夫が転職したいと言い出した時の妻の正しい対応法。ポイントは「いつ何をするか」を決めること

世の中のほとんどの妻は、自分の夫が転職したいと言い出したら「え?」と思うはずです。

ちなみに、筆者の夫は新卒で入社した会社にずっと勤めています。そして、本人の性格(環境が変わるのがとにかく苦手)上「転職したい」と言い出す可能性は極めて低いと思っていますが、いつどこで何が起こるかわからない以上、今後本人がそうやって言い出すことだって考えられるはずです。

いずれにしても「うちの旦那がいきなり転職するなんて言い出したら、どうなっちゃんだろう」と思う世の中の奥様(妻)は一定数いるでしょう。そこで今回は「夫が転職したいと言い出した時の妻の正しい対応法」について考えてみたいと思います。

【ステップ1】夫の話をしっかり聞く

「まあいずれは」程度か「今すぐにでも絶対に」なのかを確認する

いずれにしても、夫が転職したいと言い出した時に、真っ先に妻がやるべきことは「夫の話をしっかり聞くこと」です。その時のポイントとして「転職に対する本気度」を見極めることが挙げられます。簡単に言うと

  • 良い条件の求人があればタイミングを見て転職するなど「まあいずれは」程度なのか
  • 「今すぐにでも今の会社を離れたい」などかなり緊急性が高いのか

をはっきりさせると考えましょう。

「まあいずれは」程度であれば

  • まずは会社の人と話し合い、待遇の改善や配置転換でどうにかできないか考えてもらう
  • 「子どもが小学校に上がってから」などある程度落ち着いた段階での転職を前提にしてもらう

など、交渉の余地があるはずです。

しかし「今すぐにでも今の会社を離れたい」というニュアンスだった場合は、注意しましょう。詳しくは後述しますが、そこまで言うということは、よほどの理由があるはずだからです。

転職を考えるに至った理由を聞く

転職を考えるタイミングについて聞きだしたら、次は「転職を考えるに至った理由」についても聞きましょう。一口に転職を考えると言っても

  • 将来家族の介護が生じることを考え、できれば郷里に戻って働きたい
  • 難関資格に合格したので、その資格を活かした仕事をしたい
  • 実は職場でセクハラ・パワハラに遭っている
  • 残業や休日出勤が多く、体力的に辛い

など、様々な理由が考えられます。

「実は職場でセクハラ・パワハラに遭っている」「残業や休日出勤が多く、体力的に辛い」などの理由で転職を考えている場合は、可能な限り迅速に対処しましょう。

放置しておくと本人が病気になってしまったり、自ら命を絶ってしまったりする可能性もあるためです。

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一方で「将来家族の介護が生じることを考え、できれば郷里に戻って働きたい」「難関資格に合格したので、その資格を活かした仕事をしたい」はさほど緊急性の高くない理由です。

「良い話があってからでも構わないかもよ?」「会社内で部署移動してもらえないかとか、転勤扱いにしてもらえないかとか聞いてみたら?」など、まずは今の会社に在職することを前提として、話を進めても良いでしょう。

頭ごなしに「転職なんて無理でしょ」とは否定しない

転職をするタイミング、理由は様々ですが、夫が転職をしたいと言い出したときに最もやってはいけない対応は「あんたに転職なんて無理でしょ」と頭ごなしに否定し、一切話を聞かないことです。

先ほども触れたように、転職を言い出すということは、本人なりに相応の理由があるということです。自分と家族の人生を左右するかもしれない大事な話をしようとしているのに、頭ごなしに否定されてはたまったものではありません。

何かを言いたくなる気持ちはわかりますが、ぐっと抑えてまずは「聞く」ことに徹しましょう。

【ステップ2】転職先について一緒にリサーチする

Web検索は必須

ここから先は「可能な限り早く転職する」「良い転職先が見つかりそうなら考える」という方向性で動く場合を前提に話を進めます。

まず、転職先についてのリサーチですが、Web検索は必須です。転職先として考えている会社のホームページや転職サイトへの掲載情報を見て「どんな会社なのか」「何を手掛けているのか」など、基本的な情報は実際に転職をする夫だけではなく、妻も理解しておきましょう。

会社四季報や業界地図も参考に

また、余力があれば東洋経済新報社が出版している会社四季報や日本経済新聞社・東洋経済新報社が出版している「業界地図」も見てみると良いかもしれません。

会社四季報とは、企業の特色や注目材料、業績、財務内 容、株価の動きをコンパクトにまとめた季刊雑誌(3、6、9、12月刊)です。原則として株式を自由に売買できる証券取引所に上場している全企業が掲載対象になっています。

