一般論として、老後資金はいくらあればよい?

男性60代 yaruu_1さん 60代/男性 解決済み

以前老後資金が2000万円程度必要とか。その後2000万円では足りないとか話題になりましたが、その後その話題も何もなかったように消えてしまいました。上を見ればきりがないので、今現在の状況で通常の老後資金がどれくらい必要なのかが知りたい。突発的に必要な資金はどのようなものがあるのかも知りたい。身内の不幸や事故などいろいろなケースがあると思いますが、どんなことにどれくらいの費用が必要なのか。夫婦どちらかがいなくなったあとに何がいくらくらい必要なのかなども不安の要素になってきます。高齢者が増えてくると保険料が増加したり、税金の見直しなど社会保障制度の変化によりより苦しい生活になっていくと思いますのでその点も含めて知りたいと思います。

2 名の専門家が回答しています

水上 克朗 ミズカミ カツロウ
分野 老後のお金全般
60代後半    男性

東京都

2021/05/21

まずは、老後の必要資金について、統計上で2つの観点からみていきましょう。

ひとつ目は、①最低必要生活費、ゆとりある生活費の観点からみた老後の必要資金です。
高齢夫婦無職世帯2人(夫65歳以上、妻60歳以上)の老後に必要な資金は、生命保険文化センター調査によりますと、最低必要生活費で月22万円、ゆとりある生活をしたければ月36万円と言われています。
〇最低必要生活費で暮らす場合
21.7万円/月(公的年金受給額平均/2019年総務省調査)-22万円/月(最低必要生活費)×25年(65~90歳)=約90万円必要
〇ゆとりある老後の場合
21.7万円/月(公的年金受給額平均/2019年総務省調査)-36万円/月(50代の生活レベル)×25年(65~90歳)=約4290万円必要
なお、年金受給額はあくまでも平均ですので、当然自身の年金受給額や貯蓄額、夫婦2人か単身者かによって老後必要資金は変わってきます。

次に、②実際の平均の生活費(2019年総務省調査)の観点からみた老後の必要資金です。
〇高齢夫婦無職世帯2人(夫65歳以上、妻60歳以上)の場合
27.1万円/月(平均生活費)-23.8万円/月(実収入:年金ほか貯蓄額取崩し)=不足分3.3万円/月×25年(65~90歳)=約1000万円
〇老齢単身無職世帯(60歳以上)の場合
15.2万円/月(平均生活費)-12.5万円/月(実収入:年金ほか貯蓄額取崩し)=不足分2.7万円/月×25年(65~90歳)=約810万円

この統計数値からおわかりのように、老後の必要資金は、バラバラです。2000万円はあくまでも一例に過ぎないことがおわかりになったと思います。
よって、まずは、自身の生活レベルを決めることです。老後資金の本質は、実はお金ではありません。なぜならば生活レベルによって老後5000万円必要な人も、1億円必要な人もいるからです。どんな老後を過ごしたいのか、そのためにどのくらいの資金が必要なのか、どんな計画で実現していくのか。何よりも自分らしい生き方を見つけていくことが、必要だと思われます。

具体的には、ご自身はいくら老後資金が必要でしょうか。
まずは、少し面倒ですが、(1)ねんきん定期便やねんきんネットで、ご自身の65歳からの年金額を、また、65歳からの奥様の年金額の合計を概算でもいいので調べてみましょう。
次に、(2)現在の貯蓄額(現金化できるもの)を調べ、65歳でいくらあるか、これも概算でもいいので調べてみましょう。
なお、(3)必要な生活費は、現在では、前述①ではなく、②の実際の平均生活費(夫婦2人の場合:27.1万円/月、1人になった場合:15.2万円/月)を参考にするのが良いでしょう。
次に、(4)老後は悠々自適、海外旅行に行ったり、車を買い替えたり、家のリフォーム代、介護費用も準備したい・・・そんなゆとりを持ちたければ、この必要な生活費に加えさらに準備すべき老後資金は増えていきます。だだし、1人当たり最低限、次の介護費用500万円と医療費用200万円の合計700万円は、準備しておいたほうが良いでしょう。

〇介護費用について
生命保険文化センターが行った調査によりますと、1人当たりの介護費用は約500万円です。公的介護保険を利用した自己負担額が月々7.8万円、介護期間が平均約4年7ヶ月なので、7.8万×54.5ヶ月=計425.1万円、一時的な費用(バリアフリーに対応した住宅改修、介護用ベッドの購入など)が69万円、合計494.1万円です。ただし、介護期間4年7ヶ月はあくまで目安です。この調査では介護期間が1年未満13.8%、10年以上14.5%とバラツキがあります。介護期間は全くない場合もありますし、すぐ終わるか、いつまで続くかわからないのが介護ですが、少なくとも平均とされる500万円ぐらいは準備をしておくべきだと考えておきましょう。

〇医療費について
介護に次いで高齢者になってからかかる大きなお金が医療費です。厚生労働省が発表したデータによりますと、65~89歳までの医療費の自己負担額の平均は、合計で187.5万円となっています。1人約200万円は考えておく必要があるでしょう。今後、高齢者が増えてきたり、保険料が増加したり、税金の見直しなど社会保障制度の変化していきますので、なおさら、この金額は準備しておいた方が良いでしょう。

ご自身の老後の必要資金の概算は、<(3)生活費ー(1)年金>×25年(65~90歳)+(2)貯蓄額ー(4)介護費用+医療費+その他イベント費用(海外旅行、車の買い替え、リフォームなど)となります。計算してみたらいかがでしょうか。

舘野 光広 タテノ ミツヒロ
分野 老後のお金全般
60代後半    男性

全国

2021/05/22

ご質問ありがとうございます。
埼玉県のFP事務所ブレイン・トータル・プランナーの舘野です。

確かに、令和元年6月の金融審議会市場ワーキング・グループ報告書で、老後の毎月の不足額は5万円であり、人生100年計画とすると、年金以外の不足額のトータルは2000万円が必要になるとの報告がありました。その時の一世帯2人の平均生活費を27万円と仮定しており、持ち家の構成率が50%弱ありましたから、住居費は2万円弱で計算されていました。従いまして、あくまでも平均値であり、遊行費等を削減すれば全ての世帯に該当する訳ではありません。

但し、年齢を重ねれれば、疾病のリスクは高まりますので、突発的入院が発生した場合には、所得にもよりますが、月額で10万円程度の自己負担は発生するでしょう。また、親御様の弔い費用なども発生し負担するとなれば、200万円程度は準備しておかなければなりません。ご夫婦に不幸があった場合には、受給出来る年金の調整によって生活費を削減する必要もあります。

最後に、現在の高齢化のピークは2047年と言われていますが、人口減少に伴い高齢者率は概ね18%程度に留まると思われます。2020年の社会保障費は総歳入の約37%で推移しておりますが、その伸びは2010年度の約1.36倍に増加しています。そのような背景から、今後も社会保障費は増加傾向が続くと見込まれ、税収を増加させなければ、国債費が増加するだけです。従いまして、消費税の見直しを議論する可能性も高く、生活費に与える影響もそれなりにあると思われます。

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