する場合に、仲介会社に対して支払う。「物件価格の3.3%+6万6000円」(消費税10%の場合)が上限。
不動産取得税 不動産を取得した際に一度だけ支払う。金額は物件の取得価格により異なる。
固定資産税・都市計画税 その年の1月1日時点の不動産所有者に対してかかる税金。実務的には日割り金額を売主に対して支払う。
登記費用 不動産登記(所有権の保存または移転など)、抵当権設定登記の際に必要な登録免許税や、司法書士に依頼する場合の報酬を支払う。
ローン契約に関わる諸費用
印紙税 ローン契約書に印紙を貼る形で納付する税金。契約金額に応じて金額が変わる。
ローン借入費用 事務手数料、ローン保証料、団体信用生命保険特約料、火災保険料など。金額は金融機関や、ローン商品によって異なるので事前に確認が必要。
その他の費用
修繕積立資金 新築マンションを購入する場合に支払う。実際の金額は地域・物件・住居の広さによって異なるが、相場は20 ~ 40万円程度。
水道負担金 一戸建てを購入する際など、新たに水道を利用する際に支払う。各自治体によって必要かどうかは異なるので、事前に要確認。
引っ越し費用 移動距離や荷物の重量、時期によっても異なる。
家具・家電購入費用 何をどれだけ買い替えるかによって異なるので注意が必要。

諸費用ローンを利用する上での注意点

すべての金融機関で利用できるわけではない

諸費用ローンは便利な商品ですが、すべての金融機関で取り扱っているわけではありません。

住宅ローンを扱っていても、諸費用ローンは扱っていない金融機関も珍しくないので、事前に確認しましょう。
一定の条件に当てはまる諸費用を含められる場合も

なお、諸費用ローンという商品は提供していないものの、一定の条件に当てはまる諸費用であれば、住宅ローン本体に含めて申し込みができるという形をとっている金融機関も存在します。

例えば、ソニー銀行の場合、売買契約金額もしくは工事請負金額に300万円まで上乗せする形で、以下の諸費用を含めた金額での住宅ローンの申し込みが認められています。

  • 取扱手数料
  • 登記に関する費用(登録免許税、司法書士手数料)
  • 火災保険料(新規・追加契約を行う場合)
  • 借り換えの場合の既存ローンに対する経過利息・違約金
  • 購入の場合の仲介手数料

参照:【住宅ローン】 諸費用も含めて借り入れの申し込みはできますか?

住宅ローンとは別個に手続きをしないといけない

諸費用ローンは住宅ローンと同じく、家を購入するためのローンではあるものの、まったく別個の商品です。そのため、手続きも住宅ローンとは別個に行わなくてはいけません。

それなりに手間はかかるので、余裕を持ってスケジュールを組みましょう。

毎月の返済額が増える

諸費用ローンも、住宅ローンと同じく融資が実行されたら、あらかじめ定められたスケジュールに従って返済をしていかないといけません。当然、住宅ローンと合わせると、毎月の返済額は増えます。諸費用ローンの利用を検討する際は

  • 住宅ローンと合わせると毎月の返済額はいくらになるのか
  • その返済額は無理なく返していけそうな金額か

の2点を事前に見極めましょう。

FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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