銀行などの金融機関にとって、住宅ローンは「ある程度まとまったお金を貸し付けること」に他ならないため「返済期間全体に渡り、延滞・滞納などのトラブルを起こすことなく、毎月スムーズに返済してもらえるか」を厳密に審査しています。
そのため、はた目から見れば何ら問題はないように思える人であっても、住宅ローンの審査に通らないことは往々にしてありうるのです。そこで今回は、住宅ローン審査に通らなかった場合、再チャレンジする前に自分で試せる対処法を6つ紹介します。
目次
住宅ローンの審査に通らないのはなぜ?
「安定継続した支払い」ができない要因があると思われたから
本題に入る前に、そもそもなぜ住宅ローンの審査に通らないのかについて、考えてみましょう。端的に言うと
が答えです。
自分には全く非がない理由で通らないこともある
一方、自分にはまったく非がない理由で住宅ローンの審査に通らないこともあり得ます。代表的なケースが
です。
この場合、金融機関側としても、何としても売買契約の成立を阻止しないといけません。その方法として、住宅ローンの審査に通さないことが考えられるのです。
もちろん、このような場合は、不動産会社の担当者からちゃんとした説明があるはずなので、あまり気にしすぎず、先に進むようにしましょう。
住宅ローンの審査に通らない理由については、こちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
【方法1】期間をおいて再審査を申し込む
通らなかった原因を分析した上で修正するのは必須
仮に住宅ローンの審査に通らなかった場合に取れる具体的な対処法について、話を進めましょう。1つ目は「期間をおいて再審査を申し込む」です。
特に「転職してから1年未満の時点で住宅ローンに申し込んだ」など、現在の職場での勤続年数があまりに短い場合は、住宅ローンの審査においてはかなり不利になります。
- 勤続年数が短ければ短いほど、離職するリスクは高い傾向にある
- 日本の企業では最長1年(一般的には3~6カ月)の試用期間を経た上で本採用に至ることがほとんど
である実情を考えると、最低でも1年以上経過しないと「今の職場で働き続けて、安定した収入が得られる」とは判断しにくいためです。
【方法2】別の金融機関に申し込む
審査基準・項目は金融機関ごとに異なる
どの金融機関であっても、詳細な住宅ローンの審査基準や合格・不合格の判定理由については明らかにしていません。しかし「Aという銀行で住宅ローンの審査に申し込んだときは不合格だったものの、Bという銀行に変えてみたらうまくいった」という話は決して珍しくないのです。
信用金庫・組合、労働金庫もねらい目
また、住宅ローンは都市銀行・地方銀行・ネット銀行だけでなく、信用金庫・組合や労働金庫でも取り扱いがあります。これらの金融機関は、提供するサービスは一般的な銀行とさほど変わりありませんが
- 地域経済の発展に寄与することが目的である
- 営利の追求ではなく、組合員・構成員の福祉を目標に掲げる
という点で、銀行とは大きな差があります。そのため、住宅ローンに関しても、銀行よりも審査に通りやすい傾向があるのが実情です。
【方法3】フラット35を使う
公共性の高い住宅ローンであるため審査に通りやすい
住宅ローンを「どこが主体となって貸し付けを行っているか」という視点で大まかに分類すると
- その金融機関が独自に展開している住宅ローン
- フラット35
の2つに大分されます。フラット35とは、銀行などの金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している、全期間固定金利型の住宅ローンのことです。
住宅金融支援機構の前身は住宅金融公庫という国土交通省(旧建設省)・財務省所管の特殊法人・政策金融機関でした。
住宅金融公庫自体が「資金力の弱い個人であっても、自身の住宅を取得できるようにする」という目的のもとに設立された機関であり、その考え方は現在の住宅金融支援機構にも受け継がれています。
ただし、一定のデメリットがあるのも確かなので、内容を熟知してから申し込むかどうかを考えましょう。
【方法4】ペアローン、リレーローンを検討する
収入が合算されるため借りやすくはなる
自分自身の収入が十分ではない場合は、ペアローンやリレーローンの利用を検討しても良いでしょう。
- ペアローン:一定の収入のある、原則として同居している夫婦で、それぞれが主たる債務者として住宅ローンを組むこと。お互いが相手の債務に対する連帯保証人兼担保提供者となる
- リレーローン:親子で1つの住宅ローンを契約し、二世代に渡りリレー方式で返済を行うこと。「親子ローン」と呼ばれることもある
つまり、複数人の収入を合算することになるため、金融機関側にとっては「支払能力が上がる以上、融資可能額を引き上げても良い」というプラス材料として働きます。
どちらか一方の収入が激減した場合の対策は必須
ただし、ペアローンやリレーローンを使う場合に注意してほしいのが「どちらか一方の収入が激減した、ゼロになった場合の対策」です。特に、ペアローンの場合は
- 妻が妊娠・出産し、産休・育休に入ることになった
- 何らかのきっかけで夫婦仲がこじれてしまい、離婚することになった
など、夫婦間の関係や就労状況の変化により、一気に当初思い描いていた形での返済ができなくなる可能性が出てきます。
【方法5】担保・保証人を追加する
家族所有の物件を担保に供するのも方法の1つ
銀行などの金融機関が、住宅ローンの審査を慎重に行うのは「安易に住宅ローンでの融資を実行してしまい、後で返済が滞ってしまうことになると、自分たちが損害を被ることになるから」に他なりません。
裏を返せば「担保・保証人を追加すれば返済が滞るリスクを劇的に下げられる可能性がある場合は、前向きに検討してもらうよう提案する」担当者もいます。
そのため「自分たちの基準にはあと少し足りない」というレベルで審査落ちになりそうな申込者に対しては
- 家族が所有している物件(持ち家など)を担保に提供する
- 本来は1人で良い保証人を2人立ててもらう
などの形で、少しでも延滞・滞納が起きた際に、資金が回収できるように提案を行ってくることがあります。頼めそうな人がいるなら、事情を話してみると良いでしょう。
【方法6】借入希望金額を下げる
物件の見直しや頭金を借りるなどの対策が必要
ただし、この場合
- 当初希望していた物件ではなく、もう少しお手頃な物件を探した上で住宅ローンの審査を受け直す
- 当初希望していた物件を買いたいなら、親・兄弟姉妹に借りるなどの方法で頭金を増やす
など、相応の対応が必要になります。どちらの方法が良いのかは、その人の状況によって異なるので断言はできません。
仮に、親・兄弟姉妹に借りる場合は
- 借用書を書き、署名捺印した上で、お互い1部ずつ持っておく
- 「家族だから」と油断するのではなく、当初決めた返済計画は厳密に守る
- 万が一、当初の返済計画通りに返せない事情が生じたら、すぐに相談する
などの点に気を付けましょう。
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