転勤族はマイホームをいつ購入すべき?3つのタイミングを解説します

国家公務員や、日本各地もしくは海外でも事業展開をしている企業に勤めている場合、勤務先の省庁・団体・企業から転勤の辞令が出た場合は、基本的には拒否できません。

会社は解雇権の行使が厳しく制限されている(つまり、よほどのことがないと会社側から一方的にクビにできない)代わりに、転勤などの人事を柔軟に実施する権利(人事権)が認められているためです。

そのため、業務上、転勤の多い勤務先に在籍している場合は「いつ、マイホームを購入すべきか」は慎重に考える必要があります。

今回は、いわゆる「転勤族」の人が、いつマイホームを購入すべきかについて、考えてみましょう。

【前提】単身赴任がOKかNGかも考えておく

OKの場合はあまり気にしなくても良い

本題に入る前に、考えて欲しいことがあります。「自分の勤務先から転勤を命じられた場合、単身赴任をしても良いのか、それとも家族の同行も必須なのか」ということです。

勤務先によっては「“日本国内に残っての治療が必要な病気を患う家族がいる”などの特殊な事情がない限りは、家族の同行が必須である」という扱いを定めているケースもあります。

このような扱いをしている場合、マイホームを買ってからすぐに転勤となると、誰も住まない家をどうするのかが問題になるため、慎重に考えなくてはいけません。

しかし「家族が定期的に訪問できるよう交通費は支給するが、同行は必須ではない」など、単身赴任を容認している勤務先も一定数存在するのが実情です。このような扱いをしている場合は、マイホームを買ったとしても、家族に住み続けてもらうという選択肢も出てくるため、さほど神経質になる必要はありません。

赴任地・状況によっても異なるので会社に確認を

実際のところ、転勤の辞令が出た場合は、原則として断ることはできませんが「こういう事情があるので、単身赴任にさせて欲しい」など、赴任する際の条件を交渉する余地はあるはずです。勤務先に確認し、どのように進めれば良いのかを考えて動きましょう。

一方、勤務先の側からも「現地に日本人学校や日本人の受け入れを行っている現地校がない」などの理由で、単身赴任をすすめられることがあります。

この辺りは、個々のケースによって異なるので、随時確認するしかありません。

金融機関にも相談を

また、マイホームを購入した後に転勤の辞令が出て、会社と交渉したものの家族の帯同が必須だった場合は「自分たちが住まなくなった後の住宅ローンの扱い」が問題になります。

本来、住宅ローンは「自分たちで住む家を買うつもりの人」を前提に融資が行われる商品であるため、自分たちで住まなくなった場合にはこの前提が崩れてしまうのです。

「自分たちが住まない間、誰かに部屋を貸す」という場合、賃貸物件という扱いになるため、通常の住宅ローンではなく、不動産投資用のローンへの借り換えを求められるケースもあるので、注意してください。

ただし、金融機関によっては「転勤など、やむを得ない事情がある場合は、物件を転貸していたとしても、住宅ローンをそのまま使い続けられる」という扱いをしてくれることもあります。

いすれにしても、内示があった時点で金融機関の担当者に相談をし、対応を仰ぎましょう。

タイミング1.子どもが高校生になるまで

高校に上がってからの転校はハードルが高い

これらの事情を踏まえて、転勤族の人がマイホームを購入するタイミングについて考えてみましょう。日本の場合、小学校・中学校は義務教育であるため、転校するにあたって特別な試験は必要ありません。一方、高校は義務教育ではないため、転入・編入試験を受験し、合格する必要があります。

そのことを考えると、子どもが高校生になるまでにはマイホームを購入しておき、会社から転勤の内示があった時点で「子どもが高校に通っているので、転校が難しい。そのため、単身赴任を前提にさせて欲しい」など、会社と条件の交渉を行うのが現実的な解決策かもしれません。

私立小学校・中学校に進学させる場合はより慎重に

また、転校が難しいという意味では、子どもが私立小学校・中学校に通っている場合も注意が必要です。せっかく受験を突破して入学したのだからもったいない、という気持ちもあって当然でしょう。

会社が転勤について「条件次第では単身赴任もOK」という方針を示してくれるなら、子どもと配偶者はマイホームに残して、自分は単身赴任をするという方法を取るのも可能です。

「できれば子どもは私立小学校・中学校に入れたい」と思うなら、住宅ローンの返済にそれなりに時間がかかることを見越して、早めにマイホームを購入してしまうのも1つの手段かもしれません。

タイミング2.自分が45歳になるまで

住宅ローン完済時の年齢から逆算してみよう

「何歳まで住宅ローンを組めるのか」を基準に、マイホームを購入すべきタイミングを考えるのも1つの方法です。

例えば、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供している「フラット35」の場合「完済時の年齢は80歳まで、借入可能期間は最長35年」という条件が設けられています。

仮に、借入期間を35年として住宅ローンを組むことを考えると、事実上45歳がタイムリミットという計算になります。

46歳以降で組む場合は頭金をかなり多めにすること

もちろん、46歳以降であっても

  • 借入期間を短くする
  • 頭金をできるだけ多く用意して、毎月の返済額を少なめにする
  • 「現在の勤務先への勤続年数が長い」など「毎月安定した収入があり、返済も滞らない」というアピールポイントがある

などの条件を満たせば、住宅ローンを組むこと自体は十分可能です。

転勤族の人の場合、勤務先によっては家賃補助・住宅手当という形で、家賃の一部を払ってもらえることがあります。その分を、毎月コツコツ貯めていくなどして、いざ住宅ローンを組むことになった際に、頭金としてまとまった金額を用意できるようにしておきましょう。

タイミング3.役職定年、定年退職のタイミングで

現金一括で購入できる物件にする

会社によっては「役職定年」といって、ある一定の年齢に達すると、管理職が役職を外される制度が導入されていることがあります。そして、役職定年に伴って、転勤の辞令も発令しないという取り組めになっているケースも少なくありません。

また、当然ではありますが、定年退職した場合も、そのあとの定年はないと考えて良いでしょう。近年は再雇用制度を使って定年後も働き続ける人が多いですが、その場合でも転勤を命じられるのは極めてまれです。

つまり、ある程度の年齢に達すれば、転勤する可能性自体が極めて低くなるため、そのタイミングでマイホームを購入すれば、引っ越しや家族の生活との兼ね合いをあまり気にする必要はありません。

ただし、役職定年や定年退職という話になってくると、年齢は少なくとも50代に達している計算になります。そこから新規で住宅ローンを組むこと自体は全く不可能ではありませんが、できれば「現金一括で購入できる」という条件の下で家を探したほうが良いでしょう。

実家をリフォーム、リノベーションして住むのもあり

もし、家族が介護施設に入所したり、万が一のことがあったりして、誰も住まなくなってしまった場合は、家の状態にもよりますが、リフォーム・リノベーションをした上で自分たちが住むのも方法の1つです。自分たちで新しく家を購入するよりは、はるかに安い予算で理想の住まいが手に入れられるのは大きなメリットでしょう。

ただし「近所のコンビニまで車で30分」など、車がないと生活できないという環境の場合は、高齢になって車の運転がおぼつかなくなった場合に生活が困難になる恐れもあります。

実家の立地も踏まえて、自分たちはどうするべきかを考えたほうが良さそうです。
FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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