子どもの勝手なスマホゲーム課金。支払義務の有無と再発防止策は?

スマートフォン(スマホ)が急激に普及し、スマホゲームに興じる子どもも増えました。そして、スマホゲームをスムーズに進めるために、課金制のアイテムも販売されています。

これ自体は何も問題はありませんが、未成年の子どもが保護者に無断で課金制のアイテムを購入するのは好ましくありません。1つ1つのアイテムは少額でも、何度も繰り返したことにより、数十万円単位の支払が保護者に課せられてしまうこともあるためです。

そもそも、このように「子どもが保護者に無断で保護者のクレジットカードを使った」場合に支払義務はあるのか、また、このようなことを繰り返さないためにはどうすればいいのか、考えてみましょう。

子どもが勝手にスマホゲーム課金をした場合の支払義務

最初に「子どもが勝手にスマホゲーム課金をした場合、保護者に支払義務は生じるのか」について、考えてみましょう。

未成年者契約の取消とは

本来、子ども(未成年者)は大人(成年者)に比べると、社会経験や知識にも乏しい上、判断能力も未熟です。そのため、不当な取引により子どもが被害を受けないよう、法律では未成年者契約の取消の規定が設けられています。

民法 第五条
一 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
二 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

条文のままだとわかりにくいのですが、以下の条件にすべて当てはまれば、子どもが行った契約は取り消せると考えましょう。

  • 20歳未満である
  • 婚姻(結婚)をしたことがない
  • 法定代理人(保護者)が同意していない
  • 法定代理人から処分を許された財産(小遣い)の範囲ではない
  • 法定代理人から許された営業に関する取引ではない
  • 詐術を用いていない
  • 法定代理人の追認がない

スマホゲーム運営会社、クレジットカード会社との交渉次第

保護者のクレジットカードを使って、無断でスマホゲームに課金するのは、少なくとも同意は得ていません。そのため、本来は未成年者契約の取消の対象となる可能性が高いと考えられますが、一筋縄ではいかないことに注意しましょう。

本人以外のクレジットカードの無断利用は規約違反

ここで問題になるのが「子どもが、保護者のクレジットカードを無断で使った」ことです。クレジットカード会社は、不正利用防止の観点から、クレジットカードの券面に記載されている名義人本人以外によるクレジットカードの利用を、たとえ家族であっても禁止しています。

仮に、このような形での利用があった場合も、名義人本人が支払義務を負うので注意が必要です。

家族名義のクレジットカードを使うのは厳禁。理由と代替案を解説

まずは消費生活センターに相談を

実際のところ、自分の子どもに勝手にスマホゲームに課金された保護者は「未成年者契約の取消」を理由にして、支払いを拒否する余地があります。しかし、クレジットカード会社は「重大な利用規約違反」を理由にして、支払うよう求める余地があるのです。

両者の主張が真っ向から対立する形になるため、まずは消費生活センターに相談し、交渉の進め方を考えた方がいいでしょう。

子どもが勝手にスマホゲーム課金をした場合の再発防止策

子どもが勝手にスマホゲーム課金をしてしまった場合、叱るのはもちろんですが、もっと大事なのは「同じことを繰り返させない」ことです。

必ず試してほしい再発防止策として

  • クレジットカードは子どもの手の届かない場所に置いておく
  • 端末(アカウント)の課金用のパスワードを設定する
  • アカウントにクレジットカードを登録しない
  • プリペイドカード、デビットカードを使って課金させる
  • 課金が発生する場合は保護者の承認を必須にする

の5つを紹介しましょう。

クレジットカードは子どもの手の届かない場所に置いておく

小学校高学年程度の子どもにもなれば、クレジットカード番号、有効期限、名義人、セキュリティコードは、クレジットカードの実物を見れば調べられるくらいにはなっています。そのため、無断で使われないようにするためには、クレジットカードの実物がどこにあるかを探られないようにしましょう。

