海外高校留学に向いている子どもの特徴は?メリット・デメリットから分析

中学卒業後の進路は、何も日本国内の高校に限りません。最終的には本人の希望に基づいて決めるべきですが、海外の高校に進学する子どもも一定数います。しかし、海外の高校は日本の高校とはまったく違う上に、慣れない海外生活をこなしていく度量も必要なので、向き不向きがあるのも事実です。

そこで今回は、海外高校留学のメリット・デメリットから、どんな子どもなら海外高校留学に向いているのかを考えてみましょう。

海外高校留学のメリット・デメリット

メリット

海外高校留学のメリットとして

  • 視野が広がる
  • 行動力が身につく

の2点が挙げられます。

視野が広がる

住み慣れた日本を離れて、海外生活に飛び込むことになるので、今までの生活からは考えられないほど多様な価値観に触れられます。「世の中、いろいろな立場があり、いろいろな考え方をする人がいる」ということが身をもって実感できるので、視野は確実に広がるでしょう。柔軟な考え方もしやすくなるので、その後の人生にも大きなプラスになるはずです。

行動力が身につく

海外高校に進学するのは中学を卒業したばかりの子どもが、家族と離れて海外で一人暮らしを始めるということです。学生寮で集団生活を送ることになるので、厳密には一人暮らしにはなりませんが、自分で考えて、行動していかないといけない点には変わりありません。

日本では成り行きに任せていれば何とかなったことでも、海外では自分から行動しないとどうにもならないことが大半です。自然と行動力も身につくでしょう。

デメリット

一方、海外高校留学のデメリットとしては

  • 途中で辞めたら中卒になる
  • 自主性が求められる
  • 相応の英語力が必要
  • 金銭的な負担は大きい
  • 日本の大学には進学しにくくなる

が考えられます。

途中で辞めたら中卒になる

仮に、海外の高校に留学したとしても、途中でホームシックになったり、体調を崩したりすれば、中退しなくてはいけなくなることは十分に考えられます。仮に中退を余儀なくされた場合、その時点での最終学歴は中卒になってしまうことに注意が必要です。

中卒が悪いわけではありませんが、「学歴不問」と記載されている求人でも、実際は高卒以上の人の応募を想定していることは十分に考えられます。その後の人生の選択肢が狭まってしまう傾向があるのは否めません。

海外高校留学を考えている場合は、最後までつつがなく卒業することを前提にするとともに、万が一途中で断念せざるを得なくなった場合、帰国後はどのように動くかを考えておいたほうがいいでしょう。

自主性が求められる

渡航先の国や進学する高校にもよりますが、日本と比べると、海外の高校はディスカッションやグループワークなど、全員参加型の授業が広く行われています。

そのため、ただ与えられた課題をこなすのではなく、自分で考え、発言する姿勢が求められるため、引っ込み思案の性格の人にはかなり厳しい環境になるかもしれません。

相応の英語力が必要

海外高校に留学すると、授業に参加して発言するのはもちろん、普段の生活でも英語(もしくは他の外国語)を使って生活することになります。最低でも、日常会話は問題なくこなせるだけの英語力・語学力は求められる上に、現地に渡っても常に研鑽を重ねていかないといけません。

語学の勉強に対してアレルギーがある人は、そもそも海外高校への進学は向いていないでしょう。

金銭的な負担は大きい

渡航先の国、進学先の高校によっても異なりますが、海外の高校は日本の高校に比べると、総じて学費が高いです。例えば、日本の立教大学の系属校でもある立教英国学院(高等部)の場合、3年間でこれだけの費用がかかります。なお、1ポンド = 143円として計算しています。

  • 入学金:3,400ポンド = 486,200‬円
  • 施設費:3,510ポンド = 501,930円
  • 学費:26,100ポンド × 3年 = 78,300ポンド = 11,196,900‬円
  • 合計:12,185,030‬円

