専業主婦が離婚に向けて行うべき準備は?5つのステップに分けて解説

結婚した夫婦の3組に1組が離婚すると言われています。そのため、離婚自体は何ら珍しいことでも、また、恥ずべきことでもありませんが、入念に準備を進めないと、思わぬトラブルにつながるのも事実です。

特に、子どもがいる専業主婦の人が離婚する場合

  • 離婚後の仕事はどうするか
  • 働き始めたら、誰に子どもの面倒を見てもらうか

が問題になるので、さらに入念な準備をしなくてはいけません。今回は、専業主婦の人が離婚する際の準備について、5つのステップに分けて解説しましょう。

ステップ1.必要なお金を試算する

離婚に伴う費用

最初に、離婚をするのにお金がいくらかかるかの算段を付けておきましょう。一口に離婚といっても、どういう形で離婚に至るのかによって、費用も全く異なります。

協議離婚の場合

夫婦の話し合いに基づいて行われる離婚です。

お互いが同意し、市区町村役場に離婚届を出せばいいだけなので、基本的に費用はかかりません。

また、離婚の際に養育費の支払いについての取り決めを公正証書として残す場合、公証役場に支払う手数料が必要になります。具体的な金額は、養育費や財産分与・慰謝料の額によって異なりますが、多くても数万円程度です。

参考:松戸公証役場|手数料|

調停離婚の場合

夫婦だけでの話し合いがまとまらなかった場合、家庭裁判所の調停手続きを利用することになります。

簡単に言うと、最高裁判所が任命した調停委員(男女1名ずつ、合計2名)を交えて話し合いをし、離婚するか・しないか、離婚する際の条件はどうするのかをすり合わせていくことです。

調停委員は次のいずれかの条件を満たす40歳以上70歳未満の人が任命されます。

  • 弁護士資格を有している人
  • 民事・家事の紛争解決に役立つ専門知識を有している人
  • 社会生活において豊富な知識を有している人

なお、実際に家庭裁判所に離婚調停の申立てを行う場合は

  • 収入印紙(1,200円分)
  • 連絡用の郵便切手(申立てする家庭裁判所によって異なるが1,000円程度が相場)

が必要になります。

裁判に発展した場合

調停でも話がまとまらなかった場合は、訴訟に移行します。

つまり、離婚できるかどうかを裁判で争うことになりますが、この場合、弁護士に依頼し、手続きを進めてもらうのが一般的です。

依頼する弁護士によって具体的な金額は異なりますが、相場は以下の通りです。

  • 相談料:30分5,000円程度(初回は無料のことが多い)
  • 着手金:30万円 ~ 50万円程度
  • 成功報酬:30万円 ~ 50万円 + 経済的利益の10%

なお、弁護士への報酬を一括で払えない場合は、法テラス(日本司法支援センター)を通じて一度費用を立て替えてもらい、後に分割で返済していくという方法も取れます。

参照:費用を立て替えてもらいたい|法テラス

別居に踏み切る際の生活費

別居することになるなら、今いる家から出ていき、別の場所で新しい生活を始めることになります。そのあたりの費用も見積もっておきましょう。

引っ越し費用

持ち出すつもりの家具が多かったり、今住んでいる家と引っ越し先が遠かったりする場合は、引っ越し代もかなりかかります。不用品は処分したり、家族・親族に相談して預かってもらったりなどして、引っ越し代の節約に努めましょう。

一時的に実家に身を寄せる予定であるなら、どうしても必要な荷物は先に宅急便で送ってしまうのも1つの手段です。

車がないと生活できない地域に住んでいる、もしくは住む予定があるなら、車を確保しなくてはいけません。配偶者が乗っている車を勝手に持っていくと、トラブルの元にもなるのであまりお勧めできないのも事実です。

引っ越した後に中古車を買うか、家族の車を使わせてもらうかなど、代替案を考えておきましょう。

ステップ2.必要なお金を準備する

時間があるなら節約に励む

先述した通り、離婚するためには、ある程度のお金がかかるのも事実です。貯金で賄えそうなら何ら問題はありませんが、無理そうな場合の対処を知っておく必要があります。

今すぐではなく「子どもが小学校に上がるタイミングで」など、離婚に踏み切るまである程度の時間があるなら、節約に励んで、コツコツお金を貯めておきましょう。

事情が許すようなら、アルバイト・パートを始めるのも1つの手段です。

時間がないなら実家から借りる

配偶者からのモラハラ、DVがひどく、一刻も早く離れないと精神的・肉体的に持たないという状況だって考えられます。そのような場合は「お金が貯まったら離婚」なんて悠長なことは言っていられません。

