入院した場合の保険ですが、保険会社の提供する医療保険は、「1日入院するといくら」といった具合に給付金が支給されます。そもそも入院した時に治療費、投薬費、その他の医療費が支払えなくなる事態に備えて加入するのが圧倒的多数です。
ご質問の中に「高額医療費制度(※)」に関して記述がありますので、詳細は省略させていただきますが、収入や年齢によってランク分けされている『限度額(一般的な収入ランクでは約10万円程度)』を支払うことが厳しい場合には、「医療保険を検討する」と良いと思います。
医療保険のセールストークには、高額療養費制度で賄えない医療費として「差額ベッド代」が挙げられ、それが高額であるため「支払が大変」との印象を受けやすいようです。実際に差額ベッドは高額療養費制度の適用がなく、自己負担となりますので間違いではありません。
ところが、個室や二人部屋等にかかる差額ベッド代は、あくまで任意です。唯一の例外は、ドクターが「治療に必要」と判断した場合は、個室等の差額ベッド代は不要になります。つまり、差額ベッド代はあくまで本人が追加負担を望む場合に限られます。
例えるならば、国際線のファーストクラスが病院における個室であり、ビジネスクラスが二人部屋と考えるとわかりやすいかもしれません。
毎月保険料を払って、入院時にしか引き出せない給付金を目当てに、医療保険に加入するのは違和感があります。そもそも、ファーストクラスに搭乗する人は、保険に頼らずとも既にそれなりの資産をお持ちの方ではないでしょうか?
ちなみに同様のセールストークの中には「がん・心疾患・脳疾患、女性疾病など」手厚い保障を謳うケースも見受けられます。高額療養費制度には、疾病等の除外規定は存在していません。あらゆるガンも心疾患も健康保険の範囲であれば対象です。そのため「限度額を超えて追加で保証が必要なのか?」よく考えてみましょう。
さらに除外されるのは、前述の差額ベッド代以外にも給食費、患者が申込む部屋着、おむつやガーゼなどの衛生用品、その他細々とした自己負担は避けられません。とはいえ、これらの費用は、日常の生活費から拠出可能な範囲にとどまる金額になるケースが多く、ことさらに医療保険の入院給付で補填する必然性は高くないと思います。
差額ベッドに関しては、病院サイドの理由による差額ベッド入院の可能性も皆無ではありません。゙病院サイドの理由とは、一般病床が満床で差額ベッドしか「空いていない」場合もあります。命にかかわるような重大局面の可能性もあるので、その際には差額ベッド代云々といっている場合ではありません。とはいえ、その際の対処方法は「一般病床が空き次第、病室を移る」という意思表示をしておけば、差額ベッド代の負担は最小限度にとどめられます。ちなみに集中治療室(ICU)は、ドクターの指示ですので差額ベッド代は発生しません。
医療保険は高額療養費制度の自己負担限度額が現在から将来(老後)にわたり準備ができずに不足する場合、不足分だけ加入するのが良いでしょう。老後の医療費負担を心配される方も多いですが、70歳以上は高額療養費制度の自己負担はさらに軽減されるようになっており、75歳以上になると後期高齢者医療制度に加入することになり、原則として通院・入院とも医療費は1割負担に軽減されます。
さらにガンなど特定の疾病に特化して保障を上乗せするような〇〇保険、〇〇特約の必要性はそれほど高くないと筆者は考えます。
最後に医療保険は、加入から契約満了までの期間に支払った保険料総額を超える給付金を受け取れる可能性は低いようです。
(※)高額療養費制度の詳細は、下記のリンクでご確認ください。
【参考】高額療養費制度:厚労省「高額療養費制度を利用する皆様へ」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf
1 名の専門家が回答しています
関連する質問
健康なのにがん保険は必要なんですか?
自分はまだ20代でバリバリ働いています。今まで生きてきた中で大きな病気にもなったことありませんし、風邪で学校や仕事を休んだこともありません。職場で年配の同僚と話をしていると、必ずと言っていいほど保険の話になります。自分は一応親の勧めで、義務感的に生命保険と医療保険には入っていますが、がん保険には入っていません。しかし、同僚は口酸っぱくがん保険には若いうちからでも入っておいた方がいいといわれます。正直、今まで健康で生きてきたのに、医療保険料を払うことすら無駄なのかなと思っているのに、この上がん保険までは本当に必要なのかと感じています。若い人はがんになりにくいイメージがありますが、万が一とうことがあるのも理解できますが、いつかかるかわからないがん保険にお金を払うくらいなら、今日のおかずを1品増やすお金に回したいというのが本音です。


