筆者は大学受験の時、社会の選択科目として日本史を勉強していました。その勉強をしている際に「鎌倉幕府が成立した年」を覚えるため、「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」という語呂合わせを使っていたのです。しかし、最近では鎌倉幕府が成立したのは1192年より前、という説が有力になっているらしく、この語呂合わせもあまり役に立たないと聞いています。
詳しくは本文で後述しますが「お金のこと」も、もしかしたら「子どもにとっては常識でも、大人は全く知らない」話題になっていくかもしれません。だからこそ、学びなおしが必要だという話を今回は掘り下げてみたいと思います。
目次
大人こそお金の学びなおしが必要な理由は?
これを読んでいる大人の人であれば「お金と人生は切っても切れない関係にある」ということくらいはきっとわかっているでしょう。
だからこそ、「お金の勉強をしたことがない人」にはしっかりと学びなおしをしてほしいと筆者は考えています。そう考える理由である
- 今後一気に学校で「お金の勉強」は普及するかもしれないから
- 自分が子どものときにお金のことを勉強してこなかったから
- いつか子どもにお金のことを聞かれても答えられないかもしれないから
の3点について詳しく解説しましょう。
理由1.今後一気に学校で「お金の勉強」は普及するかもしれないから
詳しくは後述しますが、これまで教育現場では、あまり「お金の勉強」がクローズアップされることはありませんでした。しかし、その流れが一気に変わるかもしれないニュースを見つけたので、紹介しておきます。
2023年4月から家庭科で「資産形成」を取り上げることに
2023年度から始まる高校の新学習指導要領は、家計管理などを教える家庭科の授業で「資産形成」の視点に触れるよう規定した。家庭科の先生が裁縫や調理実習に加え、株式や債券、投資信託など基本的な金融商品の特徴を教えることになる。教育現場では戸惑いも広がるなか、金融庁は「出張授業」や教材づくり、先生を対象にした投資イベントなどを通じて準備を後押ししていく。
出典:高校家庭科で「投資信託」 22年4月から授業:日本経済新聞
今回の報道は、高等学校=高校の家庭科の授業でお金のこと(資産形成)を取り上げるよう取り組みを促す、というものです。そして、これはあくまで筆者の個人的な意見ではありますが、今後、小学校・中学校でも教育現場で「お金の勉強」をする取り組み(金融経済教育の実施)を促す流れは加速していくでしょう。
理由2.自分が子どものときにお金のことを勉強してこなかったから
既に触れた通り、今後は小学校・中学校・高等学校に通う子どもが「お金の勉強」を学校でするのが珍しくない時代がやってくるかもしれません。しかし、これまではあまり「お金の勉強」が小学校・中学校・高等学校でクローズアップされることはありませんでした。
つまり
というのが実情です。
1年間で「5時間以下」が実情
平成26(2014)年に「金融経済教育を推進する研究会」が発表した「中学校・高等学校における金融経済教育の実態調査報告書」内のデータを紹介しましょう。
という質問に対し、学年ごとに最も多かった回答をまとめました。
- 中学校1年生:「0時間」(74.2%)
- 中学校2年生:「0時間」(58.2%)
- 中学校3年生:「1~5時間程度」(44.6%)
- 高校1年生:「1~5時間程度」(60.9%)
- 高校2年生:「1~5時間程度」(49.3%)
- 高校3年生:「1~5時間程度」(47.7%)
出典:金融経済教育を推進する研究会(事務局 日本証券業協会)「中学校・高等学校における金融経済教育の実態調査報告書」
簡単にまとめると「これまで学校の授業で、お金のことを教わる機会はほとんどない」というのが実情だった、ということです。もちろん
- 高校の商業科に在籍していた
- 社会(公民科)や家庭科の先生が「お金の勉強」を大事な知識ととらえて授業を行った
などの理由で、基本的な知識は習得できた人も中にはいます。
理由3.いつか子どもにお金のことを聞かれても答えられないかもしれないから
小学校~高校で「お金の勉強」をしてこなかったとしても
- 大学・大学院は経済・経営・商・法学部など「お金の勉強」と関連が深い学部に進学した
