まず、繰上げ返済についてみていきましょう。
繰り上げ返済にあまり向かないタイミングがあります。それは、現在のように、金利が低い時期です。
低金利の時期はそもそもコストが低いので、「支払う利息のトータルを減らせる」という繰り上げ返済の効果があまり発揮されないのです。特に変動金利で借りている人は、金利が低いうちは無理に繰り上げ返済しないでいいでしょう。
それよりも大きなお金は手元に残して、いざというときのために蓄えておいた方が、リスク回避につながりやすくなります。繰り上げ返済した直後に、病気を患ってお金が必要になるかもしれません。想定外のことに備えるためにも、様子を見てもいいでしょう。
なお、金利が急に上がったタイミングであれば、繰り上げ返済で利息を減らす意味が出てきます。金利が上がることで返済が負担になるようであれば、手元に大きなお金があるときに繰り上げ返済をしてもいいでしょう。金利が高めに設定してある固定金利の場合は、繰上げ返済の効果も出やすくなります。
繰り返しますが、固定金利であれ変動金利であれ、繰り上げ返済を行うのは、手元に大きなお金があるとき(資産に余裕があるときに)に限ります。貯金を切り崩してまで繰り上げ返済を行うのは、住宅ローンの利息の軽減以上にリスクを増やす可能性があるからです。
例えば、子どもの大学費用として、繰り上げ返済で貯金を失ったことによって、学費のために新たなローンを組まなければいけなくなるかもしれません。住宅ローンより金利が高いローンであれば、金利を軽減させたはずが、かえって支払う利息が増えてしまうことになりかねないこともあります。そう考えると、積極的に繰上げ返済を考えるべき人は多くないといえます。差し当たり使う予定のないお金は遊ばせておくのは損だという人もいますが、想定外のアクシデントで支出が増えたり、収入が減ったりする可能性も否定できません。
また、ローン控除を受けている場合は、借入残高が多いほど恩恵を受けやすくなるので、繰上げ返済をするのはもったいないと言えます。
住宅ローンは毎月決まった金額を返済していれば、債権者からは何も言われません。若いうちは早く返すことよりも、返済しながら貯金する習慣をつけて、生活基盤を作ることをおすすめします。そして、子どもが大学を卒業するタイミングでお金に余裕があれば繰り上げ返済をし、老後の返済額を減らすといったように、戦略的に返していくことが理想といえるでしょう。リフォームも、それ用に貯金をしておいて、子どもにお金がかからなくなった時点で考えることをおすすめします。
なお、人生には貯め時が3回あるといわれています。独身時代、「結婚して子どもが小学生まで」、子ども独立してから退職までの3回です。今まさに、貯め時といえるでしょう。
次に、大学卒業までの実際にかかる費用は、1人当たりどれくらいかかるのかみていきましょう。
教育費は、各家庭の方針によって変わってきますが、子どもが幼稚園から大学まですべて国公立でも約1000万円、すべて私立に通わせれば2600万円以上になります。ちなみに、大学に進学すると、入学金と在学費(学校教育費+家庭教育費合計)で私立文系で約703万円、私立理系(医学部、歯学部を除く)約863万円かかります。
教育費を貯めるには、まずは目標金額、そしていっしょに目標年数を決めることです。
多くの家庭での目安は、高校まで公立、大学は私立として、大学進学時の18歳に合わせて貯めています。大学は私立を前提に、教育資金を貯めるのが良いでしょう。
なお、大学費用として、子ども1人につき、500万円を貯めることを目標にしましょう。 逆に言うと、高校までは、習い事と塾を含めて、毎月の収入内でやりくりできる範囲で進路を選択するのが理想ということです。また、「高等学校等就業支援金制度」(高校授業料無償化、年収制限あり)も、その際には確認していきましょう。
なお、貯金が多いに越したことはありませんが、教育貯金のために家族旅行や習い事をあきらめた、という貯金貧乏になってしまってはせっかくの子育て期間がもったいないと思います。まずは大学費用として500万円をクリアすることです。
1人500万円という貯蓄額の目標がわかったところで、まず、市区町村からの中学卒業までに支給される児童手当(*)を全額貯めれば、子ども1人につき18歳までに約200万円貯まります。
(*)児童手当
3歳未満一律1万5000円、3歳以上小学校終了前1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生一律1万円、中学卒業までもらえる子育て支援の一つです。
児童手当のほかに貯めたい金額は、1人毎月1.5万円が目安です。 1人毎月1.5万円を貯金していれば、単純計算で18年間で324万円貯まります。「児童手当貯金」にプラスして、1人毎月1.5万円を貯金していれば「18歳までに500万円」の目標がクリアできる計算です。
自身として、目標として子ども1人あたり500万円までの貯金計画を立てることをおすすめします。
結論としまして、資産に余裕があれば、繰り上げ返済をしていきましょう。また、子ども1人当たり、大学費用として500万円を目標に貯めていきましょう。余裕があれば、リフォーム代として貯めていくことをおすすめします。
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