従来、国税(法人税、所得税など国に納める税金)は、金融機関口座からの振替納税や税務署窓口への持参など、現金を前提とした方法しか認められていませんでした。
しかし、2017年1月からは、専用サイトを利用したクレジットカード払いでの納付も認められています。また、地方自治体レベルでも、地方税(住民税など、都道府県や市区町村に納める税金)のクレジットカード払いに対応している自治体が年々増えてきています。
- 納税できる税金の種類
- 納付する方法
- メリット
- 注意点
について解説しましょう。
クレジットカードで納税できる税金は?
国税の場合
2021年1月現在、以下の税金がクレジットカード払いでの納付に対応しています。2021年1月現在、以下の税金がクレジットカード払いでの納付に対応しています。
- 申告所得税及復興特別所得税
- 消費税及地方消費税
- 法人税
- 法人税(連結納税)
- 地方法人税
- 地方法人税(連結納税)
- 相続税
- 贈与税
- 源泉所得税及復興特別所得税(告知分)
- 源泉所得税(告知分)
- 申告所得税
- 復興特別法人税
- 復興特別法人税(連結納税)
- 消費税
- 酒税
- たばこ税
- たばこ税及たばこ特別税
- 石油税
- 石油石炭税
- 電源開発促進税
- 揮発油税及地方道路税
- 揮発油税及地方揮発油税
- 石油ガス税
- 航空機燃料税
- 登録免許税(告知分)
- 自動車重量税(告知分)
- 印紙税
- 国際観光旅客税
- 国際観光旅客税(告知分)
なお、利用できるクレジットカードの国際ブランドは、以下の5つです。
- Visa
- Mastercard
- JCB
- American Express
- Diners Club
ただし、これらのマークがついているものであったとしても、発行会社や発行国によっては利用できないケースもあるので注意しましょう。
地方税の場合
地方税の場合、どこの地方自治体に対して納税するかで扱いにかなり差があります。ここでは、東京都に納付する場合のケースを想定し解説しましょう。
クレジットカードで納付できる税金は、以下の通りです。
- 自動車税種別割、自動車税
- 固定資産税・都市計画税(23区内のみ)
- 固定資産税(償却資産)(23区内のみ)
- 個人事業税
- 不動産取得税
- その他(法人都民税・法人事業税等)
また、利用できるクレジットカードの国際ブランドは、以下の通りです。
- Visa
- Mastercard
- JCB
- American Express
- Diners Club
Yahoo!公金支払いを採用しているケースも
また、地方自治体によっては、大手インターネット会社のYahoo!ジャパン株式会社が運営する「Yahoo!公金支払い」というサービスを採用しているケースがあります。
例えば、埼玉県さいたま市の場合、同サービスを経由して、以下の税金を支払うことが可能です。
また、利用できるクレジットカードの国際ブランドは、国税や東京都の場合と同じく
- Visa
- Mastercard
- JCB
- American Express
- Diners Club
の5つとなっています。
クレジットカードで納税する方法
国税の場合
国税について、クレジットカードで納税するための具体的な流れを見ていきましょう。
1.国税クレジットカードお支払いサイトにアクセスする
以下のURLにアクセスすると、このような画面が出てきます。
https://kokuzei.noufu.jp/
同ページに記載されている注意事項を確認し「上記の注意事項を確認しました」にチェックを入れ「同意」をクリックしましょう。
2.納付情報を入力する
利用者情報および納付内容を入力する画面に移ります。必要事項を記入し、問題がなければ「次へ」をクリックしましょう。
3.クレジットカード情報を入力する
これまで入力した内容の再表示およびクレジットカード情報の入力画面に切り替わります。
- カード番号
- 有効期限
- 支払方法
- セキュリティコード
- 納付手続き完了メールの送付を希望するアドレス
を入力し、問題がなければ「次へ」をクリックしましょう。
4.内容を確認し、納付する
最後に、改めてこれまで入力した内容を確認する画面が出てきます。再度確認し、内容に問題がなければ「納付」をクリックしましょう。もちろん、間違いがあった場合は「戻る」をクリックし、内容を修正することが可能です。
地方税の場合(独自システムを採用している場合)
地方税の場合、その自治体がどんなシステムを導入しているかによって、流れが異なります。まず、独自システムを採用している東京都の場合を例に、解説しましょう。
1.注意事項を確認する
納税通知書・納付書およびクレジットカードを用意しましょう。そして、トップページに記載の注意事項を確認した上で、「上記注意事項を確認しました。」にチェックし「同意して次へ」ボタンを押します。
2.納付番号・確認番号・納付区分を入力する
納税通知書・納付書に記載されている「納付番号」「確認番号」「納付区分」を入力し、「確認して次へ」ボタンを押しましょう。
3.支払情報を入力する
入力した納付番号・確認番号・納付区分をもとに、登録されている納付情報が表示されます。納付情報が確認し、クレジットカード情報及び、支払手続き完了メールの送付先を入力し、「確認して次へ」ボタンを押します。
4.支払内容の確認
納付情報及び入力頂いた支払情報が表示されるので、確認しましょう。支払内容が確認できたら、「支払を行う」ボタンを押します。正常に処理が終了すれば、支払い完了です。
