「クレジットカードやローンの延滞・滞納、自己破産などの債務整理を行うと、ブラックリストに載る」という話を聞いたことがある人は多いでしょう。そして、ブラックリストに載ってしまうと、最大で10年間はクレジットカードが作れません。
つまり、基本的に現金払いをしなくてはいけないので、非常に不便です。そこで、ブラックリストに載っている人でも使えるキャッシュレス決済はないのか、調べてみました。
目次
ブラックリストに載るとは
個人信用情報に異動があること
そもそも、ブラックリストに載る、というのは、正確に言うとどういうことなのかをまずは理解しましょう。
クレジットカードやローンなど「お金の貸し借りを前提とする取引(信用取引)」を利用すると、その履歴は個人信用情報として記録されます。
実際は、個人信用情報機関と呼ばれる会社・組織がデータベースとしてとりまとめ、クレジットカード会社などから照会があった場合に開示できるようにしている仕組みです。
そして
- 長期間(61日以上)の延滞・滞納
- 任意整理、個人再生、自己破産などの債務整理
- 重大な利用規約違反を理由とした強制解約
など、その人の支払能力に重大な疑義を及ぼすトラブルがあった場合、個人信用情報に「異動」という登録がなされます。
このような状態になると
- クレジットカード、ローンの新規申込ができない
- クレジットカード、ローンの未返済分(残債)の一括返還を求められる
など、生活に重要な影響を及ぼすのです。
なお、個人信用情報に異動の登録がなされると、登録がなされた原因にもよりますが、最大で10年間、クレジットカードやローンの利用ができなくなります。
選択肢1.デポジット型クレジットカード
デポジット型クレジットカードとは
最大で10年近くクレジットカードが使えなくなる以上、生活は不便を極めます。しかし、ブラックリストに載っている人であっても使えるクレジットカードとして近年注目されているのが、デポジット型クレジットカードです。
参照:デポジット型ライフカード|クレジットカードはライフカード
本来、クレジットカードは「会員の利用分を一度、クレジットカード会社が立て替えて加盟店に支払い、あとで会員から回収する」流れで支払いが行われるため、「会員に支払能力があるかどうか」が重要になります。
しかし、デポジット型クレジットカードの場合
- 申し込みにあたって、利用希望額に応じたデポジット(保証金)を預ける
- 万が一、引落日に銀行口座の残高が足りない場合は、デポジットを充当する
という流れで支払いが進みます。
メリット
メリットとして
ことが挙げられます。
通常のクレジットカードと同じように利用できる
デポジット型クレジットカードといっても、通常のクレジットカードと券面のデザインは同じです。
デメリット
一方、デメリットとしては
ことが挙げられます。
ある程度まとまったお金を用意しないといけない
デポジット型クレジットカードの場合、設定したい利用限度額に応じて、デポジットを用意しなくてはいけません。例えば、利用限度額として50万円を希望する場合、デポジットも50万円用意しないといけないのです。
選択肢2.デビットカード
デビットカードとは
なお、現在では「国際ブランドデビット」といって、クレジットカードが利用できる店舗(加盟店)で、クレジットカードと同じように利用できるものが主流です。
メリット
デビットカードのメリットとして
- 銀行口座が開設できれば作れる
- 海外でも使える
- ポイント付与、キャッシュバックが受けられる
ことが挙げられます。
銀行口座が開設できれば作れる
デビットカードを作るには、デビットカードを発行している銀行の普通預金口座を用意しなくてはいけません。しかし、これさえクリアできれば、15歳以上であればほぼ誰でもデビットカードは作れます。
通常のクレジットカードのように、支払能力に関する審査もありません。
海外でも使える
現在主流となっている国際ブランドデビットの場合、国際ブランドのクレジットカードが使える店舗であるならば、日本国内はもちろん、海外でも同じように使えます。
日本や現地で、日本円を現地通貨に両替することなく、そのまま決済ができるので非常に楽です。また、どうしても現金が必要になった場合は、現地のATMから現地通貨での引き出しもできます。
ポイント付与、キャッシュバックが受けられる
具体的な扱いは、発行している銀行により異なりますが、デビットカードであっても、クレジットカードと同様、ポイントの付与やキャッシュバックが受けられることがあります。
デメリット
一方、デメリットとしては
- 銀行口座の残高までしか利用できない
- 一部、利用できない店舗がある
ことが挙げられます。
銀行口座の残高までしか利用できない
デビットカードの基本的な仕組みは「利用できる店舗での支払いに使うと、支払い元として指定された銀行口座から即座に利用額が引き落とされる」です。
多額の出費が予想される場合は、銀行口座の残高を確認してから動くべきでしょう。
一部、利用できない店舗がある
デビットカードの場合、利用したその場で請求額が確定し、銀行口座からの引き落としがじっこされます。そのため、商品・サービスの提供のタイミングと、請求額の確定のタイミングが異なる取引の場合、デビットカードが使えないのは珍しくありません。
例えば
- ガソリンスタンドでの給油
- 公共料金の支払い
- ホテル、レンタカーのデポジット(保証金)
- 飛行機の機内販売
などがこれにあたります。
選択肢3.プリペイドカード
プリペイドカードとは
現在は、国際ブランドプリペイドといって、クレジットカードが利用できる店舗で、同じように支払いに利用できるものが主流になっています。
