ペット保険の加入条件。基本的な考え方と加入が難しくなる病気の具体例

諸外国においては長い歴史があるものの、日本においてペット保険の販売が本格的に始まったのはつい最近のことです。それにもかかわらず

  • ペットを飼う人自体が増えたこと
  • 新規参入する損保会社、少額短期保険会社が増えてきたこと

も追い風となり、ペット保険に加入する人は年々増え続けています。

しかし、人間の保険と同じで、ペット保険もペット自体の健康状態に問題がある場合は加入できません。病気・ケガの種類、状態によっては加入できることもありますが、やはり健康なうちに加入しておくのがよいでしょう。

今回は、ペット保険の加入条件についての基本的な考え方を押さえつつ、加入が難しくなる病気についても解説します。

ペット保険の加入条件に関する基本的な考え方

健康であるのが原則

詳しくは後述しますが、人間の医療保険、生命保険と同じで、ペットに先天性の病気・障害があったり、過去に重い病気・ケガをしていたりした場合は、ペット保険への加入を断られると考えましょう。保険会社の側から見れば、それだけ保険金・給付金を支払わなくてはいけない可能性が高いためです。

このような背景を考えると「ペット保険は健康なうちに入っておくもの」と思っていた方がよいでしょう。

病気、ケガの状況によっては加入できることも

もちろん、過去にケガや病気をしていたとしても、今は元気で暮らせているなら、ケガや病気の種類にもよりますが、加入できる可能性もあります。

しかし

  • 保険料が割り増しになる可能性がある
  • 特定部位不担保として契約を結ぶ

など、加入にあたって条件が付される場合も多いです。

なお、特定部位不担保とはわかりやすくいうと「体の特定部分の病気が原因で治療を受けた場合には、保険金・給付金が支払われない」という特約のことです。

商品ごとに加入できる年齢が違う

また、ペット保険の特徴として、商品ごとに加入可能年齢が異なることが挙げられます。このあたりは、個々の保険商品の説明書にも書いてあるので、契約する前に熟読するようにしてください。

なお、保護犬・猫を引き取って育てているなどの理由で、自分が飼っているペットの年齢が正確にわからない場合は、一度獣医の診察を受けて、推定年齢がいくつなのかを調べてもらいましょう。ペット保険は年齢によって保険料が異なることが多いため、契約にあたって重要な情報となるためです。

加入できても更新ができないケースも

ペット保険の中には、保険金支払額・回数が多い契約者については、更新時に審査をして、保険引き受け条件の変更や更新の拒否ができる旨の約款を設けているものあります。本来、これらの規定が設けられる趣旨は、悪質な契約者へのけん制です。

しかし、本当に体の丈夫でないペットを飼っていて、結果として保険金支払額・回数が多くなってしまった場合でも、更新時の審査により更新が拒否されてしまう可能性があることに気を付けましょう。

また、保険金支払額・回数が多くても、更新自体はできるものの、更新後の保険料が通常の場合に比べて割高になるケースも考えられます。これからペット保険に加入する場合は、保険金支払額・回数が多かった場合の扱いについても、保険会社に聞いておくとよいでしょう。

いずれにしても不実告知はNG

ペット保険も人間の保険と同じで、健康状態に不安があると加入へのハードルが一気にあがります。保険会社や今の健康状態によって入れる可能性もありますが、基本は「入れない」と考えて動いたほうがよさそうです。

だからといって、過去に病気やケガをしているにも関わらず、それらの事実を告知しないで契約しようとしてはいけません。

保険会社の調査で判明する場合がほとんどである上に、仮にすり抜けたとしても、後になって発覚した場合、詐欺罪として訴追される恐れがあります。

ペット保険に加入が難しくなる病気の具体例

原則として入れない病気

細かい扱いはそれぞれの保険会社によって異なりますが、以下の病気・ケガをしていた場合はペット保険への加入そのものが難しいといわれています。治療に長い期間がかかる上に、病状が急速に悪化しペットが死亡したり、重い障害が残ったりする可能性が高いためです。

  • 悪性腫瘍(がん)
  • 糖尿病
  • 肝硬変
  • 甲状腺疾患
  • 猫伝染性腹膜炎
  • 猫後天性免疫不全症候群(FIV)
  • 猫白血病ウィルス感染症(FeLV)
  • 脳・神経疾患フィラリア感染症
  • 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
  • 副腎皮質機能低下症(アジソン病)
  • 腎不全
  • 心疾患
  • 免疫介在性血小板減少症
  • 免疫介在性溶血性貧血
  • 巨大結腸症
  • 巨大食道症(食道拡張症)
  • 膵外分泌不全
  • 椎間板ヘルニア

条件次第で入れる可能性がある病気

また、急速に死亡・後遺障害が起こる可能性は低いものの、長期間にわたる治療・経過観察が必要な病気にかかっている場合は、ペット保険の加入にあたって条件が付されるものの、加入できる可能性もあります。

やはり、細かい扱いは個々の保険会社によって異なりますが、具体例として考えられる病気・ケガを挙げてみました。

  • 股関節形成不全
  • レッグペルテス(大腿骨頭壊死症)
  • 膝蓋骨脱臼(バテラ)
  • 緑内障
  • 白内障
  • 尿結石
  • 膀胱炎
  • 乾性角結膜炎(ドライアイ)
  • てんかん様発作
  • 痙攣発作
  • アレルギー性皮膚炎
  • アトピー性皮膚炎
  • 慢性外耳炎
  • 胆泥症
  • 胆石症
  • 歯周病

獣医師からもアドバイスを受けよう

結局のところ、ペット保険へ加入できるかどうかは、そのペット1匹1匹の健康状態に応じて個別に判断されることになります。そのため、病気・ケガの種類ごとに契約が可能かどうかの一律な審査基準も公になっていないのが事実です。

ペットが過去に負ったのが、先ほど「条件次第で入れる可能性がある病気・ケガ」として列挙した病気・ケガだったとしても、現在の健康状態が芳しくなければ、審査に通らないことは十分に考えられます。

過去に病気・ケガをしていたり、先天性の病気・障害があったりする場合は、ペット保険の扱いについて、一度獣医師に相談してみるといいでしょう。

ペット保険に入れなかった場合の対策

毎月一定額を積み立てておく

仮に、ペット保険への加入を断られた場合は、ペットの医療費に充てられるよう、毎月一定額を積み立てておくとよいでしょう。

給与受け取りや公共料金の支払いなど、普段の生活で頻繁に使っている銀行口座ではなく、別に積み立て用の銀行口座を作って別個に管理しておくと効果的です。

また、ネット銀行で一般的になっている定額自動入金サービスを使えば、一度設定をするだけであとは自動的に積み立てをしてくれるので、忘れずに続けられます。以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

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早期発見・治療を心がける

ペットと一緒に暮らしていく場合は、ペットの病気・ケガについても早期発見・治療を心がけるようにしましょう。人間の病気・ケガと同じで、放置していてもよくなることはない上に、発見が遅れると行える治療の選択肢がどんどん狭くなっていきます。

かかりつけの獣医師に相談し、定期健診のスケジュールを組んだり、緊急時の対応を決めておいたりなど、「体調は崩すもの」という前提で動くのが効果的です。

ペットだって1つの大切な命である以上、一緒に暮らすことを決めたからには、最後まで責任をもって面倒を見て、天寿を全うさせる義務が人間にはあります。

お金の不安が原因で途中で投げ出すことがないよう、ペットを飼う前には、病気・ケガをした場合の治療費をどのように調達するかも考えた上で、家族の一員として迎えましょう。
FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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