パソコンやスマートフォンが普及したことに伴い、昔では考えられなかったようなトラブルも起こるようになりました。サクラサイトによる被害もその1つです。
簡単にいうと、人をだましてお金を巻き上げることを目的にした嘘の設定で作ったWebサイトのことですが、近年はあまりに精巧に作られているため、だまされてしまう人も続出しています。
ある意味、誰にでも起こりうる犯罪になっているからこそ、万が一被害にあった場合の正しい対処法を知っておきましょう。
目次
サクラサイトとは
サクラサイトのパターン
一口にサクラサイトといっても、様々なタイプのものが存在します。代表的な4つのパターンを紹介しておきましょう。
出会い型
異性との出会い、交際をうたい文句にしたものです。実在しそうな異性の名前を名乗り「デートをしたいのでメッセージのやり取りをしましょう」などの文言で、金銭をだまし取ることを目的にしたWebサイトに誘引しようとします。
同情型
「アイドルの〇〇ちゃんが精神的に病んでいるので、あなたの声で励ましてくれませんか?」などと同情を誘い、金銭をだまし取ることを目的にしたWebサイトに誘引しようとします。
利益誘引型
「私は余命いくばくもありません。私の財産3億円を生前に処分したいので、あなたに受け取ってもらえないかと思い、メールしました」など、莫大な財産が手に入ることを匂わせ、金銭をだまし取ることを目的にしたWebサイトに誘引しようとします。
その他
これまで紹介してきたものには当てはまらないタイプのサクラサイトとして「個人情報閲覧料」や「文字化け解除手数料」などの名目で金銭を搾取しようとするものも存在します。
サクラサイト商法の違法性
なお、サクラサイトを使って人から金銭を巻き上げる行為は、立派な犯罪です。有名な判例の1つに、さいたま地裁越谷支部平成23年8月8日判決があります。
この判決の中で、サイト運営会社が利用者の交信相手として架空の人物(サクラ)を使い、多数の人格を使い分けた上で、利用者に多額のポイントを消費させ、結果として多額の利益を得ていたことを、不法行為であると認定し、損害賠償責任が生じることを認めています。
サクラサイトの被害に遭った場合は?
消費者ホットラインに相談する
サクラサイトを使って人から金銭を巻き上げる行為は、れっきとした犯罪である以上、泣き寝入りをしてはいけません。
クレジットカード会社にも連絡する
- やり取りを続けるために必要なポイントを購入した
- 相手から金銭の振り込み・支払をするよう指示された
などの場合、銀行口座に振り込んでしまった後では、取り返すのはかなり難しくなります。
サクラサイトの利用に関する経緯をメモにまとめ、クレジットカード会社に連絡をしましょう。
なお、この場合はクレジットカード会社の紛失・盗難連絡先が窓口になります。24時間365日体制で連絡を受け付けてくれるので、たとえ気づいたのが夜中であっても、すぐに連絡してください。
参照:利用したサイトが怪しい詐欺サイトだった場合、どうしたら良いですか。|よくあるご質問Q&A|クレジットカードはUCカード
サクラサイトの被害に遭わないための対策は?
迷惑メールには絶対に返信しない
サクラサイトの被害に遭ってしまった場合は、一刻も早く適切な対応を取るのが大事です。しかし、事前に被害に遭わないように対策を講じるのも、それと同じくらい大事になります。
フィルタリングを強化するのも1つの対策
スマートフォンの場合、各携帯電話が提供する迷惑メールのフィルタリングサービスが利用できます。中にはすり抜けてしまうものもありますが、設定するのとしないのとでは、かなり違うはずです。
参照:迷惑メールフィルター設定 | スマートフォン・携帯電話をご利用の方 | au
参照:迷惑メールフィルター | スマートフォン・携帯電話 | ソフトバンク
参照:迷惑メールでお困りの方へ | お知らせ | NTTドコモ
また、Gmailを使っている場合は
- メールアドレス自体をブロックする
- 頻繁にメールを送ってくる送信元を登録解除する
などの方法で、迷惑メールが届かないよう対策ができます。
参照:メールをブロックする – パソコン – Gmail ヘルプ
また、iPhoneを使っている場合は、iCloudで迷惑メールを識別してフィルタリングすることが可能です。
参照:iCloud で迷惑メールを識別してフィルタリングする – Apple サポート
有料サイトを利用する場合は慎重に対処する
これはサクラサイトに限ったことではありませんが、課金が生じる有料サイトを利用する場合は
- 課金が発生するタイミング(月額、利用の都度など)
- 課金をする場合の金額
- 無料体験期間が終了した場合の扱い
について確認しましょう。
サイトのURLや表示を確認する
サクラサイトの場合、WebサイトのURLや表示にも問題があることが多いです。見分けるためのポイントをいくつか紹介しましょう。
- URLドメイン名が一般的なもの(.co.JPや.com等)ではない
- SSL暗号化と明記しているがURLの始まりがhttps://になっていない
- 問い合わせ先がメールのみで、住所や固定電話番号、代表者・担当者の名前が書いていない
- 会社概要が検索できないように画像添付してある
- 日本語の文章がおかしい(文法が守られていない、表記が稚拙など)
- 芸能人やモデルの写真が使われている
なお、近年では上記のポイントに問題がなくても、実態はサクラサイトであるというパターンも出現しています。わかりやすいのが、実在する通販サイトを模倣したものです。
このようなWebサイトで商品を注文すると、模倣品が届いたり、返金を求めても対応がなかったりなどのトラブルに見舞われるので、気を付けてください。
悪質なWebサイト一覧も活用しよう
消費者庁は、サクラサイトなど、悪質なWebサイトとして報告があったものをまとめ、同庁のホームページで公開しています。あきらかに怪しいと思ったなら、この一覧も併せてチェックしましょう。
個人情報を求められても絶対に応じない
サクラサイトの中には、金銭を巻き上げるだけではなく、名前・生年月日・住所・電話番号などの個人情報の入力を求めてくるものもあります。
収集された個人情報が反社会勢力の間で売買され、犯罪に悪用されることもあるので、絶対に応じてはいけません。脈絡もなく個人情報を入力させられそうになったら、ブラウザを閉じてしまいましょう。
メールのやり取りは削除しないで残しておく
事前にサクラサイトであることを見抜けたのならいいのですが、実際はそううまくいかないこともあり得ます。万が一、うっかりサクラサイトに関わってしまった場合は、メールのやりとりを削除しないで残しておきましょう。
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