家賃を抑えたいならリノベーション済みの中古マンションがねらい目。実際に住んでわかったメリットと注意点を教えます

賃貸であっても、持ち家であっても、多くの人が「最寄り駅から近くて内装がきれいな物件」に住みたいと思うでしょう。もちろん、予算に糸目をつけないなら、いくらでもそんな物件は見つけられます。

しかし、限られた予算の中で見つけようとするならば、それなりに工夫が必要です。そこで今回は、普段の記事とはあえて趣向を変えて、筆者自身の体験談を交えながら

  • 家賃を抑えたいならリノベーション済みの中古マンションがねらい目な理由
  • 実際に住んでみて分かったメリット・デメリット

の2点について解説します。

筆者の体験談

「駅から5分以内で家賃は〇〇万円以内」

この記事を書いているのは2021年7月ですが、ちょうど2年前にあたる2019年7月から、筆者は婚約者(現在の夫)との結婚を前提にした同棲を始めるべく、賃貸マンション探しを始めました。まず、基本的な条件として

  • お互いの勤務地(当時)へのアクセスが便利
  • 寝室を2人別にしたいので間取りは3DKもしくは3LDK
  • 家賃は管理費、共益費、駐車場代込で最大15万円までなら可能、ただし安ければありがたい

という3点はすぐに決まったのですが「家から最寄り駅までの距離」に関する認識は全く違っていたのです。

筆者の実家は最寄り駅から徒歩で15分はかかるので「別に10分以内なら良くない?」と思っていました。しかし、「実家も含めて、最寄り駅から3分以上かかるところに住んだことがない」と豪語する夫からは「いやいや、妥協できても5分!」と言われたのです。

結果として希望しているエリア(埼玉県某所)で駅から徒歩5分以内、築浅の物件を探そうとすると

  • 明らかに予算オーバーする可能性が高い
  • 分譲マンションがほとんどなので、そもそも物件が出回ってこない

という壁に直面しました。

それでも満足のいく物件が借りられました

しかし、困った夫がもともと依頼していた不動産会社の担当者様(ファイナンシャル・プランナーつながりの先輩でもある)に聞いたところ

築浅で〇〇〇〇駅から5分以内、という条件ではないけど、築30年だけどリノベーション済で〇〇〇〇駅から6分という物件があるので、見に行きましょうか?

と答えてくれたので、内覧に行きました。後述する通り、オートロックがなかったり、台所のシンクが今ではあまり見ないステンレス製だったりと、古さを感じる部分はあるものの、暮らす分には全く問題はありません。また、速足で歩けば最寄り駅にも5分以内で着けそうです。

そして、具体的な金額はここでは控えますが、当初の予算である15万円より大分家賃(諸経費含む)も安くできたので、何ら不満はありません。

リノベーション済みの中古マンションのメリット

いわゆる駅近物件でもリーズナブルに借りられる

筆者の経験を踏まえて、リノベーション済みの中古マンションを借りるメリットについて考えてみましょう。住みたい地域や通っている路線によっても異なりますが、往々にして駅の近くにあるマンション・アパートの家賃は高いです。

特に、筆者の家の最寄り駅のように「複数路線が使えて、各駅停車はもちろん、急行・通勤快速などの特殊な列車も停車する」という駅の場合、交通の便の良さからさらに値段が吊り上がる傾向にあります。それが新築もしくは築浅(築10年以内)の物件であればなおさらです。

しかし、築10年以上経つと、やはり建物自体も経年劣化が目立ってきます。それでも借り手がつくなら問題ありませんが、つかない場合は賃料を引き下げざるを得ません。

このような事情があるため「駅から5分以内」などのいわゆる駅近物件であっても、新築や築浅の物件を借りるよりは、リーズナブルに済ませられるのです。

リノベーション時期によっては見た目は新築と変わらない

築年数が長い物件を借りてもらうために、定期的にリノベーションやリフォームを行っている大家も多く存在します。筆者が借りているマンションの場合、大家が管理会社も兼ねているのですが、前の入居者が引っ越し、新しい入居者が決まった時点で壁紙の貼り換えなどのリフォームを行っているようでした。

