奨学金を借りての大学進学は今後増え続けるのか?

男性30代 denkiirukaさん 30代/男性 解決済み

日本では国民の収入は減少傾向にあるものの、進学率は上がっている状況があるようです。特に大学の進学率に関しては昔と比べてかなり高まっており、学歴への意識が強くなってきているのかな?と思われます。ただ、大学に進学する割合が高まるにつれて、奨学金の利用者も昔と比べてかなり増えていると思います。奨学金に関しては、返済が困難になるというトラブルがたびたび報告されている状況ですが、この先大学進学率がどこまでの数字になるか?は分かりませんけど、国民の収入が上昇傾向に転じるとは考えづらいです。そうであれば、奨学金を借りて大学に進む人は相変わらず多くいると考えられますが、そういった存在は今後さらに増えるのか?という点が気になっています。増えるとなれば、奨学金のトラブル自体も増えそうな気がするので、ここは知りたいなと思っているのです。

1 名の専門家が回答しています

小林 恵 コバヤシ ケイ
分野 結婚・離婚・出産・教育・子育て
50代前半    男性

石川県 福井県

2021/03/17

質問者様がご指摘されている事項について一つひとつお答えさせていただきます。

>日本では国民の収入は減少傾向にあるものの
厚生労働省のデータ「平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の年収はバブル直後の1994年の465.3万円をピークに、2014年419.2万円まで大体下がり続け、2018年の433.3万円と若干持ち直している状況です。
これは給与水準だけでなく、年功序列で収入の多い団塊の世代の就業・退職の影響も受けるでしょうし、正社員になれなかった就職氷河期世代とその後の世代との違いもありますし、同じ世代でも昔に比べると高所得者と低所得者の差が広がっているという要因もあると思います。

>大学の進学率に関しては昔と比べてかなり高まっており
マンガ「学生 島耕作」には、1966年時点で「お前の年代で大学まで行けるのは5人に1人以下だ。昭和22年生まれの80数パーセントは中学とか高校を卒業して社会に出て働く」というセリフが出てきます。とは言え、近年の伸びは鈍化しています。
ただ、学費のほうは一貫して上がり続けています。一方で高校教育無償化で大学入学までの負担が軽減されている面もあります。(高額所得者は対象外です)
今まで奨学金無しで大学に行ける人が多かったのは、平均寿命が短く高齢者の数も少なかったので社会保障費が少なくて済み(そもそも年をとって働けなくなったら子が面倒を見るという社会通念でした)、その分国立大学を中心とした大学教育に国のお金を回せたのです。大学の数も少なかったですし。


>奨学金を借りて大学に進む人は相変わらず多くいると考えられますが
2020年から低所得者世帯に対しては給付型奨学金の拡充・国立大学の授業料無償化などにより負担が軽減されるようになっています。そして、貸与型奨学金の受給率は2011年の52.2%をピークに減少傾向が続いています。景気次第ということです。
現在、憲法改正の項目の一つとして教育無償化が挙げられており、今後の教育費負担については先が見えにくい状況です。
なお、日本の大学・短大進学率は61.46%で世界32位と決して高いとは言えない状況です。因みに1位は韓国の98.38%、2位は米国の94.28%です。これから大学進学率が更に高くなってもおかしくはありませんね。
昔は奨学金を借りてまで大学に行く人はそれほど多くありませんでしたが、前述の通り学費が今ほど高くはなかったことと、菅総理大臣のように夜学で学ぶ学生さんが結構多かったのです。

戦前は大部分の人が小学校卒でした。戦後すぐの時代に中学校までが義務教育になりましたが、「金の卵」と呼ばれ中学で集団就職した人たちがいた時代でした。
高度経済成長期に高校進学率が伸び、今では大部分の人が高校まで進学します。社会が成熟すれば高学歴化するのです。


>奨学金のトラブル自体も増えそうな気がする
就労不能などで奨学金の返還が難しくなった場合、返還期限猶予などの措置を受けることができます。猶予適用期間中は、延滞が進むことはなく、新たに延滞金も加算されません。ただ、申請をしなかったり、催促されても返還に応じない場合などには強制執行されたり自己破産に至る場合もあります。ただ、奨学金返還者の自己破産者の比率は0.05%、日本全体の自己破産者比率の0.06%と比べて高いというほどではありません。また、近年では高校生の時点で奨学金制度の概要と返還についてのレクチャーを行う学校が増えています。

奨学金返還に関するトラブルは、通常の借金返済に比べてクローズアップされている感があります。奨学金の金利は2021年3月時点で利率見直し方式で0.004%ですが、クレジットカードのリボ払いの一般的な金利は15%です。クレジットカードを作ったらデフォルトがリボ払いになっている場合もあります。しかしリボ払いやカードローンで家計が逼迫した場合でも奨学金の返済があれば奨学金が原因みたいな言われ方をします。

あまり語られない要因ですが、日本人の晩婚化も影響していると思われます。昔は20代で結婚して、収入がピークを迎える50代前半くらいで子どもは大学を卒業していましたが、今は30過ぎて結婚する人が珍しくなく、60歳でもまだ子どもが大学を卒業していないというケースは珍しくありません。その頃には収入は下がっているので、奨学金を活用してでも大学に行くという選択肢も出てくると思います。