- 銀行などの金融機関、不動産会社など「お金の勉強」と関連が深い会社に就職した
など、大学生や社会人になる際の進路次第では、「お金の勉強」をする機会は十分にあるでしょう。しかし、「お金の勉強」をする機会がない進路だった場合、いつか子どもにお金のことを聞かれても答えられない、という事態は起こりうることを、様々なデータを用いて考えてみましょう。
子どもの勉強は教えられる、という人がほとんど
これを読んでいる人の中には、「小学校、中学校までで習う内容程度までなら、自分の子どもに勉強を教えられそう」という人もやはりいるでしょう。そのような人が多そうな背景の1つとして「日本の教育水準が、世界的に見てもかなり高い」ことが挙げられます。
数学的リテラシー、科学的リテラシーは全世界でもトップクラス
OECD(経済協力開発機構)は定期的に「生徒の学習到達度調査(PISA)」を行っています。簡単に言うと、義務教育修了段階の15歳児(日本でいうと中学卒業時)がどの程度の学力を有しているのかを、世界レベルで比較する調査のことです。読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシーの3分野において比較されますが、日本は
- OECD加盟国(37か国)におけるランキング
- 全参加国・地域(79か国・地域)におけるランキング
において、かなり高い位置につけています。
項目 | OECD加盟国(37か国)内における日本の順位 | 全参加国・地域(79か国・地域)における日本の順位 |
---|---|---|
読解力 | 11位 | 15位 |
数学的リテラシー | 1位 | 6位 |
科学的リテラシー | 2位 | 5位 |
出典:文部科学省・国立教育政策研究所「OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント
これらのデータから「読解力においてはやや劣るものの、世界的に見てもかなり高いレベルの学力を有した状態で、義務教育を終えている」ことが考えられます。
しかしお金のことはやや弱い?
一方「お金の知識」という観点については、日本は諸外国と比べるとやや弱いのが実情です。金融広報中央委員会による「金融リテラシー調査(2019年)」の結果からひもといてみましょう。
この調査においては、結果の国際比較をするという意味で、OECDなどの海外機関が行う同様の調査と一部の設問が同じになっています。その「同じ設問」の正答率について、日本と海外の主要国との結果をまとめた表がこちらです。
項目/国 | 日本 | イギリス | ドイツ | フランス |
---|---|---|---|---|
知識(5問平均) | 60% | 63% | 67% | 72% |
金利 | 69% | 57% | 64% | 57% |
福利 | 44% | 52% | 47% | 54% |
インフレの定義 | 62% | 80% | 87% | 87% |
リスクリターン | 77% | 74% | 79% | 87% |
分散投資 | 47% | 52% | 60% | 75% |
出典:金融広報中央委員会 「金融リテラシー調査 2019年」の結果
基本的な学力においては、日本はイギリス・ドイツ・フランスに決して引けを取っていないものの「お金の知識」(金融リテラシー)においては、かなり引けをとっているようです。
その原因の1つとして考えられるのが
ことでしょう。先ほど紹介した「金融リテラシー調査 2019年」においても
- 学校において金融教育を行うべきと考えている人は全体の67.2%
- しかし、その中で実際に金融教育を受けたことがある人は8.5%
という結果が示されているのです。
心配なママ・パパは「お金の先生」を目指して効率的に学びなおそう
結局のところ
というのが、今の大人=ママ・パパが置かれた現状でしょう。
しかし、お金のことに限らず、勉強はいくつになってからでもできるし、知識は邪魔になりません。「自分、うちの子にお金のこと聞かれてもまともに答えられる自身がない…」と落ち込む前に、効率的に学びなおす方法を考えましょう。
1つの選択肢として
ことを提案します。
「お金の先生」とは
出典:【公式】キッズマネースクールは子どものお金の勉強ができる親子体験イベント
