諸外国と比べると、日本の携帯電話の月額料金は高いといわれています。そのため「毎月の料金をもうちょっと節約したい」と思っている人は多いはずです。そこで今回は、携帯電話の月額料金を節約するための方法として「格安スマホへの切り替え」について解説しましょう。
目次
格安スマホへの切り替えが節約になる理由
最初に、なぜ格安スマホへの切り替えが節約になるのかについて解説します。
月額料金が安い
詳しくは後述しますが、いわゆる大手キャリアに比べると、格安スマホ会社の月額料金は総じて安いです。月額料金が安くなるからこそ「家族全員でスマホを持っている」など、毎月の携帯電話料金の支払いが大きくなっているなら、高い節約効果が見込めます。
月額料金が安い理由は?
そもそも、なぜ格安スマホの月額料金は安いのか考えてみましょう。格安スマホ会社(MVNO:Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業者)は、大手キャリア(MNO:Mobile Network Operator、移動体通信事業者)の回線を借りてサービスを運営しています。
大手キャリアのように、自前で基地局を設置したり、メンテナンスしたりする手間も経費もかかりません。また、インターネットでのサービスの提供を主体にしているため、店舗の運営にかかる人件費や賃料もいりません。だからこそ、月額料金を安くしても運営できるのです。
大手キャリアから切り替えると月額料金がどれだけ安くなるのか?
ここで、大手キャリアから格安スマホ会社に切り替えると、月額料金がどれだけ安くなるのかについて考えてみましょう。
- ソフトバンク → ワイモバイルの場合
- au → UQモバイルの場合
の2パターンを検証してみます。なお、検証にあたっては、各種割引を考慮せず、大手キャリア及び格安スマホ会社各社が提示している基本料金を用いています。
ソフトバンク → ワイモバイルの場合
最初に、ソフトバンクからワイモバイルに切り替えた場合を検証してみます。なお、検証にあたって利用するプランは
- ソフトバンク:メリハリプラン
- ワイモバイル:スマホベーシックプランR
です。
出典:メリハリプラン(2020年3月12日~2021年3月16日) | スマートフォン・携帯電話 | ソフトバンク
出典:スマホ向け料金プラン「スマホベーシックプランS」の改定について|新着情報|お知らせ|Y!mobile – 格安SIM・スマホはワイモバイルで
ソフトバンク:メリハリプラン | ワイモバイル:スマホベーシックプランR |
---|---|
月額料金:8,480 円/月(税抜)※1 データ通信容量:最大50GB |
月額料金:4.680円/月(税抜) データ通信容量:最大14GB |
※1 内訳は
- データプランメリハリ:6,500円/月
- 基本プラン(音声):980円/月
- 5G基本料:1,000円/月
差額を計算してみると
の差になります。
au → UQモバイルの場合
次に、auからUQモバイルに乗り換えた場合を検証してみましょう。検証にあたって利用するプランは
- au:データMAX 5G
- UQモバイル:スマホベーシックプランR
です。
出典:データMAX 5G | お申し込み受付終了プラン:スマートフォン・携帯電話 | au
出典:スマホプラン│格安スマホ/SIMはUQ mobile(モバイル)【公式】
au:データMAX5G | UQモバイル: Rプラン |
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月額料金:8,650円/月 データ通信容量:使い放題 |
月額料金:2,980円/月(税抜) データ通信容量:最大14GB |
差額を計算してみると
になります。「やっぱり気兼ねなく音声通話はしたい」という場合、かけ放題をオプションとして選択する必要がありますが、24時間国内通話かけ放題のオプション(1,700円)を別途契約した場合であっても
と、十分な節約効果は見込めるはずです。
月数千円の節約は大きい
正確な数字は、大手キャリアで利用してきたプランや割引条件、端末の割賦購入代金によっても異なるので、上で示した節約の金額は、あくまで一例にすぎません。
しかし、仮に毎月4,000円節約できたとしたら、1年間で節約額が48,000円にもなります。
格安スマホに切り替える流れ
大手キャリアから格安スマホへの切り替え手順は、以下の通りです。
- どの機種、格安SIMサービスを使うか決める
- MNP予約番号を入手する
- 格安SIMを申し込む
- 配達してもらう、もしくは店舗で受け取る
- 初期設定をする
なお、MNP予約番号は