20年前のがん保険は見直しすべきか
今、テレビで盛んにCMをやっている「20年以上前に契約したがん保険の見直し」について悩んでいます。見直したいのはやまやまですが、どうしたって追加で支払いをしなければならないので、その必要があるのか?と考えてしまいます。夫婦の年齢も上がってきたし、がん保険にさらにお金をつぎ込むべきなのか、もう今後は貯金で対応すべきなのか、悩むところです。もちろん、がんの治療方法が変化していること、入院よりも通院が主流になっていることは承知しているのですが、入院しないでよいがんなら、もう医療保険でカバーすることを考えたほうがいいのかな、という考えに傾きつつあります。夫の収入も今後減っていく可能性があるので、固定費はなるべく減らす方向にしたいのもあり、一体なにが正解なのか、悩んでいます。


男やもめですが、医療保険及びがん保険に入るべきでしょうか?
先月還暦を迎え、いよいよ自分の人生も老境に差し掛かってきたので、現在まで加入していた医療保険及びがん保険を見直すことにしました。しかし、どの会社のそれらを選べば良いのか全く分からず、家族や知人に相談してみるものの、各々が違う意見を言うばかりで全く正解に辿り着けない日々が続いています。高血圧症という持病を抱えた私が入れる医療保険はあるのか。あるにしても、月々の掛け金がいくらになるのか。どれぐらいの保障内容なのか。上記のような詳細な質問に対して、老後の生活資金を加味しながら医療保険及びがん保険の相談にのって頂ければ幸いです。高血圧症に関しては、掛かりつけの医者からは「それほど思い悩むほどではない」と言われていますが、薬は常に服用しています。


保険料のお得な乗り換え、見直し方を知りたい
現在、持病があっても入れるタイプの保険に入っていますが、普通の保険よりかなり高く、月々の固定費の負担になっています。でも今の自分だとそれしか選択肢がない感じで、とりあえずその保険に入っています。ただもし今後、もっと良い保険に入れそうならば乗り換えたいです。しかし、保険は加入時の年齢で保険料が上がっていって、加入した時の保険料は戻ってこないイメージです。よくCMだと保険の見直しで、安くなる!とか掛け捨てじゃなくてつみたてられるとか言ってますが本当でしょうか、今は掛け捨てだと思うので、せめてポイントとかが溜まれば嬉しいのになと思っています。持病がある人の保険の見直し方があれば教えてください。よろしくお願いします。


保険に関する税金と相続について教えて欲しいです。
医療保険の入院や手術の給付金、死亡保証金の税金と相続に関する質問です。昨年、父が亡くなりました。法定相続人は兄、私、父と前妻の間の子2人です。公正遺言書によると、価値のある土地は兄へ、価値のない土地は私へ、その他の財産は兄へとなっています。ちなみに、医療保険の受取人は私に指定されています。父は具合が悪くなり1ヶ月近く入院し、その期間中で手術も受けましたが、全く改善せずに亡くなりました。この場合は、医療保険全て私の財産にして良いか、入院や手術の給付金、死亡保証はどちらかのみ私固有の財産となり、その他は相続の対象となるのか、またどちらが相続対象になるのか、相続税の対象はどちらか、私が頂く分の税金は、何の扱いになるかなど分からないことが多いので、是非教えていただければ幸いです。

