復職前提のお休みだからこそ、過ごし方が大切。育休後の働き方を「ママボラン」で考えよう

総務省がまとめたところによれば、2020年の日本国内における専業主婦世帯(夫のみが働いて生計を支えている世帯)は571万世帯なのに対し、共働き世帯(夫婦の双方が働いて生計を立てている世帯)は1,240万世帯にも上ります。また、女性の育児休業取得率や育児休業からの復職率も高いです。

もはや、結婚して子どもが生まれても、女性が働き続けることは珍しくはありませんが、「働き続けることが珍しくない」からこその問題も起きています。

1つの問題として挙げられるのは「育児と仕事の両立に理解を示してはもらえているが、責任や権限が大きい仕事を任せてもらえない」ことです。

もちろん「子どもが小さいうちは、仕事よりも育児を重視したい」という人にとっては、このような働き方ができるのが望ましいでしょう。

しかし「できることなら、子どもが生まれる前と同じくらい、仕事も頑張りたい」と思っている人は、「もうちょっとやりがいがある仕事ができれば」と悩みを抱えてしまうかもしれません。

結局のところ、復職した後に育児と仕事を満足する形で両立できるかは

  • 自分が仕事に対して抱いている価値観
  • 自分が仕事を通じて得てきた知識・技術

を客観的に見つめなおせるかにかかっているのでしょう。

そこで今回は、育休から復職したときに、「こんなはずじゃなかった…」と思わないために、育休中にやっておくべきことと、その手助けになるサービスを紹介します。

復職前提のお休みだからこそ、過ごし方が大切

本題に入る前に

  • 育休を取得する人
  • 育休から実際に復職した人

はどのくらいいるのか調べてみることにしました。

女性の育休取得率は8割超

まず、育休(育児休業)取得率についてですが、平成29(2017)年10月1日から平成30(2018)年9月30日までの1年間で、在職中に出産した女性の83.0%が育休を取得したとのことです。

出典:厚生労働省 「令和元年度雇用均等基本調査の結果概要」

「入社して1年以内に妊娠・出産したため、法律上育休が取れなかった」など、一部の例外はあるものの、大多数の人が育休を取得していると考えてよいでしょう。

育休から実際に復職した人は約9割

一方、育休を終えて実際に復職した人がどのくらいいたのかについても調べてみましょう。平成30(2018)年度の場合、平成29(2017)年度の1年間に育休が終わり、復職予定であった人のうち、89.5%が実際に復職したそうです。

出典:厚生労働省 「平成30年度雇用均等基本調査(確報)」

復職する前にやっておくと良いことは?

データからもわかるように、ほとんどの人にとって「育休は、復職することが前提のお休み」です。

復職後、上手に仕事と家庭を両立できるようにするためにも、準備は入念にしておきましょう。具体的に取り組んでおくと良いことを紹介します。

生活環境を整える

大人にとって危険でないことであっても、子どもにとって危険なことは往々にしてあります。

例えば「コンセントの穴にヘアピンなど金属製のものを入れる」といういたずらは、子どもなら好奇心でやってしまいがちです。しかし、これは極めて感電するリスクが高い行為であるため、いたずら防止用のカバーを付けるなどの対策が必要です。

家の中を見回して「子どもにとって危険になる要素」はないかをチェックし、対策を講じておきましょう。

家事・育児の分担の方針を決める

「家事・育児の分担」も、育児と仕事を両立する上で大切なテーマになります。お互いの仕事のスタイル、得意・不得意を踏まえて話し合いをし、「これならうまくいきそう」という形を見つけるようにしましょう。

うまくいかない場合は、適宜話し合いをし、柔軟に方針を変えることも大事です。

仕事に必要な知識・技術をアップデートする

育休を取るということは「一時的にではあるものの、現場を離れる」ということです。そして、現場を離れている間にも、職場ではどんどん新しい仕事が進んでいき、必要な知識や技術も変わっていきます。つまり、育休から復帰した後は、育休前と全く同じことをやっていれば良いわけではないのです。

復帰後に「あれ?話についていけない」とならないよう、仕事に必要な知識・技術はアップデートするようにしましょう。「毎日30分、子どもが寝ている間に本を読む」「育休中に資格を取る」など、具体的な目標を持って取り組むとさらに効果的です。

