いざ、マイホームを購入しようとしても、住宅ローンの審査に通らなければ、ほとんどの人は購入にまで至らないはずです。そうなると、別の銀行を当たったり、マイホームの購入を断念しないといけなかったりと、その後の予定が全部狂ってしまいます。やはり、理由を知り、当てはまるようなら解決に向けて動いておいたほうが身のためでしょう。ここでは、住宅ローンの審査に通らない9つの理由と解決法について解説します。
目次
理由1.キャッシング、カードローンの利用残高・件数が多い
キャッシングやカードローンは、簡単な手続きですぐにお金が借りられるという意味では便利です。しかし、その便利さ故に気軽に借りてしまい、返済がままならなくなる人もいます。
【解決法】残高があればなるべく早く返済する
もちろん、住宅ローンを新規で申し込む時は、金融機関の担当者は必ずその人のキャッシングやカードローンの残高もチェックします。ゼロ円でなくてはいけないわけではありませんが、あまりに残高が多いと「住宅ローンの審査を通しても返済はできないのでは?」と思われ、あえなく審査落ちということにもなりかねません。
また、キャッシング、カードローンの利用に関しては、件数の多さもネックになります。
例えば
- 5件の銀行、消費者金融、クレジットカード会社から30万円ずつ借りている
- 1件の銀行、消費者金融、クレジットカード会社から150万円借りている
の2つのケースを想定してみます。この場合、審査に通りづらいのは前者です。
借入先の件数が多いため、途中で返済に行き詰まるリスクがより高いと判断されます。
理由2.携帯電話を分割購入していた
iPhoneなど、高額の携帯電話端末を購入する際、分割払いをする人もいるでしょう。しかし、分割払いであるということは「その分、返済しなくてはいけない」という意味になります。自分の分だけであればさほど問題にはなりませんが、家族の分まで返済していた場合は、注意が必要です。
【解決法】分割払いには注意を
分割払い事実上、「携帯電話端末をローンを組んで購入している」ということになります。ローンは「お金を借りてものを購入し、借りた分を返済していく」という性質がある取引(信用取引)にあたるため、利用状況が個人信用情報に掲載されるのです。
万が一、分割払いの遅延・滞納があった場合、個人信用情報に「異動」と表記されてしまうため、住宅ローンの審査にも通らなくなってしまいます。
理由3.カードローン、キャッシング、月会費の支払を延滞しまくっていた
カードローンやキャッシングの毎月の返済、スポーツクラブやカルチャーセンターなどの月会費の支払い(クレジットカード払いの場合)に遅れてしまいがちな人は、注意が必要です。
【解決法】2~3年は貯金に励む
これらの支払に関する履歴は、返済履歴として24カ月間個人信用情報に登録されます。
うっかりしてしまいがちな人は、気を付けましょう。
なお、自分の個人信用情報に何が記載されているかは、各個人信用情報機関に照会することで、調べることが可能です。
参照:指定信用情報機関のCIC
参照:日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関| HOME
参照:全国銀行個人信用情報センター | 全銀協の活動を知りたい方 | 一般社団法人 全国銀行協会
仮に、返済遅延の履歴が残っていた場合は、履歴が消えるまでは新規で住宅ローンの新規申込は見送った方がよさそうです。
理由4.実はブラックリストに載っていた
- クレジットカードやカードローンを使いすぎて返済ができなくなり債務整理をした
- 事業に失敗して自己破産した
など、個人信用情報に「異動」と表記されている場合は、住宅ローンの借り入れもできません。俗にいう「ブラックリストに載る」とは、このことを指します。
【解決法】5~10年は貯金に励む
一度個人信用情報に異動情報が登録されてしまうと、登録されている間は、住宅ローンの新規契約はもちろん、クレジットカードやカードローンなどの商品も利用できません。
仮に、配偶者に相応の収入があり、住宅ローンの審査に通るようであれば、配偶者名義で購入するのも1つの手段です。自分は貯金に励み、生活防衛資金を確保する役割を買ってでましょう。
理由5.年収の割に返済額が多かった
毎月の住宅ローンの返済額が多すぎると、生活費のやりくりが難しくなります。そのため、年収の割に返済額が多い状態で住宅ローンの審査に申し込んでも、通る可能性が低いことに注意しましょう。
【解決法】年間返済額を年収の25%以下にする
年収に占める住宅ローンの返済額の比率を返済負担率といいます。住宅金融支援機構が民間の銀行などと組んで提供している住宅ローン「フラット35」では、申し込み要件として、年収に応じた返済負担率の上限が設定されています。
年収 | 返済負担率の上限 |
---|---|
300万円未満 | 25% |
300万円以上400万円未満 | 30% |
400万円以上700万円未満 | 35% |
700万円以上 | 40% |
出典:10月よりフラット35のご利用条件を簡素化します(【フラット35】(保証型)も同様に簡素化します):長期固定金利住宅ローン 【フラット35】
年収が700万円以上と平均をかなり上回る水準だったとしても、上限は40%に定められています。あくまでこれは上限であって、実際はこれより低い水準にしておいた方が、審査に通りやすいのは言うまでもありません。
なお、住宅金融支援機構が行った調査によれば、フラット35の利用者の返済負担率を調査したところ、最も多かったのが「15%超20%以内」とのことでした。
返済負担率を抑えるためには?
