ペットローンの審査に通らない3大理由。通らなかった場合の対処法は?

ペットショップから引き取ってくる場合であっても、保護団体から引き取ってくる場合であっても「ペットを飼う」という行為自体、それなりにお金がかかります。

そもそも、ペットショップの場合は動物そのものにお金を払わなくてはいけません。また、保護団体から保護犬・保護猫を引き取る場合でも、住環境の整備やトリミングなどのお手入れ、必要な予防接種や定期検査は欠かせないため、ある程度のお金がないとペットを飼えないのも実情です。

全て自己資金で賄えるならそれに越したことはありませんが、どうしても資金的に難しい場合は

  • ペットを飼うこと自体を諦める
  • ペットローンを使うことを検討する

の2つの選択肢が浮かび上がってきます。

しかし、ペットローンもローンの一種である以上、提供する金融機関(銀行、信販会社等)の審査を受けて通過しないと利用することはできません。そこで今回は

  • ペットローンの審査に通らない理由
  • 万が一、審査に通らなかった場合の対処法

の2つについて解説しましょう。

ペットローンの審査に通らない3大理由

安定した収入がない

ローンなど「お金の貸し借りを前提とする取引(信用取引)」の場合、金融機関が重視するのは「継続安定した収入があるか」ということです。

金融機関にとっては「貸したお金が途中で返済されなくなること」が重大な経営上のリスクの1つとなるため、慎重に対処せざるを得ません。そのため、職業や現在の状況によっては、ペットローンの審査に通らないことは往々にして考えられます。

自営業・フリーランスはハードルが高い

まず、審査が難航することを覚悟しなくてはいけないのは「自営業・フリーランス」の人です。

もちろん、自営業といっても「親子三代にわたって経営している会社の社長」など、ある程度の社歴・業績があるのであれば、さほど問題はないでしょう。

しかし

  • 起業して間もない会社(法人)の代表
  • まだ実績のあまりないフリーランス

であれば「継続安定した収入があるか」という点では弱いのも確かなので、注意が必要です。

自営業であっても、弁護士・会計士・税理士・医師などの高度専門家であれば、多少事情は違いますが、それでも100%大丈夫とは言い切れません。「開業したてで、まだ顧問先(患者)が少ない」ことだって考えられるためです。

会社員でも転職1年以内は厳しいかも

また、会社員であっても、転職してから1年以内であれば、ペットローンの審査に通らない可能性は十分にあり得ます。

  • 試用期間中であり、正式採用されるかわからない
  • 逆に、さっさと会社に見切りをつけて転職活動を始める可能性もある

などの理由から、審査をシビアに行う金融機関もやはり存在するためです。

できる限り審査に通る可能性を高めたいなら、ペットローンの審査への申し込みは転職後1年以上たってからにした方が無難でしょう。

個人信用情報に問題がある

ペットローンやクレジットカードを含めた信用取引の審査において用いられるのが、個人信用情報です。

簡単に言うと「クレジットやローンの契約や申し込みに関する情報のことで、客観的な取引事実を登録した個人の情報」を指します。

この個人信用情報に何らかの問題点があった場合も、ペットローンを使うのは厳しくなるので気を付けましょう。

ブラックリストに載っているとNG

何らかの理由で、支払能力に重大な影響を及ぼす事象が起きた場合、個人信用情報に異動(金融事故情報)が登録されます。

  • 延滞:本来の返済日より61日以上もしくは3カ月以上の支払いの遅延がある(あった)
  • 代位弁済:借りている本人に代わって、保証会社が弁済した
  • 債務整理:任意整理、個人再生、特別調停、自己破産などを行った

などが、異動の代表例です。

個人信用情報に異動が登録されていることを「ブラックリストに載る」という俗語で表すこともあります。

そして、個人信用情報に異動が登録されている間(最長10年)は、ペットローンも含めたローンやクレジットカードは使えません。

30代以上でクレジットカードを使ったことがない人も要注意

逆に、これまでの人生でクレジットカードやローンを使ってこなかった、という人についても注意が必要です。

日本の場合、クレジットカードやローンを使えるのは原則18歳以上であるため、10代や20代であれば、クレジットカードやローンを使ったことがない人がいても何ら珍しくありません。そのため、あなたが10代や20代であれば、さほどこの点は気にしなくても良いでしょう。

ただし、30代以上になった場合は要注意です。人生でクレジットカードやローンを一度も使ったことがない場合、個人信用情報には何も記載されていない状態になります。「何も書いていない、真っ白」という意味で「スーパーホワイト」と呼ばれることもあるので覚えておきましょう。

一方、10代や20代の前半など、比較的若い時期に

  • クレジットカードやキャッシングの延滞・滞納をした
  • 何らかの理由でクレジットカードを強制解約になった
  • 実は個人再生などの債務整理をしたことがある

などの理由で、個人信用情報に異動が登録されていた場合も、最長で10年クレジットカードやローンが使えなくなってしまうため、個人情報には何も記載されません。つまり、見た目がやはり「スーパーホワイト」になります。

しかし、ペットローンを提供する信販会社や銀行などの金融機関には「なぜ、この人はスーパーホワイトなのか」を調べる権利はありません。調べようがない以上、金融機関側も慎重に審査を行わざるを得ないのが現状です。