情報交換できそうな仲間を作っておく

「仕事と家庭をどうやって両立していくか」「子どもとはどうやって接すれば良いか」など、子育てをしていれば日々悩みに直面するはずです。しかし、このような悩みを抱えている兼業主婦が、専業主婦に相談をしたとしても「なるほど!」と思える回答は得られないでしょう。

そもそも、専業主婦と兼業主婦とでは

  • 「子どもにどういう自分を見せたいか」というビジョン
  • 家計において使える予算
  • 家族、仕事に対する価値観

が全く違う以上、同じ悩みを抱えていても、取るべき解決法は全く異なります。

「できる限り、今の自分が置かれた状況に近い」仲間と、情報交換ができる体制を作っておくと良いでしょう。

これまでのキャリアの棚卸しをする

従来に比べると、転職をする人は珍しくなくなってきました。それでも、「大学(短大・専門学校など)を卒業してからずっと同じ職場で働いてきた」人は多いはずです。

そして、長年働いてきたのであれば

  • やりがいを感じられた仕事とそうでもない仕事
  • 「仕事を通じて身に付いた」と思える知識・技術・経験
  • これからの人生において自分がしたい働き方
  • 育児と仕事のバランスのとり方

についても、自分なりの考えや希望があるでしょう。そのあたりを明確にするためにも、これまで自分がやってきた仕事の振り返り=キャリアの棚卸しは、育休中に済ませておくのをおすすめします。

育休明け=子育て最優先とは限らない

また、育休中に考えておきたいのが「復職後、何に重きを置いて働くか」ということです。一口に「子育てをしながら働く女性」と言っても、仕事に対する考え方は

  • 生活に不自由しない程度の収入が得られれば良いので、子育てや家庭を最優先にしたい
  • 子育て・家庭にも可能な限り関わりたいが、育休前と同じようにやりがいのある仕事をしたい

など、人によって違います。もちろん、どちらの考え方にも、良い・悪いはないし、本人が「私はこうしたい」と思える形で働くのが一番でしょう。

しかし、本来は後者のような働き方を望んでいた人が

  • 自分ではそのことに気づいていなかった
  • 会社に「やりがいがある仕事をさせて欲しい」と伝えられなかった

場合、本人が大変な思いをするかもしれません。

「子育て中の社員に対しては、無理なく仕事と家庭を両立してもらいたい」という配慮から

  • 「勤務時間は10時~16時とする」などの時短勤務制度を使えるようにする
  • 部署の別の社員のアシスタント的な業務を中心に割り当てる

などの取り組みを行っている企業は多くあります。「子育てや家庭を最優先にしたい」という人にとっては、非常にありがたい話なのは確かです。

しかし、同時に「仕事の負担を軽減する代わりに、その間の昇進・昇給は無い」扱いであるのも珍しくありません。「育休前と同じように、やりがいがある仕事をしたい」と思っていた人にとっては、がっかりする結果になりかねない点にも注意が必要です。

キャリアの棚卸しに役立つ!「ママボラン」って何だ?

結局のところ、子どもがいる・いないに限らず、長く働き続けていくためには、どこかで立ち止まって

  • 自分が今までの仕事を通じて身につけてきたスキル
  • 今後身につけるべきスキル
  • 自分や家族が今後望む生き方
  • 仕事と育児の比重

をしっかりと考えてみる、いわば「キャリアの棚卸しをする」時間が必要なのかもしれません。

そして、子どもを設けた女性にとっては、育休中が絶好のチャンスでしょう。いざ、育休が終わって復職してからは「仕事→育児→仕事…」ととにかく慌ただしくなるため、なかなか時間が取りにくくなります。

