まずは、介護費用についてみていきましましょう。
生命保険文化センターの介護経験者を対象に調査したデータによりますと、1人当たりの介護費用は約500万円です。なお、この金額は、在宅や施設の介護を含めた金額です。
その内訳は、
月7.8万円(公的介護保険を利用した自己負担額=年収により1割~3割)×約4年7ヵ月(平均介護期間)+69万円(一時的な費用、バリアフリーに対応した住宅改修、介護ベットの購入など)=合計約494万円です。
ただし、介護期間4年7ヵ月はあくまで平均です。この調査では、介護期間が、1年未満13.8%、10年以上14.5%とバラツキがあります。いつまで続くかわからないのが介護ですが、少なくとも平均とされる1人500万円ぐらいは準備をしておくべきでしょう。
同様に在宅介護は、月平均4.6万円、施設介護は、月平均11.8万円の数値となっています。
(在宅介護の場合)月4.6万円×約4年7ヶ月+69万円=合計約320万円
(施設介護の場合)月11.8万円×約4年7ヶ月=約合計640万円が平均値となります。
また、施設介護の場合は、
・特別養護老人ホーム
<介護レベル:中度~重度 入居一時金:0円 月額費用目安:約9万~13万円程度>
・サービス付き高齢者向け住宅
<介護レベル:自立~中程度 入居一時金:敷金程度 月額費用:約12万~20万円程度>
・介護付き有料老人ホーム
<介護レベル:自立~重度 入居一時金:0円~数千万円 月額費用目安:約16万~29万円程度>
となっています。
ちなみに、介護付き有料老人ホーム入居にした場合、老人ホーム検索サイト「みんなの介護」のデータによりますと、平均月額22万4000円かかっています。入居一時金を除いて、1人あたり、月22.6万円×約4年7ヶ月=約合計1221万円かかることになります。
なお、施設のレベル、一時金の有無、介護のレベル、地域によってかなり差がありますので、注意が必要です。
なお、もしも親の介護が必要になったら、お金のことだけを考えますと、なるべく長い間自宅で過ごし(在宅介護)、在宅での介護が難しくなったら施設に入るのがいいでしょう。
なぜならば、年金だけで民間の介護付き有料老人ホームの月額利用料を賄うのは難しい場合がほとんどだからです。不足分は、貯蓄で取り崩すことになりますが、これからの時代は、100歳以上の長生きは珍しくなく、貯えが底をつく恐れがあります。
なお、もしも施設に入らざるを得なくなった場合は、親自身の年金や資産状況を把握し、その範囲内で入れる施設を探すことです。
また、子ども自身の年金や預貯金で介護費用を補てんすることは、自らの老後を危険にさらす可能性もあります。「親の介護費用は親の資産で賄う」ことを基本としましょう。
次に、1人当たりの治療費の目安は、厚労省の調査によりますと、65歳~89歳までの医療費負担額の合計で、約200万円です。前述の1人当たりの介護費用約500万円とあわせ合計700万円を準備しておくと良いでしょう。
また、民間の介護保険ですが、コスパが悪いです。損する可能性すらある民間の介護保険にお金を払い続けるのなら、月々払う保険料を貯蓄に回し、備えておく方が良いでしょう。
また、親が元気なうちは、親がもっている資産を聞き出すことは難しいかもしれませんが、時期がきたら、親自身の年金額や資産状況を把握しましょう。親の介護費用は親の資産で賄ってもらいましょう。そのためには、日頃のコミュニケーションが大事になってきます。最終的には、親に対し「まだ元気なうちに、今後(介護、医療)のことも踏まえ、親の資産を把握した方が安心できる」ということを、きちんと説明すれば、親は必ずわかってくれるでしょう。
1 名の専門家が回答しています
関連する質問
親の介護はどこまでするのか
親の介護が気になる年齢になってきました。私は40代の会社員ですが、高齢出産で生まれたため、両親は80代です。周りはまだ介護が始まっていません。近所の80代の方は元気なイメージがあるものの、両親は持病があるためか、介護状態が人よりも早く始まりました。仕事や子供の学校などの生活や住宅環境、金銭的な負担などの理由から、同居は考えていません。両親は二人で暮らしています。デイサービスを利用したり、買い物や通院などは私と妻が休日を利用して助けています。介護保険で、介護用品をそろえたり、暮らしやすいように家を一部リフォームしました。母は限界だと言います。現在での介護状態では、特別養護老人ホームの入居対象には該当しません。有料老人ホームであれば入居は可能ですが、お金が必要です。親の年金の範囲内で利用するためには、特別養護老人ホームの入居になります。有料老人ホームであれば、足りない分を私たちが負担しなければなりません。金銭的な援助はとても難しいです。これから先、どんな風に支援したらよいのでしょうか。


