レンタカーとカーシェアの違い。メリット・デメリットを知った上で使い分けを

6時間、12時間などの比較的長時間、車を借りられるサービスのことをレンタカーといいます。レンタカーは日本でも長年サービスを展開してきましたが、近年、1時間程度の短時間でも利用できるカーシェアも車を借りられるサービスとして注目されています。

どちらも「車を借りられる」という点では共通していますが、細かい違いはかなりあるので、上手に使い分けましょう。

レンタカーとカーシェアの違いとは

短時間の利用か長時間の利用か

レンタカーとカーシェアの違いを端的に説明しましょう。

  • レンタカー:いわゆる貸し自動車のこと。自動車を有料で貸し出す事業、もしくは貸し出される自動車そのものを指す。
  • カーシェア:登録を行った会員間で特定の自動車を共同使用するサービス。一般的にレンタカーと比べ、ごく短時間の利用を想定している。

ひとまず、ここでは「レンタカーは長時間の利用、カーシェアは短時間の利用を想定している」とだけ覚えておけば大丈夫です。

利用パターン別に料金例を比較

レンタカー、カーシェアを利用して車を借りて

  • 1時間利用する場合
  • 8時間利用する場合

とで、どれだけ料金が違うのかをみてみましょう。

なお、計算例に用いるサービスは

  • タイムズカーレンタル(C-1クラス、標準補償を利用した場合の料金)
  • タイムズカーシェア(ベーシック、8時間走行した場合の走行距離は300キロメートルとして計算)

の2つを想定します。

参照:タイムズのレンタカー – レンタカーならタイムズカーレンタル

参照:タイムズのカーシェア タイムズカー(旧:タイムズカーシェア)

また

  • レンタカーの場合に必要なガソリン料金
  • カーシェアの月額利用料

は考慮しません。

1時間利用した場合

それぞれの料金は、以下の通りです。

レンタカー  5,390円(6時間までのベース料金のみ)
カーシェア  220円 × 60分 ÷ 15分 = 880円

8時間利用した場合

それぞれの料金は、以下の通りです。

レンタカー 6,600円(12時間までのベース料金のみ)
カーシェア 6,050円(時間料金) + 300キロメートル × 16円 (距離料金)  = 10,850円

レンタカーのメリット・デメリット

メリット

レンタカーのメリットとして

  • 固定費がかからない
  • 車種が豊富
  • 車の清掃が行き届いている
  • 乗り捨てに対応している
  • 長距離を運転しても一律料金で済む
  • 利用時間が長いほど割安

が挙げられます。

固定費がかからない

レンタカーの場合、カーシェアのように月額基本料金はかかりません。

借りる際に、必要な費用を払えば、それ以上は請求されることはありません。

車種が豊富

具体的にどんな車を扱っているのかは、レンタカー会社によっても異なりますが、カーシェアと比べると、車種はかなり豊富です。

例えば、大手レンタカー会社のニッポンレンタカーの場合

  • 軽・乗用車
  • 輸入車(ベンツ、BMWなどの高級車)
  • エコカー
  • ミニバン・ワンボックスワゴン
  • バン・トラック
  • 軽トラック
  • バス
  • 福祉車両
  • キャンピングカー

の貸し出しに対応しています。

出典:車種・料金 | ニッポンレンタカー

「自分の好きな車を選びたい」「友達や家族と出かけるときにゆったり過ごせる車がいい」など、車に対して希望があるなら、レンタカーの方が選択肢が広いでしょう。

車の清掃が行き届いている

レンタカーが返却されると、店舗の担当者が車のクリーニングを行います。ごみ捨て、掃除機・ぞうきん掛などの基本的な掃除はもちろん、抗菌・ウイルス対策も講じているので、衛生面では特に問題がないはずです。

乗り捨てに対応している

個々のレンタカー会社によっても細かい部分の違いはありますが、ほとんどのレンタカー会社がいわゆる乗り捨てに対応しています。

つまり、出発地の営業所でレンタカーを借り、最終目的地の営業所で返却手続きをすることができる、という意味です。

乗り捨てる場合は手数料がかかるケースもありますが、このシステムがあることにより、出発地と最終目的地が同じでない移動も楽にできます。

長距離を運転しても一律料金で済む

一般的に、レンタカーの代金は移動距離ではなく、借りる予定の時間(24時間、48時間など)で決まります。極論すれば、1日の移動距離が10キロでも、300キロでも料金は変わらないということです。