実際は「ただ単に、ローンやクレジットカードが苦手で現金払いを貫いてきた」だけであっても、ペットローンに通らないことは往々にして考えられるでしょう。

クレジットカードの申し込みをした場合は半年以上空けるとベター

また、意外な盲点になるのが「クレジットカードの申し込み」です。これまで使ったことがないクレジットカードに申し込んだ場合、その情報は半年間、個人信用情報に登録されます。

直近6カ月以内にクレジットカードを申し込んだなら、できれば申込日から6カ月を超えたタイミングでペットローンの申し込みをすると良いでしょう。

理由を一言でまとめると「多重申込をしていることになり、貸し倒れになるリスクが懸念されるから」です。実際は全く違っていたとしても、短期間の間にクレジットカードやペットローンを含めたローンを複数申し込む人は

  • 手持ちのクレジットカードが利用限度額の上限に達している
  • 手元に現金がないため、資金繰りに行き詰まっている

など、支払能力に何らかの問題を抱えている可能性が高いと判断されるのが実情です。クレジットカードを1枚申し込んだことが原因で、ペットローンの審査に100%落ちるとは限りませんが「念には念を入れたい」と思うなら、期間を開けた方が安心でしょう。

とんでもなく高いペットを飼おうとした

ペットローンは、厳密に言うと「愛玩動物および飼育費用を賄うための個別クレジット(個別方式の信用購入あっせん)」です。

そのため、割賦販売法に基づく規制を受けます。

簡単に言うと「あまり高額の動物をペットとして飼うことを前提にペットローンを組もうとした」場合、審査でNGが出ると考えましょう。

支払可能見込額に注意

具体的には、支払可能見込額を算定した上で、いくらまでなら個別クレジット契約(ペットローンなど「何か特定のものを購入するためのローン」)ができるのかを決定する仕組みです。なお、支払可能見込額の基本的な算定式は以下の通りです。

年収 - 生活維持費 - クレジット債務

なお、生活維持費とは、世帯(同一生計の人数)、住宅所有の有無、居住地などを元に、法律により機械的に決められます。東京23区内など、日本国内でも生活費が非常に高いと考えられるエリアの場合は、以下の通りです。

利用者等と生計を一にする者の合計 1人 2人 3人 4人以上
住宅所有かつ住宅ローン無し
住宅不所有かつ家賃支払い無し
90万円 136万円 169万円 200万円
住宅所有かつ住宅ローン有り
住宅不所有かつ家賃支払い有り
116万円 177万円 209万円 240万円

出典:支払可能見込額 – 一般社団法人日本クレジット協会

また、クレジット債務とは「複数回に分けて支払いを行う契約における債務の残高」を指すので

  • 分割払い
  • リボ払い
  • 2回払い
  • ボーナス払い

の残高と考えておくと良いでしょう。

実際に審査でNGが出るかどうかは

  • ペットローンでの融資希望額
  • これまでのクレジット債務
  • 住んでいる地域や持ち家・ローンの有無
  • 家族構成

など、様々な理由により異なるので一概には言えません。

しかし、ペットとして飼われている愛玩動物(犬・猫など)の中には、100万円を超える価格で取引されているものもざらにあります。

いずれにしても、あまりに無茶な額でペットローンを組もうとするのは、審査に通らない確率が上がるだけでなく、通った後の支払いも大変になるのでやめた方が良いでしょう。

ペットローンの審査に通らなかった場合の対処法

銀行のフリーローンを使う

結局のところ、ペットローンの審査に通らなかった場合は、まず

  • ペットを飼う話自体を白紙に戻す
  • 保護団体からの引き取りなど、初期費用が掛からない方法を考える
  • 貯金を切り崩してすべて一括で払う
  • 他の方法で資金を確保する

など、基本的な対応を考える必要があります。ここでは「他の方法で資金を確保する」を前提に考えましょう。

まず、1つの方法として考えられるのは銀行のフリーローンを使うことです。ペットローンを扱う銀行の中には「ペットローンとしての審査に通らなかった場合、資金使途自由なフリーローンとして審査を行う」旨を打ち出しているところもあります。

参照:ペットローン |カードローン・各種ローン|イオン銀行

ペットローンに比べると、審査難易度が低い傾向にありますが、金利はやや高めなので注意が必要です。

消費者金融のカードローンを使う

審査難易度の低さという意味では、消費者金融のカードローンを使うという方法も考えられます。

しかし、この方法であっても、個人信用情報に異動が登録されている(ブラックリストに載っている)状態では、絶対に使えないので注意しましょう。

また、金利は総じて高めなので、無理のない返済計画が立てられないようなら、使わない方が無難です。

頭金をできるだけ多くして申込をしなおす

実際のところ、ペットローンの審査の基準は、扱う信販会社や銀行によっても異なります。

一度ペットローンの審査に申し込んで不合格になったとしても、別の信販会社や銀行に申込をし直して通過するケースは珍しくありません。

なお、この場合、余力があるなら頭金を多めに用意する前提で準備を進めると良いでしょう。

共働きなら配偶者の名義でペットローンを組んでもらう

仮に、過去にクレジットカードやローンで失敗したことが原因で、自身の個人信用情報に異動が登録されていた場合は、どんなに頑張っても5 ~ 10年はペットローンも含めたローンは使えません。

このような場合、共働きであれば配偶者の名義でペットローンを組んでもらう前提で動いた方が良いでしょう。
FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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