出典:学費(2020年度) | 英国-イギリス留学生へのキリスト教に基づく全人教育|立教英国学院-Rikkyo School in England

単純計算で1年間に400万円近くかかる計算になります。

家に相当な財力がないと、そもそも海外高校への留学は難しいかもしれません。

日本の大学には進学しにくくなる

近年では、海外の高校を卒業していても、在学中に一定の成績を修めていることや、国際的な大学入学資格(バカロレア、アビトゥア、国際バカロレアなど)を有している場合には、「帰国生入試」などの別口で出願を認める日本の大学も増えています。

しかし

  • 大学自体が帰国生入試を行っていない
  • 大学自体は帰国生入試を行っているが、一部の学部に限られる

場合もあるため、日本の高校から進学する場合に比べると、選択肢が狭いのが実情です。

また、海外高校の卒業生に対して門戸を開いている場合であっても、高校で所定の科目を履修していることを求めていたり、一橋大学のように、海外の高校に行った理由が「保護者の海外勤務等やむを得ない事情によるもの」であることを求めていたりすることがあります。

参照:選抜要項・募集要項 | 一橋大学で学びたい方へ | 一橋大学

慶應義塾大学の系属校である慶應義塾ニューヨーク学院や早稲田大学の系属校である早稲田渋谷シンガポール校など、高校卒業後は帰国して日本の大学に進学することが前提になっている海外の高校もありますが、これは例外中の例外です。

海外の高校に進学する場合は、その後の大学進学も海外で、というのが基本と考えましょう。

海外高校留学に向いている子どもの特徴は?

自分の意見を持っている

ここまでの内容を踏まえて、海外高校留学に向いている子どもの特徴について考えてみましょう。まず、自分の意見を持っていて、しかも自分の言葉で話せることが、海外高校への留学においてはとても大事です。日本での生活は、周囲との協調性が重んじられ、自分の意見を主張しすぎると、周囲と軋轢を起こしてしまいがちです。

しかし、海外では自分の意見を言わないことが、周囲への無関心ととらわれがちで、かえって好まれません。

軋轢を起こすほど激しい自己主張をする必要はありませんが、質問をされたら、その質問に対する答えを自分の言葉で話せることが、最低限向き不向きを決める条件になります。

健康状態には全く問題がない

渡航先の国がどこかにもよりますが、日本と比べると、海外の医療費は総じて高いです。イギリスのように、一時的な滞在であっても、半年以上滞在する予定があるなら、自国の公的な医療保険に加入できる国は少数派です。つまり、病気やケガをしたら、治療費は全て自己負担になるため、海外旅行保険への加入は必須になります。

もちろん、海外旅行保険に入ったからと言って、病気やケガをしていいというものではありません。やはり、病気やケガをしないことが大前提なので、健康状態には全く問題がないことが、海外高校への留学においては非常に大事になります。

家に相応の経済力がある

先述した通り、海外高校への留学は、家を離れて学生寮で暮らす以上、費用が高額になりがちです。また、長期休暇中には帰国したり、逆に家族が渡航して会いにいったりすることが必要になるので、何かとお金がかかります。

まとまった学費はもちろん、渡航費のようなこまごまとした出費もまかなわなくてはいけないので、その出費に耐えられるだけの財力が必要になります。

海外で大学進学、就職を見据えている

一部の例外を除いて、海外高校を卒業した場合は、海外大学に進学したほうが、スムーズに勉強を続けられるでしょう。また、その後の就職も、海外で探したほうが、自分が働きやすい会社に巡り合いやすいはずです。

日本の企業の場合、昔ほどあからさまではないにせよ、大学名が選考において重視される傾向は存在します。面接官が海外の大学の名前を見ても、その価値が全く分からず、なかなか仕事にありつけない可能性もゼロではありません。

海外高校に進学するなら、その後の生活も海外を中心に進めていくと考えた方がいいでしょう。
FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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