海外起業を目指すなら必見。メリット・デメリットを徹底解説

2020年に入り、新型コロナウイルス感染症が世界規模で流行したことで、日本と海外との行き来は難しくなりました。しかし、それ以前の比較的自由に行き来できていた時期は、日本から海外へ渡り、起業をする人は決して珍しくなかったのも事実です。今回は、この事態が収束したころをめどに、海外での起業を目指す人のために、海外起業のメリット・デメリットについて詳しく解説しましょう。

海外起業のメリット

日本と比べ競合が少ない

日本は、世界水準で見ても様々な形態のビジネスが展開されている珍しい国の1つです。そのため、これから起業をしようとしても、よほど独自性があり、しかも質が高いものでないと、競合を追い抜いて成果を出すことは難しいでしょう。しかし、世界水準で見れば、まだまだ発展途上であり、社会的に求められるビジネスが不足している国はたくさんあります。そのような国でなら、競合する事業者も少ないはずです。

日本水準の商品・サービスを提供すれば顧客を獲得できる

筆者が昔、海外のとある国に行ったときに、非常に驚いたことがあります。

洋服でも見ようかな、と街中のブティックに入り、スカートやTシャツを物色したのですが、縫い目が雑だったり、生地がペラペラだったりで、とても買う気にはなりませんでした。思わず「これ、日本で店に並べたら絶対怒られるよね!」と同行者に話したくらいです。

私のエピソードからもわかるように、世界でも日本企業が手掛ける商品・サービスの質は非常に高く評価されています。

もし、あなたが海外で起業し、日本で暮らしてきた人だからこその感性と勤勉さで、日本水準の商品・サービスを現地の人が利用できる金額で提供できれば、勝ち目はあるはずです。

国によっては生活コストがかなり安い

金融・経済用語の1つに「ビックマック指数(The Big Mac index、以下BMIと略す)」があります。

これは、世界的に有名なハンバーガーチェーン・マクドナルドの主力商品、ビックマックの単価を比較して計算した購買力平価を指す指数のことです。アメリカのビックマックの価格を基準とし、どれだけ高いか・安いかを指数で表しています。

世界中のいろいろな場所で売っていて、比較的品質が似通っているものを比べているため、その国の平均的な物価の目安を表していると考えていいでしょう。

なお、ビックマック指数は、イギリスの有名な経済紙「The Economist(ジ・エコノミスト)」が算定し、毎年発表しています。2021年1月に発表されたデータを用いて、日本と世界のビックマック指数を比べてみましょう。なお、レートは1米ドル = 約105円として計算しています。

出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング | 外国為替相場 |2021年1月12日の為替相場

まず、日本の場合はこのようになっています。なお、順位は集計56か国・地域中のものです。

順位 国名 価格(米ドル) 価格(日本円) BMI
25 日本 3.74米ドル 392.7 円 28.81

出典:The Big Mac index | The Economist

実際、2021年4月時点でのビックマックの日本国内での価格は390円(税込)なので、実態と大きくかけ離れてはいません。

出典:ビッグマック® | メニュー情報 | McDonalds Japan

次に、高い国上位5つをまとめました。

順位 国名 価格(米ドル) 価格(日本円) BMI
1 スイス 7.29 米ドル 765.45 円 28.81
2 スウェーデン 6.37 米ドル 668.85 円 12.63
3 ノルウェー 6.09 米ドル 639.45 円 7.53
4 アメリカ 5.66 米ドル 594.3 円 0
5 イスラエル 5.35 米ドル 561.75 円 -5.52

一方、低い国5つは以下の通りです。

順位 国名 価格(米ドル) 価格(日本円) BMI
56 レバノン 1.77 米ドル 185.85 円 -68.7
55 ロシア 1.81米ドル 190.05 円 -68.04
54 トルコ 2.01 米ドル 211.05 円 -64.55
53 南アフリカ 2.16米ドル 226.80 円 -61.87
52 ウクライナ 2.20 米ドル 231.00 円 -61.07

また、日本人の移住・海外起業先として選ばれる国についてもまとめました。

順位 国名 価格(米ドル) 価格(日本円) BMI
39 フィリピン 2.95 米ドル 309.75 円 -47.83
41 ベトナム 2.86 米ドル 300.30 円 -49.44
45 香港 2.64 米ドル 277.20 円 -53.3
47 台湾 2.57 米ドル 269.85 円 -54.54
49 マレーシア 2.47 米ドル 259.35 円 -56.44
50 インドネシア 2.41 米ドル 253.05 円 -57.47

日本よりビックマック指数が安い国は、1カ月の生活にかかるコストも安いことが考えられます。

起業したては収入もないので、日本にいる間に貯めた生活資金を切り崩して暮らす羽目になるはずですが、東南アジアなどのように、日本より生活コストが安い国で暮らせば、無収入で持ちこたえられる期間は伸ばせるはずです。