- 携帯電話会社の店舗に出向く
- 携帯電話会社の専用ダイヤルに連絡する
- 携帯電話会社の利用者専用Webページで手続きする
のいずれかの方法で入手できます。
格安スマホに切り替える際の注意点
格安スマホに切り替える際の注意点についても解説しましょう。
キャリアのメールアドレスは使えなくなる
現状、大手キャリアから格安スマホ会社への移動のように、携帯電話会社を変更した場合、以前の携帯電話会社で利用していた独自のメールアドレスは利用できなくなります。
ほとんど使っていなかったなら特に問題はありませんが、外部のサービスを利用する際のアドレスとして使っていた場合は、切り替えをしなくてはいけません。
Gmailのアカウントは必須
今すぐに格安スマホに乗り換える予定がなくても、今後、乗り換える必要があった場合の時のために、Gmailのアカウントは取得しておきましょう。
Gmailとは、検索サイトの運営で有名なアメリカのIT企業・Googleが提供するサービスの1つです。Webブラウザ上で見られるメールシステムですが、パソコン、スマホを含めたインターネットにつながる環境であれば、いつでもどこでも利用できます。
もちろん、大手キャリアから格安スマホに乗り換えた場合であっても、問題なく利用することが可能です。なお、以下のリンクからアカウントを取得できます。
MNP手数料がかかる
これまで使ってきた携帯電話会社から別の会社に切り替える場合で、以前と同じ電話番号を使いたいということであれば、MNP(携帯番号ポータビリティ)と呼ばれる手続きをしなくてはいけません。手続き自体は
- 移行前の通信事業者からMNP予約番号を取得する
- 有効期限内に予約番号を使用して移行先の通信事業者に申し込みをする
と、決して難しいものではありませんが、手数料(3,000円)がかかる点には注意が必要です。
ソフトバンクとワイモバイルは2021年春から無料へ
なお、このMNP手数料をめぐり、総務省は「原則無料とするように」との方針を「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」の中で示しました。
参照:総務省|報道資料|「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」の公表
残るNTTドコモとKDDI(au、UQモバイル)については、明確な方針を示していませんが、無料化もしくは引き下げの方向に動く可能性があるでしょう。
都心で生活している場合は通信速度が遅くなることも
格安スマホ会社は、大手キャリアから回線を借りているので、月額料金が安くなります。しかし、それは「限られた回線で自分たちの顧客にサービスを提供している」という意味です。
- 朝晩の通勤電車の中
- 休日の繁華街
など、人が多く集まる場所では、当然アクセスも集中するので、通信速度がかかることもあります。また、年末年始など、多くの人が一斉に連絡しようとする時期も、注意が必要です。
アクセスが集中しにくい地方ではかえって楽
逆に、アクセスが集中しにくい地方では、極端に通信速度が遅くなることは考えにくいのも事実です。東日本大震災クラスの激甚災害が発生したなど、かなり特殊な事情がない限りは、おおむね快適に利用できます。
実店舗がない場合が多い
格安スマホ会社の特徴として、経費削減の一環として、実店舗を構えず、インターネットと電話経由ですべてのサービスの提供を行っている場合が多いことが挙げられます。自分である程度調べられたり、電話やメールでのやり取りだけで進められたりするなら特に気にする必要はありません。
ねらい目は大手キャリアのグループ会社
しかし、中には「毎日使うものだから、ちゃんとわからないところを店員さんに確認しながら考えたい」「自分で設定を済ませられるかどうか不安」などの理由で、どうしても実店舗で申込や手続きを進めたい、と思う人もいるかもしれません。
そういう人であれば「実店舗を構えているかどうか」を1つの基準にして、格安スマホ会社を選びましょう。KDDI傘下のUQモバイルや、ソフトバンク傘下のワイモバイルであれば、比較的多くの実店舗があります。格安スマホが初めてだから不安という人でも、安心して選べるはずです。
自宅にいるときはWi-Fiを使おう
格安スマホの場合、月額料金に含まれるデータ通信容量が少ないケースも多々あります。もちろん、月の途中でデータ通信容量が少なくなってしまった場合は、追加料金を支払うことで買い足すことはできますが、あまりに頻繁にやっていたのでは、節約という意味では好ましくありません。
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