ウサギを飼うのにお金がかかる理由と対策を解説

愛くるしい姿で癒されると人気のウサギ。最近では家族の一員として迎える人も増えていますが、犬・猫などの比較的ポピュラーなペットと比べると

  • 病気にかかりやすい
  • 対応してくれる動物病院が少ない

など、飼っていく上での注意点が多いのも事実です。また、飼い方次第では毎月かなりの出費を強いられる恐れもあります。

そこで今回の記事では、ウサギと暮らす上で生じるお金の問題とその対策について考えてみましょう。

ウサギの飼育費用はどのくらい?

平均値は年間約9万円

ウサギを飼うと1年間でどのくらい費用がかかるのかというデータを探したところ、ペット保険大手・アニコム損保が行ったアンケートが見つかりました。

このアンケートによれば、ウサギの1年間における平均的な飼育費用は88,410円とのことです。いわゆる「小動物(エキゾチックアニマル)」に分類される他の動物と比べても、かなり高くなっています。

項目 うさぎ フェレット ハムスター ハリネズミ
病気やケガの治療費 16,958円 5,710円 15,767円 3,475円 8,440円
フード・おやつ 37,705円 16,721円 24,515円 7,232円 17,692円
日用品 9,623円 8,437円 8,933円 6,327円 7,414円
光熱費(飼育に伴う追加分) 24,114円 10,647円 20,474円 7,263円 16,381円
合計 88,410円 41,514円 69,690円 24,296円 49,928円

出典:ペットにかける年間支出調査 2019|犬猫だけでなく、エキゾチックアニマルも初調査 | ニュースリリース | ペット保険の加入は「アニコム損害保険株式会社」

こだわり次第ではかなり高くなるケースも

加えて、筆者がウサギを飼っている知人に年間の費用を聞いたところ、先ほどのアンケートの結果よりもかなり高い金額を伝えられ、驚いた記憶があります。

これは、ウサギだけではなく、どんな動物をペットとして飼っていた場合でも変わりませんが、飼い主のこだわりや経済状況によって、ペットにかける費用が上下するのも事実です。

実際にいくらかかっているのか、細かいデータを取ったわけはありませんが「決して安い買い物ではない」ことは頭に留めておいたほうがいいでしょう。

ウサギを飼うのにお金がかかる理由は?

病気にかかりやすい

そもそも、ウサギを飼うのになぜこんなにお金がかかるのかを考えてみましょう。

理由の1つとして考えられるのは、ウサギが病気にかかりやすい動物であるということです。代表的なウサギの病気を表にまとめました。

不正咬合 歯が本来あるべきでない方向に伸びてしまい、口腔内を傷つける病気。
毛球症 毛づくろいの時に飲み込んだ毛が糞と一緒に排泄されずに、胃腸に溜まってしまうことで、胃腸の働きが低下する病気。
尿路結石症 カルシウムやタンパク質の過剰摂取、水分不足などにより、尿路に結石ができる病気。
スナッフル パスツレラ菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌などが鼻腔内に感染することで、上部気道に炎症が起きる病気。
斜頸 エンセファリトゾーンという原虫の寄生などにより、脳に炎症が起こって平衡感覚がなくなる病気。
子宮がん 避妊手術を受けることで予防ができる。
皮膚病 ノミやダニなどの寄生により、フケや脱毛を起こす。
骨折 ケージの金網に足を引っかけたり、高いところから飛び降りたりした場合に骨折しがち。ギプスで固定するなどの治療を行う。
熱中症 異常な呼吸・よだれ、けいれんなどを引き起こす。室温を18度から24度程度に保つことで予防可能。
これらの病気にかかってしまった場合、相応の知識・技術・経験がある獣医師の治療を受けさせないといけません。病気の程度にもよりますが、かなり高い治療費を払う可能性もあることに、注意しましょう。

餌が比較的高価である

ウサギの餌として代表的なものが、牧草です。ウサギの歯は一生延び続けるため、固いものをよく噛むことで、延び続ける歯をちょうどよく削り続けることができ、口腔内のトラブルの防止にも役立ちます。

そのような事情を考えると、牧草を与えることは理にかなっているのですが、決して安いものではありません。無農薬・無燻蒸など、なるべく体にいいものをとこだわり始めると、さらに金額は跳ね上がるでしょう。

この辺りは飼い主の考え方と経済状況によって上下する部分ですが「草なら、そんなに高くないよね」とたかをくくっていると、後で痛い目にあうかもしれません。

居住環境を整えないといけない

既に触れた通り、ウサギは暑さにとても弱いです。ウサギを飼っている場合、飼育スペースの室温を18度から24度に保たないといけないため、そのための冷暖房にかかる電気代も、飼う上の費用として考えなくてはいけません。

また、ウサギの足の裏には、犬・猫のように肉球が存在せず、代わりに毛がびっしり生えています。その状態でフローリングの上を歩くと滑ってしまい、足腰に負担がかかってケガ・病気になる原因になるので、専用のマットを敷くなどの対策を講じなくてはいけません。そのための費用もかかります。