日本全国で子ども向けに運営されているお金の教育に関するセミナーの1つに「キッズ・マネー・スクール」があります。このセミナーを運営している団体である「一般社団法人 日本こどもの生き抜く力育成協会」は、「お金の先生(=認定講師)」の養成にも積極的に取り組んできました。
最近では「子どもたちにとって一番身近な存在」であるママ・パパ(子育て中の母親・父親)にも、「お金の先生」を目指してもらおうと、オンライン上での無料説明会を定期的に開催しています。
「お金の先生」を目指して学びなおすのをおすすめする3つの理由
この記事を書くにあたって、筆者は運営団体である「キッズ・マネー・スクール(一般社団法人日本こどもの生き抜く力育成協会)」の担当者様から色々とお話を伺いました。その結果「自分がお金の勉強をし直したいなら、“お金の先生”を目指すのって合理的」と強く思ったのです。
その理由として
- 教えるために一生懸命勉強することになるから
- 子どもとのコミュニケーションの取り方も勉強できるから
- フォロー体制もばっちりだから
の3点を解説します。
教えるために一生懸命勉強することになるから
「お金の勉強=金融経済教育」に対し「難しい言葉(専門用語)ばかり使われている」というイメージを抱く人もいるでしょう。
しかし、子どもに伝えるときに難しい言葉ばかり使ったとしても、到底理解してもらえません。本当に必要なのは「その難しい言葉が何を表しているのか」という本質的な理解です。
そして、本質的な理解をするためには、ただテキストを読んだりするだけではなく
- 自分でも関連する分野の本や雑誌・新聞、Web記事を読む
- その分野に習熟した人に話を聞く
など、自分なりに工夫をしながら、知識を深めていく必要があります。
子どもとのコミュニケーションの取り方も勉強できるから
子育てをしている人ならわかるはずですが、子どもは非常に正直です。自分にとって興味が持てない話であれば
- 「面白くない」「つまらない」といって機嫌を悪くする
- 勝手に外に遊びに行ってしまう
- 眠くなって寝てしまう
など、ネガティブな反応を示します。
これを避けるためには、自分が一体何を子どもに伝えなくてはいけないかを考え抜いた上で、どうやって表現すれば、子どもが理解し、興味を持ってくれるかを考えなくてはいけません。
フォロー体制もばっちりだから
「キッズ・マネー・スクール」の運営団体である「一般社団法人 日本こどもの生き抜く力育成協会」は、日本全国で子ども向けのセミナーを多数運営してきた実績があります。長年に渡るセミナーの運営を通じてノウハウを蓄積しているため
- ファイナンシャル・プランナーなどの金融関連資格は持っているが、講師経験はない
- 金融関連資格は持っていない、金融機関に勤務した経験もないが、子どもと関わるのが好きだから講師を目指したい
など「これから講師を目指す人」へのフォロー体制も整っているのが大きな強みです。
わからないこと、不安なことがあれば、相談しながら進められます。
【結論】教えるのは、最高の学び
世界でもトップクラスと言えるほど平均的な学力が高いのは、日本が誇るべき点でしょう。一方「お金の勉強=金融経済教育」に関しては、まだまだ世界に追いついていない部分があるのも事実です。
しかし、冒頭でも触れた通り、2023年からは高校の家庭科で資産形成を取り上げることが学習指導要領に盛り込まれるなど、風向きは変わりつつあります。
一生懸命な姿は、子どもの財産にもなる
筆者も学生時代にアルバイトで塾講師・家庭教師をしたり、ファイナンシャル・プランナー同士の勉強会や一般消費者向けのセミナーで講師をしたりなど「自分が教える側になる」経験はたくさんしてきました。
その中で得た結論はやはり
ということです。教えることで、自分自身が学ぶことのほうがはるかに多いからこそ「初心者だから」「話すのは苦手だから」という理由で諦めて欲しくはない、と筆者は思っています。
そして、ママ・パパ講師の場合、最初の生徒は「自分の子ども」になる可能性が高いですが、自分の母親・父親が奮闘している様子を見て、きっと何かを感じ取ってくれるでしょう。
「キッズ・マネー・スクール」やママ・パパ講師に興味がある方は、さっそく公式Webページをチェックしてみてくださいね。
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