主婦が起業するにあたって注意するべきポイント

100年近く前、英国の経済学者ケインズは、「将来の長期間を要するような、積極的なことをしようとするわれわれの決意の大部分は、血気の結果としてのみ行われる」と述べました。
「血気」とは、原文では「animal spirits」です。
将来の利益の予測ではなく、人間本来の楽観に基づく行動である、とケインズは喝破しています。
完全に共感します。

私は、今から約10年前に起業し、現在介護事業所を運営しています。
もし私が賢くて、最初は集客できなくて通帳の残高が減り続ける一方だったり、従業員に次々に辞められて常に採用に追われたりして、大変なことが次から次に起こって夜も眠れなくなることが何か月も続くことがもう少し予期できていたなら、もしかすると起業できなかったかもしれません。
しかし、私は幸い賢くなかったので、こんな施設があってよかった！と思っていただけるような、ほかにはない場所をつくりたいという一心で、不安も大きい中で楽観に基づいて行動することができました（もちろん当時このケインズの言葉を知っていたわけではありません）。
また、それまでに起業した経験もなければ、経営学といったものも一切学んだことはありませんでした。
ただ、起業前にそのような経験のある人などむしろほとんどいないと思います。
起業すること自体が最大の学びですし、いくら経営学を学んでいても、起業してうまくいくとは限りません。
いろいろなことを乗り越える過程で、私でも少しは成長できたと思えます。

ご相談者さまが「普通の主婦」なのであれば、普通の主婦の方でしかできないことをされればよいのではないでしょうか。
大企業の経営者に、普通の主婦の方の気持ちがわかる人はあまりいないと思います。
起業後の10年生存率は、1割と言われます。
チャンスは少しどころか1割もあるのですから、夢を諦めるのはもったいないのではないでしょうか。
注意すべきポイントは、もうおわかりですよね。
悲観しないことです。
大変な思いをすればするほど、嬉しいこともたくさん起こるでしょう。
世の中の景色が違って見えるようになりますよ。