筆者の好きなアーティストに、プロモーションビデオやテレビ番組に出演する際に着物を着る方がいます。 歌に関しては「圧巻のパフォーマンス」としか言いようがないのですが、同時に「着物をちゃんと着こなしていらっしゃるな」と感服するばかりです。
そして、筆者の友人の中には、当時の仕事の都合上、日常的に着物を着ていた人もいます。本人の魅力故とは思いますが、その姿もやはり素敵で「やっぱり日本人って、着物似合うんだね」と思わされました。筆者も「たまには着物着て出かけてみるとかやってみたいな」と最近では考えています(時節柄厳しい部分もありますが)。
しかし、着物の場合「良いものの金額が天井知らず」という特殊な事情があるため、易々と手が出せないのも事実です。レンタルもあるにはありますが、そのほとんどが「振袖」「留袖」などの礼装(洋服で言うところの「フォーマルウェア」)であるため、到底普段着にはできません。
「うーん、普段のお出かけに着ても大丈夫そうで、しかも〇〇〇〇(冒頭で触れた好きなアーティストの方)みたいにスタイリッシュな着物を借りられそうなサービスはないのか…」と悩んでいたところ、非常に画期的なサービスを見つけました。「着物やさしいきもち」といって、
- 家族や身近な人が大切にしてきた着物を活用する
- 人に喜んでもらえて、しかも収入にもなる
の2つのメリットがある、ある意味「三方良し」なサービスです。
目次
着物を手放す際の対応法4選
本題に入る前に、自分自身や家族・親族が大切にしてきた着物を何らかの事情で手放すことになった場合の対応法として
- 着物買取専門店に買い取ってもらう
- 着物好きの知人に寄付・譲渡する
- 不要品回収業者に依頼する
- フリマアプリ、ネットオークション、バザーで販売する
の4つを想定し、それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
その1.着物買取専門店に買い取ってもらう
本や電化製品、ブランド品などと同じように、着物の買い取りを専門に行っているリサイクルショップも存在します。そのような着物買取専門店に、着物を買い取ってもらう方法です。
メリット
この方法の最大のメリットはやはり「自分でやるべきことがとにかく少なくて、手軽」であることでしょう。
- 店舗に買い取ってもらいたい着物を持ち込む(宅配便でのやり取りができたり、担当者が直接出向いたりしてくれることもある)
- 担当者が持ち込まれた着物を査定する
- 査定額に納得すれば、買い取ってもらう
というのが基本的な流れなので、自分でやるべきことは「買い取ってほしい着物を持ち込む(もしくは荷物として送る)」だけです。
デメリット
手軽である反面、この方法には「担当者の力量次第で査定額が大幅に変わる」というデメリットが挙げられます。経験や知識が少ない担当者が査定すると、あまり高い査定額が付かなかった場合でも、経験や知識が豊富な担当者が査定したら、はるかに高い査定額がつくというのも珍しくありません。
その2.着物好きの知人に寄付・譲渡する
「寄付・譲渡」と書くと大げさかもしれませんが、簡単に言うと「着物好きな友達にあげる」ということです。
メリット
友人・知人に譲るのであれば「これ、状態がいいけど私は普段あまり着ないから、よかったらどうぞ」というように、気軽かつ対等な立場でやり取りができます。
また、その友人・知人本人が着るわけではなくても「うちのお母さん、着物好きだから話してみるね」など、周囲の人に情報を伝えてくれたりする効果も期待できるでしょう。
デメリット
デメリットというより、問題になるのは「自分の周囲に、着物の丈や好みの合う友人・知人がいるか」ということです。
着物には、スーツなどと同じく、身長や体格に見合う仕立て寸法が存在します。つまり、身長150センチの人が着ていた着物を、身長165センチの人が着ようとするのは、明らかに無理があるのです。