参照:Visaプリペ|クレジットカードの三井住友VISAカード
なお、使用する際は、所定の銀行口座への振込やコンビニ店頭などでの入金によるチャージを行わなくてはいけません。
メリット
メリットとしては
ことが挙げられます。
クレジットカードと同じように利用できる
これは、日本国内はもちろん、海外でも変わりません。ただし、先ほど触れたデビットカードの場合と同様、取引の性質上、利用できないケースもあるので気を付けましょう。
デメリット
一方、デメリットとしては
が挙げられます。
チャージをする手間がかかる
プリペイドカードは、あらかじめ利用希望額をチャージしないといけません。そして、チャージをする方法ですが
- クレジットカードによるオートチャージ
- 銀行口座への振込
- コンビニ店頭での入金
などが考えられます。
選択肢4.電子マネー
電子マネーとは
日本では、JR東日本の「Suica」や首都圏の私鉄各社が共同して提供する「PASMO」などの交通系電子マネーが広く知られています。
また、大手企業グループの楽天が提供する「楽天Edy」や、大手カード会社のJCBが提供する「QUICPay」、三井住友カードが提供する「iD」も有名です。
メリット
電子マネーのメリットとしては
ことが挙げられます。
広く普及しているため、使える店舗が多い
総務省がまとめた「平成27年度 情報通信白書」によれば、2008年における電子マネーでの決済金額の総額は7,581億円だったのに対し、2014年には4兆0,140億円にまで膨れ上がっています。
このデータからも、年を追うごとに電子マネーはどんどん普及していったことがわかるはずです。クレジットカードが使えなくても、電子マネーは使えるという店舗も珍しくありません。ちょっと近所に出かける程度なら、電子マネーさえあれば何とかなってしまうことも多いでしょう。
デメリット
一方、デメリットとしては
ことが挙げられます。
チャージをする手間がかかる
電子マネーを「どのタイミングで利用額の支払をしなくてはいけないか」という観点で分けると、次の2つに大分されます。
- プリペイド型:事前に現金や口座への入金によりチャージする
- ポストペイ型:一定期間の利用分を取りまとめ、後日請求がくる
このうち、ポストペイ型の電子マネーの場合、あらかじめ支払元として利用できるクレジットカードを紐づけなくてはいけない場合が多いため、クレジットカードを作れない人が利用するのは現実的ではありません。
選択肢5.QRコード決済
QRコード決済とは
支払元として利用できるクレジットカードを登録しておくか、あらかじめ所定の銀行口座への振込や、コンビニ店頭での入金を行うことで、支払いができるようになる仕組みです。
メリット
メリットとしては
- 現金での入金に対応しているサービスであれば、誰でも利用できる
- キャンペーンを上手に利用すれば、節約につながる
ことが挙げられます。
現金での入金に対応しているサービスであれば、誰でも利用できる
一口にQRコード決済といっても、現金での入金に対応しているかはまちまちです。例えば
- ⅾ払い
- au PAY
- PayPay
は銀行口座への振り込みや、コンビニの店頭での現金によるチャージに対応しています。これらのサービスであれば、クレジットカードがなくても問題なく利用可能です。
キャンペーンを上手に利用すれば、節約につながる
QRコード決済は、キャッシュレス決済の中でもかなり新しい部類に属する方法であるため、サービスを展開している各社はシェアの拡大を目指して戦略を練っている段階です。
デメリット
一方、デメリットとしては
- 現金での入金に対応していないサービスもある
- スマートフォンに問題が生じれば使えない
- サービス自体が終了に追い込まれることもある
が挙げられます。
現金での入金に対応していないサービスもある
2021年2月現在、運営されているサービスの中では、楽天ペイがこれに当たります。
通信状況やスマートフォンに問題が生じれば使えない
QRコード決済が使える条件として
- 周囲の通信状況に問題がない
- 自身のスマートフォンに何ら異常がない
ことが挙げられます。つまり、このうちのいずれかに問題があった場合、QRコード決済は使えません。
サービス自体が終了に追い込まれることもある
QRコード決済自体、キャッシュレス決済の中ではかなり新しい方法であることもあり、技術的にはまだまだ未熟な部分があるのも事実です。
例えば、大手コンビニチェーンのセブン-イレブンが展開していた「セブンペイ」は、サービス開始後に重大なセキュリティの欠陥による不正利用が発覚し、わずか3カ月足らずでサービス終了に追い込まれました。
また、シェアを獲得するために熾烈な競争を繰り広げる以上、運営会社は多大な金銭的負担を強いられます。財務体質が盤石な会社であればさほど問題にはなりませんが、弱い会社が参入した場合、会社の存続が危ぶまれるほどの事態にもなり得るのです。
例えば、QRコード決済の「Origami Pay」を運営していた株式会社Origamiは、未上場であったにも関わらず、株式の想定時価総額が400億円を超えるほど、高い評価を得ていたベンチャー企業でした。
しかし、大手の参入が相次いたQRコード決済業界でシェアを獲得することが困難であったため、最終的にはフリマアプリ大手のメルカリの傘下に入ることになったのです。これは、事実上の経営破綻と言われています。
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