実家の家族・親族に事情を話し、当面の費用を貸してもらえないか交渉してみましょう。

ステップ3.住む家を探す

実家を頼れるなら頼る

離婚を決意して家を出て行ったのなら、その後に住む場所を探すのも必要になります。事情が許す限りは、実家を頼るといいでしょう。特に子どもがいる状態で離婚に踏み切る場合は、子どもがある程度慣れた場所で生活させることが、精神的な安定のためにも必要です。

家族が子どもの面倒を見ることを申し出てくれるなら、遠慮せずに甘えましょう。

公営住宅、母子生活支援施設、シェアハウスも視野に

実家を頼ることが難しい場合、代替案を考える必要があります。候補の1つに入れてほしいのが、都道府県や市区町村が運営する公営住宅です。民間のアパートやマンションに比べると、かなり低い家賃で住めるので、空きがないかを調べてみましょう。

また、配偶者からのDVやモラハラなどが原因で、緊急避難的に家を出ていかないといけない場合は、母子生活支援施設への入居も視野に入れましょう。

母子生活施設とは、簡単に言うと「住む場所に困っている、経済的に行き詰っている、DV被害を受けているなどの状況にあり、支援を必要としている母子世帯のための一時的な住居」です。

参照:母子生活支援施設とは  全母協

入居するためには、福祉事務所を通じてやり取りをすることになります。

参照:福祉事務所 |厚生労働省

また、集団生活が苦にならない、同じ境遇の人と助け合いたいと思うなら、シングルマザー向けのシェアハウスに入居するのも1つの手段です。

参照:シングルマザー向け母子ハウスを探すならマザーポート。新しい暮らしのための家を見つけます

ステップ4.仕事を探す、始める

マザーズハローワークを活用しよう

これまで専業主婦だった人は、離婚をきっかけに仕事を始めなくてはいけなくなることがほとんどでしょう。その時に利用してほしいのが、マザーズハローワークです。

シングルマザーのように、子育てと仕事の両立を目指している人に特化した公的な職業相談所の1つ

  • キッズコーナーの設置
  • 担当者制の職業相談
  • 地方公共団体との連携による保育所等の情報提供
  • 仕事と子育ての両立がしやすい求人情報の提供

などの就職支援を行います。

出典:マザーズハローワーク・マザーズコーナー|厚生労働省

シングルマザーに特化した求人サイトを使うのもあり

近年では、シングルマザーに特化した求人サイトもいくつか出てきています。先ほど紹介したマザーズハローワークと同様、子育てと仕事の両立を目指すシングルマザーを想定し、求人の掲載や職業相談に応じているのが大きな特徴です。

参照:はぴシェア 

このようなサイトを利用し、子育てと仕事の両立に理解のある職場を見つけるといいでしょう。

結婚、出産前の職場に相談するのも1つの手段

今、専業主婦をしている人の中には、結婚・出産を機に仕事を離れた人も多くいるでしょう。もし、退職前の職場に悪い印象がなく、知り合いもいる状態であれば「離婚をすることになりそうなので、求人をしているようなら応募したい」と話してみるといいでしょう。

近年、企業の人材採用の現場では「アルムナイ採用」が注目されています。「アルムナイ(alumni)」とはもともと「卒業生・同窓生」を意味する言葉ですが、転じて「一度退職した元社員を再度社員として迎え入れる」という意味にも使われるのです。

実際に就職できるかどうかは、タイミングや縁もあるので断言はできませんが、まったく畑違いの仕事をするわけではないので、社会人としての再スタートも切りやすいでしょう。「ダメ元」で相談してみるのをおすすめします。

ステップ5.保育園、学童を見つける

情報収集は早めに行う

シングルマザーになる人が直面する悩みの1つが「子どもの面倒はどうやってみるか」です。特に子どもが小学生以下の場合は深刻な悩みになるでしょう。仕事は決まったとしても、子どもを受け入れてくれる保育園や学童が見つからない場合は、思うように仕事もできないかもしれません。

離婚を視野に入れ始めたら、保育園や学童に関する情報収集を始めるくらいでちょうどいいでしょう。

病児保育、シッターも探しておく

同時に、子どもが体調を崩した場合のことも考える必要があります。仕事を休んで看病をできるに越したことはありませんが、あまりに頻繁に続くようだと仕事を続けられなくなる可能性も出てくる上に、精神的にもかなりの負担になるはずです。病児保育やシッターに頼ることも考え、情報収集をしておきましょう。

FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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