ネット銀行のメリット・デメリット。向いている人は?

2000年10月12日に、ジャパンネット銀行が日本で初めてのネット銀行として営業を開始しました。それから20年経過しますが、銀行の1つの形として、市民権を得ているのが現状です。

ネット銀行は、金融庁の分類では「新たな形態の銀行」に含まれ、これまでの都市銀行、地方銀行、信託銀行など伝統的な銀行にはない業務を行う金融機関として位置づけられています。だからこそ、ネット銀行ならではのメリット・デメリットを理解した上で、上手に使いこなしましょう。

新たな形態の銀行とは

従来、都市銀行・地方銀行や信託銀行は街中に店舗を構え、営業担当者や窓口担当者が顧客の対応に当たるのが一般的でした。しかし、近年は「Webや電話でしか顧客とのやり取りをしない」など、そのイメージにあてはまらない銀行が出てきています。

金融庁は、このような「都市銀行や地方銀行、信託銀行など従来の伝統的な銀行にはない業務を行う銀行」を新たな形態の銀行と名付けました。

そして、新たな形態の銀行は、ネット銀行と商業施設との連携を主体にする銀行にさらに細かく分けられます。しかし、「新たな形態の銀行」を指す言葉としてネット銀行が多用されているのが実態です。

ネット銀行とは

ネット銀行とは、金融庁の定義によれば「インターネット上でのみサービスの提供を行う銀行」を指します。

つまり、従来の銀行のように店舗や自前のATMを設置せず、Webや電話での顧客対応を行う形で営業している銀行と考えましょう。

2021年現在、以下の7行がネット銀行として営業しています。

商業施設との連携を主体にする銀行とは

商業施設との連携を主体にする銀行とは「コンビニ等の店舗網にATMを設置し主に決済サービスの提供を行う銀行」のことです。

2021年1月現在、以下の3行が商業施設との連携を主体にする銀行として営業しています。

ネット銀行のメリット

ネット銀行のメリットとして

  • 日本中どこにいても口座開設ができる
  • 定期預金の金利は高い
  • 他行への振込手数料も安い
  • ポイント、マイルが貯められることもある

の4つが挙げられます。

日本中どこにいても口座開設ができる

ネット銀行の場合、決まった店舗を持たず、顧客とのやり取りはWeb、電話、郵送で完結させるのが基本です。

そのため、日本国内であれば、どこに住んでいても口座開設ができると言って過言ではありません。Webが中心にはなりますが、操作に不安があるようであれば、電話や郵送での対応もしてもらえる場合がほとんどなので「パソコンが使えないから」という理由であきらめる必要もないでしょう。

定期預金の金利は高い

ネット銀行は、特定の店舗や営業担当社員を設置していないため、従来の店舗を構える銀行と比べると、低コストで運営できます。

その分、顧客への還元の一環として、定期預金の金利を、都市銀行や地方銀行など、店舗を構える銀行と比べて高く設定しているのも珍しくありません。

実際に、ネット銀行と都市銀行の定期預金の金利(2020年12月21日現在)を比較してみましょう。

都市銀行(みずほ銀行「スーパー定期」(1年))年0.002%
ネット銀行(イオン銀行「スーパー定期」(1年))年0.010%

他行への振込手数料も安い

毎月、家族に仕送りするなど、定期的に他の銀行に振込をする機会がある場合は、ネット銀行を経由したほうが手数料も安上がりになるでしょう。ネット銀行と都市銀行とで、他の銀行の口座にATMとキャッシュカードを利用して振り込んだ場合の手数料を調べてみました。

銀行3万円未満3万円以上
都市銀行(三井住友銀行)220円440円
ネット銀行(楽天銀行)168円262円

ポイント、マイルが貯められることもある

ネット銀行の中には、利用状況に応じてポイントやマイルを付与することがあります。例えば、住信SBIネット銀行の場合

  • 所定の取引の利用
  • クレジットカード(ミライノ カード)やデビットカードの利用
  • キャンペーンへの参加

によりポイントが貯まります。なお「所定の取引の利用」によるポイントについては、表にまとめました。

ポイント対象商品・サービス条件獲得ポイント
外貨預金・仕組預金月末残高合計300万円以上100ポイント/月
ミライノ カード(JCB)月内引落金額合計5万円以上100ポイント/月
給与受取、年金受取、定額自動入金いずれか利用30ポイント/月
口座振替(銀行引落)1件以上引落しあり5ポイント/月
外貨積立月1万円以上積立10ポイント/月
純金積立月5,000円以上積立10ポイント/月

なお、これらのポイントは、以下の条件で換金したり、JALのマイルに交換したりする\ことが可能です。

  • 現金への換金:1ポイント = 1円相当
  • JALのマイルへの交換:100ポイント = 40マイル相当

ネット銀行のデメリット

一方、ネット銀行のデメリットとしては

  • ATM利用手数料がかかる
  • ID、パスワードを忘れると利用できない
  • 引落口座、国税還付金の受取口座に指定できないことがある
  • 海外に引っ越す場合は解約を求められることもある