また、身長や体格があまり変わらない相手だったとしても、着物の色や柄の好みが全く違う場合は受け取ってもらえないことだって考えられます。
その他3.不要品回収業者に依頼する
「実家の片づけをしたので、家族が着ていた着物を他のものと一緒に引き取ってもらう」というパターンです。
メリット
前述した「着物買取専門店に買い取ってもらう」方法と同様、自分でやるべきことが少ないという点がメリットです。大まかな流れですが
- 不要品回収業者に連絡を取り、来てもらう日時を調整する
- 自分は当日家にいて、業者が作業する際の指示を出したりするなどの対応を行う
と極めてシンプルなので「自分で色々とやるのは大変」と思う人にはうってつけでしょう。
デメリット
この方法のデメリットは
- ある程度まとまった予算が必要
- 業者の選び方次第ではトラブルにもつながる
の2点です。
ある程度まとまった予算が必要
この方法を使う場合「実家など、誰も住まなくなった家の片づけをする」という事情が背景にあるケースも含まれるでしょう。
当然、着物以外の不要品の処分や、部屋の掃除など他の作業も同時にお願いすることになるので、数万円~数十万円の費用が必要になります。
業者の選び方次第ではトラブルにもつながる
着物を手放すことと直接の関係はありませんが、注意喚起という意味で触れておきます。
不要品回収業者の中には、かなりいい加減な対応をする業者も含まれているのが実情です。うっかりそのような業者を選んでしまうと、深刻なトラブルに巻き込まれかねません。
参照:思いがけない高額請求 チラシを見て頼んだ廃品回収(見守り情報)_国民生活センター
その4.フリマアプリ、ネットオークション、バザーで販売する
近年はオンライン上での不要品のやり取りをする手段として、フリマアプリやネットオークションが多く用いられています。このような方法を用いて着物を手放す人がいるのも事実です。
メリット
この方法のメリットは、タイミング次第では着物買取専門店より高く売れることがあるという点です。
これを書いている現在(2021年6月)は、新型コロナウイルス感染症の影響で京都市の祇園祭など、全国の祭礼が中止に追い込まれていますが、本来であれば、このような祭礼に「せっかくだから着物を着ておでかけしたい」と思う人もいるでしょう。
そこで「お祭りに出かける準備をするであろう人が増える時期」を見計らって出品することで、着物買取専門店より高い値段で売れることも十分に考えられるはずです。
デメリット
一方、デメリットとして考えられるのは
- 購入・落札希望者とのやり取りや発送に手間がかかる
- 自身に知識がないと、本来の価値よりかなり低い金額で出品してしまい、大損をする恐れがある
の2点です。前者は、着物を出品するときに限ったことではないので、詳しい説明は割愛します。しかし後者については、案外軽視できない問題なので、具体的なケースをご紹介しておきましょう。
数十万円が数千円?
着物に用いられる反物の1つに、大島紬があります。奄美大島をはじめ、鹿児島県や宮崎県で織られている絹の織物ですが、長持ちすることから非常に人気があり、往々にして非常に高価(数十万円~100万円程度)です。
しかし、紬の着物は洋服に例えると「ジーンズなどのカジュアルウェア」という位置づけに当たるため、お茶会など「改まった場所」に着ていくのは相応しくないとされています。
そのため「普段から着物を着る仕事」の代表格であるお茶の先生(茶道講師)であっても「紬の着物の本当の価値を知らない」ということは往々にして起こりうるのです。
筆者は
という笑えない事態も起きたと聞きました。この方法をとる場合は、一度「その着物の本当の価値を知っていそうな人」に「どのくらいの値段を付ければ良いか」を聞いてから進めましょう。
日本初・おしゃれな着物のサブスクサービス「着物やさしいきもち」とは?