実際は、返却する際にガソリンを満タンにして返さないといけないので、ガソリン代はかかりますが、レンタカー代に関しては、長距離を走ったからという理由で追加料金が課されることはありません。

利用時間が長いほど割安

レンタカーの場合、利用時間が長ければ長いほど、1時間当たりの利用料金は割安になります。タイムズレンタカー(C-1クラスのベース料金)を例にとって見てみましょう。

6時間まで 5,390円(898円 / 1時間)
12時間まで 6,600円(550円 / 1時間)
24時間まで 7,700円(320円 / 1時間)

デメリット

一方、デメリットとしては

  • レンタカー店に車を取りに行く必要がある
  • 手続きに時間がかかることも
  • 返却時はガソリンを入れなくてはいけない
  • オプションに加入する必要がある
  • 直前のキャンセルは費用がかかる
  • 利用時間が短いと割高

が挙げられます。

レンタカー店に車を取りに行く必要がある

レンタカーの場合、営業所での手続きと車の引き渡しが必須になります。自宅やその前の目的地から、営業所が遠かった場合、移動が面倒臭いかもしれません。

手続きに時間がかかることも

夏・冬・春休みなどのハイシーズンは、レンタカーを使いたい人がたくさんいます。営業所によっては、少ないスタッフで利用希望者の対応をしなくてはいけないため、手続きが完了するまでに時間がかかるかもしれません。

「待たされるのは苦手」という人は、事前にオンラインでできる手続きは済ませた上で、営業所に向かいましょう。

返却時はガソリンを入れなくてはいけない

レンタカーの場合、車を返却する際にはガソリンを満タンにしないといけません。

ガソリンスタンドに立ち寄る時間がなかった場合でも返却自体はできますが、その際は「給油代行手数料」として追加料金の請求があるので、気を付けましょう。

オプションに加入する必要がある

細かい扱いはレンタカー会社によっても異なりますが

  • 対物補償を付けたい
  • 人身傷害補償の限度額を上げたい
  • ロードサービスを受けたい
  • 時間通りに返却できない場合の手数料を抑えたい

など、補償を充実させたい場合は、オプションに加入しなくてはいけません。加入のパターンですが

  • 「安心コース」など基本料金が割増になるコースを選択する
  • 必要な補償を選び追加料金を払う

などが考えられます。

直前のキャンセルは費用がかかる

これもレンタカー会社によって異なりますが、借りる予定の日が近づいているにも関わらずキャンセルした場合、手数料がかかるケースもあります。

例えば、ニッポンレンタカーの場合、出発日までの期間に応じて、かかる手数料(上限は6,000円)が上がっていく仕組みです。

出発日の7日前まで 無料
出発日の6日前 ~ 3日前まで 基本料金の20%
出発日の2日前 ~ 前日 基本料金の30%
出発日の当日 基本料金の50%

利用時間が短いと割高

既に触れた通り、レンタカーの料金は利用時間に応じて定められています。しかも、利用する時間が長ければ長いほど、1時間あたりの利用料金が安くなる仕組みです。裏を返せば、利用時間が短いと割高になります。

レンタカーを使うべき人は?

ここまでの内容を踏まえて、レンタカーを使うべき人について考えてみましょう。

旅行で利用する予定がある

レンタカーの強みとして、乗り捨てできることが挙げられます。出発地の営業所まで引き返して返却する必要がないため、移動ルートも自由に組みやすいです。

旅行など「好きな場所を気ままにめぐりたい」という場合は、レンタカーの方がいいでしょう。

最低でも6時間は乗るつもりである

会社によっても多少の差はありますが、レンタカーの料金は時間ごとのパッケージ料金になっていることが多いです。

6時間からパッケージが設けられていることを考えると、最低でも6時間は車に乗る予定がある場合に使う方がいいでしょう。

自分好みの清潔な車に乗りたい

車が好きな人なら、たまには乗ったことがない車に乗ってみたいと思うかもしれません。

レンタカーの場合、高級車やキャンピングカーなど、あまりなじみがない車も選べます。また、どんな車を選んだとしても、綺麗に清掃されているので、乗っていて不快になることもないはずです。

カーシェアのメリット・デメリット

メリット

カーシェアのメリットとして

  • 店舗に行く必要がない
  • 店頭での手続きも必要がない
  • オプションを契約する必要もない
  • 返却時にガソリンを入れなくていい
  • 直前キャンセルでも費用がかからない
  • 短時間での利用であれば割安

