へそくり、という言葉があります。専業主婦(専業主夫も含む)などが、倹約や内職をして、夫(妻)に内緒で貯めたお金のことを指しますが、「配偶者に内緒で貯めている」という性質上、あまりポジティブなとらえ方はされないのも事実です。
しかし、人生何が起こるかわからない以上、たとえ専業主婦であっても、へそくり貯金として、自分名義かつ自分が管理できる貯金はあった方がいいでしょう。その理由と、専業主婦でもできるへそくり貯金の方法について解説します。
理由1.万が一離婚となった場合に踏み切れない
経済的理由がネックとなり離婚できないケースも
どんなにお互いのことが好きで「この人となら幸せな人生を歩めるはず」と思って結婚したとしても、一生添い遂げられるとは限りません。
一緒に暮らすうちにお互いの嫌なところが見えてきてケンカが絶えなくなったり、配偶者が不倫に走ったり、実はモラハラ夫(妻)だったりなど、様々な理由で離婚を選ぶことは十分に考えられます。逆に、相手に非がなかったとしても、自分が道ならぬ恋に落ちてしまい、別離を考えることだってあり得るのです。
しかし、離婚を考えることと、実際に離婚に踏み切ることとは別の問題です。仮に、離婚をすることになった場合、これまで住んでいた家からは出ていかないといけません。また、自分の浮気が配偶者にばれたなど、明らかに自分が原因で離婚する羽目になった場合は、相応の慰謝料を請求されることだってあり得ます。
頼れる家族がいないなら特に注意
仮に貯金がなかったとしても、実家との関係が良好で、しかもそれなりに財力があるなら、あまり問題はありません。いざとなれば「私、もう別れて家に戻ろうと思うんだけど」といえば、温かく迎え入れてくれるはずです。
しかし、実家との関係が良好でなかったり、経済的に余裕がなかったりする場合は、頼ることもできないので「離婚をして家を出ていく = 生活が破綻してしまう」という状況が成立してしまいます。
理由2.配偶者にトラブルがあった場合に対応できない
配偶者の保険、労災給付は100%あてにできない
また、配偶者のトラブルに備えるためにも、専業主婦がある程度のお金をへそくり貯金として蓄えておくことは、非常に有効です。
「うちは医療保険や生命保険があるし、仕事中のケガや病気だったら労災があるから大丈夫でしょ?」と思うかもしれませんが、死亡に至るまでの状況次第では、保険金や遺族補償給付が受け取れないケースもあるので注意してください。
例えば
- 配偶者ががん保険に入っていて、その後がんで亡くなったが、死亡原因ががんではなく、敗血症性ショックなど別の病気であると判断されたため、死亡保険金が支払われない
- 残業が多かったことが原因でうつ病になり、自殺してしまったが、会社が労災であることを認めず、裁判を起こしたが敗訴した
などの状況が考えられます。簡単に言うと「保険や補償による給付金は、絶対に受け取れるとは限らない」ということです。
配偶者の事業が失敗したり、リストラに遭うことも
配偶者の命に影響こそないものの、事業に失敗したり、勤務先の会社が急激な業績悪化を理由にした給与の引き下げ・人員削減を行ったりすることだって考えられます。生きているだけまだ良いですが、家計に与えるダメージは相当なものです。
理由3.経済的な自由が確保できない
自分の欲しいもの、やりたいことができない
仮に、配偶者に万が一のことがあったり、事業の失敗・リストラに巻き込まれたりなどの深刻なトラブルがなくても、へそくり貯金があったほうが良い理由はあります。
専業主婦だったとしても、欲しいもの、やりたいことはあるはずです。状況に応じて我慢しなくてはいけない場面があるかもしれませんが、100%我慢してしまったら、生活が一気に味気ないものになってしまうでしょう。
そのような事情を考えると、やはり、ある程度は自分の裁量で使えるお金として、へそくり貯金があるに越したことはありません。
配偶者の性格によってはトラブルの火種にも
もちろん「うちの旦那さんは、私が欲しいと言ったものはたいてい買ってくれるし、やりたいこともやらせてくれるよ?」という、恵まれた人もいるでしょう。しかし、世の中そんな人ばかりではありません。やはり、自分自身での稼ぎがない以上、ある程度は遠慮する人のほうが多いはずです。
それでも、どうしてもというときには自分の希望を伝え、それに従って配偶者が動いてくれるなら、まだ問題はないでしょう。しかし、配偶者によっては「なんで俺が稼いだお金をお前のために使わないといけないの?」と、あからさまな嫌悪感を示すこともあり得ます。
もちろん、これが行き過ぎると、生活費を渡さないなどの経済的DVに行き着くので要注意です。
主婦におすすめのへそくり貯金方法4選
家計の見直しで浮いた分を自分の口座に入れる
ここまでの説明で、専業主婦であっても、へそくり貯金があったほうが良い理由はわかったはずです。最も効率が良いのは、外で働いたり、家で副業を始めたりすることです。しかし、子育て中だったり、配偶者が外で働くのを許してくれなかったりなど、様々な理由でそれが難しい場合にできる方法をまとめました。
まず、取り組んで欲しいのが「家計の見直しで浮いた分を自分の口座に入れる」ことです。どちらか一方が働いていて、給料の中から生活費として使う金額を渡されている場合、固定費を切り下げるなどの取り組みをすれば、毎月黒字を出すことができるようになります。浮いた分は自分の口座に入れるのも1つの手段です。
お釣りで500円玉貯金をする
キャッシュレス決済が徐々に普及していきていますが、それでも現金で買い物をするシチュエーションはあるはずです。もし、もらったお釣りに500円玉が含まれていたら、貯金してしまいましょう。仮に1年で10万円貯めたい場合、毎月8,500円貯めれば目標はクリアできます。1カ月に17枚なので、意識していれば決して不可能ではありません。
ただし、この方法も、配偶者が神経質な性格の場合は「お釣り自分の懐に入れるのやめてくれる?」と言い出しかねないので、注意してください。
独身時代の貯金の一部を投資信託・株式投資で運用する
独身時代の貯金が十分にあるなら、その一部を投資信託や株式など、金融商品で運用するのもへそくり貯金を増やす手段として使えます。
投資信託の場合、長期間での資産形成が基本となっているため、一気には増えませんが、将来の蓄えを作るという意味では有効な手段になるはずです。短期間で増やすという意味では株式投資の方が効果的ではあるものの、暴落するリスクも高いです。
不要品をフリマアプリで売る
自分や家族が使っていたもので「まだ使えるとは思うけど、もう自分たちでは使わないもの」があれば、フリマアプリで売ってしまいましょう。なお
- 家具
- 家電製品
- 自分や家族が着なくなった服
など、普段の生活で使うもの(生活用動産)をフリマアプリで売った場合、その収入には税金(所得税)が課されないので、確定申告をする必要もありません。
出典:No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法|国税庁
しかし、アイドルのファンクラブ限定グッズなど、通常生活に必要でなく、高い値段で取引されているものを売った場合は、金額と内容によっては税金が課されることがあります。このあたりは、最寄の税務署に確認したほうがいいでしょう。
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