普段使うクレジットカードは財布の中にいれておけばいいですが、そうでないものは、子どもの手の届かない場所に置いておくのをおすすめします。

端末(アカウント)の課金用のパスワードを設定する

スマホゲームに課金する際は、Google PlayやApp Storeに登録されたアカウントを利用して決済を行うのが通常の流れです。

そのため、子どもも使う可能性があるアカウントについては、課金用のパスワードを設定しておきましょう。

参照:購入時の認証またはパスワードについて – Google Play ヘルプ

参照:App Store や iTunes での購入時のパスワード認証を必須にする – Apple サポート

アカウントにクレジットカードを登録しない

課金用のパスワードを設定するだけでも十分に効果はありますが、より強力な効果を求めるなら、アカウントにクレジットカード情報を登録しないことも1つの手段です。子どもも使うアカウント(Google Playアカウント、Apple ID)に登録されている支払方法の追加・削除・編集方法を見て、あらかじめ設定を済ませておきましょう。

参照:お支払い方法の追加、削除、編集 – Android – Google Play ヘルプ

参照:Apple ID のお支払い方法を変更・追加・削除する – Apple サポート

プリペイドカード、デビットカードを使って課金させる

クレジットカードは、利用限度額の範囲内であれば、何度でも課金ができてしまいます。そのため、無断で使われた場合、請求額が一気に膨れ上がるのです。これを防ぐためには、プリペイドカードやデビットカードを使って課金させるようにしましょう。

プリペイドカードとは

プリペイドカードとは、あらかじめチャージ(残高の積み増し)をした金額の範囲でのみ、支払いに使える決済用のカードの1つです。

近年では「国際ブランドプリペイド」といって、クレジットカードが使える店舗・サービスで、クレジットカードと同じように支払いに使えるものが増えてきています。

出典:かぞくのおさいふ|クレジットカードの三井住友VISAカード

デビットカードとは

デビットカードとは、銀行が発行する決済用カードの1つです。あらかじめ支払元となる銀行口座を設定し、利用できる店舗・サービスでの支払いに使うと、瞬時に利用額が銀行口座から引き落とされます。

なお、現在は「国際ブランドデビット」といって、クレジットカードの加盟店(利用できる店舗・サービス)での支払いに利用できるものが主流になっています。

出典:ミライノ デビット(デビット付キャッシュカード) | 商品・サービス | NEOBANK 住信SBIネット銀行

課金が発生する場合は保護者の承認を必須にする

Androidのスマートフォンでも、iPhoneでも、設定を行うことで、同じ家族でグループを作り、グループ単位で課金の支払の管理をすることができます。もちろん、子ども(未成年者)がスマホゲームへの課金など、有料コンテンツを購入する際は、グループを管理している保護者の承認を必須にするよう、設定することも可能です。

Android端末の場合

まず、支払いを管理したい家族をファミリーメンバーとして設定し、自分が管理するファミリーグループに加えます。

参照:Google でファミリーを管理する – Android – Google Play ヘルプ

その上で、有料・無料を問わず、コンテンツを追加する際に、承認が必要かどうかを設定する仕組みです。

参照:Google Play での購入の承認 – パソコン – Google Play ヘルプ

iPhoneの場合

まず、スマホゲームを使いたい子どもに対し、ファミリー共有を設定しましょう。

参照:ファミリー共有とは – Apple サポート

その上で「子どもにスマホゲームでの課金はさせても良いが、実際に承認するかどうかはその時の状況を見て決める」ということであれば「承認と購入のリクエスト」を設定しましょう。

参照:「承認と購入のリクエスト」でお子様の買い物を承認制にする – Apple サポート

一方「子どもにはスマホゲームでの課金自体させたくない」ということであれば、スクリーンタイムを利用し、課金自体をできなくする方法を使うといいでしょう。

参照:App Store での App 内課金を防ぐ – Apple サポート

FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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