なお、前述の通り米国は大学進学率の高い国ですが、州立大学でも年間の学費・寮費などで2万ドル、私立大学だと5万ドル程度かかるようです。家計の中でも奨学金というか学生ローンの返済の割合が大きいようです。日本も同様に増えてもおかしくはありません。一方で、高校生の段階での奨学金や教育資金についての教育が十分とは思えません。(それ以前にお金についての教育自体がされていないのですが)。奨学金制度そのものの是非よりも、金銭教育が重要なのではないかと思います。

さて、回答とは逸れますが、大学進学というか高等教育というものの個人的な所見を述べさせていただきます。
人間は良くも悪くも家庭環境の影響を受けます。所得の差だけでなく躾の有無であったりとか、物の見方とか、食生活とか、色々な面で家族の影響を受けざるを得ません。しかし学問というものを身につけることで家族以外の世界を見ることが出来ます。学校教育というのは無限にある学問というものにアクセスする手段を育むところなのです。
家族から立派なものを受け継いでいる人ばかりではないのです。公教育というのは大事ですし、それを後押しする一つの手段として奨学金というのは重要だと思います。

専門家にお金の悩みを相談できます

・ 月300円(税別)

・ 毎月3回まで質問が可能

・ 最短5分で回答可能

・ 100名超の認定専門家が回答

・ 回答率99%

関連する質問

不妊治療をしながら子どもを育てるには?

3年の不妊治療を経て第一子を出産しました。不妊治療にかかったお金はおおよそ130万円くらいです。できれば第二子も欲しいと考えていますが、男性不妊のため自然妊娠は厳しいと言われています。また100万以上のお金をかけて不妊治療をするのはやはり現実的ではないでしょうか?子ども1人を育てるのに必要な資金は1000万円以上と言われている時代に第二子は贅沢かと思いますが、将来の資金に余裕があるのであれば再度不妊治療に挑戦したいと考えています。自分で資金計画などもしてみたのですが、素人のざっくりとした計算なのでいつか赤字になってしまうのではないかと不安です。今の貯金額やローンの状況からみて総合的に判断をしていただきたいです。

女性30代後半 moyo22kさん 30代後半/女性 解決済み
佐藤 元宣 1名が回答

奨学金や教育ローンなど利用できるものは最大限利用して子どもたちの夢を叶えたい

娘がこの春高校三年生となり、来年大学受験をします。娘は子どもの頃から看護師になりたいと言っていて、私立大学の看護学部を受験する予定です。しかし、私立大学の看護学部の学費は年間180万円ほどかかるようで、そんなにかかることを最近までまったく知りませんでした。学費の安い国立大学の看護学部のほうを勧めたいのですが、学力的に合格するのが難しそうです。いまさら経済的なことを理由に看護師を諦めろとは言えません。また、2歳下の息子も大学進学を希望しています。どうやったら子どもの教育費を準備するか頭を悩ませています。奨学金や教育ローンなど、利用できるものは最大限利用して、何とか子どもたちの夢を応援してあげたいと考えています。FPの方からアドバイスが欲しいです。

男性50代前半 花持ちさん 50代前半/男性 解決済み
水上 克朗 1名が回答

子供の教育資金

現在子供が2人いるのですが、もう1人ほしいと考えています。ですが、子供たちの将来のお金が心配です。子供達みんながいくつも習い事をしたいと言ったらやらせてあげられるのか。みんなが大学に行きたいと言ったら、行かせてあげられるのか。と。収入を増やすのが1番とは思うのですが、普通のサラリーマン、OLですと稼げる限界があるのかなと思います。今後の生活、子供たちの将来のためにお金を貯めたいです。

女性30代前半 あめちゃんさん 30代前半/女性 解決済み
山本 昌義 舘野 光広 2名が回答

子どもの教育費の貯め方について

子どもの教育費の貯め方について質問です。一番代表的な貯め方は学資保険だと思うのですが、途中で中学生、高校生になる時もまとまった資金が必要です。子どもが成人するまでのライフプランごとに見直す方がいいとも聞きました。どのような方法があるのか教えてください。

女性40代前半 momomamaさん 40代前半/女性 解決済み
山本 昌義 1名が回答

娘の教育資金がどの程度必要か教えて下さい

私立中高一貫校に通う中学3年生の娘がおります。学資保険に入っており大学入学時には200万円が支払われます。国立大学に入る場合はそこまで心配する必要も無いかと思いますが私立大学に入った場合、学資保険以外でどの程度お金の準備が必要か教えて下さい。大学は自宅から通うことを想定しております。また、今後海外大学を希望した場合、桁違いにお金がかかるかと思いますがどの程度かかるか想像がつきませんでしたので、いくら必要なのか知りたいです。家の問題や生活費もあると思いますがその他、主にかかる費用はどのようなものがありますでしょうか。現実的に叶えられるものなのか把握できればと思っています。我々の老後の資金も必要なのでトータルで考えたいです。よろしくお願いいたします。

男性50代前半 パンダさん 50代前半/男性 解決済み
山本 昌義 1名が回答