築40年未満の物件なら耐震性も問題なし

中古マンションを借りる際に気を付けるべきポイントとして「いつ、建てられたのか」が挙げられます。現在のマンションで用いられている耐震基準は、昭和56(1981)年に施行された改正建築法に基づくものです。

裏を返せば、築40年未満の物件(厳密には、昭和56年6月1日以降に建築確認を取った建物)であれば、改正建築法に基づいて建築されているので、耐震性に大きな問題はありません。

築40年以上でも耐震基準に問題はないことも

そもそも、先ほど触れた改正建築法が施行された背景は、昭和53(1978)年6月に発生した宮城県沖地震で多数の建物が全半壊状態になったことを踏まえ、これまでの耐震基準を大きく見直す必要があったことでした。

しかし、実際は公布(法律が変わることを知らしめること)に先立ち、建築業界内では建築基準法が改正されることが周知されていた上に、行政からも改正建築法に準じた耐震基準に基づき建物を建てることが推進されていたそうです。

そのため、築40年以上(厳密には、昭和56年5月31日以前に建築確認を取った建物)の建物であっても、耐震基準が一定の水準を満たしているため問題がないことは往々にしてあります。

リノベーション済みの中古マンションを借りる時の注意点

オートロックはついていないことも

一方、リノベーション済みの中古マンションに住む際には、注意点もあります。たとえば、筆者が住んでいるマンションは、築30年近いこともあってか、オートロックがついていません。

その代わり、警備会社が24時間体制で敷地内の共用部(ロビー、エレベーターホール、駐車場など)の監視を行っていて、異常があればすぐに急行してくれる仕組みになっています。

そのため、防犯上はさほど心配していないのですが、オートロックがないため、やはり新聞などの各種セールスや、新興宗教の勧誘の人はやってきます。神経質な人は(100%防げるとは限りませんが)オートロックがついていることを基準にした方がよいかもしれません。

最新の設備は期待できない

「最新のシステムキッチンで料理をしたい」など、使う設備がそれなりに新しいものでないと嫌だ、という人は、中古マンションでもフルリノベーション済みのものを選ぶなど、かなり条件にこだわらないと、理想の住まいが見つけられないでしょう。

筆者や夫の場合「まあ、使えれば良いのでは?」程度の認識しかなかったため、さほど気にしていません。

結局のところ、お金に糸目をつけずに使えるのでもないなら、「自分にとって譲れない条件」と「そこそこ妥協しても構わない条件」を明確に区別し、その上で「どのような家に住みたいのか」を考えてみると良いでしょう。

管理会社の力量次第で住み心地が変わる

ある意味、今回紹介した「リノベーション済みの中古マンション」に限らず、賃貸・分譲マンションに住む場合には気を付けた方が良いのが「管理会社の力量」です。マンションは多くの人が同じ建物に住むという特殊な性質上

  • 建物や設備のメンテナンス
  • 各種設備の保守点検
  • エントランス・ロビーなどの清掃
  • 来訪者の対応
  • 居住者からのクレーム対応

など、入居者が快適に暮らせるよう、一定の管理業務を行う必要があります。

これらの管理業務は、管理会社と呼ばれる専門の会社(物件を所有する不動産会社が管理業務も対応するケースがある)が行います。そして、管理会社の力量が足りないと

  • 居住者同士でもめる
  • 各種設備の保守点検が行き届かず、事故が起きる
  • エントランス・ロビーなどが汚く「なんだか荒れたマンション」という印象を周囲に与える

などのトラブルが多発します。マンションを選ぶ際は、管理会社が十分な力量を有しているかどうかを見極めましょう。

簡単な方法としては「エントランス・ロビーなど誰でも入れるところの掃除が行き届いているかどうか」です。いつもチラシやゴミが散らかっているようなマンションは、止めておいた方が無難でしょう。
FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

記事一覧

大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

最近の記事

  1. 不動産投資にはリスクがある。頼りになる客観的なプロの意見が欲しいなら「セカオピ」で入手!

  2. おうち時間の過ごし方は読書!という人に使ってもらいたい。本の買取・購入がオトクになる「ブックチケット」って?

  3. フリーランスの最大の悩みは「相談相手がいない」こと。「.ippo(ドットいっぽ)」で相談相手を見つけて快適に仕事しよう