が挙げられます。

ATM利用手数料がかかる

ネット銀行の場合、一部の例外を除いて自前でATMを設置していないことが多いです。そのため、提携ATMを利用する場合、現金の引き出しの際に手数料がかかります。

例えば、楽天銀行の場合、提携先によって、以下のように手数料が設定されています。

ATM提携企業出金入金(3万円以上)入金(3万円未満)
セブン銀行、イオン銀行、パットサット220円※利用条件によって最大7回/月無料0円220円※利用条件によって最大7回/月無料
イーネット、ローソン銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、ゆうちょ銀行275円※利用条件によって最大7回/月無料0円275円※利用条件によって最大7回/月無料
VIEW ALTTE275円※利用条件によって最大7回/月無料(入金には未対応)

出典:手数料一覧:ATM利用手数料|個人のお客さま|楽天銀行

都市銀行や地方銀行の場合、自社のATMを利用すれば、平日の8時45分から18時までであれば、手数料は無料であることがほとんどです。

頻繁に現金を引き出す人は、ネット銀行よりも自社のATMを構えている都市銀行や地方銀行のほうが向いているかもしれません。

ID、パスワードを忘れると利用できない

細かい部分は各ネット銀行によって差がありますが、ネット銀行は、専用のWebページにIDとパスワードを使ってログインし、取引をするのが基本的な仕組みです。そのため、IDやパスワードを忘れてしまうと、何もできません。もちろん、ネット銀行のコールセンターに連絡をすれば、IDやパスワードを再交付してくれますが、1~2週間ほど時間がかかります。

引落口座、国税還付金の受取口座に指定できないことがある

住んでいる地域や利用する業者にもよりますが、水道、電気、ガスなどの公共料金の引き落とし口座にネット銀行を指定できないのは珍しくありません。

また、ネット銀行でも、日本銀行の国庫金取扱業務を行っていない銀行の場合は、確定申告の還付金の振込、年金・雇用保険などの公的保険からの振込を受けるための口座としては利用できません。

利用できるネット銀行ソニー銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行、イオン銀行、ローソン銀行、ジャパンネット銀行
利用できないネット銀行大和ネクスト銀行、auじぶん銀行、GMOあおぞらネット銀行

海外に引っ越す場合は解約を求められることもある

ネット銀行の多くは、非居住者による銀行口座の利用を利用規約で禁止しています。簡単にいうと「日本から引っ越して、海外に1年以上住む予定の人は、ネット銀行の口座を解約しなくてはいけない」ということです。

5.(非居住者による利用)
非居住者は楽天銀行口座を利用できません。また、すでに楽天銀行口座の利用を開始しているお客さまが非居住者になる場合は、事前に当行所定の方法により、当行へ通知のうえ、楽天銀行口座を解約しなければならないものとします。

出典:楽天銀行口座取引規定 | 楽天銀行

例外として、ソニー銀行の場合は、日本国内の連絡先となる人(親族など)を指定できる場合は、非居住者となっても銀行口座を利用することができます。ただし

  • 投資信託の新規購入・売却
  • 外国為替証拠金取引(FX)
  • カードローン
  • 住宅ローン
  • 外貨送金

など、一定の取引は利用できないの注意が必要です。

出典:海外転勤・留学などをご予定の皆さまへ|MONEYKit – ソニー銀行

ネット銀行に向いている人は?

ここまでの内容を踏まえ、ネット銀行に向いている人として

  • 貯金用口座として使うつもりの人
  • デビットカードを使うつもりの人
  • 海外に転居する予定がない人

の3つについて解説します。

貯金用口座として使うつもりの人

まとまった資金を確保するために、定期預金を利用する予定がある人は、ネット銀行を上手に利用しましょう。

都市銀行や地方銀行より金利が高いことが多いため、すぐに使わないお金であれば、多少は金利がつきます。

デビットカードを使うつもりの人

ネット銀行は、出金する際のATM手数料が割高であることが多いです。そのため、貯蓄用口座として使うのがおすすめですが、どうしても「ネット銀行に入っているお金を使いたい」と思うこともあるでしょう。

ATMに行かなくても支払いができるようにするには、デビットカードを作り、それで支払いをするのもおすすめです。

クレジットカードとは違い、決済をしたその瞬間に銀行口座から引き落としがかかります。ATMに行かずとも現金払いができる上に、浪費も防げます。

海外に転居する予定がない人

転勤、留学など、海外に長期滞在する予定がない人であれば、ネット銀行をメインバンクにしても問題はないでしょう。

しかし、住んでいる地域や業者によっては、公共料金や月額料金の引き落とし口座として、ネット銀行が指定できないケースもあります。そのため、サブの銀行口座としてゆうちょ銀行の口座を用意しておくのをおすすめします。日本全国に拠点がある金融機関であるため、かなりの確率で引落口座として使えるためです。

FP 荒井 美亜FP 荒井 美亜

大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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