賃貸収入の確定申告

男性50代 Woody_Villageさん 50代/男性 解決済み

現在私は海外で会社員をしています。日本で会社員をしていたときに、税金対策として投資用マンションをいくつか購入しました。現在でもそのマンションを保有し、収益を得ていますが、減価償却を含めると年間20万円くらいのプラスになるくらいです。日本ではこの賃貸収入以外の収入はありません。確定申告は収入がいくら以上から必要になりますか?ちなみに、日本で会社員をしていた時の確定申告では青色申告にはしていません。
現在、海外に住んでいるので、確定申告のためだけに日本へ帰ることがなかなか出来ません。もし十分な収益が出たら、数年に一度確定申告をしたいと思いますが、過去何年まで遡って確定申告することはできますか?
海外へ引っ越す際、日本の住所は抹消しました。確定申告の申請書にはどこの住所を記入すればよいのでしょうか?現在住んでいる海外の住所を記入すればよいのでしょうか?そしてどこの税務署に申請するのでしょうか?よろしくお願いいたします。

1 名の専門家が回答しています

佐藤 元宣 サトウ  モトノブ
分野 税金・公的手当・給付金・補助金・助成金
40代前半    男性

全国

2021/03/26

質問内容を一通り確認させていただき、結論から申し上げて、質問者様は「確定申告をする必要はない」と考えられます。

この理由について、国税庁が公開しているWEBサイトの情報を引用しながら回答を進めていきます。

はじめに、「現在私は海外で会社員をしています」とあり、質問内容全体を考慮しますと、質問者様は所得税法上の非居住者に該当するものと考えられます。


日本国内の会社に勤めている給与所得者が1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、一般的には、日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者となります。

出典:国税庁 No.1926 海外転勤中の不動産所得などの納税手続より引用
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1926.htm


この時、質問者様のような非居住者の人が、日本国内で生じた不動産所得などの所得がある場合は、時として日本で確定申告が必要になる場合があります。


海外勤務等により非居住者となる人に、国内にある不動産の貸付けによる所得や国内にある資産の譲渡による所得などの、日本国内で生じた所得(源泉分離課税となるものを除きます。以下、「国内源泉所得」といいます。)があるときは、日本で確定申告が必要になる場合があります。

出典:国税庁 No.1926 海外転勤中の不動産所得などの納税手続より引用
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1926.htm


ただし、質問内容には「現在でもそのマンションを保有し、収益を得ていますが、減価償却を含めると年間20万円くらいのプラスになるくらいです。日本ではこの賃貸収入以外の収入はありません」とあり、質問者様の場合、日本国内で生じた所得は、年間20万円くらいの不動産所得のみであることがわかります。

この時、質問者様は、所得税法における基礎控除48万円を上記20万円程度の不動産所得から差し引いて税金の計算をすることができます。


所得控除については、雑損控除、寄附金控除及び基礎控除だけが適用できます。ただし、雑損控除については、国内にある資産について生じた損失に限られます。

出典:国税庁 No.1926 海外転勤中の不動産所得などの納税手続 2 年間を通じて海外に勤務している年分の申告についてより一部抜粋引用
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1926.htm


上記の計算の結果、実際に課税される所得金額はマイナスとなり0円の取り扱いとなるため、質問者様は、1年間で得た不動産所得に対して所得税が課されず、確定申告をする必要もないと判断することができます。

なお、質問に「確定申告は収入がいくら以上から必要になりますか?」とありますが、基礎控除のみを考慮しますと、現在20万円程度の不動産所得が48万円を超えた場合に確定申告が必要と考えることができます。


確定申告が必要になる場合の取り扱い


今後、質問者様が置かれている状況が継続し、不動産所得の増加によって確定申告が必要になる場合、納税管理人を定める必要があります。


確定申告が必要となる場合には、納税管理人を定め、「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を、その人の納税地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。納税管理人とは、確定申告書の提出や税金の納付などを非居住者に代わってする人のことです(納税管理人は法人でも個人でも構いません。)。

出典:国税庁 No.1926 海外転勤中の不動産所得などの納税手続より引用
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1926.htm


上記、国税庁の解説より、今後、質問者様が置かれている状況が継続し、不動産所得の増加によって確定申告が必要になる場合、質問者様が確定申告をするのではなく、納税管理人が質問者様に代わって確定申告を行うことになります。

納税管理人は、法人でも個人でも問われないとされておりますが、やはり税金の専門家にあたる税理士などを納税管理人に定めておくことが最も望ましいでしょう。


おわりに


所得税の確定申告は、その年の1月1日から12月31日までの1年間の所得に対する税金精算手続きであるため、「数年に一度確定申告をしたいと思いますが、過去何年まで遡って確定申告することはできますか?」といった質問のように数年分をまとめて行うことは認められていません。

そのため、今後、不動産所得が増加して確定申告が必要になる場合に備えて、納税管理人を誰にするのか考えて、早めに届出を行っておくのが望ましいと言えるでしょう。

参考:国税庁[手続名]所得税・消費税の納税管理人の届出手続
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/07.htm

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