- 「普段にも着られるおしゃれな着物」はなかなか借りられない
- 着物を手放すのもなかなか楽じゃない
という現状を知った筆者は、持ち前の諦めの悪さで「うーん、何とかならないものかしら」と検索に勤しみました。
そして、Googleと格闘すること1時間、ようやく「これなら大丈夫かも?」というサービスを見つけたのでご紹介します。それが「着物やさしいきもち」です。
晴れ着ではないけどおしゃれな着物が月額定額制でレンタル可能
「着物やさしいきもち」とは
です。
基本的な使い方
「着物やさしいきもち」では
- 自分が着物を借りる
- 自分や家族の着物を誰かに貸す
という2つの使い方ができます。
「借りたい」場合
まず、自分が着物を借りたい場合ですが、
- 月額定額レンタル着物チケット(サブスクチケット)を購入する
- Webサイト上で借りたい着物を選ぶと、宅配便で届く
- 着物を返却する際は、所定の返却ボックスに入れて宅配便で返送する
- 宅配便での返送が完了すれば、別の着物が借りられるようになる
というのが大まかな流れです。より詳しい情報は、以下のWebページに書いてありますので、参考にしてください。
「貸したい」場合
自分や家族の着物・帯を貸すこともできます。
- 貸したい着物・帯の写真を撮ったり、採寸をしたりする
- Webページ上のフォームに必要事項を入力し、申請する
- 審査に通った場合「借りられる着物」として掲載される
- 自分が申請した着物に借り手がついた場合、2,000円がキャッシュバックされる
というのが大まかな流れです。こちらも、以下のWebページに詳しい情報が書かれているので、参考にしてください。
「着物やさしいきもち」のここがスゴイ!
次に「着物やさしいきもち」のメリットとして
- 購入すると100万円近い着物が26,800円で着られる
- その道30年のベテランがコーディネートしてくれる
- 自分が貸した着物・帯に借り手がつくとキャッシュバックも
の3点に触れましょう。
購入すると100万円近い着物が26,800円で着られる
まず「借りる側」のメリットとして「購入すると100万円近い着物が26,800円で着られる」ということが挙げられます。
「着物やさしいきもち」では様々な着物を扱っていますが、重要無形文化財である「万筋江戸小紋」の反物を用いた着物など、自分で購入すると100万円近い金額がするものも含まれています。
その道30年のベテランがコーディネートしてくれる
「着物やさしいきもち」は、もともとは30年間、着物の小売業を営んできた会社が運営しています。着物の小売を通じて得た豊富な商品知識とノウハウが「着物やさしいきもち」にも存分に盛り込まれているのが大きな特徴です。
例えば、着物を借りた場合、着物本体だけでなく
- 帯
- 長襦袢
- 帯締め
- 帯揚げ
など「着物を着るのに必要なもの」もセットにして貸してくれます。
自分が貸した着物・帯に借り手がつくとキャッシュバックも
既に触れた通り「着物やさしいきもち」では、自分や家族の着物・帯を貸し出すこともできます。
自分や家族の着物・帯に借り手がついたら、1回につき2,000円のキャッシュバックが受けられるので、ちょっとしたお小遣い稼ぎとしても利用可能です。なお、貸し出せる着物は正絹(絹100%)のもののみなので、注意してください。
サービスの運営者様にお話を聞いてみました!
筆者は「着物やさしいきもち」について、素晴らしいサービスだと思うと同時に「どうしてこんなサービスを思いついたのか?」という疑問がわきました。そこで「着物やさしい気持ち」の運営会社である京雅苑の赤澤様にお話を伺いました。
大切な着物に「手放す」 以外の選択肢を
赤澤様に伺ったお話をまとめたコメントがこちらです。
もともと私は、30年ほど着物の販売に携わってきました。この仕事を通じてたくさんのお客様とご縁をいただいてきましたが、ご高齢になってお出かけする機会がなくなったなどの理由で、私どもからお買い上げいただいた着物が不要になったという話を耳にする機会も増えています。状態を確認させていただくと、まだまだお召しになれるものが多かったのも事実です。
-どうにかして再利用できないか、お客様の大切な着物に「手放す」という以外の選択肢はないのか-
考えた結果行きついたのが「サブスクリプションという形でお客様に貸し出す」ということです。この方法であれば、まだまだ着られる着物を処分してしまうことがなくなる上に「着物を着てみたいけど、高価で手が出ない」というお客様にも、気軽に手に取っていただけるでしょう。
また、着物を借りていただいたお客様がお困りにならないよう、帯・長襦袢・帯締め・帯揚げについても、当方にて組み合わせを考え、一緒に貸し出しております。当方の「着物やさしいきもち」をきっかけに、より多くの方が「着物を着る」ことに親しんでいただければ幸甚でございます。
赤澤様、ありがとうございました。「着物やさしいきもち」は、今の時代に合った、上手に日常生活に「着物を着る」ことを取り入れていける画期的なサービスです。ぜひ使ってみたい、という方は、公式Webページから申し込みをしましょう。
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