生涯独身を貫くなら生命保険は不要。代わりに行うべき3つの準備

一昔前は「結婚して、子どもをもうけ、マイホームを購入し、家族で幸せに暮らす」のが一般的な家族の在り方とされていました。しかし、現在では家族の在り方、個人の生き方も多様化しています。一生独身を貫く人も一定数いるでしょう。

一生独身を貫くことを本人が納得し、選択したのなら、それは誰にも責める権利もありません。しかし、頼れる家族がいなくなる確率が高いからこそ、天寿を全うするまでのお金のことは、かなり真剣に考える必要があると筆者は思います。

そこで今回は

  • 生涯独身を貫くなら生命保険が不要である理由
  • 生命保険に入らない代わりに行うべき準備

の2点について解説します。

生涯独身を貫くなら生命保険は不要な理由とは

「遺される家族」がいない場合が大半だから

本題に入る前に、生命保険の基本的な意味を考えてみましょう。生命保険(死亡保険)とは

死亡、高度障害状態などの万が一のことが起きた場合に、保険金としてまとまった金額を受取ることで、遺された家族の生活を保障するための商品

という側面が強いです。つまり「遺される家族が路頭に迷わないようにするため」のものなので、そもそも「遺される家族」がいない場合は必要ありません。

「せめて自分の葬儀代くらいは出したいから、生命保険に入る」という人もいるかもしれませんが、盛大かつ豪華な葬儀をするつもりでないなら、貯金でも十分役割は果たせます。

特殊な事情がある場合は検討すべき

もちろん、独身であったとしても

  • 高齢の両親に仕送りをしている
  • 障害があるなどの理由で働けない兄弟姉妹に援助している
  • 離婚した元パートナーとの間の子どものために養育費を払っている

など「独身ではあるものの、自分に万が一のことがあったら、経済的に困窮する可能性が高い家族がいる」場合は、まとまったお金を用意する手段として、生命保険を検討する余地はあるでしょう。

生命保険に入らない代わりに行うべき3つの準備

貯金、リスクの低い資産運用に励む

一方で、生涯独身を貫くつもりなら「生前に経済的に困窮しないかどうか」を基準に準備を進める必要があります。まず取り組むべきことは、貯金およびリスクの低い資産運用に励むことです。

貯金の目標額は

  • サラリーマン、OLなどどこかに勤めて給料をもらっている人(給与所得者)なら手取り収入の半年分
  • フリーランス、自営業なら手取り収入の1年分

を目安にしてください。

これらは生活防衛費として「急に出費が必要になった場合に使えるお金」として取っておきましょう。

また、すでにある程度生活防衛費が貯まっているなら、リスクの低い資産運用を試してみるのも1つの手段です。iDeCoやNISAなど「少額から投資ができ、長期間かけて運用をするのが前提の方法」から取り組んでみてください。

株式投資やFX(外国為替証拠品取引)などは、iDeCoやNISAに比べると、うまくいったときの成果は大きいですが、失敗したときのダメージも大きいです。ある程度の勉強はした上で、まずは数万円など「万が一損をした場合でも、自分の生活に何ら影響はない程度の金額」から始めてみるのをおすすめします。

治療費を補償するタイプのがん保険を検討する

日本に住んでいるなら、基本的に全員が何らかの公的医療保険に加入しないといけません。

この仕組みがあるおかげで、病気やケガをしても、窓口での自己負担分が少ない状態で治療が受けられるのです。仮に生活保護を受けることになった場合は、公的医療保険には加入できなくなりますが「医療扶助」といって、自己負担のない状態で治療が受けられます。

つまり、日本に住んでいる限りは、どんな人でも病気やケガをしたら、治療は受けられるのです。

また、公的医療保険が適用される医療費については、1カ月の支出額が一定額を超えた場合(年収に応じて決まります)は、超えた分については自己負担しなくてかまいません(高額療養費制度)。