また、業界地図とは、業界ごとに業界の動向や主要企業の業績、関係性などが視覚的に分かりやすく掲載されているものです。

ブログやSNSも参考に

また、案外侮れないのがブログやSNS(Twitter、Facebook、Instagramなど)で発信されている情報です。真偽のほどは確かではありませんが、実際に働いている人の生の声がみられるので、1つの検討材料にはなるはずです。

ただし、あまりにネガティブなことばかり書かれている場合は、警戒した方がよいかもしれません。

根拠のない誹謗中傷であることも考えられますが、「火のないところに煙は立たない」という言葉もあるように、根拠になるトラブルがあった上で書かれていることだって考えられるからです。

実際に働いている人がいれば話を聞いてみよう

ある意味最も確かな情報源が「実際に働いている人から話を聞くこと」です。

もし、学生時代の先輩・後輩などの知人や友人、親族など「フランクに話ができる立場の人」が転職を検討している会社で働いているなら「実際どうなの?」と話を聞いてみると良いでしょう。

守秘義務のこともあるため、あまり突っ込んだ話を聞くのは難しいかもしれませんが「こんな雰囲気の会社なのか」くらいはわかるはずです。

【ステップ3】家計に及ぼす影響を考える

転職で年収が上がる人は少数派

そもそも、なぜ夫が転職をするというと、妻が慌てるのかを考えてみましょう。理由の1つとして考えられるのは「転職をすることで給料が下がる可能性があるから」です。

厚生労働省が毎年行っている雇用動向調査結果からも、その事実は読み取れます。令和元(2019)年1年間に転職した人について「転職して給料が上がったか下がったか」を調べたところ、上がった人は全体の34.2%に過ぎなかったそうです。

出典:厚生労働省「2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概要」

もちろん、年齢や業種、それまでの経歴や保有によっても全く事情が異なるので「転職=給料が下がる」とは限りません。しかし「状況次第ではこれまでと同じ生活はできないかも」と思っていた方が無難でしょう。

異業種への転職はさらに注意が必要

例え社会人経験がそれなりに長くても、全くの異業種へ転職する場合は(その業種の仕事をするという意味において)未経験者として扱われます。そのため、提示される給料が前職に比べてかなり下がることは覚悟した方が良さそうです。

20代~30代前半であれば、まだ「伸びしろ」があるということ自分の努力次第で給料を上げてもらえる可能性は高いですが、30代後半以降だとかなり難しいでしょう。

「どうしてもこういうことがしたい、チャレンジしたい」という強力な動機がない限りは、転職しても続かないので考え直した方が無難です。

年収が上がる転職の場合は本人に相当な覚悟が必要

一方、転職で年収が一気に上がるケースもあります。具体例として考えられるのは

  • 新規事業の責任者として採用される
  • 「部長級」「課長級」など役職付きの待遇であることを前提に採用される

などです。任される仕事の範囲も広いし、裁量権も大きくなる以上、給料が上がるのは当然でしょう。

しかし、その分高い成果を出さないといけないので、本人にもそれなりの覚悟が必要になります。

状況次第では妻が働くことも考えるべき

転職して給料が上がるか下がるかは

  • どういう業界で働いている、働いていくのか
  • どういう条件で採用されるのか
  • これまでやってきた仕事とどれだけ関連するのか

によっても異なります。

また「年収が大幅アップする」ことが前提で採用されたとしても、思ったほどの成果が出せなければ、かえって転職するよりも給料が下がってしまう可能性はゼロではありません。

妻が現状専業主婦である場合は、転職後の状況次第でアルバイト・パートを始めるか、正社員・派遣社員として働くかなど、身の振り方を考える必要もあります。

【ステップ4】転職前にできることは済ませておく

住宅ローンを組むなら転職前がベスト

最後に「転職前にしておいた方が良いこと」についても触れておきましょう。

もし、家を買おうと思っているなら、転職活動を始める前に物件探しと住宅ローンの審査は完了させた方が無難です。

住宅ローンを組もうとする場合、無職の状態ではまず審査に通りません。また、転職したとしても「安定継続した収入が見込める」と判断してもらうには、転職日から1年程度経過してから申し込んだ方が良いでしょう。

クレジットカードは転職後半年は見送りを

同様に気を付けた方が良いのが、クレジットカードです。

住宅ローンほど厳しくはありませんが、やはり「お金の貸し借り」を前提とする取引(信用取引)である以上「安定継続した収入が見込める」ことが審査において厳しくチェックされます。

目安としては、転職日から半年ほど経過してから申し込んだ方が良いでしょう。逆に、早めに手に入れておきたい事情があるなら、前の会社の退職日より前に申し込む方のをおすすめします。

FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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