生活コストも安いので初期投資が抑えられる

また、生活コストの安さは、必要な初期投資にも跳ね返ってきます。例えば、オフィス1つ借りるのだって、毎月の賃料は日本とはくらべものにならないくらい安く済むことだってあるはずです。毎日の出費を削るより、固定費を削減したほうが節約効果が高いことを考えると、国さえ選べば、この点は大きなメリットになるでしょう。

海外起業のデメリット

現地の法律・規制を熟知しないといけない

一方、海外起業にはデメリットもたくさんあります。大抵の人にとって大きなネックになるのが「日本とは法律・規制が全く違う」ことでしょう。

その国でビジネスを営むからには、その国の法律・規制の枠内で経済活動を行わなくてはいけません。日本では法律・規制の観点から何ら問題はなかったとしても、現地の法律・規制に照らし合わせた場合、問題があることだって考えられます。状況次第では逮捕されたり、国外退去処分が下されたりなど、到底ビジネスを営むどころではなくなることだってありうるのです。

海外で起業を考える場合、まずはその国の法律・規制・商慣習に詳しい専門家(外国法弁護士など)に相談し、慎重に準備をしましょう。

不誠実な現地人、役人とのトラブルも起こりうる

日本では到底考えられないことですが、国によっては

  • 街中で物乞いに付きまとわれ、お金をむしり取られる
  • タクシーに乗ったらわざと遠回りをし、法外な料金を請求される
  • 警察官、官公庁の職員など、いわゆる役人が賄賂を要求してくる

など、不誠実な現地人、役人とのトラブルが頻発するのは珍しくありません。

このようなトラブルに冷静に対応し、後で「前、こんなことがあってさー、参ったよー」など、明るく笑い飛ばせる人ならあまり気にすることもないでしょう。しかし、それができず、気に病んでしまいそうな人には、海外起業は全くおすすめできません。

商品・サービスはある程度現地の実情に合わせる必要がある

「郷に入っては郷に従え」という言葉があるように、現地の人とうまくやっていくには、自分から現地の人の価値観や考え方、慣習を理解し、歩み寄っていく必要があります。ビジネスも同じです。どんなに優れた商品やサービスを生み出し、販売するノウハウがあったとしても、それが現地の実情と乖離していたのでは、到底受け入れられません。

現地の人をブレーンに迎えいれたり、コンサルティングを受けたりなど、ある程度現地の実情に合わせる努力は必須です。

家族の猛反対に遭う恐れが高い

独身で、結婚の予定もないならあまり問題にはなりませんが

  • 独身だが結婚の予定がある(婚約者がいるなど)
  • 結婚していて、配偶者や子どもがいる

場合、海外起業を考えていることそのものが、婚約者や家族間での深刻なトラブルに発展する恐れがあります。

そもそも起業自体が、一定期間収入が無くなるのがつきものです。そして、慣れない海外で生活することになるため「疲れる上にお金も無くなる」という、婚約者や家族にとっては全くもってありがたくない状況が訪れるとなると、反対しない人のほうが少数派でしょう。

話し合いを慎重に進め、理解をしてもらうか、理解をしてもらえない場合は一度計画を中止するなど、しかるべき対応を取らないと、婚約破棄・離婚など最悪の事態に発展することもある点には注意してください。

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社会的インフラが整備されていない場合もある

日本では

  • スイッチを入れれば電気が使える
  • 蛇口をひねれば水が出る
  • スーパーやコンビニでいつでも品質が良い食品が購入できる
  • 荷物を送れば指定した日付の通りに届くのがほとんど
  • 電車などの公共交通機関が大幅に遅れるのは、事故や災害が起きた場合を除いてはあまりない

というように、生活を送る上での社会的インフラが極めて高度に整備されています。
しかし、世界的に見て、日本と同程度のレベルまで社会的インフラが整備されている国は、ほとんどありません。

もっと簡単に言うなら、日本よりはるかに不便な国のほうが多いので、その不便さともうまく付き合えないと、海外起業(というより海外での暮らし)には耐えられないでしょう。

急激な政情悪化、想定外の災害が起こることも

日本も例にはもれませんが、海外でも地域によっては、急激な政情悪化や想定外の災害が起きることが考えられます。最近の例だと、ミャンマーでの大規模な民主化デモを考えるとわかりやすいでしょう。

日本の企業に所属していて、現地の駐在員という形で海外勤務をしているなら、情勢が悪化し、国外への退避が適当と判断された場合、会社が日本への一時帰国の手配をしてくれます。

しかし、海外で起業している場合は、最終的には現地の日本大使館・領事館を頼ることになりますが、まずは自分で何とかしなくてはいけません。「トラブルがあっても、基本的に自分で何とかしなくてはいけない」ことは、頭に留めておきましょう。
FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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