医療費控除という制度を利用するにはどうすれば?

女性40代 ri-chanさん 40代/女性 解決済み

40代前半、3人の子供がいる主婦です。

同い年の夫が病気になり、入院や治療でかなりお金がかかりそうです。この先どのぐらいい医療費がかかるのかを考えると夜も眠れません。

電話で友人から「医療費控除という制度があるから、詳しく調べてみたら?高額な医療費の出費があった時に、税金が軽減されるみたいだよ」と言われたんです。

医療費控除というのはなんとなく聞いたことがありますが、詳しくは知りません。

病気の夫と乳児を含めた子供が3人いる忙しい生活なので、自分でも調べてみたのですがあまりよくわかりませんでした。

夫が病気になり手術や入院をすることで、この先お金のことがとても心配です。医療費控除という制度を利用することで、税金を節約することができるならすごくありがたいです。

医療費控除について詳しく教えていただけますか?

1 名の専門家が回答しています

佐藤 元宣 サトウ  モトノブ
分野 税金・公的手当・給付金・補助金・助成金
40代前半    男性

全国

2021/03/09

ご質問の件について、令和2年度に質問があったことから、令和2年度の税法に基づいて回答をしていきます。

はじめに、国税庁では医療費控除について、以下のように解説しています。

その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。

出典:国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

上記解説を質問者様に置き換えますと、令和2年1月1日から令和2年12月31日までの1年間で、質問者様、ご主人、3人の子供に対してかかった医療費の支払総額が一定金額を超えた場合、医療費控除が適用できることを意味します。

なお、医療費の支払総額が一定金額を超えた場合における一定金額とは、次項で回答する計算式にあてはめて計算した金額となります。

医療費控除の対象となる金額

医療費控除の対象となる金額は、以下の計算式にあてはめて計算した金額となります。

(実際に支払った医療費の合計額-「1」の金額)-「2」の金額

1.保険金などで補てんされる金額
2.10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)

たとえば、1年間で、質問者様、ご主人、3人の子供に対してかかった医療費の支払総額が20万円だったと仮定し、ご主人の年間総所得金額が200万円を超えていたとします。

この時、上記計算式にあてはめて計算すると医療費控除の金額は以下のように計算されます。

(20万円-0円)-10万円=10万円

この場合、ご主人は確定申告をすることによって、医療費控除として10万円の所得控除が受けられ、納めるべき所得税および住民税が少なくなる効果が得られます。

医療保険などから保険金を受け取った場合

医療保険やその他の生命保険に加入していることによって、保険金を受け取る場合があることも少なくありません。

そのため、参考情報として、似たようなパターンを合わせて紹介しておきます。

たとえば、1年間で、質問者様、ご主人、3人の子供に対してかかった医療費の支払総額が20万円だったと仮定し、ご主人の年間総所得金額が200万円を超えていたとします。

この時、実際に支払った医療費総額20万円の内訳が、ご主人の入院治療費等12万円、それ以外は8万円とし、保険金として10万円受け取ったとします。

この時、注意点として実際に受け取った保険金などは、実際に負担した医療費から差し引きしなければならず、具体的には、以下のような流れで計算されます。

・12万円(ご主人の入院治療費等)-10万円(受取保険金)=2万円(自己負担医療費)
・1年間の医療費の支払総額:2万円+8万円=10万円
・10万円-10万円=0円

上記の場合、計算結果が0円となるため、医療費控除の適用は受けられません。

このように、医療費控除は、実際に負担した医療費が大きく関係することになるため、単に多くの医療費がかかったからと言って、必ずしも医療費控除の適用対象になるとは限らない点に注意が必要です。

おわりに

医療費控除の適用になるかならないかは、これまで回答したことのほか、実際にどのくらいの所得があったのか、源泉徴収票などで確認する必要があります。

また、医療費控除の対象となる医療費、対象にならない医療費などもあることから、実際に支払った医療費がどちらなのかの判定もする必要があります。

参考:国税庁:No.1122 医療費控除の対象となる医療費
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm

参考:国税庁:No.1126 医療費控除の対象となる入院費用の具体例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1126.htm

したがって、回答者個人の主観としては、医療費控除の適用に必要な書類や情報を一通り、専門家である税理士や税務に詳しいFPなどへ見てもらって判断を仰ぐことが確実なのではないかと考えます。

また、今回のことをきっかけに、将来的に医療費控除の適用ができる場合の知識や経験として糧になることも考慮しますと、医療費控除の適用をした確定申告を一通りやれるようになっておくことも、先々のことを考えますと得策になると言えそうです。

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