私的年金への課税について

女性30代 youknow0124さん 30代/女性 解決済み

三十代の子なし夫婦です。現在会社員で厚生年金をかけていますが、加入期間がそれほど長くないため、老後のために私的年金をかけています。そのほか、イデコやニーサなども併用して老後のために備えたいと思っています。ただ、その場合、どのような受け取り方(一時金なのか、月ごと七日)にするのが一番課税上有利なのかがよくわかっておらず、実際の収入額のイメージが掴めません。
受け取り方によっては一定額の控除などもあると聞いたのですが、老後、複数の収入がある場合に、たとえばどのような受け取り方をするのが課税有利なのかが知りたいです。
また、生命保険に加入することを検討しています。すでに医療保険には加入しているため、その保険料分については課税控除があるのですが、その控除枠と被らないような保険があるのか、控除枠を最大限使える保険の入り方の例を知りたいです。

1 名の専門家が回答しています

松村 勝宜 マツムラ カツノリ
分野 税金・公的手当・給付金・補助金・助成金
40代後半    男性

全国

2021/03/09

まずは、iDeCo(個人型確定拠出年金)受給時の課税関係についてのご質問ですね。
確定拠出年金の受け取り方には、「一時金」「年金(月ごと)」「一時金と年金の併用」の3種類があります。受け取るお金は課税対象ですが、いずれを選んでも、うまく「控除」の枠内に収まれば、税金はかかりません。
そもそも税金というのは、「所得」に「税率」をかけて、「税額」を算出します。いずれも、あくまでも「所得」から「控除」されるのであって、税額から控除されるのではないことをご理解ください。
「所得」の金額よりも「控除」の金額が大きければ、「所得」はゼロになりますので、「税率」がどんなに高くても「税額」はゼロになるということですね。
確定拠出年金では、受け取り方によって控除の内容が変わります。
「一時金」で受け取る場合は、「退職所得控除」の対象になります。
例えば勤続30年で、退職金を1,000万円受け取る人がいるとします。その人の退職所得控除額は1,500万円{勤続年数20年超の場合、(勤続年数-20年)×70万円+800万円}となるため、退職金1,000万円を受け取っても、控除の枠が500万円分余ります。もし確定拠出年金が500万円以下であれば、すべて「一時金」で受け取っても退職所得控除に収まりますので、全額非課税となります。
一方で、「年金」として定期的に受け取る場合は、「公的年金等控除」の対象になります。
例えば65歳未満で受け取る場合は、公的年金等控除が60万円、基礎控除が48万円なので、年間108万円までが非課税になります。ずっと会社勤めをして厚生年金保険料を長く払ってきた人は、公的年金と合算すると控除額を超えることになり、課税される可能性が高いかもしれません。
一般的には、多くの場合「一時金」で受け取るほうが有利になることが多いように思います。退職所得の計算の際には、控除後の所得をさらに半分にするので、退職所得は他の所得に比べて税負担が軽くなるからです。さらに、上記計算式の通り、勤続年数が長いほど控除額が多くなることも、該当する方には有利になるでしょう。
また、退職金と退職所得控除額の差額分を「一時金」として受け取り、収まり切らなかった分を「年金」として受け取ることも、税額をできる限り少なくすることのみを考えるのであれば一つのやり方ですね。
ただし、とても大切なことを申し上げますが、税金面でいかに得するかばかりを考えていると、結局は損する可能性が高いといえます。
そもそもiDeCoにしてもつみたてNISAにしても、資産を最大化するための一つの手段に過ぎません。
株式を主な投資対象とした投資信託(ファンド)を一つ選び、コツコツと積み立てていくという手法こそ、高い再現可能性をもって着実な資産形成を行うための王道であり、特に若年層にこのような投資行動を促すために、税制優遇制度ができたのです。
優先すべきは、税金を気にすることではなく、長く付き合っていける良いファンドを選ぶことです。
本業を通じて社会課題を解決し、より良い世の中づくりに欠かせない企業を丹念にリサーチして投資先企業を選定している、長期での投資に資する本格的なファンドを選ぶ手間さえ惜しまなければ、何も心配することなく、時間を味方につけていずれ大きな資産となっていくでしょう。選んだ商品がたまたま非課税制度の対象になっているのであれば、必要に応じて制度を使えばよいだけです。
それに、人生100年時代であるならば、60歳や70歳の若さで運用をやめてはいけません。
良いファンドを選んでiDeCoを最大限活用し、一時金で受け取った現金で同じファンドを一括購入して、その後も同じペースで積み立て投資を続けていけば、税制面のメリットも活かしながら、資産をさらに増やしていくことができるでしょう。
そして、当面使う予定のないお金は運用を継続して世の中の経済成長に乗せておきながら、必要なときに必要な分だけ解約して使えばよいのです。
生命保険料控除に関しても、ご質問にそのままお答えするなら、ご加入中の医療保険と枠が被らない保険はあります。
例えば、追加で定期保険と個人年金保険に加入し、それぞれ年間8万円以上の保険料を支払えば(これが最大限です)、仮にご相談者さまの所得税・住民税合わせて15%の税率とすると、最大年間12,000円の節税になる可能性があります。
しかし、その保険は必要でしょうか。
賛否あるかもしれませんが、日本の社会保障はそれなりに充実しています。
保険で備えるべきなのは、保険でしか備えることのできないリスクに対してのみです。民間保険会社の保険には、保険加入による節税分など吹っ飛ぶほどの大きなコストがかかっていることは、知っておいてください。
繰り返しますが、税金面でいかに得するかばかりを考えていると、結局は損する可能性が高くなります。
木を見ることも大事ですが、森もしっかり見てください。
お節介かもしれませんが、どうかご理解いただければ幸いです。

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