「でも、具体的に何をすれば?」という人のために、「ママボラン」という画期的なサービスを見つけたのでご紹介しましょう。

ワーキングママのキャリア支援サービス

出典:ママボラン | ママボラン

「ママボラン」とは、一言でまとめると

主に育休中や復職済みのワーキングママを対象にした、自身が所属する以外の企業・団体でのボランティアを中心としたキャリアデザインプログラム

です。

こんな会社が運営しています

なお「ママボラン」の運営元・株式会社mogは、ワーキングママのキャリア支援に特化した人材サービス会社です。今回紹介する「ママボラン」以外にも

などの事業を手掛けています。

ワーキングママが「ママボラン」に参加すると良い4つの理由

ここで、育休中・育休から復職した(する予定の)女性=ワーキングママが「ママボラン」に参加すると良い4つの理由について考えてみましょう。

アウトプットの場が作れる

これは育休中に限ったことではありませんが、いくら仕事に必要な知識・技術を本で読んだり、セミナーで勉強したりして習得しようとしたとしても、実際にやってみないことには役に立ちません。いわば「インプットした知識は、アウトプットしてこそ活きる」ということです。

「ママボラン」に参加すれば、自分が所属している企業・団体以外の場所で、実際にボランティアとして仕事をすることになり、自然とアウトプットの機会が得られます。

こちらは「ママボラン」に実際に掲載されているボランティアの募集要項の1つです。自分がかねてから興味を抱いていたり、これまでの自分の経験が生かせそうだと思えたりしたボランティアがあれば、積極的に手を挙げてみましょう。

出典:認定NPO法人フローレンス | ママボラン

プロの力を借りてキャリアの棚卸しができる

「ママボラン」には、「キャリアデザインプログラム(88,000円/受講期間3カ月)」が用意されています。

出典:ママボランとは | ママボラン

既に筆者は「育休中など、まとまった時間が取れるときにこそ、キャリアの棚卸しなど“自分を振り返る時間を持つ”のが大事」と書きましたが、そもそも「自分を振り返る時間」が何なのかがあいまいかもしれません。

しかし「ママボラン」では経験豊富なキャリアカウンセラーが、1人1人に合った丁寧なカウンセリングを行います。いわば「プロの力を借りてキャリアの棚卸しができる」またとないチャンスなのです。

また、その他のメリットとして

  • 期間中に3回キャリアカウンセリングが受けられる
  • 自社内の評価面談や今後の転職活動の時にも使えるキャリアデザインシートを作成してもらえる

ことも挙げられます。一般的に、有料でキャリアカウンセリングを受けようとすると1回ごとに相応の相談料がかかるため、実は結構お得です。

以下の図のように「具体的にいつ、何をするのか」がはっきり示されているので「本気で自分がやってきたことの振り返りをしてみたい」という人はチャレンジしてみましょう。

出典:ママボランとは | ママボラン

なお「キャリアデザインプログラム」が終了した後でも、後述するコミュニティへの参加は可能です。その場合は、月額1,650円の会員費が必要になります。

ワーキングママ同士のコミュニティを通じて交流ができる

「ママボラン」では、会員であるワーキングママ同士が交流できるコミュニティも設けられています。「仕事と育児を両立していくこと」の悩みは、やっぱり「仕事と育児を両立している人」に相談するのが効果的な解決策です。

どんな些細なことでも相談してみれば、同じような悩みを抱えている人がきっと見つかるはずなので「ああ、自分だけが悩んでいるわけじゃないんだ」という安心にもつながります。

自分を客観的にとらえなおすことで自信が持てるようになる

これを読んでいる人の中には「大学を卒業して入社した会社でずっと働いている(転職したことがない)」という人が少なからずいるはずです。

  • よほどのことがない限りは簡単に解雇されない
  • 働きやすい環境で過ごせる

というメリットがある一方

  • 仕事上の視野が狭くなる
  • 環境の変化に適応しにくい
  • 「そもそも、自分はここの会社以外で通用するのか?」という不安を感じがちになる

などのデメリットがあるのも事実です。

「ママボラン」でボランティアをする場合、自分が所属している企業・団体以外の場所で働くことになります。いわば、自分から「今までいた職場とは何もかもが違う場所に飛び込んでいく」ことになるため

  • 「自分が人より優れているところ、もう少し伸ばしたほうがいいところは何か」がわかる
  • 「自分が今までいた職場にはいないタイプの人」に出会える
  • 自分では「これくらいできて当然」と思っていたことでも、「そんなことができるの!?すごいね」と評価される

など、様々なメリットがもたらされるでしょう。

いわば、自分が今まで身につけてきた価値観や思い込みを良い意味で捨て去り、客観的に自分をとらえなおすことができるため、今後の仕事やプライベートにもプラスになるはずです。

運営会社の担当者様にもお話を伺いました!

