マイホームを購入したり、就職や結婚をきっかけにアパートやマンションを借りたりする際は、ほとんどの人は不動産会社を通じて手配をするはずです。
そして、不動産会社と一口に言っても、実際は一部上場企業(もしくは同等の規模の企業)が一般消費者向けに運営する店舗から、その地域で長年運営されている地元密着型の店舗まで千差万別です。
どちらのタイプの不動産会社にも、それぞれメリット・デメリットがあるので、家探しを始める前におさえておきましょう。
目次
大手の不動産会社のメリット・デメリット
メリット
大手の不動産会社のメリットは
- 取り扱う物件が多い
- 広範囲から物件を探せる
の2つです。
取り扱う物件が多い
個々の企業や支店が位置する場所によっても多少の差はありますが、企業規模が大きくなればなるほど、取り扱う物件も多くなります。多くの物件を取り扱えるほどの従業員や資金力を有しているからです。
いわゆるデベロッパー(不動産開発業者)に分類される不動産会社の場合は、自社で再開発・宅地開発・マンション開発も手掛けるため、さらに多くの物件を取り扱えるでしょう。「様々な選択肢から物件を選びたい」という人には向いています。
広範囲から物件を探せる
大手の不動産会社の場合、複数の市区町村や都道府県に支店を有しているのは珍しくありません。支店間のネットワークを利用し、広範囲から物件を探すことができます。
「今は東京に住んでいるけど、実家がある福岡に戻る予定なので、福岡の一戸建てを探してほしい」など、地域をまたいだ要望にも対応できるのが大きな強みでしょう。
クレジットカード払い、分割払いが使えることも
どちらかといえば、これはアパートやマンションを賃貸する際の話ですが、家を借りる場合は敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用や、毎月の家賃がかかります。
従来、これらの費用は現金での一括払いや銀行口座への振り込みによって支払うのが一般的でしたが、近年では分割払いやクレジットカードでの支払いに応じてくれる不動産会社も出てきました。
デメリット
一方、大手の不動産会社のデメリットにも目を向けてみましょう。
強引な担当者に当たることがある
大手の不動産会社の営業職は、平均年収がかなり高いことでも知られています。しかし、成果報酬制が導入されていて、営業成績がいい人はとびぬけた給与を手にしますが、芳しくない人は給料もそれなり、というのが実態です。
それだけに、成約数が給料の額や人事評価において大きな意味を持つのです。
そのため、大手の不動産会社を利用する際は、強引な担当者に当たる可能性があることに気を付けましょう。たいていの担当者は、顧客の意向に十分に耳を傾け、丁寧な対応をしてくれるはずなので怖がる必要はありませんが、やり取りで違和感を覚えたらきっぱりと断ることが必要です。
地域密着の不動産会社のメリット・デメリット
メリット
一方、地域密着の不動産会社のメリットとして
- 家賃の値切り交渉がしやすい
- 掘り出し物件を見つけられることもある
が挙げられます。
家賃の値切り交渉がしやすい
本来設定した金額では購入できない、借りられないという顧客が現れた場合、不動産会社の担当者は、少しでも顧客が借りやすいよう値切り交渉を大家と行います。
大手の不動産会社の担当者であっても値切り交渉は行いますが、長年にわたる親密な関係があるとは限らない点で、地域密着の不動産会社の担当者に比べると不利かもしれません。
掘り出し物件を見つけられることもある
地域密着の不動産会社の担当者が大家と親密な関係を築いているということは、別の面でもプラスに働きます。大家が新しく物件を建てたり、これまで保有していた物件の大幅なリフォーム、リノベーションを行っていたりした場合、入居者を募集する際に、まずは親しい不動産会社に声をかけるのが一般的でしょう。
デメリット
一方、デメリットとしては
- クレジットカード払いは使えないことがほとんど
- 大家の一存で審査に通らないこともある
の2点が挙げられます。
クレジットカード払いは使えないことがほとんど
「キャッシュレス後進国」と呼ばれた日本でも、徐々にクレジットカード払いなどのキャッシュレス決済が普及してきています。しかし、規模の大小を問わず、クレジットカード払いに対応している不動産会社はそう多くありません。
手数料負担を避けたい
店舗がクレジットカード払いを導入する場合、加盟店手数料を支払わないといけません。また、家賃の支払いなどの決済が発生した際も、決済金額に応じた決済手数料を不動産会社側が負担しなくてはいけないのです。
1件だけで見れば大したことがないように思えても、数十件、数百件と積み重なれば、手数料だけでもかなりの負担になってしまいます。
大家の一存で審査に通らないこともある
地域に密着した不動産会社の特色として、大家との関係を極めて重視することが挙げられます。簡単に言うと「法的に問題がなかったとしても、大家が“気に入らない”といった場合、審査に通らないことがあり得る」ということです。例えば
- 初対面の時の印象が好ましくなかったので断られた
- パートナーが外国人ということで敬遠された
- 収入面では問題がないが、自営業ということに難色を示された
- 保証会社を利用するのではなく、保証人を立てないと審査に通さないと言われた
など、審査落ちの理由が「なぜ、そんな理由で?」と疑問が残るものだった場合、実は大家の意向が反映されていることは少なくありません。
結局、何を基準にして不動産会社を選ぶべき?
自分の希望と担当者との相性
例えば、まだ漠然と「引っ越ししたい、新しい家に住みたい」という希望がある程度で、これから細かい話を詰めていくつもりの段階であるなら、幅広い選択肢を提供してくれる大手の不動産会社のほうが向いているかもしれません。
一方「どうしてもこの街に住みたい」「相場より賃料が抑えられる方法があれば知りたい」など、具体的なビジョンが固まっているなら、地域密着型の不動産会社に相談し、大手の不動産会社とは違った選択肢を示してもらうといいでしょう。
- 連絡をこまめに取り合えるか
- 質問したことに答えてくれるか、わからないことは調べてくれるか
- 必要に応じて税理士などの専門家を紹介してくれるか
など、スムーズにコミュニケーションをとれるかどうかも、重視しましょう。
行政処分情報や免許番号は必ず確認を
不動産会社は、法律上厳密には「宅地建物取引業」に分類されます。そして、宅地建物取引業を営むには、国土交通大臣・都道府県知事の免許を取得しなくてはいけません。
マイホームや賃貸の件で不動産会社に相談するときは、その不動産会社の免許番号を確認し、適法に免許を取得しているかどうかを確認しましょう。なお、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」から、免許を取得している宅地建物取引業者の検索ができます。
ここに登録されていれば、適法に免許を取得しているという意味なので、ひとまず安心できるはずです。
また、宅地建物取引業者は、その業務の遂行にあたってなんらかの問題点があった場合、行政処分を受けることがあります。
行政処分の状況については「国土交通省ネガティブ情報等検索システム」により確認することが可能なので、一度目を通してみるといいでしょう。
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