地方税の場合(Yahoo!公金支払いを採用している場合)
一方、埼玉県さいたま市のように、Yahoo!公金支払いを採用している場合は、以下の流れになります。
https://koukin.yahoo.co.jp/
- パソコン又はスマートフォンで「Yahoo!公金支払い」にアクセスする。
- 納付先となる自治体を検索し、支払う税目を選択する。
- 全ての注意事項を確認し、同意の上で、「手数料・注意事項を確認の上、同意する」にチェックを入れ、「お手続きはこちら」ボタンを押す。
- 「納付番号(12桁)」、「確認番号(6桁)」を入力し、「次へ」ボタンを押す。
- 支払い金額を確認し、支払いに使うクレジットカード情報を入力したら、「次へ」ボタンを押す。
- 確認画面が表示されるので入力内容を確認し、「支払う」ボタンを押せば完了する。
クレジットカードで納税するメリット
銀行やコンビニに行く必要がない
クレジットカードで納税するメリットにはいろいろありますが「家から一歩も出ずに手続きができる」のは大きいはずです。銀行やコンビニ、税務署の窓口に行く必要もないため、平日の日中は忙しいという人でも、期限通りに手続きが済ませられるでしょう。
ポイントが貯まる
また、クレジットカードで納税をした場合、クレジットカードでの支払いによるポイントがもらえることがあります。ポイントやマイルを貯めている人にとっては、またとないチャンスです。
ただし、クレジットカード会社やクレジットカード会社の種類によっては、税金などの公金の支払については、ポイントを付与しないことになっているケースもあります。事前に確認しましょう。
家計管理を一元化できる
家計簿をつけている人なら「毎月、何にお金をいくら使っているのか」をできるだけ正確に把握したいはずです。当然、税金についても「いつ、どんな税金をいくら支払ったか」を把握しておきたいでしょう。
クレジットカードで税金を支払えば、後日、他の利用分と合わせて請求が来る上に、明細も残るので情報を正確に把握できます。他の支出と併せて、家計管理を一元化するのに役立つはずです。
現金が手元になくても納付できる
事業をやっているなどの理由で、自分で納めなくてはいけない税金がそれなりに大きい場合は、税務署に現金を持っていって納付するのは防犯上の面からみても好ましくありません。
また、税金には納付期限がありますが、給料日や売上金の入金のタイミングで、その納付期限通りに払ってしまうと資金繰りに影響が及ぶケースだってあるでしょう。
事実上、分割払いができる
税金は、ごく一部の例外(相続税の分納)を除き、一括払いをするのが基本です。しかし、クレジットカード払いであれば、支払いの際に支払い回数を選ぶことで、事実上分割払いをすることができます。
なお、クレジットカードの種類によっては、一度一括払いを選んだあとでも、支払い回数を変更することが可能です。
クレジットカードで納税する場合の注意点
領収証書は発行されない
一方、クレジットカードで納税する場合ならではの注意点も存在します。最もたるものが、領収証書が発行されないことでしょう。
後日、納付済みの納税証明書は発行してもらえますが、発行可能になるまで3週間ほどかかることにも注意が必要です。
決済手数料がかかる
クレジットカードで納税する場合、納税額に応じて決済手数料がかかります。なお、国税の場合、決済手数料は以下の通りです。
納付税額 | 決済手数料(税抜) |
---|---|
1円~10,000円 | 76円 |
10,001円~20,000円 | 152円 |
20,001円~30,000円 | 228円 |
30,001円~40,000円 | 304円 |
40,001円~50,000円 | 380円 |
※以降、10,000円を超えるごとに決済手数料として76円(税抜)が加算される。
ポイント還元率と手数料のバランスに注意
税金をクレジットカードで払う人の中には、クレジットカードでの支払いにより貯まるポイントがお目当ての人もいるでしょう。
ただし、税金として払う金額によっては、かえって損をする結果になりかねません。
利用する予定のクレジットカードのポイント還元率と手数料のバランスを見極めておくのが大事です。
例えば、以下の条件で税金(国税)を支払った場合、ポイント還元額と手数料を比べてみましょう。
- クレジットカードはポイント還元率1%のものを利用(利用額100円ごとに1ポイント付与。1ポイント = 1円相当)
- 納付額は15,000円
この場合
- ポイント還元額:150円( = 15,000円 × 1%)
- 決済手数料:152円
となり、2円ですが損をしてしまいます。
実際に支払いをする前に、自分が利用するクレジットカードのポイント還元率と、支払額に見合う手数料の金額は確認しましょう。
手続きの取消ができない
クレジットカードでの税金の支払が完了すると、その手続きについて取り消しはできません。もちろん、誤って手続きをした場合、払いすぎた分は税務署からの還付という形で戻ってきます。ただし、時間がかかることに注意が必要です。
自治体によって対応にばらつきがある
地方税の場合、地方自治体によってクレジットカード払いへの対応にはかなりばらつきがあります。ほぼすべての税金がクレジットカード払いでできる自治体や、自動車税など一部の税金については可能である自治体など、導入状況は様々です。
また、クレジットカードでの納付自体を受け付けていない地方自治体も多く存在します。導入しない理由は様々ですが、「予算不足」「システム導入およびメンテナンスに対応できる人材の不在」などが考えられるでしょう。
コメント