筆者自身には子どもはいませんが、「子育てをしながら仕事をしている同級生」はいます。彼女たちも、それぞれに葛藤を抱えて暮らしているのかな、と思いをはせてしまいました。

そして、やはり興味がわいたのは「どういう人が、どんな理由で、こんなサービスを立ち上げたのか?」という点です。そこで今回は「ママボラン」の運営会社・株式会社mogの金子様に

  • サービスを立ち上げたきっかけ
  • 実際に運営してみて思うこと

の2点を中心にお話を伺いました。

何となく育休を過ごしたら…

最初に「サービスを立ち上げたきっかけ」について、金子様にお話を伺いました。

私自身、前職の人材サービス会社(パーソルキャリア株式会社)に在職していた際に、2回育休を取得しました。

しかし、1回目の育休の時は、初めての育児だったので、何となく過ごしていました。「復職に備えて、何か仕事に役に立つ勉強をしたり、経験を積んだりしておこう」「仕事と育児を両立することになるから、自分が何を大切にして働くのかを考えておこう」という発想には至らなかったのです。

いざ復職したら「何となく、与えられている仕事をこなす人」になってしまい、「自分が仕事を通じて何をしたいのか」がわからなくなりました。正直、やりがいは感じられなかったです。

そこで、2回目の育休の際は、「復職した後のためにも何か将来の糧になることをやっておきたい」と考え、準備しました。具体的には、ボランティアとしてスタートアップ企業のマーケティング関連業務に携わったのですが、これがとても良い経験になったんです。

「やって良かったから、自分と同じように、仕事と育児を両立させたい女性にもチャレンジしてみて欲しい」と思い、復職後に新規事業として「ママボラン」の前身になるサービスを立ち上げました。

優秀な人が多いからこそ、柔軟な働き方ができる世の中に

次に「実際に運営してみて思うこと」についてお話を伺いました。

現在は、前職の人材サービス会社の一事業としてではなく、独立した会社の一事業として、「ママボラン」や転職支援サービスの「ママリブラ」を運営しています。

たくさんの「仕事と育児を両立したい女性」の方と日々接していますが、とても優秀で、仕事に対する情熱もおありの方が多いです。

そして「仕事と育児を両立したいけど、会社の理解がなかなか得られない」「新卒以来ずっと同じ会社にいたので、他の会社で自分が通用するのかわからない」と悩んでいらっしゃる方もかなりいらっしゃいます。

しかし、そういった「悩んでいる方」が「ママボラン」に参加し、今までとは全く違う場所で働くことで「自分で思うよりも、自分はいろいろなことができるんだ」と自信を得ていらっしゃるのを見ると、とても嬉しいし「サービスとして立ち上げてよかった」と心から思えます。

また、少しずつですが、社会の「仕事と育児を両立する」ことに対する意識も変わってきています。やはり、従来は「仕事と育児を両立する=短時間勤務や定時退社が基本ではあるが、昇進・昇給があまり見込めないアシスタント的なポジションに配置する」という対応を取る企業様が多かったように思います。

しかし、最近では「定時退社を徹底させたり、フレックスタイムを導入したりなど、家族との時間を確保できる働き方で最大限の成果を出すことを求める」というように「仕事も育児もあきらめない」前提の働き方ができる企業様も徐々に増えてきました。育休を経て、このような企業様に転職するのも、選択肢の1つと考えております。

もちろん、一番大切なのは「自分は、どんな人生を送りたいのか」という思いです。ご自身の思いを見つめなおす機会として「ママボラン」を活用していただければ幸いです!

金子様、ありがとうございました!「育休中だからこそ、今後のことをちゃんと考えたいな」と思う人はもちろん、「長いことこの会社でやってきたけど、他の会社のことも知りたい」という人でも参加可能なので、興味がある方は公式Webサイトをチェックしてみてくださいね。

「ママボラン」公式Webサイトはこちら

FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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