近年、副業を解禁する会社が増えています。「副業で得られる人脈、知見を本業に活用してほしい」というポジティブな理由を挙げる会社もあれば、明言こそしないものの、業績が振るわず、従業員の給料を切り下げざるを得ない事情を抱えているため解禁に踏み切った会社もあるのが実情です。
いずれにしても、会社の中で仕事をしているだけでは得られない経験ができるのも副業の良さなので、これをチャンスととらえて前向きに頑張ると良いでしょう。
だからこそ「手を出していい副業」と「手を出してはいけない副業」を見極めることが必要になります。今回は、会社員が手を出さないほうがいい副業の見破り方を解説しましょう。
目次
初期費用を要求してくる
情報商材、自動売買ソフトを売りつけられる
注意したほうが良い副業の1つに「法外な金額の初期費用がかかるもの」が挙げられます。例えば
- 特定のオンラインセミナーを受講し、修了試験に合格すれば副業の案件を紹介する
- 自分のパソコンにインストールし、株式・FXの取引をすれば必ず儲かるという自動売買ソフトを購入させられる
などは、数十万円の費用が掛かる割には、案件を紹介してもらうことも、投下した費用以上の利益が出ることも稀です。
ネットワークビジネスのブラインド勧誘のケースも
また「〇万円を払って会員になれば、人を紹介すると紹介手数料がもらえる」という副業の話も要注意です。かなりの確率で、ネットワークビジネスのブラインド勧誘(「これから勧誘をする」と明示しないで行われる勧誘のこと)であることが考えられます。
ネットワークビジネス自体は違法ではないものの、法律(特定商取引法)により厳しい規制を受けているビジネスの1つです。
本名を出さない個人から頼まれる
本名が出せないのは後ろめたい理由があるから
本業にするほどではないものの、手先が器用で手芸・大工仕事が得意なら、それを副業にするのも1つの手段でしょう。しかし、最初は顔も本名も知っている友人・知人からの依頼のみをこなしたほうがよさそうです。
ある程度実績を積んだら、TwitterやInstagramなどのSNS経由で依頼者を募るのも1つの手段ですが、その時は必ず相手の本名と確実に連絡が取れる住所・電話番号を控えましょう。仮に、代金の不払いが生じた場合、相手の名前も連絡先もわからない状態では、何もできないためです。
クラウドソーシングサービスを利用するのも1つの手段
完成物を期限までに納品したにも関わらず、相手から報酬を受取れないというトラブルを回避するためには、クラウドソーシングサービスを利用した取引に限定するのも1つの手段です。クラウドソーシングサービスでは、エスクロー(事前入金)といって
- 依頼者側が事前に報酬をシステムを通じて入金する
- 受託者側は依頼が完了したらシステム上で完了報告を行い、依頼者が承認する
- 依頼者が事前に払い込んだ報酬からクラウドソーシングサービス側に支払う手数料(20%程度)を差し引かれた額が受託者側に入金される
という流れで報酬の支払いを行う仕組みを取り入れています。
もちろん、この仕組みがあっても、依頼者がいつまでも完了報告に対する承認を行わなければ、受託者は報酬を受け取れません。しかし、100%ではないものの、報酬の取りっぱぐれが減らせることは、評価すべきメリットの1つでしょう。
やたらと儲かることを強調してくる
海外業者を使ったバイナリーオプションは特に注意
InstagramやTwitterなどのSNSを使っている人なら「毎日10分で100万円の副収入」@「初心者でも億万長者に!」と言った、やたらと儲かることを強調してくる副業の勧誘を受けたことがあるはずです。そして、このような副業の正体は、海外業者を使ったバイナリーオプションの勧誘であることが多くなっています。
バイナリーオプション自体は、日本の法律(金融商品取引法など)に基づいて登録を行っている業者でも扱う金融商品なので、違法ではありません。
出典:バイナリーオプション「オプトレ!」|FXならヤフーグループのYJFX!
問題なのは、日本の法律に基づく登録・認可を受けていない海外の業者を使ったバイナリーオプションです。口座開設の紹介料が高いことから、SNSを通じた勧誘が盛んにおこなわれていますが、絶対に手は出さないようにしましょう。
投資である以上、リスクはゼロではありません。また、海外の業者を通じて取引をする以上、その業者が倒産したり、役員が会社の資産を持ち逃げしたりしたなどのトラブルがあっても、何ら補償は受けられません。
参照:無登録業者とのバイナリーオプション取引は行わないで!-SNSをきっかけにした20歳代のトラブルが目立ちます-(発表情報)_国民生活センター
銀行口座、携帯電話番号の売買・貸し借りは厳禁
海外の業者を通じたバイナリーオプション以上に問題なのが、携帯電話番号や銀行口座の売買を持ちかけられることです。
まず、銀行口座については、名義人以外の人が使う予定で作ること(いわゆる「名義貸し」)が法律(犯罪収益移転防止法)により禁止されています。
- 偽造・変造した本人確認書類による預金口座の開設をした者
- 他人になりすまして預金口座を利用する者
- 他人に使用させる目的で預金口座を譲り渡し、交付し、または提供した者
- 預金口座を売買した者
- 預金口座売買等を勧誘、または広告等を行った者
が刑事罰の対象になると規定されているので「■■銀行の口座を開設してくれたら1つ〇〇万円で買い取ります」と言われても、絶対に応じないようにしてください。
参照:預金口座の不正利用と「犯罪による収益の移転防止に関する法律」について | セキュリティ | 楽天銀行
また「自分の代わりに携帯電話を契約してくれたら報酬をあげます」と誘われることもあります。これも「名義貸し」にあたり、法律(携帯電話不正利用防止法)により罰せられるので注意してください。
仮に、実際に携帯電話を使っている人が利用料金を滞納していたとしても、その料金を支払う義務を負うのは名義人本人です。時には数十万円の滞納分を払わされる恐れがある上に、名義貸しをしていたことが発覚したら、携帯電話会社から強制解約を言い渡された上に、他の会社の携帯電話も使えなくなります。
出典:甲府市消費生活センター/アルバイトのつもりで携帯電話を複数台購入し、知人に渡した(名義貸し)
費用対効果があまりに低すぎる
時給に換算するといくらかを考えよう
副業は、本業とは別にする仕事である以上「かけた時間の割に実入りがいいか」どうかも考える必要があります。「1時間で1万円」など、通常では考えられないくらいの報酬が得られる、と歌う案件には注意した方が良いですが、あまりに低すぎるのも考えものです。
分かりやすい基準として、首都圏の学生アルバイトの時給の相場は1000円前後ですが、せめてそのくらいの金額は得られるかを考えてみてください。例えば、Webライターを副業にする場合は、1文字1円としたら、1時間で1000文字書けないと時給1000円には達しません。
体力勝負である
本業に支障が出たら本末転倒
たとえ副業をすること自体に問題はないにしても、それはあくまで「本業に差し支えがないこと」が前提です。副業に一生懸命になりすぎて、本業の仕事に集中できなかったり、休みがちになったりしたらどうしようもありません。
怪我をした場合の補償も気になる
そして、これらの仕事は怪我をする可能性も高いです。アルバイト・パートなど、雇用契約を結んだ上で行うなら、仮に仕事中に怪我をしたとしても、労災保険による給付が受けられますが、業務委託契約や請負契約を結んで仕事をしていた場合は、治療費は全額自己負担です。
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