つまり、公的医療保険の範囲内で治療を受けている以上は、医療費が天井知らずに膨れ上がることはないのです。「そばに人がいると寝られないから、入院するときはどんなに狭くてもいいから個室が良い」という人であれば、個別ベッド代が出せるように準備しておく必要がありますが、これは貯金でも十分に賄えることです。

このような背景を考えると、一生独身を貫くつもりなら、民間の保険会社が販売する医療保険は必須ではありません。

しかし、1つだけ検討すべき保険があるとしたら「がんの治療費を補償してくれる保険」でしょう。

がんは他の病気とは違い

  • 一度状態が良くなった(寛解した)としても、再発するリスクが高い
  • 長期間にわたる投薬、経過観察が必須になる
  • 状況に応じては、公的医療保険の範囲外の治療法(自由診療)も検討しなくてはいけない

など、とにかく治療にお金のかかる病気です。

特に、公的医療保険の範囲外の治療法(自由診療)を選ぶ場合は、さらに費用が跳ね上がります。アメリカ・ヨーロッパなどで認可されているものの、日本では認可されていない抗がん剤を使う場合は、毎月の薬剤代だけで100万円を超えるのはめずらしくありません。

参照:海外承認済み、国内未承認の抗がん剤リスト更新(2018年4月時点)|国立がん研究センター

「それなら、がん保険で備えればよいのでは?」と思うかもしれませんが、一般的ながん保険はあくまで

  • 公的医療保険の範囲内で受けられる治療を受けた場合
  • 先進医療を実施できると厚生労働省から認定された医療機関で先進医療にあたる治療を受けた場合(※先進医療特約が付帯している場合のみ)

に保障が受けられる商品です。つまり、たとえ先進医療にあたる治療を受けたとしても、入院・処置を受けたのが厚生労働省から認定されていない医療機関だった場合は、自由診療扱いとなり、一般的ながん保険による保障は受けられません。

参照:先進医療を実施している医療機関の一覧|厚生労働省

しかし「がんの治療費を補償してくれる保険」であれば、いわゆる自由診療に分類される治療を受けた場合にも、治療費の補償が受けられます。経済的な不安を和らげられる状態で、自分が希望する治療を受けられるのが大きなメリットです。

出典:がん保険のセコム損保|メディコム

専門家と死後事務委任契約を結ぶ

生涯独身を貫くつもりの人なら、一度は「自分に万が一のことが起きたあとって、家の後片付けとかクレジットカードの解約とか、どうすれば良いのだろう?」と思ったことがあるかもしれません。

友人・知人や親族に頼むことを考えている人もいるかもしれませんが

  • どのタイミングで何をすれば良いかを理解しているとは限らない
  • 頼んだは良いものの、自分より先にその人に万が一のことが起きてしまう可能性もある

という背景も考えると、あまりおすすめできる方法ではないのも事実です。

やはり、手続きをつつがなく進めることを考えると、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家と死後事務委任契約を結んでおくと良いでしょう。

死後事務委任契約とは

死後事務委任契約とは

生前に専門家と契約を結んでおくことで、自分に万が一のことが起きた場合に必要なあらゆる手続きを進めてもらうようお願いする契約

のことです。具体的にどこまで頼めるかは、専門家によっても異なりますが、一般的に対応してくれる可能性が高い手続きをまとめました。

  • 死亡直後(当日)の緊急対応
  • 葬儀・火葬に関する手続き
  • 埋葬・散骨に関する手続き
  • 行政機関発行の資格証明書等(健康保険証・運転免許証など)の返納手続き
  • 勤務先企業・機関の退職手続き
  • 入院費・施設利用料の清算手続き
  • 不動産賃貸借契約の解約・住居引渡しまでの管理
  • 住居内の遺品整理
  • 公共サービス等の解約・精算手続き
  • 住民税や固定資産税の納税手続き
  • SNS・メールアカウントの削除
  • 関係者への死亡通知
FP 荒井 美亜FP 荒井 美亜

大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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