返済負担率を抑えるためには
- 年収を上げる
- 借入金額を下げる
の2つの方法が考えられます。
まず、年齢が20代から30代前半であるなら、転職で年収をアップさせられるチャンスは十分にあります。年収が上がれば、同じ借入金額だったとしても、返済負担率が下げられるはずです。
しかし、実際は「年収が上がるまで待てない」と思う人もいるでしょう。そのような人は、購入を希望する物件を見直したり、頭金を積み増したりなどして、借入金額を減らすことで、審査に通るチャンスが出てきます。
理由6.転職してから半年以内だった
転職をして年収が下がった場合だけでなく、上がった場合であっても、住宅ローンの審査に落ちることはあり得ます。特に、転職してから半年以内は要注意です。
【解決法】半年以上経過してから再チャレンジ
銀行側は、これまでの融資データから、審査において重視すべきポイントや方針を社内で共有しています。多くの銀行で挙げているポイントが「勤続年数」です。つまり「勤続年数が短ければ短いほど、すぐに辞めやすい」ということがわかっているため、勤続年収が短い状態で申し込んできた場合は、審査が厳しくなるのです。
仮に、住宅ローンの返済が始まったものの、早い段階で退職してしまうと、審査時の年収が保てなかったり、収入が途切れてしまうこともあり得ます。こうなってしまうと返済が不可能になるため、銀行は他の要素とも勘案し、よりシビアに「途中で返済が途切れないか」を見極めようとしてくるのです。結果、審査に通らないのは決して珍しい話ではありません。
理由7.バツイチで養育費を払っていた
近年は、結婚した夫婦の3組に1組は離婚すると言われています。その中には、子どもがいる状態で離婚した夫婦も含まれているでしょう。親権を持たない側が、子どもが成人を迎えるまで養育費を払うのは珍しくありませんが、このことが住宅ローンの返済においてネックになる可能性があります。
【解決法】不動産会社の担当者に相談する
養育費の支払いがあるということは、毎月固定費として数万円が発生するということです。そして、その分住宅ローンの返済に回せる金額が少なくなる可能性は多いにあるでしょう。もちろん、住宅ローンの返済と養育費の支払いを両立できるよう、資金計画を立てれば何ら問題はありません。
しかし、担当者によっては「どこかで資金計画が行き詰まるのでは?」と問題視し、結果として審査に落ちる可能性も出てくるはずです。
理由8.車をローンで買ったばかりだった
家族が増えたことをきっかけに、家はもちろん、車を買い替える人もいるかもしれません。現金一括で購入したなら何ら問題はありませんが、ローンを組んでいた場合は、気を付ける必要があります。
【解決法】頭金を使って完済する
既に触れた通り、住宅ローンの返済負担率(年収のうち、どれぐらいを返済に回すか)は、25%以下が理想です。しかし、これはあくまで「住宅ローン単体で」考えた場合の数値なので、住宅ローンと並行して自動車ローンの返済を行っていく場合は、さらに低いほうが、生活の負担にはならないでしょう。
自動車ローンがあることが原因で住宅ローンの審査に通らない場合は、金融機関の担当者が「自動車ローンと並行して住宅ローンを返済するのは難しいのでは?」という判断をした可能性があります。
理由9.売手側に問題があった
本人に落ち度が全くないのに、住宅ローンに通らないこともあり得ます。「実は反社会勢力とつながりがある人が売りに出していた物件だった」など、売手に明らかな問題があった場合です。当然、コンプライアンスの観点から、その物件の購入に至らないよう、住宅ローンに通過できないようにせざるを得ません。
【解決法】物件を探し直す
こうなってしまうと、自分に落ち度が全くない以上、できることは「物件を探し直す」ことしかありません。マイホーム探しが振り出しに戻ってしまいますが、気を取り直して、お気に入りの家を一生懸命探しましょう。
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