対応してくれる動物病院が少ない

ほとんどすべての動物病院で犬・猫の診療には対応していますが、ウサギの診療に対応できる動物病院となるとかなり少なくなってしまいます。住んでいる場所によっては、近隣にウサギの診療に対応できる動物病院がなく、車や電車を乗り継いで連れて行かないといけないことも考えられます。

自由診療が基本なので「言い値」になってしまう

日本においては、人間の医療については公的医療保険が存在し、標準報酬も定められています。そのため、公的医療保険が適用されない診療(自由診療)を除いては、どこの医療機関で治療を受けても料金は同じです。

しかし、動物の場合は、独占禁止法により標準報酬を定めることはできないため、動物病院が独自に診療報酬を定める仕組みになっています。つまり、同じ治療を受けたとしても、どこの動物病院で受けたかによって、飼い主が負担する金額は全く違ってくるのです。

犬・猫のように、対応してもらえる動物病院が多ければ、ある程度の診察の質を保ちつつ、比較的安いところを、という探し方もできるでしょう。しかし、ウサギの場合はそれが難しいため、たとえ金額が高かったとしても、他に選択肢がないという理由で支払わざるを得ない事態に追い込まれるのも珍しくありません。

ウサギを飼う上で講じるべき対策は?

対応してくれる動物病院を確保しておく

ここまでの内容を踏まえて、ウサギをペットとして飼う上で講じるべき対策について考えてみましょう。まず考えるべきなのは「自分の家の近くに、ウサギの診療に対応してくれる動物病院があるか」ということです。

ペットショップ経由でウサギを迎える場合は、ペットショップの担当者に、近隣エリアでウサギの診療に対応してくれる動物病院がないか調べてもらうといいでしょう。

ペット保険に加入しておく

ウサギは病気・ケガをしやすい動物です。当然、通院・入院・手術は避けられないものと考え、いざというときの出費に慌てないためにも、ペット保険に入っておくのがおすすめです。

なお、ペット保険への加入を検討している場合は、なるべく早い段階で手続きを進めましょう。

人間の保険と同じで、一定の病気・ケガをしてしまったあとでは

  • ペット保険自体に入れなくなる
  • ペット保険に入られるが、条件を付けられる(部位不担保:特定の病気・ケガの場合は保険金が下りない)

など、条件が不利になる恐れがあります。

ウサギも加入できるペット保険の例

動物病院と同じで、ウサギの加入を受け付けてくれているペット保険は少ないです。ウサギも加入できるペット保険をいくつか紹介しましょう。

アニコム損害保険「どうぶつ健保ふぁみりぃ」

ペット保険最大手のアニコム損害保険のペット保険「どうぶつ健保ふぁみりぃ」は、ウサギも加入することが可能です。また、提携していない動物病院であっても、LINEによる請求も行えるため、手間がかかりません。

通院補償(日額) 70%プラン:最高14,000円・50%プラン:最高10,000円
入院補償(日額) 70%プラン:最高14,000円・50%プラン:最高10,000円
手術補償(1回あたり) 70%プラン:最高140,000円/回・50%プラン:最高100,000円/回
給付金受取方法 病院窓口で精算・LINE請求
保険加入年齢 3歳11ヶ月まで
補償割合 70%、50%

参照:ペット保険「どうぶつ健保ふぁみりぃ」│ペット保険のご契約は【アニコム損保】

SBIプリズム少額短期保険「プリズムコール」

大手金融グループ・SBIグループ傘下の少額短期保険会社が扱うペット保険です。補償限度の枠内であれば、100%補償されるのが大きな特徴となっています。また、年齢が上がっても保険料が変わらない上に、加入可能年齢も満11歳までと比較的長いのが特徴です。

通院補償(日額) グリーンプランⅡ:最高5,000円・オレンジプランⅡ:最高4,000円・ホワイトプランⅡ:保障なし
入院補償(日額) グリーンプランⅡ:最高10,000円・オレンジプランⅡ:最高8,000円・ホワイトプランⅡ:最高10,000円
手術補償(1回あたり) グリーンプランⅡ:最高90,000円・オレンジプランⅡ:最高60,000円・ホワイトプランⅡ:最高150,000円
給付金受取方法 請求書送付
保険加入年齢 満11歳まで
補償割合 100%(ただし、補償限度枠内の場合のみ)

参照:うさぎ等小動物プラン | ペット保険はプリズムコール®︎

アイペット損害保険「うちの子キュート」

ウサギ以外にも、フェレット・ハリネズミ・モモンガ・鳥・爬虫類などかなり広い動物をカバーしているペット保険です。30%プランであれば、補償割合が少ない分、毎月の保険料の支払いをかなり抑えられるので、家計の負担も軽減できます。ただし、申し込み可能年齢が低い点に注意が必要です。

通院補償(日額) 30%プラン:最高9,000円・50%プラン:最高12,000円・70%プラン:最高12,000円
入院補償(日額) 30%プラン:最高9,000円・50%プラン:最高12,000円・70%プラン:最高30,000円
手術補償(1回あたり) 30%プラン:最高40,000円・50%プラン:最高100,000円・70%プラン:最高150,000円
給付金受取方法 病院窓口で精算
保険加入年齢 1歳11ヶ月まで
補償割合 30%、50%、70%

参照:うちの子キュート|数々のNo.1受賞のペット保険【アイペット損保】

FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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