昨今は、新型コロナウイルス感染症の影響で、日本企業および日本に拠点を擁する外資系企業も、従業員の海外赴任はしばらく見送りする傾向にあります。しかし、ある程度収束の兆しが見えてきたら、従業員を海外赴任させる企業も増えてくるはずです。
逆に、海外に赴任していた従業員が日本に戻ってくることも考えられます。そして、そのような従業員が「海外から戻ってきたし、しばらく赴任する予定もなさそうだから、家を買うか」と思うことだってあるはずです。
そこで今回は
というシチュエーションを想定し、事前の準備や必要な書類など、具体的な手続きについて考えてみましょう。
目次
海外赴任中の人が帰国を機に家を買うことは可能?
一定の条件を満たせば可能
結論から言うと、海外赴任中の人が帰国を機に家を買うこと自体は十分可能です。しかし、住宅ローンを組めるか、という点では「日本に帰国する予定」をどのように解釈するかで回答が異なります。
日本に本社がある日本企業に勤務している
まず、日本国内に本社を有する日本企業に勤務していたり、中央省庁から人事交流で海外の公的機関に赴任していたりする場合は「日本帰国後も、同じ勤務先に所属して働き続ける」こ可能性が極めて高いため、住宅ローンにも問題なく申し込めます。
外資系企業の日本法人に勤務している
また、もともと外資系企業の日本法人に勤務していた人が、外国にある本社もしくは同じグループに属する在外邦人に勤務していて、帰国後は元いた日本法人に戻る場合も「日本帰国後の収入源のめどが立っている」という意味で、ほぼ問題なく住宅ローンに申し込みができるでしょう。
正式な帰任・帰国予定がない場合は難しい
一方
- 会社から正式な帰任命令はおろか、内示命令も出ていない(どちらかといえば、転籍出向に近い)
- 実は海外で起業し、現地に家もあるが、日本に戻った時の滞在場所として家を買っておきたい
場合は、住宅ローンを組んで日本国内に家を購入するのは極めて難しいでしょう。
そもそも、住宅ローンは「日本国内に家を購入して生活する人」を想定した商品です。
もちろん、現金一括払いで物件を購入する場合はこの限りではありません。
フラット35も利用可能
また、金融機関が独自に展開する住宅ローンではなく、住宅金融支援機構と提携して提供する「フラット35」であっても、帰国予定であれば海外赴任が続いているうちから申し込むことが可能です。
ただし、この場合は金融機関に「フラット35を使いたい」と明言し、手続を進めてもらいましょう。
海外赴任中の人が住宅ローンを組む際の6つの注意点
勤務先から帰任の内示、辞令が出た時点から動き出す
結局のところ、海外赴任中の人であっても、近いうちに日本に帰国する予定があるなら、日本国内で家を購入することを前提として住宅ローンを組むことができます。
近隣に日本の銀行の現地支店があれば相談してみる
赴任している地域によっては、日本の銀行の現地支店・出張所・駐在員事務所・現地法人があることもあります。
いわゆる「3大メガバンク」やそれに準ずる規模の銀行はもちろん、地方銀行であっても海外拠点を構えているのは珍しくありません。
参照:海外ネットワーク | 店舗・ATMのご案内 | 静岡銀行
必要書類をチェックし漏れなくそろえる
日本に住んでいる = 日本国内に住民票がある人が、住宅ローンを申し込む際には、一般的に次の書類を用意するよう金融機関から求められます。
- 住民票
- 印鑑証明
- 運転免許証
- 保険証(社会保険・国民健康保険)
- 課税証明
- 源泉徴収票
ただし、これらはあくまで「日本に住んでいることを前提にして発行されるもの」であるため、海外赴任中には揃えられないのも事実です。そのため、代わりになる書類として
- 大使館や領事館が発行する在留証明書
- サイン証明書
- 就労証明書
- 所得を証明する書類、パスポート等
- 日本への帰任の旨が書かれた辞令書
などが必要となります。
可能な限り頭金は多めに用意しておく
住宅ローンの審査においては「ここ数年の年収」よりも「貸した後、安定継続して毎月の返済をしてくれるか」が重視されます。
住んでいるのも、働いているのも日本国内、という人であれば、住宅ローンを提供している金融機関の担当者も、事情が分かるので審査がしやすいでしょう。もし、何か不明な点があったとしても、電話やメールですぐに連絡が取れるので、適宜質問しながら進めれば良いだけのことです。
- 時差の関係もあり、すぐに連絡を取るのが難しいこともある
- 審査時に提出する書類のフォーマットが、日本国内に住んでいる人の場合と全く違うので、審査に時間がかかる
という特殊な事情があるためです。審査落ちを避けるという意味では
- できる限り頭金は多めにする
- 諸経費は現金で一括払いをする
- 年収における住宅ローンの支払額(返済負担率)をできるだけ低くする(理想は20%台)
など「自分には十分な支払能力がある」ことをアピールするように動きましょう。
日本国内の緊急連絡先になってくれる人を探しておく
また、金融機関の担当者にとって一番避けたいのは「住宅ローンの審査を申し込んできた人と連絡がつかなくなること」です。
仮に、何度も連絡をもらっていたにも関わらず、メールの返信も、電話での折り返し連絡もしなかった場合は「この人には連絡しても無駄」と思われて、審査に落とされてしまう可能性だって出てくるのです。収入・支払能力の面で全く問題がなかったとしても、連絡不行き届きが原因で審査に通らないのはあまりにもったいないでしょう。
会社にも「帰国したら家を買う予定です」と話しておく
日本国内に住んでいるかいないかに関わらず、住宅ローンを組もうとする場合は、金融機関から勤務先への在籍確認ということで、電話がかかってくることがあります。
コメント