だいぶ昔に作って、ほとんど使っていない口座がある、という人は決して少なくないはずです。そのような口座の扱いは、どうするべきなのかという相談も多く受けます。そこで今回は「使う予定のない銀行口座の扱い」について解説しましょう。
目次
使う予定のない銀行口座の扱い
基本的には解約しなくて大丈夫
近年では、銀行や信用金庫など、様々な金融機関内でATMの共通利用が進んでいます。そのため、手数料はかかるものの、たとえその金融機関の営業エリア外にいたとしても、現金の入金・引き出しは問題なくできるはずです。
仮に、実店舗を有する金融機関の口座を解約しようとする場合は、実際にその金融機関の店舗に赴かなければいけません。信用金庫など、特定の地域でしか営業していない金融機関である場合は、赴くだけでかなり時間を使ってしまいます。学生や専業主婦など、働いていないのなら赴いても構いませんが、フルタイムで仕事をしている人によっては、時間を割くのが大変なはずです。
どんなに人口の少ない地域であっても、郵便局はかならずある上に、ATMも設置されていることがほとんどであると考えると、日本国内にいる限りはさほど問題はないでしょう。
口座維持手数料の有無は確認しよう
使う予定のない銀行口座であっても、基本的には解約しなくてかまいません。しかし、金融機関によっては、口座維持手数料がかかることがあるので、注意が必要です。
口座維持手数料とは
銀行、信用金庫をはじめとする日本の金融機関では、口座の開設・維持にあたっての手数料は長年課されてきませんでした。一方、アメリカなど諸外国の金融機関においては、口座を持っているだけで、口座維持手数料が課せられるのは決して珍しくありません。
金融機関の立場から見てみると、たとえ使われていない口座であっても、それを管理・維持するためには、コストがかかります。具体的にはシステムによるデータ管理や、通帳に用いる印紙税にかかる費用です。日本の場合、今までは利用者からそれらのコストを徴収することもせず、すべて金融機関側が負担してきました。
しかし、長引く不況により、コストを捻出することが難しい、もしくは新たな収益源としての活路を見出したいなどの理由で、日本でも口座維持手数料の導入を検討する金融機関が出ています。
有名なのはりそな銀行(傘下の埼玉りそな銀行、関西みらい銀行も含む)です。普段から同行の口座を利用しているなら、口座維持手数料はかかりません。しかし、以下のいずれの条件にも該当しなくなった場合は、口座維持手数料として年間1,200円(税抜)がかかります。
- 該当未利用口座の残高が1万円以上である
- 同一支店で、他に預かり金融資産(定期預金、積立定期預金、財形預金、投資信託(ファンドラップ含む)、外貨預金、国債、生命保険等)が1円以上ある場合。
- 借入れがある
- りそなクラブの代表口座でステータスが「パール」以上である
出典:普通預金口座の未利用口座管理手数料について│りそな普通預金│りそな銀行
りそな銀行のように、口座管理手数料の導入を明確に打ち出す金融機関が今後増えてくることは十分に考えられます。自身が持っている金融機関の口座については、どのような扱いになるのかを確認しておきましょう。
解約をせずに口座を維持しておくのであれば、いざというときの出費を賄うための予備費を貯金しておく口座として利用するのも1つの手段かもしれません。通常使う口座ではなくても、定期的に入金しておけば、銀行側にも「ちゃんと取引のある口座」と認識してもらえ、口座維持手数料徴収の対象となる可能性も低くなるでしょう。
銀行口座の解約が必須になる唯一のケース
海外に1年以上住む予定がある場合
基本的に、日本国内に住んでいる限りは、無理に銀行・信用金庫などの口座を解約する必要はありません。しかし、一部の例外を除き、海外に1年以上住む予定がある場合は、解約する必要が出てきます。金融機関によっては、非居住者による口座の利用を認めていないためです。
第1条 預金口座取引
1.当社と預金口座取引が行えるお客さまは、日本国内に居住し、税法上の居住地国が日本のみである満15歳以上の個人、もしくは日本国内の事業者であり納税義務のある国が日本である法人事業者(個人事業者および日本国内において登記された法人事業者で、日本国外に本店または主たる事業所を有する事業者を除く)のうち当社が認めた先に限らせていただきます。
海外から日本の金融機関の口座を利用できるかどうかは、税法上の非居住者に該当するかどうかで判定されます。つまり「日本国内に住所を有し(住民票があり)、1年以上引き続き住んでいるか」が基準となります。
留学や赴任であっても、1年以内で戻ってくる予定であるなら特に気にする必要はありません。しかし、1年を超える場合は、持っている金融機関の口座の情報を調べ、非居住者の利用に関する扱いを確認しておきましょう。
海外移住が理由で銀行口座を解約する際の注意点
日本を出国する前に解約は済ませること
一度出国してしまうと、一時帰国をしたときでもない限りは、解約の手続きをするのは困難です。準備で忙しいかもしれませんが、解約は出国する前に済ませておきましょう。
また、解約の流れも実店舗を有している金融機関か、ネット銀行のように実店舗のない金融機関かによって異なります。
なお、実店舗を有している金融機関の口座を解約する場合は、店舗に実際に出向き、解約するのが一般的な流れです。その際
- 通帳
- キャッシュカード
- 届出印
- 運転免許証等の本人確認書類
を持参しましょう。
また、ネット銀行の場合は、専用のWebページから解約の手続きを行います。その際、利用しているすべてのサービスの解約や、ローン・キャッシングなどの借入金の残債の一括返済を求められるので、必要な対応は済ませましょう。
海外でも利用できる銀行口座を確保しておくこと
日本の家族・親族・友人や派遣元となる学校や職場とのお金のやり取りが発生することに備え、海外でも利用できる日本の金融機関の口座を確保しておきましょう。
非居住者向けにインターネットバンキングのサービスを提供している金融機関としては、三菱UFJ銀行が有名です。「グローバルダイレクト」という名前でサービスを提供しています。
以下のいずれかの条件に当てはまるなら、月額300円で利用可能です。
- 国内勤務先からの海外赴任
- 在外公館勤務
- 海外の学校への留学
- 上記目的で出国する人の同行者(家族)
クレジットカードの支払元情報は変更しておくこと
銀行、信用金庫など金融機関の口座を解約する際に気を付けるべきこととして、クレジットカードとの兼ね合いが挙げられます。口座を解約してしまうと、その口座を支払元としていたクレジットカードも使えません。事前にクレジットカード会社に連絡をし、支払元となる口座を変更したい旨を伝えましょう。手続きを案内してくれるはずです。
なお、クレジットカード会社によっては、更新カードも含めた郵送物の海外発送を行わないケースもあります。トラブルを防ぐためにも、郵便物の海外発送を行ってくれるクレジットカード会社が発行しているクレジットカードを、1枚でもいいので日本を出国する前に申し込んでおきましょう。
コメント