父に生前整理を促すには
50代パート女性です。90代の一人暮らしの父がいます。ボケてはおらず頭はしっかりしていますが、持病がありもうあまり長くないと医師から言われています。父はしっかりした人で、一昨年母がなくなったあとも、家事を自分で行い、財産管理も自分でしっかりしていました。しかし最近は体の調子が悪くなり、思うようにできないようです。母の遺品整理も自分ですると言いながら、なかなか手を付けていません。また将来のことを考えると、現在財産はいくらあるのか、情報公開してほしいと思いますが、それも子供には明かさず、自分ですべてコントロールしています。しかしこの先もっと父の老化が進むと思うと、今のうちに子供としてできることは取り組んでおきたいと思っています。私は一人っ子なので、相談する人もありません。父の終活や生前整理を進めるには、どのようなところから手を付けていけばよいでしょうか。実行できることを教えて下さい。


義父母の介護について
40代の夫婦です。私たちは関西に住んでおり、主人の実家は九州にあります。私の実家の近くに住むために、関西に住んでいます。子育ての環境もよく、子供の学校の心配もありません。主人の両親は80代です。障害を持っているため、他の方よりも早く体に不自由を感じ、要介護の認定も受けました。遠方に住んでいるため、あまり会う機会がありません。心配なことは、義父母の介護についてです。夫婦で暮らせる間は、デイサービスを利用しながら二人で暮らしてほしいと思っています。主人には姉がおり、近くに住んでいるので、月に1度は見に行っているようです。しかし、姉と夫は兄弟仲が悪く、連絡はほとんど取っていません。私たちが遠方に住んでいることの対しても良く思っていません。私たちが九州へ引っ越して、同居をして親の介護をすべきだと言われました。姉は自分たちの生活を犠牲にするのはおかしい、あなたたちは長男だから当然のことだと言うのです。できないなら、老人ホームに入れるために金銭的な援助をするようにと要求して来ました。年金の範囲内で探せばよいのに、周りの目を気にして良いところに入れようとしています。私たち夫婦にとってはどちらも難しい決断です。親の介護について、どんな風に考えたらいいのかわからず悩んでいます。


税金・水道代の未払い分の時効
私の実の父親が既に他界しているのですが、他界してから税金・水道代などの滞納が多額に存在しています。相続放棄をすれば良かったのでしょうが、事情があり相続放棄の手続きをとることが出来ませんでした。私以外にも子供が居るので、その人数で分割しての借財相続という形になってはいるんですが…。金額が余りにも多額の為に、おそらく私たちの代では支払いきれないと思っているんです。消費者金融などの借金もありますが、そちらの方は現在放置しております。弁護士さんに質問できるサイトにて、質問をしてみたところ「消費者金融の借金に関しては時効を援用すれば良い」と情報を得ることが出来ましたが、税金・水道代などの場合には時効は活用できないと思っています。何か、減額できる(出来れば抹消出来る)方法などがあれば、教えて頂きたいと考えております。