が挙げられます。

店舗に行く必要がない

カーシェアの場合、会員登録を済ませると、会員専用のWebページにログインするためのID、パスワードが交付されます。それらを使って予約をするので、レンタカーのように営業所にいく必要はありません。

店頭での手続きも必要がない

当然、営業所に行くこともないので、手続きも必要ありません。

事前にWebページで予約を済ませたら、予約時に指定したステーション(置き場所)に行き、車に乗ればいいだけです。

オプションを契約する必要もない

通常、カーシェアの料金には対人補償・対物補償・車両補償・人身傷害補償を想定した補償制度に基づく保険料が含まれています。

つまり、レンタカーのように、補償を受けるために追加で料金を払う必要はありません。

返却時にガソリンを入れなくていい

カーシェアの場合、レンタカーのようにガソリンを満タンにして返す義務はありません。もちろん、満タンにしなかったからといって、追加料金が請求されることもありません。

会社によっては、ガソリンを満タンにしたり、洗車をしたりして返却すると、利用料金から一定額を割り引いてくれるサービスを設けているところもあります。

直前キャンセルでも費用がかからない

カーシェアの場合、多くの会社でキャンセル期限を「利用開始時刻の1分前」など、直前を想定して設けています。レンタカーのように、実際に利用する日まで1週間を切ったらキャンセル料がかかる、ということはありません。

短時間での利用であれば割安

カーシェアの場合、15分単位で利用料金が課金される仕組みであることが多いです。

短時間の利用であっても、レンタカーのように長時間を想定したパッケージ料金を支払う必要はありません。

デメリット

一方、デメリットとしては

  • 会員登録をして月額利用料を払う必要がある
  • 車種の選択肢は少ない
  • 利用時間が長くなると距離料金が発生する
  • 乗り捨てはできない
  • 車両の清掃、除菌は行っていない

が挙げられます。

会員登録をして月額利用料を払う必要がある

カーシェアは一応、会員制のサービスです。利用にあたっては、事前に会員登録を行い、毎月基本利用料を支払う必要があります。

大手サービスのタイムズカーシェアの場合は880円と、そこまで高額なものではありませんが、月に1回も使わなくても会員である限りは支払わなくてはいけません。

車種の選択肢は少ない

レンタカーと比べると、カーシェアで借りられる車種の選択肢は狭いです。取扱いがある車種であっても、自分が利用しようとしているステーションで借りられない場合もあります。

利用時間が長くなると距離料金が発生する

多くのカーシェアで採用されている料金システムの1つに「距離料金」が挙げられます。

これは「一定の時間以上利用すると、出発時からの累計走行距離に応じ、別途料金が追加される」ことです。

つまり、利用時間が長くなればなるほど、最終的に支払う利用料金は高くなります。所定の時間内であれば、どれだけ走っても追加料金がかからないレンタカーとは対照的です。

乗り捨てはできない

レンタカーとは違い、カーシェアの場合、原則として乗り捨てはできません。街の中心から空港に向かう場合など、特定の条件での移動に限っては乗り捨てが可能なケースもありますが、「借りた場所で返す」が基本と考えましょう。

車両の清掃、除菌は行っていない

カーシェアはレンタカーと違い、返却されるごとに清掃を行っているわけではありません。スタッフが定期巡回をし、清掃およびメンテナンスを行いますが、期間は大体10日に1回程度です。

車内に清掃キットを用意し、利用者にも清潔に使うよう求めていますが、運が悪いと清掃されていない状態の車に当たってしまうことも考えられるでしょう。神経質な人にはあまりおすすめできません。

カーシェアを使うべき人は?

ここまでの内容を踏まえ、カーシェアを使うべき人について考えてみましょう。

あくまで短時間の利用である

1時間か2時間程度、ちょっと車を使いたいという場合は、レンタカーよりもカーシェアの方が安上がりです。

1カ月当たりの利用回数が多い

カーシェアの場合、数百円程度ではあるものの、会員としての月額利用料がかかります。

1カ月あたりの利用回数が多い方が、元は取りやすいです。

車種にこだわりはない

カーシェアの場合、借りられるのは結局のところ、「自分が利用するステーションで受け取れる車」になります。自分の好みの車があるとは限りません。

「まずは走ればいい」と割り切れるなら、カーシェアでも問題ありません。
FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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